第22回 オールスターものまね王座決定戦スペシャル
 
1990年10月2日放送

【司会】  所ジョージ 田代まさし 榊原郁恵

【審査員】

鈴木邦彦 清水国明 生田悦子 淡谷のり子 峰岸徹
水前寺清子 野口五郎 村野武憲 針すなお 保沢紀

1回戦・Aブロック 第1組目

ピンクの電話

片瀬哲年

ウォンバットのまねで 田原俊彦のまねで
ウォンテッド ごめんよ涙
●1組目からデッカイかぶりもので登場はピンクの電話。「サル」「ラッコ」に続くぬいぐるみ芸・第3弾は「ウォンバット」。映画『タスマニア物語』で話題となったオーストラリアの小動物で、子供たちの御機嫌をうかがう。
●対する初登場、『第23回発表日本ものまね大賞』で「ブルースリーと対決するものまね四天王」などのネタを披露し好成績を修めた片瀬哲年(後に「わたる哲兵」と改名)。初舞台はトシちゃん一本で真面目に。デビュー戦の対戦相手がピンクの電話とはラッキー、と思いきや・・・
★ピンクの電話・92点、片瀬哲年・89点。まさかヌイグルミに負けるとは思わなかっただろう(確かに可愛らしく、踊りも上手かったのだが)。鈴木邦彦、生田悦子、淡谷のり子が彼に8点を付けた。ピンクより片瀬の方にいい点を付けたのは村野武憲と針すなおの2人だけ。針の「ピンク・8点、片瀬・9点」が一番妥当な採点だと思うのだが。勢いとは恐ろしいもの、彼もこのデビュー戦で、いろんな意味でプロの世界の恐さを知ったことだろう。わたる哲兵、1回戦突破への道は、遠くて険しい。

1回戦・Aブロック 第2組目

しのざき美知

ビジーフォー

山本リンダのまねで 高田浩吉のまねで
狙いうち 大江戸出世小唄
●毎回見るものを絶句させる衣装で登場するしのざき、今回はお尻に的、頭に矢が刺さった状態で(どんな衣装だ)山本リンダを初披露。前回1回戦で森口博子と対戦したとき、ご丁寧にも森口に山本リンダの指導をしていた。果たして「師匠」に相当する芸を見せることは出来たのか。
●ビジーフォーは和モノ。裕三が高田浩吉(若い人はほとんど知らない)、冬樹は芸者に扮して小器用に三味線を演奏。裕三の周りで飛び跳ねながらベンベンと。歌よりも特殊効果のほうを目立たせるのは彼らの作戦、見事に審査員をゴマかすことができるかどうか。淡谷「とってもいいですね。もう少しジッと立ってたらもっと良かったですね。飛んで歩かないでね」と。しのざきにも「一生懸命やったんですけどね。アナタ太ってるから損ね」と厳しい一言。
★しのざき美知・92点、ビジーフォー・99点。しのざきに10点を付けた淡谷先生、押し間違い?そしてビジーフォーの作戦に騙されなかったのは針先生のみ。

1回戦・Aブロック 第3組目

ケントフリック

斉藤ルミ子

梅沢富美男のまねで 松田聖子のまねで
夢芝居 夏の扉
●これまで外国人シンガーの真似専門だったケントは、初の日本人・女形の梅沢富美男に挑戦。所に「魔法瓶みたいな顔」と言われる。歌い終わって淡谷先生が大拍手。
●片瀬と同じく今夏の『発表日本ものまね大賞』でデビュー、松田聖子のそっくりさんとして話題となった斉藤ルミ子が初登場。もちろん1回戦はその松田聖子を披露。サビのとき「みんな一緒に!」と観客にマイクを向けた瞬間ハウリングを起こしてしまうが、そこはご愛嬌。松田聖子ものまねの教科書のような出来。
★ケントフリック・94点、斉藤ルミ子・98点。斉藤が2回戦で何を出してくるのか、興味津々。

1回戦・Aブロック 第4組目

笑福亭笑瓶

清水アキラ

人面魚玉置浩二のまねで 研ナオコ、谷村新司のまねで
めだかの学校 星降る街角
●ご存知笑瓶の「○○といえば玉置浩二」シリーズ・第3弾は人面魚。だんだん玉置浩二のものまね自体が上達しているというのが笑える。淡谷「その努力は買いますけどね」。
●対する人面ザル(笑)、清水アキラは体の右半分が研ナオコ、左半分が谷村新司という1人2役ネタ。ワンフレーズごとに体を入れ替えての熱唱、谷村の「アァァァ〜〜」が効いた。清水が実は苦手とするパターンのネタだが、最後まで間違えずに完奏。それなのに淡谷「どちらかにまとめてくれないと・・・」。
★笑福亭笑瓶・90点、清水アキラ・99点。針先生は両方に10点。マンガチックないい対戦だったのだろう。

 

1回戦・Bブロック 第1組目

パル

松本明子

ザ・フォーククルセイダーズ、村野武憲のまねで フィンガー5のまねで
帰ってきたヨッパライ 個人授業
●1回戦から強敵とあたることで有名なパルは、懐かしいところでフォークルの『帰ってきたヨッパライ』を。あの一世を風靡したヘリウムガスを吸いながら、高音を演出。
●高音勝負では負けていない松本、こちらも懐かしいフィンガー5のアキラを熱唱。アキラは変声期が終わっているためリアルタイムでは二度と聞けない声であるが、女性の松本が見事に再現した。田代「お前、ビッグになっても友達でいてくれよ」。野口「涙が出るほど感動しました」。
★パル・91点、松本明子・98点。王者の風格すら漂う松本、余裕で2回戦に進出。

1回戦・Bブロック 第2組目

鈴木末吉

森口博子

柳沢慎吾、稲川淳二のまねで 中山美穂のまねで
おどるポンポコリン ツイてるね、ノッてるね
●登場するや末吉「所さん、1回戦から勿体無い対戦ですね」所「誰も言ってねーよ!」。さて、1年ぶりに登場の末吉は、得意の2人をしゃべり真似で。しかし柳沢慎吾が10秒ともたず、すぐに稲川淳二にチェンジ(こちらも10秒ともたず)。もう少し大人数でかぶせていけば、見応えある出し物になりそうだったのに残念。かつては栗貫を1回戦で撃破した稲川淳二ネタであるが、はやくも疲弊した感が。
●前回あれよあれよとチャンピオンにまで登りつめた森口、1回戦から新ネタ披露。意外と誰もやらない中山美穂の真似。歌い終わって点数へ、所「負けた末吉くんの点数をどうぞ!」
★鈴木末吉90点、森口博子・97点。

1回戦・Bブロック 第3組目

ダチョウ倶楽部

松下桂子

BBクイーンズ、桑田佳祐、今くるよのまねで 小泉今日子のまねで
おどるポンポコリン 学園天国
●出し物の「型」が出来つつあるダチョウ倶楽部。「流行りもの」への触覚がこの頃から敏感だったのか、(末吉と同じく)『おどるポンポコリン』に目をつける。特に、肥後の本格歌まね「桑田佳祐」はレア。途中、寺門の往年のネタ「般若の面」も飛び出し、ある意味貴重な演目であったといえる。
●今回3人目のニューフェースは、小泉今日子を得意とする松下桂子。前回、森口と松居が既に真似済みの『学園天国』を。しかしそこは十八番、これまでの小泉の中では一番の出来だったと思う。
★ダチョウ倶楽部・93点、松下桂子・94点。意外にも僅差の勝負だった。審査員の、ダチョウ倶楽部への理解が深まってきているということか。

1回戦・Bブロック 第4組目

城之内早苗

コロッケ

金沢明子のまねで 松山千春のまねで
望郷じょんがら 長い夜
●『オールスターものまね王座〜』では常連の城之内早苗。相手が四天王ということで、定評のある金沢明子の真似をぶつける。これには淡谷先生も笑顔、審査員・司会ともに大絶賛。
●そしてコロッケの新ネタはコロコロ太った松山千春。これまでメドレーの中でやっていた松山千春とは一味も二味も違ったデフォルメの仕方で、会場を湧かせる。このネタは前回・決勝のためにとっておいたもの。前回は準決勝で負けてしまったが、もしこれを決勝で披露していたら、優勝もありえたかもしれない。野口「コロッケは上手いんですよ。最近、天才じゃないかと思うんですよね。で、これだけ褒めてるんだから、僕の真似をするときに鼻をほじるのだけはやめてくれないかな」と。正統派をとるか、名人芸をとるか。非常に審査の難しい対決となった。
★城之内早苗・96点、コロッケ・99点。勝ち抜くためには、「歌の上手さ」「似ている度」だけではなく、「プラスアルファ」が求められる、という結果が導かれた。

 

1回戦・Cブロック 第1組目

木村優希

篠塚満由美

都はるみのまねで 小林幸子のまねで
北の宿から もしかしてPART2
●今回大量に参戦した新人、その最後は木村優希。『発表日本ものまね大賞』では得意の演歌ものまねを何本か披露していた。1回戦はその中からベーシックな都はるみをチョイス。
●女四天王の一角、篠塚満由美の新ネタは小林幸子。声は本人の持ち声が出てしまった印象があるが(内藤やす子に似てしまう)、振りや顔の表情など抜群。全体的な雰囲気もつかんでおり、合格点ではなかろうか。
★木村優希・96点、篠塚満由実・98点。演歌対決は篠塚に軍配が上がった。

1回戦・Cブロック 第2組目

松居直美

原田ゆかり

ジャネット・ジャクソンのまねで いしだあゆみのまねで
リズムネイション ブルーライト・ヨコハマ
●松居は特訓に特訓を重ねたダンスを披露しつつのジャネット・ジャクソン。この回あたりから松居の出し物の雰囲気が変わってきた。後のCCガールズにも受け継がれる洋モノ路線である。審査基準も難しい。「似てるか」と言われれば、うーん・・。ダンスの勝負ではないからなあ、という感想がどうしても残ってしまう。
●対する原田は、今まであまり真似されていなかったいしだあゆみ。少し幼さが残るが、歌唱力があるので聞き惚れてしまう。
★松居直美・100点、原田ゆかり・94点。今回初の満点は松居直美。練習の厳しさ、成果が評価された形となった。ダンスで持っていくあたり(つまり審査員のゴマカシ方が)ビジーフォーの勝ち方にも通じるものがある(笑)。

1回戦・Cブロック 第3組目

栗田貫一

やや

チューブのまねで 金井克子のまねで
あー夏休み 他人の関係
●ここ3戦すべてジャンケンで負けている栗貫。1回戦は、2年前の『第4回スターものまね王座決定戦』での雪辱を果たすべく、チューブに再挑戦。前は曲の途中で「尾形大作」「布施明」を入れて審査員の不評をかってしまった。今回は一本ネタで。所の曲紹介「栗貫、今日はどうやって負けていくんでしょうか・・」
●毎回シブイところを持ってくるやや、今回はあの印象的な振付けで知られる『他人の関係』。鼻にかかった独特の声ならお手のもの。
★栗田貫一・95点、やや・94点。たった1点差で辛くも勝ち抜いた栗貫、またも2回戦では強敵と対決することになる。悲願の準決勝進出なるか。

1回戦・Cブロック 第4組目

桑野信義

岩本恭生

高島忠夫のまねで 和田アキ子のまねで
学園天国 どしゃ降りの雨の中で
●前回、あわやコロッケを倒すか、というところまで詰め寄った高島忠夫で再登場。今回は『ドレミファドン』の赤いスーツの上に『ごちそうさま』のエプロンという衣装で。曲が『学園天国』ということは、予想通りあの部分をあの替え歌に。イェーイ。
●岩本恭生が歌い出した途端、会場がどよめく。今ほど和田アキ子を上手く真似する人がいなかったこの当時(和田アキ子といえば吉村明宏か清水アキラかという時代)、忠実にあの迫力ある歌声をトレースしたのは岩本が最初ではなかったか。
★桑野信義・88点、岩本恭生・100点。本日の最低点と最高点の対決に、所「見てる人苦しかったでしょうね」。

 

準々決勝・Aブロック 第1組目

ピンクの電話

ビジーフォー

サイのまねで 寺尾聰宇野重吉のまねで
魔法使いサリー ルビーの指環
●ピンクの電話、初の2回戦。「ウォンバット」に続いては「サイ」。まさか本当に2回戦用のかぶりものが用意してあるとは驚いた(実際に準決・決勝用もあるらしい)。顔の真ん中に大きなツノを携えて、歌いにくいことこの上ない2人。それにしても「魔法使いサイ」の替え歌は誰も思いつかない。
●ビジーフォーは1回戦に続いて、若者にはとっつきにくいネタ。確か新聞の投書欄か何かで「ビジーフォー、ネタ古すぎ。分かんない」という意見を読んだ。まぁまぁ。当然、オチは「ツルツル・・」という歌詞のところでグッチ扮する宇野重吉が我が息子のヅラを取るというもの。そういえば投書欄の続きに「髪の毛ネタももう飽きた」と書いてあった。まぁまぁ。
★ピンクの電話・88点、ビジーフォー・98点。大差負けを喫したピンクの電話であったが、次回、ぬいぐるみネタでは指折りのヒット作が登場する。

準々決勝・Aブロック 第2組目

斉藤ルミ子

清水アキラ

夏木マリのまねで 宇崎竜堂のまねで
絹の靴下 サクセス
●初出場の斉藤ルミ子、2回戦。セクシーな衣装で登場するが、この衣装があとあと伝説のシーンを残すことになる。松田聖子以外のネタは初披露ということで、会場の期待が高まる。歌い始めて、いよいよサビ。舞台に直に座り足を崩した途端、スカートの中が丸見えに!驚くべきは司会のマーシーの行動。舞台の上手から、中が見やすい下手に颯爽と移動。その当時は笑い話になっていたが・・・マーシーは10年以上も前からスカートの中を覗いていたのだった!
●斉藤と同じ事務所の先輩・清水は、竜堂組の衣装で。登場するや、司会の所と田代に「どうせ『サクセス』って言わないんでしょ?」とツッコまれる。バレバレ。その思惑通り、サビを「ここまで来たら〜セックス〜サックせず〜」と歌い、淡谷先生の顰蹙を買う。しっかし、パンツ対セックスとは凄い戦いだ。
★斉藤ルミ子・95点、清水アキラ・96点。斉藤、惜しくもあと一点で大金星を逃すが、大健闘といえるのでは。

準々決勝・Bブロック 第1組目

松本明子

森口博子

小坂明子のまねで 工藤静香のまねで
あなた 黄砂に吹かれて
●好カード。前々回優勝の松本は、赤と白の大柄な格好。デビュー当時の榊原郁恵と間違えられるが、正解は小坂明子。ピアノを弾きながら、懐かしの名曲『あなた』を熱唱。しっかし何を歌わせても上手いねえ。
●そして前回優勝者の森口は、定番・工藤静香。森口「いつもは元気のよい静香ちゃんだったんですけど、今回はしっとりとした静香ちゃんを」とのこと。確かに声は初披露のときより似てきているが、さすがに3回目ということもあり、やや新鮮味に欠けるか、といった感じ。2回戦に持ってきたのは、ここの対戦相手が最も強敵と睨んだからなのだろう。
★松本明子・99点、森口博子・97点。バラドル対決は松本が僅差で勝利。

準々決勝・Bブロック 第2組目

松下桂子

コロッケ

山口百恵のまねで 金井克子のまねで
横須賀ストーリー 他人の関係
●松下も初出場で2回戦。キョンキョン以外では初めてのネタ。山口百恵のクセを十分に意識してのものまねだったが、審査員の野口「すごいお上手なんですけど、あまりに正統派で来られると、聴くほうも辛口で聴いちゃうというのがありますね」と。
●対するコロッケ、イントロからマイクに顔をぶつけまくる小ネタを挟んだ金井克子。「ゆうべはゆうべ、そして今夜は今夜」の後の歌詞を「八百屋は八百屋、家具屋は家具屋、寿司屋は寿司屋、食べた〜い〜」、「そしてケーキは不二家、タヌキは蕎麦屋、まとめ〜て〜、ジャスコ〜」と替える。水前寺、野口、村野のお三方が「ジャスコ」に大爆笑。野口「絶対に似てないと思うんだけど(笑)、そうかなと思わせちゃうんですよね」。
★松下桂子・92点、コロッケ・98点。松下も大健闘。小泉今日子のイメージからいかに逃れるかが今後の課題だろう。

準々決勝・Cブロック 第1組目

篠塚満由美

松居直美

松任谷由実のまねで 森昌子のまねで
DESTINY せんせい
●女四天王対決。篠塚は「ニューミュージックの女王様」というフレーズが今聞くと少し恥ずかしいユーミンの真似。1回戦とは逆に、声はそっくりだが、雰囲気やオーラ的なものがユーミンに及ばない感じがした。筆者の主観では「戸川純」に似ていた印象。それにしても緊張しすぎでは?
●松居は、「中三トリオ」時代の森昌子を彷彿とさせるパーマのカツラで登場するが、「山本譲二」とか「鳥羽一郎」とか散々言われる始末。でも肝心のものまねの方は、相当研究したと見えて、声も表情も見事に作り上げた。
★篠塚満由美・94点、松居直美・98点。松居は前回に続いて準決勝進出。

準々決勝・Cブロック 第2組目

栗田貫一

岩本恭生

チャゲ&飛鳥の飛鳥のまねで 布施明のまねで
ひとり咲き 積木の部屋
●「ものまね四天王」として未だ優勝経験のない栗田。悲願の2回戦突破に向けて、渾身のものまねを岩本にぶつける。チャゲアスのデビュー曲を、最後は紙吹雪で自らを演出して熱唱。しかし相手は布施明、純粋な「正統派」対決では若干分が悪いか。
●岩本「栗ちゃんにぶつけるには、布施さんしかない」と、十八番中の十八番で勝負。歌い出しの瞬間から野口・水前寺が飛び上がる(生で聴くのは初めての2人)。考えてみれば、岩本も布施を出してくるのは3回目。森口の工藤静香と同じ回数なのだ。それでも依然爆発力があるのは、岩本の布施明が俄然「飛び抜けている」という証拠か。野口「栗田さんすごくお上手なんですけど、どうしても細川たかしのイメージが、聴いている方の偏見としてあるんですね。岩本さんは、やはり布施さんのイメージが、あるんですよ。布施さんのレコードはもう何回も聞いていますけど、同じといっていいほど、同じなんですよね」。このコメントで勝負あったかな。
★栗田貫一・96点、岩本恭生・100点。歌い終わったあと司会に口々に「(どちらかが負けるので)勿体無い」と言われた対決は、岩本の勝利で幕を閉じた。これぞまさしく「飛ぶ鳥」を落とす勢い。栗貫、涙の初勝利までは、あと一年。

 

準決勝 第1組目

ビジーフォー

清水アキラ

ビージーズジョン・トラボルタのまねで 春日八郎のまねで
スティン・アライブ お富さん
●「原始人」だの「ランディ・バース」だの「黒船のペリー」だの「ガリバー」だの言われたグッチ裕三は一人ビージーズ。70年代のディスコサウンドを歌わせたらグッチの右に出るものはいない。「田村正和」と言われたモト冬樹はジョン・トラボルタ。往年の青春映画『サタデーナイトフィーバー』を再現。「ハッハッハッハッスティンアライブ!」にトラボルタダンス。投書欄に「ネタが古い」と言われてもいいじゃないか。これがビジーフォーの世界なのだ。
●「自分で鏡を見ながらやってて大笑いした」という清水アキラの究極テープ芸、春日八郎。つごう7本のセロテープ(目尻、鼻、ほっぺた2本ずつ)を駆使して、清水本人の顔からは程遠い春日の顔を作り上げた。「わたしも色々とテープを貼っているうちに春日さんになってしまった」のだそう。ビジーフォーで盛り上がった会場を再び爆発させることに成功する。村野「ちょっと止めてほしい、っていうくらい(大笑いした)。もうこうなると歌はいらないね」と最高の褒め言葉。しかし、淡谷先生はただ一人、ムスッと一言「似てませんね」。
★ビジーフォー・99点、清水アキラ・99点。淡谷先生が「8点」でなかったことに救われた清水、「あの淡谷先生の口ぶりから、もう8点は間違いないなと思いました」と言った途端、淡谷さんの顔が閻魔顔から恵比須顔へ。いよいよジャンケン対決。ビジーフォーはどっちがジャンケンに出るか?の問いに「じゃあ2人で」とボケる。「ダメダメ!」と口々にツッコまれるなか、田代「じゃあ清水くんの方、栗貫入れる?」とナイスフォロー。これには所も「上手い!」。勝ったほうが決勝進出、1回あいこを挟んでのジャンケンを制したのはビジーフォーだった。セロテープを貼っているため終始顔が変わらなかった清水(どんな状況でもヘラヘラ顔)、最後はさすがに悔しそうな表情が読み取れた。

準決勝 第2組目

松本明子

コロッケ

岩崎宏美のまねで フランク永井のまねで
万華鏡 君恋し
●相手がコロッケ!ということで得意中の得意、岩崎宏美で勝負。実は前回(『第7回爆笑スター〜』)の準決勝でもコロッケに岩崎宏美で勝利している。同じ敵相手に同じネタで2回連続勝てるかどうか。しかし歌い出しから本当に似ている。岩崎宏美のものまねって難しいと思うのだが(顔真似はともかくとして)。このレベルまで到達できたのは、後にも先にも松本明子だけだろう(あ、森昌子がいたか)。
●準決勝「松本の岩崎」相手に、再び「新ネタ」でリベンジ。前回は「宮路オサム」だったが、今回は「フランク永井」。随所に顔を「ブチュッ」とつぶして笑いを取るが(だからコロッケの出し物は最後まで目が離せない。「間」で何をしでかすか分からないから)、とうとう淡谷先生のお説教魂に火をつけてしまった。「あのね、いつも思うんだけどね、なんで歌の途中にあんなフザケルの。ねえ。そうしないで、マジメに真似してちょうだい。(中略)ただフザケてたらねえ、どこまでも登ってしまうもんね。勉強しなくなるでしょ。アナタはフザケ散らすでしょ。これ憎まれ口じゃないのよ。本当のこと。勉強しなさい!」、これをあの声を思い出して読んだだけで、淡谷先生のお姿が甦るというのは、実に凄いことだ。最後にボソッとコロッケ「でもふざけないと、ボク何も無くなっちゃう・・・」。
★松本明子・99点、コロッケ・97点。準決勝、前回とおんなじ構図で負けてしまったコロッケ。しかもその相手のネタが、コロッケの出世作でもある「岩崎宏美」(しかも声帯模写)とは、何だか因縁めいたものを感じる。松本、コロッケに3連勝。そして3連続の決勝進出。

準決勝 第3組目

松居直美

岩本恭生

レベッカのまねで 谷村新司のまねで
フレンズ
●松居直美は「レベッカのノッポさん、ンホッンホッ」と「ゴン太くん」のものまねをしてしまう(まあいいじゃないか)。レベッカの「ノッコ」を初披露。初期のレベッカには近いかなあ。うーん、とにかく似てるのか似てないのか微妙なライン。
●岩本の新ネタは谷村新司。清水アキラのテープ芸とは一味も二味も違う雰囲気で『昴』を。これまでは谷村の太い声を大袈裟に表現するものが主流だったが、あえて抑え気味の谷村を演じようとしたところを評価したい。
★松居直美・95点、岩本恭生・99点。岩本、初出場&初優勝から一年ぶりの決勝進出を果たす。

 

決勝

ビジーフォー

松本明子 岩本恭生
長渕剛のまねで 八神純子のまねで 沢田研二のまねで
乾杯 水色の雨 ス・ト・リ・ッ・パ・ー
●歴史に残る名勝負・決勝戦の幕開け。一年半ぶりに決勝まで進んだビジーフォーは、冬樹の長渕剛。『王座』では定期的に長渕を披露する冬樹、安心して聴くことが出来る熟練の芸である。しかしその「安心」を打ち破るのがグッチの特殊効果。結婚式で『乾杯』を聞く新郎をリアルに演じ(グッチは実生活でも2度結婚式を挙げている)、会場の涙を、いや笑いを誘っていた。明らかに歌をジャマしていて笑えた。
●最近向かうところ敵無しの松本明子は八神純子。松本の澄んだ声が見事、そして伴奏のアレンジも素晴らしい(ものまねとは直接関係ないが)。いい歌なんだこれが。一日中、心底嬉しそうに審査している野口五郎もまた好印象。
●ディフェンディング・チャンピオン(あくまでも『オールスター〜』の)、岩本恭生は初心に戻ってジュリーを。決勝戦に持ってくるのにふさわしい選曲。持ちうる力を全て出し切っての迫力ある歌で会場を圧倒していた。まさに「誰が勝ってもおかしくない戦い」とはこのこと。ここまで三者が白熱した決勝は珍しい。

★ビジーフォー・97点、松本明子・98点、岩本恭生・92点。フィンガー5から始まり、非常に揺れ幅の大きいレパートリーを4つ出してきた松本が優勝。1年も経たない間に2度の優勝を果たすとは大したものである。そして何より、優勝が決まった瞬間に松本を心から祝福する仲間の顔がよかった。ダチョウの竜ちゃんも、笑瓶も末吉も、そして四天王も、戦いが終わった瞬間に素顔に戻る。松本の綺麗な涙、そして女四天王のもらい泣き。健闘を讃えあう仲間って、素敵やん(紳助風)。


≪熱演賞≫ ピンクの電話 笑福亭笑瓶 城之内早苗 斉藤ルミ子

≪努力賞≫ やや 森口博子

≪敢闘賞≫ 清水アキラ 松居直美