第3回 爆笑!スターものまね王座決定戦  1987年10月20日放送

(全曲、所さんのイントロ紹介を書きました。あの声を思い出して読んでみてください)

【司会】  所ジョージ 榊原郁恵

【審査員】

藤村俊二 鈴木邦彦 清水国明&保沢紀 生田悦子 小森和子
ピーコ&サンコン 高樹沙耶 鈴木ヒロミツ 柏原芳恵 針すなお

1回戦・Aブロック 第1組目

ポップコーン

清水アキラ

リンリンランランのまねで 村田英雄のまねで
恋のインディアン人形 花と竜
●所「第1回戦Aブロック、トップバッターのポップコーン。昔懐かしいリンリンランランのものまねですが、まったく似てな〜い(笑)」。所さんのいう通り、全く似てない(笑)。似ているのは「双子である」という事実のみ。木村プロデューサーの「おい、お前ら双子なんだからリンリンランランやれよ!」という声が聞こえてきそうだ。
●所「毎回優勝候補に挙げられているベテラン・清水アキラくん。もうマジです。完璧に優勝と100万円を狙っているみたいで力が入っております。なんと第1回戦から勝負ネタ、村田英雄先生を見せてくれます」。前回は演歌歌手相手に1回戦で玉砕した清水アキラ。今日は天敵・淡谷先生がいないのでチャンス!1回戦は出世作でもある村田英雄を、割とマジメに熱唱。しかし曲の最後にはおなじみ「口鼓」が2回ほど登場。後に、村田先生ご本人と、この歌でデュエットを果たすことになる。
ポップコーン・84点、清水アキラ・96点。今日は神妙な顔つきの清水アキラ、順調な滑り出し。

1回戦・Aブロック 第2組目

しのざき美知

鈴木末吉

黒木香のまねで オスマン・サンコンのまねで
魅せられて 狼少年ケン
●所「お笑い界期待の女性大型新人だと。ワキ毛で有名になりました黒木香のまねとはとても珍しい、とても気持ち悪いです」。今回が初登場のしのざき美知。この番組の後、「総集編」などで何度も何度も登場する迷作ネタ、AV女優・黒木香の真似。「おんなはワキィ〜」で保沢さんや会場の女の子がキャーキャー言っていた。しかし一体どこから見つけてきたんだろう、この人材。
●所「ほんで対するのは失礼にも御本人の前でサンコンさんの真似。はっきりいってウケ狙っただけという感じがします。顔の色だけは似てます」。イッコ、ニコ、サンコ〜ンを連発。サンコン特有の笑い方「アテテテテテテテ」は割とつかんでいたが、今見てみると「稲川淳二」の「アヤヤヤヤヤヤヤ」と境界線がハッキリしなかったりする。
しのざき美知・87点、鈴木末吉・87点。これまたレベルの低いジャンケン(笑)。しのざき、デビュー戦を偶然にも白星で飾る。

1回戦・Aブロック 第3組目

栗田貫一

稲川淳二

郷ひろみの結婚式のスピーチのまねで ピカソの『座る女』
Lee 勝手にしやがれ
●所「出ました、前回準優勝の栗田くん。今回は狙ってます」。栗貫は時事ネタ、郷ひろみと二谷友里恵の結婚式の模様を。「けっして、順風満帆に、今日まで、運ばれてきたわけではなく、いくたびも、色々な困難がありました」ってヤツ。イントロのしゃべりが終わったらお得意の「リィ〜〜」を熱唱。当たり前だが、栗貫若い。その分余計に似ている。
●所「あのピカソのまね。『勝手にしやがれ』を歌うということですけども、自分の方こそ勝手にしやがれ〜」。前回の「ゴッホ」に引き続き、今回の「ピカソ」。司会の所に「あのね、欽ちゃんの仮装大賞じゃないんだから」と言われる。鼻の上に特殊メーク、両手で額縁を持って、ひたすら音痴にジュリーを熱唱(ていうか絶叫)。岩本恭生が真面目にジュリーをやったときよりも、今回の稲川のほうが曲の尺が長かったとは、これ如何に。
栗田貫一・99点、稲川淳二・94点。稲川は今日一日、ピカソメイクのまま過ごすことになる。悲惨だな〜。

1回戦・Aブロック 第4組目

おきゃんぴー

ビジーフォー

松任谷由実バカ殿のまねで 坂本九のまねで
あの日に帰りたい 上を向いて歩こう
●所「続いては男女コンビ同士の対決。まずは今ウワサのおきゃんぴー。強敵中の強敵を相手に、どこまで戦うことができるでしょうか」。懐かしの『オレたちひょうきん族』ナレーションで知られるおきゃんぴー。フツーのユーミンに、ヨケーなバカ殿(笑)。特に笑いをとるわけでもなく、ユーミンの後ろでバカ殿がウロウロ。場を持たせるのが大変そうで、見ているこっちがハラハラしてしまった。
●所「ついに出ました、自他共に認める実力ナンバーワンのビジーフォー。アタシは好きだからスリーコーラス歌ってほしい!」。1回戦ビジーフォーは、グッチ裕三が一人で坂本九。冬樹は郁恵のとなりで普通に手拍子。いわゆる「おぼんこぼんのこぼん」状態。本当は裕三の周りで何かやろうと思っていたが、おきゃんぴーのネタを見て、それを控えたように見えたのは僕だけだろうか。
おきゃんぴー・88点、ビジーフォー・98点。優勝候補、10点差をつけて余裕の1回戦突破。

 

1回戦・Bブロック 第1組目

何人トリオ

吉村明宏

お公家さんのまねで 沢田研二のまねで
ペッパー警部 危険なふたり
●所「第1回戦Bブロック、トップは初登場の何人トリオ。悩んだ末の出し物がお公家さん。なんだぁ〜?」。ひたすら甲高い声で歌うだけのMr.オクレ、村上ショージ、・・・あと一人は誰でしたっけ?後のダチョウ倶楽部「ウルトラ三兄弟」に通じる、アバンギャルドでシュールな出し物路線である。
●所「はっきり言って、組み合わせで完全に得してます吉村くん。余裕で極めつけ、沢田研二です」。生放送でヘリコプターから「は〜ひふ〜へほ〜」を言わせたら日本一の吉村明宏(笑)、色物相手にまずは軽めにジュリーを。吉村「次はコロッケですからねぇ。ボクはもう2回戦に標準をあわせてます」。
何人トリオ・86点、吉村明宏・96点。これまた10点差をつけて吉村の勝利。

1回戦・Bブロック 第2組目

コロッケ

KINYA

沢田研二、所ジョージのまねで にしきのあきらのまねで
君だけに愛を 空に太陽がある限り
●所「前回涙の優勝を果たしましたコロッケ。私の真似だけは是非ともやめていただきたい」。吉村のジュリーに比べれば、やはり格が違う。コロッケ特有の「間」は健在、サビの「君だけに〜」の途中から所さんに変身しチャランポランに「ゆ、め、の、せっか、い、え〜、テッポウ、バンバン!」と。コロッケの所ジョージ、個人的に大好きである。
●所「この2人の対戦は完全にゲイバーみたいですけども、KINYAさん、いつも真面目に取り組む姿勢が素晴らしいです」。『ドレミファドン』の「ドッキリ扉」でしか見たことがないKINYAは、前回に引き続き強敵と当たってしまった。にしきのあきらのものまねって、今も昔もみんなやるけど、みんな似ているなあ。真似する難易度としては低い方なのだろうか。

コロッケ・97点、KINYA・91点。それにしても、このKINYAってのは何者?

1回戦・Bブロック 第3組目

田代まさし&桑野信義

ピンクの電話

子門真人柴田恭兵のまねで 天地真理日吉ミミのまねで
およげ!たいやきくん こまっちゃうナ
●所「毎回、絶対に同じネタはやらない研究熱心な二人。まず最初は比較的マトモなネタです」。『第19回オールスターものまね王座』のチャンピオンチーム、田代&桑野が登場。1回戦は懐かしい子門&柴田ネタ。「(桑野)毎日、毎日僕らは鉄板の〜、(田代)上で、焼かれて、イヤになっちゃうな〜」。田代の柴田恭兵は絶品。審査員の生田悦子が、田代のスーツの裏地が赤いことに気付きキャーキャー言っていた。田代&桑野はラッツ時代を含め、この時点ですでに優勝経験3回。チャンピオンの貫禄十分な出し物であった。
●所「対するは初登場の女性コンビ、ピンクの電話。優勝候補を相手に、どこまで実力を発揮できますでしょうか」。ピンクの電話といえばヌイグルミ芸だが、この頃はまだ普通にものまねをしていた。清水美子が青い衣装で天地真理(ムリある〜)、竹内都子が日吉ミミ(意外と似てるかも)。保沢「さっき挨拶のときは、ピンクの電話は田代さんとこにとって強敵かなと思ったんだけど、終わってみたら楽勝だなあ」。清水国明「(田代&桑野は)チャンピオンの貫禄っちゅうかね、見ていて安心できる感じやね。で天地真理さんは、どこに工夫があったのかなあ(笑)、と。今日全体を通して、初出場の方はやっぱり違和感が残りますね」。確かに、ポップコーン、何人トリオ、ビッグ・サーズデーは今回惨憺たる出来である(笑)。
★田代&桑野・100点、ピンクの電話・90点。今回初めての満点は田代と桑野が獲得。所「これ、取っとけば良かったんじゃない?」

1回戦・Bブロック 第4組目

ビッグ・サースデー

ヒップアップ

丹波哲郎三田寛子郷ひろみのまねで 淡谷のり子のまねで
昭和枯れすすき なんてったってアイドル
●所「またまたこちらは初登場、ビッグサースデー。丹波哲郎、三田寛子、郷ひろみとは、かなりやかましそうなトリオのものまね。同じ事務所の先輩を相手に、思い切りぶつかります」。これまた誰?ビッグ・サースデー。丹波哲郎と三田寛子はまあまあ似ているかな、という感じだが・・・郷ひろみをやってた人、かなり挙動不審。彼の歌うシーンだけ露骨にカットされていたのだが・・・(後の『ものまね紅白』にいたっては、彼だけ出場自体がカットされていた)。芸名はビッグでも、気分は「ブラック・サーズデー」である。
●所「第1回戦しんがりはヒップアップ毎度おなじみの淡谷先生。いい加減他のネタやんないのかね!」。
ヒップアップの淡谷ネタの中でもヒット作の『なんてったってアイドル』。島崎の「ワン、ツー、ワン、ツー、スリー、フォー・・・」のあとの間が絶妙。今大会の中では、しのざきの「黒木香」と並んで、後の「総集編」に登場する回数が多かった名作。
ビックサースデー・89点、ヒップアップ・90点。「おいおい、次どーするよ」と慌て気味の島崎俊郎。

 

準々決勝 第1組目

清水アキラ

しのざき美知

いろいろな人のまねで ハクション大魔王のまねで
雪国 ハクション大魔王のうた
●所「さあ、いよいよ準々決勝。トップバッターは第1回戦を貫禄で勝ち抜いた清水アキラ。準々決勝では自信のネタを惜しげもなく連発します。本当にマジになってます」。今考えると非常に珍しい清水アキラのものまねメドレー(とはいっても、日本でものまねメドレーを開拓したのはハンダースが最初なのだが)。吉幾三、正司花江、和田アキ子、前川清、森田健作の順で、メドレーの定番『雪国』を熱唱。個人的には、森田健作の「アチャ、アチャ、アチャ」が大ヒット。
●所「対するしのざき、すんごい格好。ホントこの人、どんな顔なんでしょ」。しのざき2回戦は、今後彼女の得意ジャンルとなるアニメネタを。ハクション大魔王の格好でふざけて歌っているように見えるが、よくよく聞いてみると可愛らしい声をしているのだ。
清水アキラ・98点、しのざき美知・90点。1回戦2回戦と楽に勝ち上がった清水アキラ、3回戦でいよいよ真価が問われる。

準々決勝 第2組目

栗田貫一

ビジーフォー

五木ひろし、森進一、細川たかしのまねで ベッツイ&クリスのまねで
BAD 白い色は恋人の色
●所「さあ続いては準々決勝、屈指の好カード。まずは扮装もそっくり、マイケルの『BAD』をやるという栗田くん。五木、森、細川の三大演歌歌手のものまねでロックを歌うとは、変なこと考えるヤツ」。栗貫はマイケル・ジャクソンの扮装で、「五木」「森」「細川」という意表を突いたネタ。特にサビに入ってからの細川たかしは絶品。まだ新人の雰囲気漂う栗田だが、この『演歌BAD』を皮切りに、「もしもシリーズ」「ドレミの歌・8人リレー」などアイデア豊かな彼らしいネタが続々と生まれることになる。
●所「さて迎え撃つビジーフォーは、昔懐かしいベッツイ&クリスの爽やかなハーモニーをそっくりものまねしちゃいます。テレビの前の坊っちゃん嬢ちゃんには分からない!」。誰もが一度は聞いたことのあるメロディを、ビジーフォーならではのハーモニーで聞かせる。まだ審査員が「グッチ裕三はファルセットを歌わせたら全部声がおんなじ」という禁断の真理に気付いていない時代であり、鈴木邦彦「とにかく今のビジーフォーのベッツイ&クリスは、ただのものまねじゃなくて、聞かせるところがあって格がありましたね」の批評で分かる通り、全員がうっとり聞いていた。
栗田貫一・94点、ビジーフォー・100点。斬新なアイデアで勝負した栗田だったが、ビジーフォーの芸術的なハモリに魅せられた審査員の前に、あえなく沈没。2ヵ月後の『ものまね紅白』では「桑田」「玉置」「細川」の3人で再び『BAD』に挑戦、ビジーフォーを相手に99対99と互角に戦うことが出来た。

準々決勝 第3組目

吉村明宏

コロッケ

和田アキ子のまねで ピーター、松山千春、郷ひろみのまねで
もう一度ふたりで歌いたい 夜と朝のあいだに
●所「さあ続いても素晴らしい好カードです。まずは吉村くんの今度のネタは極めつけ、吉村の和田か和田の吉村か、同じ事務所の大先輩・和田アキ子さんのものまね。十八番の出し物で準決勝進出を目指します」。1回戦は軽くクリアした吉村明宏にとって、最大の難関がここ。吉村の看板ネタ、和田アキ子の名曲を真面目に歌い上げる。数年後の「岩本恭生」「布施辰徳」レベルには遠く及ばないが、この時代における和田アキ子の真似方としては標準的なレベルだろう。もっと軽い歌のほうが吉村には似合いそう。
●所「V2を目指すためにはなんとしても負けられません。正統派に対しては面白いものまねで対抗するコロッケ。準々決勝ではどんなギャグを飛ばすか楽しみです」。真緑の格好で現れたコロッケは、吉村と同じく「大先輩」のものまね。ピーターの「よるとっ!」を独特の重低音を響かせて歌う。途中、妙な振付けの松山千春、結婚式スピーチを交えた郷ひろみも披露。「この僕をここまで勇気づけてくれたのは、『リー』でした」で締めくくった(ただし、最後の「『リー』でした」はブルース・リーの顔真似で)。
吉村明宏・92点、コロッケ・97点。吉村明宏はこの対戦を最後に、番組から姿を消した(しかも、現在「は〜ひふ〜へほ〜」は吉村のギャグでなく、バイキンマンの持ちネタになってしまった)。

準々決勝 第4組目

田代まさし&桑野信義

ヒップアップ

鳳啓助、パンチョのまねで 淡谷のり子のまねで
恋の季節 サウンド・オブ・サイレンス
●所「またも妙ちくりんな衣装、本当にどうしちゃったんでしょう、この方たちは」。田代は鳳啓助で「忘れられないでございヤす」「あ〜の人が好きでございヤす」をひたすら歌詞に沿って繰り返すのみ。桑野はピンキーとキラーズの「パンチョ」を、雰囲気そのままに。練習不足からか、息も合っていないし、間も悪い(笑)。それでも「田代&桑野」独特のインチキ臭さが漂い、結果オーライとなってしまうあたりが素晴らしい。
●所「第1回戦を勝ち抜くとは誰が予想したでありましょうか。まったく同じです」。ヒップアップは1回戦と全く同じ衣装・同じ声で、「フェンナフェンナフェンフェンフォ〜」と、インチキな『サウンド・オブ・サイレンス』をギター一本で熱唱(?)。清水国明は「田代さんとこは、もはや芸術の域に達していますね。すごい落ち着きがあって、相手がヒップアップであるということで、手抜きがだいぶ見られたと(笑)。ヒップアップは、気持ちよく分かります。思いがけない2回戦で、僕も同じように脂汗かいてました。でもこれ、ギャグで残すと面白いかも分かりませんね、ヒップアップを」。
田代&桑野・94点、ヒップアップ・91点。なぜかホッとしているヒップアップ。「8点」を出した高樹沙耶に島崎が抗議すると、郁恵が「でもあの8点で助かりましたよね」と鋭いツッコミ。

 

準決勝 第1組目

清水アキラ

ビジーフォー

越路吹雪のまねで 長渕剛志穂美悦子のまねで
愛の讃歌 ろくなもんじゃねえ
●所「さあいよいよ準決勝です。トップバッターはいつになく本気の清水アキラくん。持てる力の全てを振り絞って、越路吹雪さんの『愛の讃歌』を熱唱します」。準決勝に残った4組の中で、唯一チャンピオンを経験していないのが「清水アキラ」というのも今考えると珍しい。その清水は、初期の傑作ネタを。肩をすぼめ、目を上ずらせ、ハスキーな声を出せば、会場も「オォ!」と驚く越路吹雪に早変わり。この頃、こんなに真面目に歌っていた出し物があったとは。多少オーバーな振りはあったが、終始笑いなしで歌い上げた。
●所「ベテランの意地にかけてこちらも負けられないビジーフォー。先ほどとは打って変わって、長渕剛のものまねで魅せます」。ビジーフォーは、冬樹が2年に一度はものまねすると言われる「長渕剛」を(この後、『とんぼ』『乾杯』『しゃぼん玉』『巡恋歌』・・・・と続く)、おなじみグッチの志穂美悦子とともに。しかしこの頃長渕の知名度はそれほど高くない。その辺が審査員の点数にどう響くか。
清水アキラ・98点、ビジーフォー・95点。ここで僕が昔から握っている重大情報を。清水アキラが、ビジーフォーに勝ったのは、この1戦だけ!!(晩年の王座ではどうだったか確認していませんが、とにかく清水はこのあとビジーフォーに連戦連敗します)。

準決勝 第2組目

コロッケ

田代まさし&桑野信義

千昌夫、美川憲一、小林旭のまねで 高見山大五郎のまねで
味噌汁の詩 銃爪
●所「1回戦と準々決勝は比較的楽に勝ち抜いてまいりましたが、今度はそうはいきません。V2達成のために十八番の得意ネタ、果たして決勝進出なるか?」。コロッケ準決勝は、新聞のラテ欄にも載っていた「マイケル風・味噌汁の詩」。イントロはマイケル・ジャクソンの華麗な踊りで会場を魅了、しかし歌が始まると一転して「あのスと〜、このスと〜大臣だってぇ〜」とお得意の千昌夫が炸裂。途中、美川の「熱い味噌汁飲むたびに〜、思い出すのさ〜、二丁目を〜」の小ネタが入り、ラストは「忘れちゃならねぇ・・小林旭、おとこいきぃ〜!」でシメ。やっぱりこの頃のコロッケのネタはいいなあ。ものまね王座の原点が間違いなくあるね。
●所「アイデアと扮装でここまでやってまいりました、田代&桑野のお二人。毎回ネタを考える努力には頭が下がります」。ディフェンディングチャンピオンの準決勝。「あ〜いそ尽かしの言葉が〜マルハッチ!」で始まり、最後は予想通り「二倍、二倍!二倍、二倍!今夜こそ、オマエを、押し出してみせるっ!」で締めくくる。いやはや、本当に予想どおり。ごっつあんです。
コロッケ・100点、田代&桑野・98点。ずっと田代チームをヒイキにしてもらっていた生田悦子も今回は「9点」。

 

決勝

清水アキラ

コロッケ

五木ひろしのまねで 五木ひろし、野口五郎のまねで
そして・・・めぐり逢い 追憶
●所「さあついに来るところまで来てしまいました、決勝戦です。まずは今回マジメに取り組んできた清水アキラくん。最後の熱演をどうぞ」。決勝戦は、ビシッと決めたスーツ姿のものまね芸人同士による「五木ひろし対決」。まずは清水アキラ風「右手は45度、マイクの位置は87度、腰は振って、目は細く」の五木4原則。途中には「フェイント45度」あり、「逆87度」あり、「歌詞のど忘れ」あり、「ひと春、みえはる」あり、と盛りだくさんの内容だった。100万円よりも「チャンピオン」という名前が欲しいと語っていた清水アキラ、念願の初優勝を手中に収めることはできるか。。
●所「迎え撃つはV2への王手をかけたコロッケ。偶然にも同じ五木ひろしのものまね!」。こちらはまさにコロッケ風、サビの盛り上がり(「あぁ、帰らない〜」)から得意の野口五郎をミックス。しかも今回の野口五郎は、動きがトリッキー。ロボットのようなコミカルな動きで、鼻をほじり、指を舐め、頭が動く(どんな動きだ)。最後は再び五木に戻り、顔面百面相の名に恥じない、貫禄ある顔芸を見せていた。審査員も大困り、まさに甲乙つけがたい決勝である。そんな中、清水国明のこんな批評が爆笑を誘っていた。「演技とか『似ている似ていない』という判断基準やなくて、『優勝経験があるかないか』というのが今回ポイントやと思います。そして、『お金に困ってるかどうか(笑)』というね。まあちょっと身内的に言いますと、アキラは、明らかに困ってます(笑)!これはもう大きな声で言いたい。もうハッキリ知ってます。困ってます!(笑)」と真顔で語っていた。やはり初期のものまね番組に清水国明は欠かせない。
清水アキラ・98点、コロッケ・95点。審査員一同から、今回の気合十分で真摯な姿勢が評価された清水アキラがチャンピオンに輝いた。吉村、グッチ、冬樹、栗田、末吉など芸人仲間から胴上げされ涙ぐむ清水。そしてお約束、もらい泣きするコロッケ。8年間の下積みが実を結んだ、永すぎた春の訪れであった。淡谷先生がいなかったとはいえ、『よこはめたてはめ』や『吊り人形』などの既成ネタに頼らずに勝利を重ね続けた清水アキラに多大なる拍手を贈りたい。そして彼の優勝を機会に、「清水アキラ」「コロッケ」「ビジーフォー」「栗田貫一」という『ものまね四天王』の原型が出来上がった。さらに日本は空前のものまねブームに突入していくのである。
次々にもらい泣きする芸人の中で、忘れてはならないこの男、「オレだって泣きてえよ〜」というピカソ顔の稲川淳二。「誰だか分かんねえんだもん、最後まで」。いやぁ〜、悲惨だなぁ〜。よろこんで、いただけましたでしょうか?


≪敢闘賞≫  栗田貫一 田代まさし&桑野信義

≪努力賞≫  ヒップアップ

≪審査員特別賞≫  ビジーフォー