第4回 爆笑!スターものまね王座決定戦 1988年11月29日放送

【司会】  所ジョージ 田代まさし 榊原郁恵

【審査員】

藤村俊二 鈴木邦彦 清水国明 生田悦子 淡谷のり子
ピーコ 峰岸徹 鈴木ヒロミツ 針すなお サンコン&保沢紀

1回戦・Aブロック 第1組目

篠塚満由美

おぼん・こぼん

奥村チヨのまねで 植木等のまねで
恋の奴隷 スーダラ節
●トップバッターは初出場の篠塚満由美。藤村俊二を「本当に奥村チヨさんだと思ったくらいそっくり」と唸らせた。この先、篠塚は名字をよく「しのざき」と間違えられる羽目となる。
●後攻はベテランのおぼん・こぼん。ただし1回戦は「おぼん」のみ。横で待機している「こぼん」に対して所ジョージ曰く「単なる日曜日を迎えたお父さんみたい」。
篠塚満由美・95点、おぼんこぼん・97点。篠塚は今回は番組開始10分で姿を消したが、次回で大ブレイクすることになる。

1回戦・Aブロック 第2組目

栗田貫一

鈴木末吉

チューブ、尾形大作、布施明のまねで ピーコ、稲川淳二、森進一のまねで
サマードリーム デザイアー
●「ものまね四天王」という名称が生まれたこの頃。四天王として最初に登場する栗田貫一、所「毎回最後まで残る栗田くんと、毎回しょっぱなでダメな鈴木末吉さんの戦い」。栗田は「順調にいけば3回戦はコロッケだな」と控え室で計算していたことを末吉に暴露されてしまう。そんな栗田は首にタオルを下げてのチューブ。メドレーの最後に布施明を入れるなど1回戦から新作を披露したが、定番曲では新曲だったためか、いまいち乗りきれない感が残った。
●対する鈴木末吉は、審査員席に座っているピーコ、そしてお得意の稲川淳二「あややややや」が司会者、審査員に大ウケ。最後は森進一のときに懐からドライヤーを取り出し、よもやの「デザイヤー」と「ドライヤー」をかけるというダジャレまで飛び出した。針すなお「栗田さんは、尾形大作にしても布施明にしても、他の曲なら上手く捉えられたかもしれないが、似せるのが少し難しかったのでは。その辺が(苦労しているのが感じられて)残念。(末吉は)森進一とか、とってもよく出来てましたね」と。会場に不穏な雰囲気が流れ始める。鈴木ヒロミツ「栗田くんの実力は100%信じているが、布施明でアレ?とコケちゃったんです。ひょっとしたら、番狂わせが?みたいなことをふと感じました」。ピーコ「アタシも栗田くんの布施明は似てないと思った。松山千春に似ちゃったんじゃないかな・・」と審査員は揃って栗貫に対して辛口批評・・・。しかし、筆者が見たところ、栗貫の布施明はそれほど悪くなかった(どちらかといえば似ていないのはチューブだった気がする)。
栗田貫一・92点、鈴木末吉・97点。四天王の一角、栗田貫一が1回戦で敗退。この敗戦から3年にわたり、栗貫は大スランプ時代を迎えてしまうことになる。

1回戦・Aブロック 第3組目

松居直美

原田ゆかり

都はるみのまねで 石川さゆりのまねで
大阪しぐれ 津軽海峡冬景色
●女性名人同士の対決。まずは『第15回オールスター』優勝の松居直美は得意の都はるみで安定感を見せる。曲はいつもの『好きになった人』ではなく、『大阪しぐれ』に初挑戦。
●この年4月の『第20回記念オールスター』で優勝した原田ゆかりは、得意の小林幸子ではなく新ネタの石川さゆり。完成寸前の感は残ったが、上手くまとめ上げていた。この正統派の演歌対決に、演歌嫌いの淡谷先生は終始不機嫌(笑)。
★松居直美・95点、原田ゆかり・95点。審査員の生田悦子は、この頃松居の対戦相手によく「8点」をつけていた(今回も原田に8点)。ジャンケンを制した松居直美が2回戦に進出。

1回戦・Aブロック 第4組目

ダチョウ倶楽部

コロッケ

ウルトラ3兄弟のまねで 島倉千代子、玉置浩二のまねで
君だけに 東京だヨおっ母さん
●肥後、上島、ジモンの3人体制になってから初登場のダチョウ倶楽部。暑苦しそうなウルトラマンの着ぐるみに、所「せっかくヒップアップが出ないと思ったら、こんなのが出てきちゃった」。
●コロッケは新ネタの島倉千代子に、得意の安全地帯(玉置浩二)をミックス。歌に合わせて、顔が上下左右にこぼれ落ちる(笑)。顔の大きさを売りにした名作ネタの誕生。淡谷先生も「よく似てたわねぇ」と大絶賛。しかしダチョウに対しては「それがねぇ、・・・・・何?」。
ダチョウ倶楽部・90点、コロッケ・100点。新ネタに若干緊張の色が見えていたコロッケだったが、結果は大成功。ここからコロッケの女性ネタ開拓時代が幕を開ける。

 

1回戦・Bブロック 第1組目

笑福亭笑瓶

清水アキラ

ジョイナー玉置浩二のまねで 五木ひろし、村田英雄のまねで
10人のインディアン 夜空
●今回が初登場の笑福亭笑瓶は、後に定番ネタとなる「○○といえば、玉置浩二」シリーズの記念すべき第1弾。この年はソウルオリンピックがあったため、後に登場するピンクの電話など、五輪ネタが目についた。
●対する四天王、清水アキラは得意の2人を替え歌で。スーツの裏地に「五木」「村田だ」とガムテープで文字を仕込むという筆者の好きなネタを織り交ぜながら、「五木ィ〜、五木ひろしだよ〜」を連発。当然のことながら、そのたびに淡谷先生のムスっとした顔も画面に連発することとなる。
★笑福亭笑瓶・90点、清水アキラ・96点。

1回戦・Bブロック 第2組目

ポップコーン

しのざき美知

萩原健一のまねで サザエさん花沢さんのまねで
ラスト・ダンスは私に サザエさん
●「爆笑!スター」ならではの色物対決。懐かしのポップコーンは双子という利点を生かしたネタを毎回披露するが、今回は2人ショーケン。掛け合いで笑いの取れる選曲がお見事。
●顔のメイクはサザエさん、声はカツオくんの友達の花沢さん、という変化球で勝負したしのざきだが、残念ながら声は花沢さんにも宇野ゆう子にも全く似ていなかった(笑)。
ポップコーン・91点、しのざき美知・89点。前回はリンリンランラン(86点)で清水アキラに惨敗したポップコーンだったが、今回は相手に恵まれた形で初の2回戦進出。

1回戦・Bブロック 第3組目

ビジーフォー

松本明子

斉藤由貴来生たかおのまねで 美空ひばりのまねで
オラシオン 〜祈り〜 ハイそれまでヨ
●四天王最後に登場はビジーフォーは。グッチ裕三が女装で斉藤由貴、モト冬樹が馬のかぶり物で来生たかお、という得意のゴマカシネタ(笑)。この年話題となった映画『優駿(ORACION)』の主題歌を見事なハーモニーで歌い切った。グッチは洋楽の高音ではなく、斉藤由貴の歌い方をしっかりつかんでいたと思う。
●一方の松本明子は、前回に引き続き、美空ひばりで勝負。しかし、後に「ものまね女四天王」と呼ばれ次々と好成績を修める松本の姿を、このとき誰が予想できただろうか(笑)。
★ビジーフォー・97点、松本明子・91点。松本明子、奇跡の初優勝まで、わずかあと1年である。

1回戦・Bブロック 第4組目

ピンクの電話

パル

橋本聖子小谷美可子のまねで 沢田研二のまねで
夢想花 TOKIO
●1回戦最後の対戦はイロモノと正統派の戦い。ピンクの電話は後に一世を風靡した「かぶりもの芸」ではなく、この頃はまだ普通の形態模写などをやっていた。今回は笑瓶と同じく五輪ネタ。サビで橋本聖子が「漕いで漕いで漕いで・・・」、小谷美可子が「潜って潜って潜って回る〜プハァー!」と。
●『ものまね王座』初出場のパル(旧芸名はパルコ、現在は葉月パルとして日テレなどで活躍)はあの電飾衣装を身にまとって沢田研二。よく言えば正統派、悪く言えば普通の(笑)ジュリーのものまね。
★ピンクの電話・87点、パル・92点。

 

準々決勝 第1組目

おぼん・こぼん

鈴木末吉

和田アキ子のまねで いろいろな人のまねで
ドンパン節 サザエさん
●名人おぼん・こぼん、2回戦は「こぼん」の和田アキ子。所「おーっと、ここで日曜日のお父さんが入れ替わった」。こぼんが熱唱している後ろで、おぼんはマッチ棒と名刺を使った得意の安いマジックを披露。観客の目は言うまでもなくおぼんの方へ注がれていた。こぼん「やってるのはアタシのほうなんだから」。
●1回戦で栗田を破り大番狂わせを演じた鈴木末吉は、アントニオ猪木、ジャイアント馬場、稲川淳二、ピーコの4人で『サザエさん』。1回戦の余韻を活かし、後半のウケが上々。
★おぼんこぼん・92点、鈴木末吉・92点。ジャンケンに勝ったのはなんと鈴木末吉!所「ここから再放送にします?」

準々決勝 第2組目

松居直美

コロッケ

松田聖子のまねで 森進一、野口五郎、美川憲一のまねで
旅立ちはフリージア 北の蛍
●松居は前回に引き続いて松田聖子に2度目の挑戦。この頃の松居直美の代表作のひとつといえよう。
●コロッケは得意ネタの3人でものまねメドレー。曲のサビに当たる高音部分が野口五郎で歌われると、頭が前後に動く合図でもある(笑)。独特の声の伸びは絶品。最後の美川憲一も、力の抜け切った歌い方(「ほ〜、ほ〜、ほ〜たるとんでいけ」)が司会者・審査員ともに大ウケ。淡谷先生も大爆笑。しかし淡谷、「顔は五木さんに似ているわね」と的を外した批評。
★松居直美・94点、コロッケ・100点。コロッケは1回戦に続いて連続満点、絶好調である。

準々決勝 第3組目

清水アキラ

ポップコーン

北島三郎のまねで 尾形大作のまねで
函館の女 無錫旅情
●清水アキラの真骨頂、下ネタの北島三郎。「は〜るばる、きたぜ〜、女子寮へ〜、ヤッホッホホ!」。「ここは女のねぐらだぜ〜白い太もも、大きな乳房、チラリ見えたぜチヂレ毛〜」という最低の歌詞に郁恵ちゃん「やだもう〜」、そして淡谷先生は頬杖ついて怒り心頭(笑)。
●対するポップコーンは双子ネタの最高峰、尾形大作。何気に筆者お気に入りのネタである(一人が歌って、もう一人に歌わせまいとするパターン。文字では伝わりにくい・・・)。
★清水アキラ・97点、ポップコーン・91点。所・田代「清水くんの点数をどうぞ!10点、10点、10点、10点、8点!・・・」(笑)

準々決勝 第4組目

ビジーフォー

パル

トリオ・ロス・パンチョスのまねで 西城秀樹のまねで
ラ・マラゲーニャ 傷だらけのローラ
●ビジーフォーは十八番の海外ネタ、今回も意外なところからネタを持ってきた(前々回の「ベッツイ&クリス」、前回の「ヘドバとダビデ」に続く懐かし海外ネタシリーズ、ともいえよう)。おそらく会場で本物を知っているのは一握りであった可能性が大である(筆者は後にトリオ・ロス・パンチョスの歌を聴いたが、驚くほどそっくりだったことが判明)。
●パルの2回戦は西城秀樹。後半の曲の盛り上がりに合わせて踊りも派手になりカツラが取れる、ショーパブの香り漂うネタ。しかし声はそっくり!審査員の鈴木邦彦「パル君はねえ、前半オッ!て思ったんですよ。凄く似てたの。ただ後半、秀樹っぽくないな、という気が少しした」と批評。
ビジーフォー・100点、パル・93点。しかし7点差が付くほどまでには、2人の出し物に差は無かったような気がする。

 

準決勝 第1組目

鈴木末吉

コロッケ

森進一、久保田利伸のまねで いろいろな人のまねで
タイムシャワーにうたれて かっこつかないね
●準決勝に4人が揃い踏み。所「いよいよ準決勝!コロッケ、清水くん、ビジーフォー、あんた誰?(笑)」。準決勝まで残り、会場の期待と不安がうずまくなか、出番が始まると同時に、顔を森進一に変形させて突然アカペラで歌いだす。この瞬間、会場は「期待と不安」から「不安」のみに(笑)。ようやくバンドさんのイントロ演奏が始まり、久保田を歌ってくれるかと思いきや、「♪ジャーン(演奏止まる)終わっちゃった!」というオチ。会場も思わずシーン・・・。所「やった、やった、やった。いやー、驚いちゃった。お客さんは笑ってないけどねえ、バカにしてるよ(笑)」。準決勝まできて思いっきり番組の流れを止めてしまうという偉業を達成。
●コロッケの準決勝は「田原俊彦」「沢田研二」「桑田佳祐」「志村けん」の4人で(今見ると)クラシカルなものまねメドレー。会場に安心感が蘇り、審査員長の藤村俊二も「世の中には比べていいものと、比べてはいけないものがある(笑)」と。さらに「コロッケの、あの間(ま)が好きでねえ、最後までしっかりと期待感を持続させてくれるのは素晴らしいと思う。」とエンターティナーの視点から批評。
鈴木末吉・87点、コロッケ・99点。1回戦で栗貫に勝った末吉の快進撃は、まさに竜頭蛇尾に終わってしまった。後ろの席で一部始終を見ていた、栗貫の心境やいかに。

準決勝 第2組目

清水アキラ

ビジーフォー

森進一、正司花江のまねで ビクターの犬藤山一郎のまねで
男と女のラブゲーム 東京ラプソディ
●清水は体を左右半分ずつに分けての1人2役。途中でどっちがどっちか分からなくなりがちであることから、清水にとっては鬼門のネタであるらしい(清水国明・談)。その懸念通り、最後は男と女が逆になってしまったが、そこはまあご愛嬌。
●ビジーフォーの準決勝は、モト冬樹の新ネタ・藤山一郎。マイクで直接歌うのではなく、よく運動会などで使われる拡声器の音をマイクで拾い、昔のラジオ音声の雰囲気を演出するという見事なアイデアがはまる。
清水アキラ・91点、ビジーフォー・97点。針すなおは、ビジーフォーの藤山一郎ネタに「8点」(後の『紅白歌合戦』のときも同じ点数)。アイデアだけではなく、藤山一郎の声まねとしてもうひとつ何かが足りなかったということか。

 

決勝

コロッケ

ビジーフォー

吉幾三、ピーター、千昌夫のまねで いろいろな人のまねで
アケミという名で十八で 星降る街角
●いよいよ決勝。コロッケは千昌夫の『アケミという名で十八で』という曲を、『シェパードという名で五十億で』というスゴイ替え歌にアレンジして熱唱(言うまでもないが、千昌夫の離婚と慰謝料がテーマである)。100点、100点、99点と絶好調で勝ちあがってきたコロッケだったが、ここへ来て少し元気がなくなったか、峰岸も「少し疲れて息切れしたかな、と正直ラストで感じました」と感想を述べていた。
●新ネタ3連発で勝ち上がったビジーフォーは、グッチが「内田裕也」を、冬樹が「さだまさし」「松山千春」「谷村新司」という意味深な3人を、ビジーフォーにとっては珍しいものまねメドレーで披露。グッチは内田裕也の声で、曲のブリッジとレパートリー紹介に徹していた。「シェケナベイビナ〜」を最後、「ハゲナベイビナ〜」と。こういうところを聴き逃してはならない(笑)。
コロッケ・91点、ビジーフォー・100点。コロッケは2年前、奇しくも同じ点数・点差で初優勝を飾った(当時の対戦相手は新人の栗田貫一)が、今回は逆の立場に。ビジーフォーは4ネタとも新しいネタで勝負したことが功を奏し、『第17回オールスターものまね王座決定戦』に続く2度目の栄冠に輝いた。


≪熱演賞≫ 原田ゆかり ダチョウ倶楽部

≪努力賞≫ おぼん・こぼん パル

≪敢斗賞≫ 清水アキラ 鈴木末吉 ポップコーン 松居直美

TOPへ