第23回 オールスターものまね王座決定戦スペシャル
 
1991年10月1日放送

【司会】  研ナオコ 榊原郁恵 清水国明

【審査員】

近藤真彦 鈴木邦彦 生田悦子 淡谷のり子 青江三奈
浅田美代子 美川憲一 峰岸徹 針すなお 保沢紀&神山三岬

1回戦・Aブロック 第1組目

ジミー大西

しじみとさざえ

沢田研二のまねで じゅんとネネのまねで
6番目のユ・ウ・ウ・ツ 愛するってこわい
●「やってるやってる〜」「オマエもがんばれよ」のギャグが今聞くと懐かしい、ジミー大西が初登場。ものまねに期待されない芸人は、いつも登竜門のようにジュリーをやらされる。『ものまね王座』の晩年に出ていた「つぶやきシロー」もそうだった。ジュリーの歌は、訳も分からず盛り上がるには打ってつけということか。
●優勝経験者・篠塚満由美と、準優勝経験者・松下桂子が組んだユニット、しじみとさざえも初登場(ちなみに名付け親はコロッケ)。どうやら懐かし女性デュオ路線で行くようだ。
★ジミー大西・86点、しじみとさざえ・93点。点数が出ただけで「やったー」と喜ぶジミーちゃんが愛しい。恐る恐る、プロデューサーを意識しながら歌ったんだろうなあ。

1回戦・Aブロック 第2組目

ケントフリック

コロッケ

オーティス・レディングのまねで 飛鳥涼、武田鉄矢のまねで
ザ・ドック・オブ・ザ・ベイ SAY YES
●「Do You Love Me?」を連発するケント。オーティス・レディングってそればかり言う人なの?よく分からないんですけど。イントロでカモメや汽笛といった「港」の音を加え(得意の効果音ものまね)、臨場感を演出。
●今回の目玉のひとつ、『101回目のプロポーズ』ネタ。大ヒットした主題歌、『SAY YES』をコロッケ流に。コロッケが飛鳥をやるとこうなるのだとばかりに、合間合間に鼻声で「ンワッ!」が入る(雰囲気伝わるか?)。サビ前に「ボクは死にましぇ〜ん」の武田鉄矢を挟み、最後はポケットから千円札を取り出し「センイェ〜ン」でオチ。1回戦から趣向を凝らした出し物で飛ばしまくる。
★ケントフリック・91点、コロッケ・98点。

1回戦・Aブロック 第3組目

斉藤ルミ子

たけし軍団

イルカのまねで 西城秀樹のまねで
なごり雪 走れ正直者
●郁恵に「どなたを?」と聞かれ、珍しく「かまやつひろし」とボケた斉藤ルミ子。研「どっちかなあ?とは思ったんだけど」。あのフォークの名曲を真正面から歌い上げる。
●今回は残念ながら(オレだけ?)松尾伴内は欠席。井手、大森、ラッシャーの3人で登場したたけし軍団は、ちびまる子ちゃん(ラッシャー)、丸尾くん(大森)、おじいちゃん(井手)の格好で、井手が西城秀樹の主題歌を歌う。前回同様、ヒデキの歌声は完璧だ。しかし、今回は子供なみのシモな替え歌で歌ったため(ピンクの電話とは違った「大人のかぶりもの芸」である)、審査員の得点は必然的に下がってしまうことが予想される。
★斉藤ルミ子・94点、たけし軍団・93点。そりゃあんな歌うたったら淡谷先生は8点だわな。

1回戦・Aブロック 第4組目

岩本恭生

木村優希

エルビス・プレスリーのまねで 八代亜紀のまねで
この胸のときめきを なみだ恋
●『第8回』と同じ対戦。ガンちゃんは、いつかはやると思っていたプレスリー。気合十分歌い上げる。しかしグッチ裕三、ぼんちおさむ、岩本恭生と色んなプレスリーを見てきたが、あまり本物のプレスリーは見たことがない。若い世代のものまねファンには、そういう人が結構多いのではないだろうか。
●未だ1回戦を勝ち抜けられない木村優希。今まではベタな演歌を熱唱してきたが、今回は八代亜紀の『なみだ恋』と、ものまね番組にしてはレアな選曲(八代の歌は大体『舟歌』か『雨の慕情』に落ち着きがち)。ラ行の発音をデフォルメするありがちな八代亜紀ではなく、真面目に歌い方を捉えている感じで、新鮮に聞くことが出来た。
★岩本恭生・96点、木村優希・91点。1年前から4度にわたって出場してきた木村優希、結局一度も勝つことなく、番組を卒業となってしまった。

 

1回戦・Bブロック 第1組目

栗田貫一

CoCo

久保田利伸のまねで 鉄骨娘のまねで
流星のサドル 鉄骨娘
●車を盗まれたという栗田貫一は、新ネタ・久保田利伸。まあ栗貫といえば栗貫の声なのだが、あまりそれが気にならない程度まで似せていたと思う。特に語尾の伸ばし方が久保田の歌い方をよく捉えていた。前回の山下達郎もそうだったが、栗貫はワンフレーズの「出だし」と「語尾」にとても気を遣っているようだ。途中、マイクに特殊な音響がかかり、コンサートらしい雰囲気が出ていたのだがが、何故かまた途中で普通に戻ってしまう。音声さんの不具合だったのだろうか?
●まだ5人組のCoCoは、鷲尾いさ子演じるCMキャラクターの鉄骨娘を(そういえば『鉄骨飲料』って今でも売っているのだろうか?『ファイブミニ』はたまに見かけるが)。どうやら歌は事前収録で、本番は踊りのみのようだ。踊りのテンポも速い速い。もっとゆっくりでも誰も怒らんよ。しかし彼女らは本当にこれがやりたかったのだろうか?どうしても「やらされている感」が拭えず、何ともイタイタしかったのだが。研「なんだかステージとステージの間の息抜きの時間みたい(笑)」
★栗田貫一・96点、CoCo・90点。郁恵「(CoCoに対して)すごいですよ!ジミー大西さんより点数上ですもん」。栗貫、今回はめずらしく「トーナメントの穴」を引き当てたか?

1回戦・Bブロック 第2組目

松村邦洋

ピンクの電話

いろいろな人のまねで キリンのまねで
贈る言葉 横須賀ストーリー
●2回目の登場、松村邦洋。今回は自身も大ファンである『金八先生』より、武田鉄矢(金八先生)、近藤真彦、田原俊彦、直江喜一(加藤優)の4人をメドレーで。しかし歌が始まる前に、「今日はマッチが(審査員に)来ていますから、こらぁ清ぃ〜、しっかりやれこらぁ〜」と延々ネタをやり尽くしてしまう。彼はいつもこのパターンで自滅するのだ。この癖のために、以後10年間苦しむことになる(笑)。学習すりゃいいのに。ネタの方は、マッチ、トシとも意外に上手く、加藤優の「オレは腐ったミカンじゃねえんだ」もウケるのに、肝心の武田鉄矢が似て無さすぎ。素人のやる金八先生みたいになってしまったのが残念。
●だんだん大掛かりになってきたピンクの電話のかぶりもの。今回は歌うと首が伸びるのだ。キリンで『横須賀ストーリー』ということは、予想通り「これキリン、これキリン、これキリンですか〜」の替え歌。
★松村邦洋・87点、ピンクの電話・93点。清水「松村は、もし勝ってたら次は何をやる予定だったの?」、松村「次はとんねるずで『情けねえ』。(どんな感じ?と聞かれて)ちっぽけな、しあわせに〜」、一同「似てるよ〜?何でそれやらなかったの?」。松村、調子に乗って「林家こぶ平」「高田純次」と次々にネタを披露し、口々に上手いと言われる。最後に「音楽流れないとウケますね」の言葉を残し、去っていった。(余談だが、松村の高田純次にウケる観客の中に、今を時めくノブフキの「フッキー」の姿を発見した)

1回戦・Bブロック 第3組目

笑福亭笑瓶

CCガールズ

アーノルド・シュワルツネッガーのまねで ゴールデン・ハーフのまねで
魔人Vが行く 黄色いサクランボ
●「よしこちゃん」に続く新たなヒット作を模索中の笑瓶は、映画『ターミネーター2』の話題性に便乗してシュワちゃん。特注のかぶりもので、うーん、何と言ったらいいやら・・。感想を求められた鈴木先生も「よかったですけど・・・でもやっぱり、よしこちゃんをやってくれないと・・・」と、コメントに困ったら「よしこちゃん」に逃げるという雰囲気が、笑瓶の場合出来上がってしまったようだ。
●初登場のCCガールズ。この番組に今までなかった「お色気路線」を投入する木村Pの作戦。この路線は、審査員席に野口五郎や峰岸徹がいると威力を発揮する。お父さん代表の彼らのスケベな顔を映すことで、テレビの前の青少年以上の男性が安心して画面に釘付けになれるのだ。何を言っているのだ俺は。さて、懐かしのゴールデンハーフ。清水も「思い出したなあ。おったやんか、あの、エバとか。それから・・・エバとかなあ(笑)」。
★笑福亭笑瓶・91点、CCガールズ・92点。思いの外、激戦になってしまった。CCの辛勝。

1回戦・Bブロック 第4組目

しのざき美知

松本明子

浅野温子のまねで 河合奈保子のまねで
オバケのQ太郎 スマイル・フォー・ミー
●しのざきは木村Pのお気に入りネタ、浅野温子で『オバケのQ太郎』。「キュゥ、キュゥ、キュゥ」の仕草が、何故か似ているんだ、これが。単なるお笑い系、見せ物系の出し物かと思いきや、浅野温子のコミカルな縁起の特徴を捉えた、ハイセンスなものまねだったのではないか、と書いたらホメ過ぎ?最後は「星野さん、ありがと」とボルトを指にはめて締めくくり。あ、ドラマネタね。
●女四天王・松本明子は、80年代中頃のものまね番組ではみんなが挙ってやっていた河合奈保子を。松本本来の声をなんとか抑えて歌っていた努力が感じられた。番宣のダイジェストでは、この歌のサビがトップに来ていたことから、スタッフ受けも良かったのかも。
★しのざき美知・89点、松本明子・97点。

 

1回戦・Cブロック 第1組目

桑野信義

清水アキラ

河内屋菊水丸のまねで 田端義夫のまねで
カーキン音頭 島育ち
●毎回アガリまくってしまう桑野信義は、この当時流行っていた菊水丸。しかし、出だしから思いっきり歌詞が吹っ飛んでしまう。「朝ぁ〜〜〜〜〜」て、2文字しか覚えてなかったのか?歌い終わって居心地悪そうな桑野。「何で俺って本番に生きないのかなぁ」と一人反省会。淡谷先生も「桑野さん、どうして忘れちゃったの?アガったの?」と同情、さらに「あんまり面白くなかったわよ」と追い討ち。
●対する清水は新ネタの田端義夫。相手が桑野だけに、若干軽めにきたかなという感じ。淡谷「清水さんは今日はマジメにやったから、歌はあんまり似てませんでしたけど、いい点数あげますよ」。おいおい、それって本末転倒じゃねえのか?
★桑野信義・88点、清水アキラ・99点。しかし、次回桑野が久々に大ブレイク。今回はその嵐の前の静けさだったのかも知れない。

1回戦・Cブロック 第2組目

ビジーフォー

原田ゆかり

ライチャス・ブラザーズのまねで 八代亜紀のまねで
アンチェンド・メロディ 雨の慕情
●ビジーフォーが登場した途端、研が「また卑怯な外人を!」と鋭いツッコミ。今回は映画『ゴースト』の世界を、グッチ裕三風に。もうあの声で伸び伸びと歌われたら10点を出さざるを得ない。おまけとして、今回はモト冬樹と紅一点のダンス付き。これがグッチの歌唱力との「いいアンバランスさ」を保っているのだ。
●対する原田ゆかりは、前回好評だった八代亜紀に再挑戦。凄みのあるコブシといい、笑いながら歌っていそうな不気味な雰囲気といい、さらにレベルの高い八代に昇華させていた。鈴木先生も「ある日横綱を負かしてしまった、というようないい内容の勝負をしたと思いますよ」と。
★ビジーフォー・100点、原田ゆかり・97点。今回の1回戦、屈指の名勝負となった。全体的に辛めな採点が続くなか、初の満点はビジーフォー。十分すぎる貫禄で2回戦進出、四天王対決が待っている。

1回戦・Cブロック 第3組目

松居直美

わたる哲兵

マリリン・モンローのまねで 近藤真彦のまねで
お熱いのがお好き 愚か者
●ジャネット・ジャクソン、マドンナに続く洋物路線の第3弾はマリリン・モンロー。しかし松居直美がやるとあんまり色気が感じられず(笑)、また逆にそこが良かったりする。声と声の間から、歩き方、スカートの抑え方に至るまで、よく研究してきたことが窺えた。
●隠れた実力者のわたる哲兵だが、この番組では評価が芳しくない(この辺の雰囲気としては、以前出ていた「パル」に似ている)。初のブレイクを期待して、ご本人の前で『愚か者』に挑戦。他の人がやるオーバーなマッチではなく、真面目に忠実に真似してくれたということで、審査員長も大満足の様子だった。
★松居直美・99点、わたる哲兵・96点。わたる、まだまだ辛抱の時は続く。

1回戦・Cブロック 第4組目

鶴岡優紀子

ダチョウ倶楽部

薬師丸ひろ子のまねで 名古屋章、小林旭、若人あきらのまねで
セーラー服と機関銃 伊勢佐木町ブルース
●出場者としては初めての鶴岡優紀子。この頃ゴールデンでやっていた『ものまね珍坊』にレギュラー出演していた「マネドル」らしいが、筆者にはよく分からない。さて、初の出し物はメークが恐い薬師丸ひろ子。正統派なら正統派、恐がらせるなら思い切り派手にやらないと、いまいち爆発力に欠けてしまうことは、過去のこの番組が証明している。そういう意味で、やや中途半端だったかな、と。
●肥後のヒット作、名古屋章が初披露。「なななななんだオイ、まままた2階かオイ」のフレーズは最高。ジモンは「ものまね大魔王」の若人あきらを(この頃テトラポットに落ちて話題だったからね)、上島は小林旭をそれぞれ担当し、「アキラーズ」を名乗る。十分営業に廻れるほどの完成度だったのではないか。特に上島が小林旭をちゃんと歌真似できていたのはエラかった。
★鶴岡優紀子・92点、ダチョウ倶楽部・96点。針すなおは両方に「10点」だった。

 

準々決勝・Aブロック 第1組目

しじみとさざえ

コロッケ

ザ・ピーナッツのまねで 中森明菜、丹波哲郎、田村正和のまねで
情熱の花 タンゴ・ノアール
●ザ・ピーナッツの雰囲気そのままに登場。しじみとさざえの代表作が、ここに誕生した。後にこの王座で何度も歌うことになる。特に篠塚の顔がそっくり(美川・談)。選曲が良かったのか、歌い出しの「ララララ〜」で会場を一気に自分たちのものにしていた。
●しじみとさざえの名付け親・コロッケは、初めての中森明菜。歌の途中「命を燃やして、踊ればタンバ〜タンバ〜」で丹波哲郎「わしゃ千葉真一とまだ仕事がしたいと思っておる」と、どこから拾ってきたのか分からないフレーズを。続いて田村正和も「タムラ〜タムラ〜」で「鼻が詰まっていても国際電話はかけられます」。コロッケの今日のネタは構成がきちんとしており、よく練られている。
★しじみとさざえ・100点、コロッケ・99点。しじみとさざえの「100点」が出た途端、「ワタシ、もう失礼します」と半べそで後ろに下がるコロッケ。針すなおの「9点」が光った瞬間、崩れ落ちた。針「誰かが鬼にならないとしょうがないんだから。ジャンケンというのも可哀想だし・・・」と。「くちづけられ針すなあぁぁぁ〜」と中森明菜をやりながら、コロッケは姿を消していった。

準々決勝・Aブロック 第2組目

斉藤ルミ子

岩本恭生

レベッカのまねで 西城秀樹のまねで
ラズベリー・ドリーム 走れ正直者
●斉藤ルミ子は、初のレベッカ。斉藤ルミ子のレパートリーで、松田聖子やあべ静江に負けるとも劣らないのが「ノッコ」であることを知っているあなたは相当なものまね通。3年後の『第26回』ではソロの『人魚』を完璧なまでに真似し、100点満点を獲得することになる。今日は昔の元気が良いレベッカ。ハイテンポで踊り、息切れ切れで声を上ずらせながら歌うところなんてそっくりである。
●岩本恭生はおなじみ西城秀樹。何が「おなじみ」かって、似ているのか似ていないのか微妙なラインを漂い、聴く人を最後まで惹きつけることでおなじみなのだ。まあ今回は耳慣れた歌でもあり、いつもよりは分かりやすく聴けたのではないか。
★斉藤ルミ子・97点、岩本恭生・98点。斉藤、毎度のことながら、あと一歩のところで2回戦を突破できない。

準々決勝・Bブロック 第1組目

栗田貫一

ピンクの電話

細川たかしのまねで 山口智子田中美奈子のまねで
応援歌、行きます とどかぬ想い
●ここのところ常に2回戦止まりだった栗田貫一、相手はピンクの電話で今日はチャンス!当時CMで誰もが知っていた細川たかしのノリのよい曲を(生ビールが〜あるじゃないか〜、ってヤツ)、お得意のコブシで聞かせる。栗貫の細川たかしは、王座では『第5回爆笑スター』で出した『大都会』以来。郷ひろみにしろ細川たかしにしろ、十八番の歌真似は新曲が出ない限りなかなか最近の王座ではやりにくいのだろう。
●意表をついた出し物で勝負するピンクの電話は、ドラマ『もう誰も愛さない』の山口智子と田中美奈子を。厚化粧ではあるが普通の衣装(しかし裏でスタッフに「変わったヌイグルミだねえ」と言われたらしい)。吉田栄作が演じていた「卓也」の名を叫びつつ、最後は「藤岡琢也」になっている、という変化球(というかビーンボール)。会場が引きまくっての終了で、清水美子「努力は分かって。」、竹内都子「やっぱりぬいぐるみ着ればよかった」。研も「そうだよねえ、ハマるかスベるか、どっちかだもんねえ」と同情。
★栗田貫一・97点、ピンクの電話・86点。栗貫、何と1987年の『第2回爆笑スター』以来の準決勝進出。その間、11戦全て2回戦以下で終わっていたことになる。「冬の時代」をようやく抜け出し、満を持しての準決勝進出ではあるのだが・・・。4年間待ちに待って、勝った相手が「1回戦・鉄骨娘」と「2回戦・藤岡琢也」では、本人も少し肩透かしを感じたかもしれない。

準々決勝・Bブロック 第2組目

CCガールズ

松本明子

ピンクレディのまねで 渡辺美里のまねで
ウォンテッド マイ・レボリューション
●CCガールズは、ものまね史上初の試み、Wピンクレディ。白と黒のペア2組で、『ウォンテッド』を熱唱。確かに人数は2倍、迫力も2倍なのだが、似ているかといわれれば逆に2分の1?そりゃそうだ、4人で歌を合わせたら、デュオの歌声からは遠ざかってしまうのだから。まあジャンルは「見せ物」だから、あまり歌真似にはこだわってないのかもしれない。最後、激しいダンスでカツラが吹っ飛んでしまい、そのカツラを踏んで滑ってしまったのはご愛嬌。
●松本明子の2回戦は、渡辺美里。いいターゲットを見つけてきた。無理して声を作っているわけではなく、ただ普通に歌っているのに、渡辺美里以外の声を連想できない。ん?松本明子の声か?と思って聞いていると、いやいやこれが渡辺美里の声だよな、と思い直してしまう。何と言うか、技あり。
★CCガールズ・92点、松本明子・98点。

準々決勝・Cブロック 第1組目

清水アキラ

ビジーフォー

井上陽水のまねで スリー・ディグリーズのまねで
最後のニュース 天使のささやき
●2回戦には勿体無い対戦。清水アキラ、3度目の井上陽水は『最後のニュース』を彼なりにニュースを作って演じるという試み。歌詞を全文掲載しておこう。「高齢社会になってきてお年寄りが多くなってきてあと20年もすると青年男子1人が3人のお年寄りの面倒を見る計算になるの〜。お年寄りの中でも40%以上の人がみーんなイボ痔にキレ痔にサケ痔にお金の形をした痔のことを銭型ヘイ痔〜。ズルッとハゲた痔のことをモト冬痔、一番汚い痔のことをグッ痔、車を盗まれていた栗田カンイ痔〜」。これをスラスラと澱みなく言えたのだから、相当な練習をしたのだろう。ちなみに、1回分の歌詞の中に「痔」という言葉は10回も出てくるからもし10回練習すれば100回「痔」を言った計算になるの〜。
●3人とも真っ青な衣装で黒人女性を演じる不気味なビジーフォー。他の追随を許さない美しいハーモニーはいつものことだが、目をひんむいた冬樹とグッチの表情はいつも以上の恐さ。特に、グッチの顔はどう見ても『桃鉄』のキングボンビーだぞ。
★清水アキラ・97点、ビジーフォー・99点。淡谷先生はともに10点。清水アキラに「綺麗でしたね、とても。いつもそうやってればいいのよ」と評価していた淡谷さん、きっと早口についていけず「痔」という単語が耳に入らなかったのだろう。しかし結果は惜敗。「心からお祝いしたい」と語った清水はすかさずグッチにビンタ。清水アキラはビジーフォーに5連敗中である。

準々決勝・Cブロック 第2組目

松居直美

ダチョウ倶楽部

坂本冬美のまねで デーモン小暮ビギン(Vo)ドリカム(B)
のまねで
祝い酒 魔法使いサリー
●松居直美が坂本冬美に初挑戦。キンキン響く高音のコブシがそっくり。4年後の『第17回爆笑スター』で披露する『夜桜お七』は、後に松居の代表作となる。まさにこの時期、坂本冬美のヒット待ちといった状態か。声は似ているのに、いまいち元の曲がマイナーなため記憶に残りにくい典型例だと思う。
●ものまねの定番・デーモン小暮の格好で出てきたジモンと、黒いマントを頭からかぶった隠しネタの2人。しかし研ナオコが肥後のマントにマイクを向けると「ななななんだオイ?」と。すかさず「ダメ!」と肥後をかばったジモンに大爆笑。出し物のほうは、上島が「ビギンのボーカル」、肥後が「ドリカムのベース」で登場(地の顔がそっくりなだけだが)、さらに上島の体を張ったギャグもあったのだが・・・ここでは表現しづらいので割愛。
★松居直美・98点、ダチョウ倶楽部・89点。しかし松居も松本も次々と新ネタを発掘していくなあ。この頃の彼女たち(女四天王)の勢いは本当にスゴイと、改めて思ってしまう。

 

準決勝 第1組目

しじみとさざえ

岩本恭生

リンリンランランのまねで 和田アキ子のまねで
恋のインディアン人形 あの鐘を鳴らすのはあなた
●ピーナッツに続く双子ネタはリンリンランラン。結成してから初舞台とは思えないほど、2人の息がピッタリ。少しはにかみながら振付けを踊るところが、本人たちにそっくり(実はあんまり知らないのだが)。さすが、ポップコーンとは全然違う(『第3回爆笑スター』参照)。
●岩本恭生は得意の和田アキ子。満を持して、彼女の名曲中の名曲を熱唱。似ているし、歌も上手いし、曲もいい。申し分ない出し物ではあったのだが・・・。峰岸徹の評「ものすごい緊張感を感じましたね。そういう意味で準決勝にふさわしい、決勝にしても惜しくない、素晴らしい戦いでした」。んん?準決勝にふさわしいの?決勝にふさわしいの?
★しじみとさざえ・100点、岩本恭生・98点。やはり、最近のものまね王座では、「一ひねり」が無いと物足りないのだろう。ましてや、対戦相手は「新ユニットにして新ネタ」である。何度も書くが、「新鮮さ」に「熱唱」だけで勝つのは難しいのである。

準決勝 第2組目

栗田貫一

松本明子

チャゲ&飛鳥のまねで 中原理恵のまねで
SAY YES 東京ららばい
●4年振りの準決勝!自分以外の四天王が活躍する準決勝の舞台を、毎回後ろのトーナメント席に座って観戦していた栗貫。今日はいろいろ『101回目のプロポーズ』系のネタが出てきたが、極め付け、栗貫の『SAY YES』が登場。誰もが期待していた栗貫のチャゲアス、勝負ネタを準決勝で披露できるとは運が良い。これまでは飛鳥のみを真似していたが、ものまね史上初、事前収録の声と合わせて「一人デュエット」をやってのけた。栗貫らしいアイデアともいえる。もう少しチャゲパートの音声が小さいと、よりマッチしていたとは思う。
●いつも懐かしくシブいところを1ネタは持ってくる松本、今回は中原理恵に挑戦。鈴木先生によると、「毎回新しいものにチャレンジしてとってもいいんだけど、ちょっと中原理恵さんにしては幼いかな、という気がしました」。
★栗田貫一・100点、松本明子・94点。栗貫が決勝に進むのは、コロッケが初優勝した『第2回爆笑スター』で決勝進出して以来の「2回目」。いかに、勝負運に泣かされてきたかが、この数字から分かる。

準決勝 第3組目

ビジーフォー

松居直美

堀江淳のまねで 山本リンダのまねで
メモリーグラス じんじんさせて
●一度は冬樹が真似するだろうと思った堀江淳。一発屋として知られる(?)堀江の大ヒット曲を、グッチの特殊効果(バーテンダー)と一緒に。途中、若干音程が崩れるが、まあ大袈裟に真似したと取れなくもない。美川「もう少し(本人の方が)線が細いかな」。確かに、声が強すぎた感は残る。
●松居直美は初めての山本リンダ。山本リンダといえば、司会の研ナオコは大先輩である(研は『第14回オールスター』で伝説の『どうにもとまらない』を披露し見事に優勝した)。周りに乗せられて、研も一節踊ってしまう(うわさを〜しんじちゃ〜)。普通は『どうにもとまらない』か『狙いうち』にいきがちであるが、『じんじんさせて』という珍しい選曲。ということはゴマカシがきかないのだ(聴くほうには先入観が無いからね)。生田悦子が嬉しそうに見守る。仲いいからね。美川「もう少し(本人の方が)いやらしい」。
★ビジーフォー・95点、松居直美・96点。

 

決勝

しじみとさざえ

栗田貫一 松居直美
シュガーのまねで 桑田佳祐のまねで 石川さゆりのまねで
ウェディング・ベル 愛の讃歌 天城越え
●決勝は3組とも真正面から正統派で勝負。(ユニットとしては)初出場で決勝進出のしじみとさざえ。決勝は、松下桂子メインのシュガー。松下といえばどうしても小泉今日子のイメージが残ってしまうが、それが少しネックか。とはいえ、今日の一貫したコンセプトに見合った、決勝らしい出し物だった。自分たちのカラーが今日で確立したのではないだろうか。
●清水「栗田くんは、これで何回目の優勝になるんですか?」栗田「いや、まだ優勝したことが無いので・・」一同「え?無いの?」。そっか、今日ジャンケンしてないもんね、と妙に納得される。この時点で、初優勝へのお膳立ては整ったのではないか。あとは、栗貫らしい出し物を出せば、何をやっても勝てるだろう。まさにその打ってつけのネタが桑田佳祐。この時期、生命保険か何かのCMで桑田が歌っていた『愛の讃歌』に挑戦。サザンファンでもある栗田にとって、初優勝を桑田のものまねで飾れることは本望であっただろう。
●冬樹に「負けても何でも、とにかくいいものを出してこいよ」とハゲまされたという松居。決勝も新ネタ、石川さゆりの『天城越え』を初熱唱(郁恵は「十八番ですね」と言ってたが、筆者はこれまで松居直美の石川さゆりは聞いたことがない)。完成度は抜群。顔の表情から声、コブシまで見事に作り上げていたと思う。余談だが、この放送の終了後、「松居のほうが上手かった」という電話が何本か局に寄せられたそうだ。

★しじみとさざえ・91点、栗田貫一・99点、松居直美・96点。とうとう、勝利の女神は「無冠の帝王」に微笑んだ。松居の得点板に「9点」が4つ付いた瞬間、清水アキラ、コロッケ、グッチ、冬樹の4人がすかさず栗田を胴上げ!本人よりも、もっともっと嬉しそうなのが彼らだった。ものまねの創世記から、共に走ってきた仲間達である。「四天王」という名前があるなかで、何故かいつも「優勝」からは一人遠かった栗田。クジ運も悪かった。ジャンケンに何度も負けた。ここ一番でネタの選択を誤ったこともあった。そこで今日はチャンスとばかり、みんなが栗田を応援し、ようやく願いが叶ったのだ。これで四天王の全員がチャンピオンに輝いたのだ。栗田「今までずっと、失敗ばかりしちゃいましたから、今日優勝いただいたんで、また明日から、失敗していこうと思っています。ありがとうございました」と、目に涙を浮かべながら語った。清水「栗ちゃんはねえ、ずっとずっとチャンピオンになりたいって言ってたもんだから・・優勝できて本当に嬉しいですよ」。コロッケ「僕が初めて優勝したとき、栗と決勝で戦って、それ以来なかなか栗も決勝まで遠くて・・、お前ジャンケン弱いからなあ(涙声で)。今日は栗にとって最高の一日になっただろうし、本当に、おめでとう」。グッチ「もう何も言うことはないですよ。栗ちゃんは力もあるしね。だけど・・ジャンケンで負けたときは相当悔しかっただろうし・・今日は格別、嬉しいよな」。冬樹「今まで巡り合せで優勝出来なかったことが多いからね。チャンピオン大会で優勝してきて、これで優勝してないってのは、ヘンだからね。これで、本当良かったなあと思います」。仲間と支えあって、一時代を築いてきたものまね四天王。これで、名実ともに四天「王」となったのだ。
今回の決勝は、栗田はドキュメントで勝ったようなところがある。やはり「優勝未経験」というのは、この番組では大きな勝因となりうるのだ。しかし、次々回の『第11回爆笑スター』で栗田は、4回戦の合計「398点」とものまね史上最多得点を獲得、他を寄せ付けない文句無しのブッチギリ優勝を果たすことになる。


≪熱演賞≫ ジミー大西 たけし軍団 原田ゆかり わたる哲兵

≪努力賞≫ ピンクの電話 桑野信義

≪敢闘賞≫ 斉藤ルミ子 CCガールズ