第5回 爆笑!スターものまね王座決定戦 1989年3月28日放送

【司会】  所ジョージ 田代まさし 清水国明

【審査員】

藤村俊二 鈴木邦彦 生田悦子 淡谷のり子 おすぎとピーコ
峰岸徹 鈴木ヒロミツ 大矢明彦 針すなお 保沢紀

1回戦・Aブロック 第1組目

ぼんちおさむ

松本明子

サミー・デイビスJr.のまねで 松田聖子、欧陽菲菲のまね
You'd Be So Nice To Come To ラブ・イズ・オーバー
平成に入って初めてのものまね王座、最初の対戦は2年前に準決勝まで残った意外な実力者・ザぼんちのおさむと、美空ひばりのまねでお馴染みの松本明子の対決。ぼんちおさむは特殊メイクでサミー・デイビスJr.のジャズとタップに挑戦。対する松本は美空ひばりを捨て、隠れた得意ネタ・松田聖子で初の1回戦突破を狙う。所「最初の対戦から『努力』という感じが出てましたねえ」。
結果、ぼんちおさむ・94点、松本明子・90点。

1回戦・Aブロック 第2組目

松居直美

清水アキラ

都はるみのまねで 北島三郎のまねで
MUGO・ん・・・色っぽい 北の漁場
いきなり決勝戦のような組み合わせ。清水、出てくるやいなや「ん!プロゴルファー猿!」とお約束のツカミ。松居は毎度お馴染み、都はるみの衣装で登場。今回は演歌ではなく、工藤静香のポップスをあのコブシで聞かせる。清水は『与作』『函館の女』に続くサブちゃんネタ、歌の後半では「ポッ!カッ!」の鼓ネタに加え、とうとう顔面をパチンパチン!と。清水「叩くところが無くなったんです」。気合いの入ったものまねを披露したが、淡谷「どうして途中であんなことするの。ちゃんとねえ、歌うたいなさい。そうやって人を笑わせようと思って。情けないじゃないの」と公開説教。
結果、松居直美・94点、清水アキラ97点。注目の生田悦子、今回は「松居9点、清水10点」だった。

1回戦・Aブロック 第3組目

こぼん

笑福亭笑瓶

小林旭のまねで Mr.スポック玉置浩二のまねで
自動車ショー歌 おおブレネリ
今回はおぼんこぼんがそれぞれピンで登場。真相は定かではないが、直前まで参加予定だった秋野暢子が出場不可になったため、強引に頭数を合わせたのではないか、というのが筆者の見解である。こぼんはオーソドックスに小林旭。そして笑瓶は前回に続いて玉置浩二シリーズ。今回は映画『スタートレック』のMr.スポックを、顔の形が似ていることだけでチョイス。「スポック」「玉置浩二」「おおブレネリ」がなぜか調和して、なかなかの出し物であった(と思うのは筆者だけか)。
結果、こぼん・93点、笑福亭笑瓶・92点。会場からは「惜しぃー」の声が。

1回戦・Aブロック 第4組目

ピンクの電話

ビジーフォー

こまどり姉妹のまねで 長渕剛志穂美悦子のまねで
手のひらを太陽に とんぼ
ピンクの電話のイントロのナレーション、所「見た目は悪いですけど、歌も下手。ものまねなんて全く似ていない。ビジーフォーの勝ち!」。声帯模写なのか形態模写なのか、いまいちつかみ所のないネタ。いわゆる「ぬいぐるみ芸」に入る前の最後のネタでもある。前回のチャンピオン・ビジーフォーは安定感抜群、モト冬樹の長渕。グッチは子供を連れた志穂美悦子の格好で、ただのコーラス。冬樹はカツラがマッチしており、自信満々の立ち振る舞い。今大会は冬樹のカツラに注目。
結果、ピンクの電話・86点、ビジーフォー・97点。しかし、ピンクの電話、「8点」が5つも・・。

 

1回戦・Bブロック 第1組目

栗田貫一

コロッケ

いろいろな人のまねで 島倉千代子、森進一、美川憲一のまねで
大都会 人生いろいろ
今回の1回戦の目玉カード。場内から「もったいない」の声が。栗田「困りましたねえ。前回も1回戦(敗退)ですから。今回もまた1回戦かなあ」。清水「1度あることは2度あるからね(笑)」。栗貫は細川たかし、尾形大作、桑田佳祐、福井敏雄の4人で『大都会』を。出だしの「あ〜あ〜」を細川で歌い客をつかむが、新ネタの気象協会・福井さんが、オチとしてはいまいちパッとせず。迎え撃つコロッケは、前回よりもパワーアップした島倉千代子に、森進一と美川憲一をミックス、自信ある持ちネタをすべて出し切って栗貫にぶつけた。
結果、栗田貫一・95点、コロッケ・99点。栗貫は前回に続いて1回戦敗退、コロッケは声をからしながらも、4点差をつけて四天王対決に決着をつけた。

1回戦・Bブロック 第2組目

パル

しのざき美知

仮面ノリダー(木梨憲武)のまねで 菅原洋一、高木ブーのまねで
仮面ノリダーぶっとばすぞのテーマ ラ・バンバ
2度目の出場・パルは、『とんねるずのみなさんのおかげです』の人気キャラクター、仮面ノリダーを演じるが、会場の客にしてみれば対象年齢が低すぎた感じ(子供の視聴者層を狙ったプロデューサーの計算なのだろうが)。対するしのざきは、「バラバラバラバンバ〜」と熱唱、菅原洋一もへったくれもあったもんじゃない(笑)。しのざき十八番の高木ブーも「ババンババンバンバン」で後半に登場、力技で会場を支配した。
結果、パル・89点、しのざき美知・92点。何気にしのざき、4回出場で3度目の2回戦進出なのだ。

1回戦・Bブロック 第3組目

おぼん

原田ゆかり

鶴田浩二のまねで 小林幸子のまねで
傷だらけの人生 いとしのエリー
おぼんは6歳の娘さんに借りてきた「テクマクマヤコン」のコンパクトを使って、「鶴田浩二にな〜れ」とギャグを入れるが、無残にも砕け散ってしまった。ものまねにも定評のある実力派・原田ゆかりは選曲に1週間悩んだという、『いとしのエリー』小林幸子バージョン。原田が歌い終わったあと、おぼん「やっぱり植木等やればよかったですね」。
結果、おぼん・89点、原田ゆかり・96点。娘思いのおぼんだったが、今回は珍しく大差負けを喫した。

1回戦・Bブロック 第4組目

桑野信義

篠塚満由美

フリオ・イグレシアスのまねで 黛ジュンのまねで
ビギン・ザ・ビギン 天使の誘惑
「ラッツ&スター」で2回、「田代&桑野」で1回、合計3回の優勝経験を持つ桑野信義は不良の格好で登場。「不良」→「フリオ」のダジャレで勝負とは、過去の戦歴が泣く。正統派の歌まねを披露するが、いつものことながらアガリまくってしまう。そして今回のダークホース、2度目の出場・篠塚満由美は懐かしの黛ジュンを。大矢「桑野さんはちょっと甘さが足りなかったかな。篠塚さんの方は少し演歌調になりすぎ。もう少し素直に歌ったほうが・・」。
結果、桑野信義・88点、篠塚満由美・95点。篠塚、初の1回戦突破で波に乗る。

ここで一旦ブレイク。惜しくも1回戦で敗れた参加者の中から、2回戦用のネタを特別に披露。栗田貫一が「瀬川瑛子」のまねで『命くれない』、おぼんが「植木等」のまねで『ゴマスリ行進曲』を熱唱、会場の喝采を浴びた。司会者の田代まさしは「明石家さんま」の『真赤なウソ』、所ジョージは「村田英雄」の『皆の衆』を熱唱、会場の嘲笑を浴びた。

準々決勝 第1組目

ぼんちおさむ

清水アキラ

加山雄三のまねで 研ナオコのまねで
旅人よ 夏をあきらめて
「今回せめて準決勝までは残りたい」と言っていたぼんちおさむは、十八番中の十八番、正統派の加山雄三で勝負。対する清水、記念すべき「セロテープ芸」がここに誕生。その第1弾は、鼻を上に持ち上げた研ナオコ。審査員・司会陣ともに大爆笑。そして・・所「淡谷先生が笑ってる!」。淡谷「初めて、ねえ、マジメにやってくれましたね。いつもそうなさい。悪ふざけしないでね」。・・・これ、マジメなのか?
結果、ぼんちおさむ・93点、清水アキラ・100点。何と、清水アキラは初めての100点。清水「だって、ぼく、満点は98点だと思ってましたから」。淡谷先生に嫌われて3年の清水、2回戦で涙ぐむ。

準々決勝 第2組目

こぼん

ビジーフォー

和田アキ子のまねで 井上陽水田村正和のまねで
ラブ・イズ・オーバー リバーサイドホテル
腹話術の人形のようなこぼん、これまた十八番の和田アキ子で四天王と対決。ビジーフォーは今大会屈指のヒット作、裕三の陽水と、冬樹の田村正和。鼻声で「ホテルはリバーサイド、愛してるって言ってほしいのかいリバーサイド、ずっとこればっかり言ってるけどリバーサイド、まだ終わんないのかなリバーサイド」。なんと、モト冬樹はカツラをかぶれば田村正和だった!所「毛があれば田村さんだったんだ!」 
結果、こぼん・91点、ビジーフォー・100点。歴史に残る名作を準々決勝で出してしまったビジーフォー、準決勝の出し物に期待が集まる。

準々決勝 第3組目

コロッケ

しのざき美知

吉幾三、小林旭、志村けんのまねで 中森明菜のまねで
酒よ キューティーハニー
栗貫に勝ったコロッケは再び演歌。コロッケらしいメドレーで、軽々こなす。所「ずっと吉幾三でも良かったけどねえ」。しのざきは顔の輪郭に黒いテープを巻きつけ、中森明菜のシャープなアゴを演出。しかし、しのざきは何を歌っても同じ声だった。まあものまねは二の次なのだろうが。
結果、コロッケ・99点、しのざき美知・87点。しのざきに「10点」はひとつも入らなかった(保沢さんも9点)。

準々決勝 第4組目

原田ゆかり

篠塚満由美

松本伊代のまねで テレサ・テン、奥村チヨのまねで
センチメンタルジャーニー 空港
準決勝の最後は女性実力派の対決。原田ゆかりはこの番組でも久々の松本伊代のものまね。篠塚はテレサテンの『空港』を、前回好評だった奥村チヨの独特のブレスで歌い上げた。
結果、原田ゆかり・90点、篠塚満由美・99点。篠塚、次はコロッケ相手の準決勝。マイクを持つ手が震えていたのが印象的だった。

 

準決勝 第1組目

清水アキラ

ビジーフォー

森進一のまねで さだまさしのまねで
見上げてごらん夜の星を 夢の吹く頃
準決勝の四天王対決。100点満点で準決勝に進み感動中の清水は、真面目に、心をこめて森進一を歌う。歌い終わったあとに、淡谷先生も拍手。ビジーフォーは冬樹の十八番、さだまさし。グッチ裕三は今回は「特殊効果」にまわり、歌がサビに入ってから登場。熱唱する冬樹の頭を、強力な扇風機で吹き飛ばし、テカテカに光った冬樹の頭を白日の下に晒した。会場も、悲惨なものを見るように、爆笑。
結果、清水アキラ・96点、ビジーフォー・100点。所「100点を呼ぶ頭」。清水も、今日は真面目にやり、気持ちよかった、と。淡谷先生との雪解けもあったが、次回、また元の木阿弥に(笑)。

準決勝 第2組目

コロッケ

篠塚満由美

尾崎紀世彦、野口五郎のまねで 山下久美子、アン・ルイス、松任谷由実
のまねで
また逢う日まで 赤道小町ドキッ!
コロッケは「最近誰もやっていないので」ということで、新ネタの尾崎紀世彦。サビの野口五郎も健在。しかし対戦相手は今回ノリにノっている篠塚ということで、戦々恐々。いまひとつハジケられない感が残った。篠塚はニューミュージック3人を初披露。堂々たるステージぶりに、コロッケも「いかん!」の顔。
結果、コロッケ・94点、篠塚満由美・99点。なんと、番組登場2度目にして決勝に進出。冬樹のギターの祝福もあり、涙ぐむ篠塚。決勝はベテランと新人の対決となった。

 

決勝

ビジーフォー

篠塚満由美

サイモン&ガーファンクルのまねで 内藤やす子のまねで
明日に架ける橋 弟よ
決勝は超正統派のバラード対決。ビジーフォーは今回初の洋モノ、サイモンとガーファンクルを熱唱。4年前の『第17回オールスターものまね王座』では決勝で『サウンド・オブ・サイレンス』を披露、初優勝を遂げている。抜群のハーモニーで、2連覇・3度目の優勝なるか。そして、まさかの決勝進出の篠塚は、内藤やす子をラストに持ってきた。元々ハスキーボイスの篠塚、これは選曲勝ちか。
結果、ビジーフォー・96点、篠塚満由美・97点。1点差で逃げ切った篠塚満由美が優勝。作詞家としても輝かしい経歴をもつ篠塚が、ものまね界でも天下をとった。後に「女四天王」として活躍、松下桂子とものまねユニット「しじみとさざえ」を結成、などしばらくこの番組で活躍したが、現在は日本テレビの『ものまねバトル』のほうに出演している。