第10回 爆笑!スターものまね王座決定戦 1991年12月3日放送
【司会】 研ナオコ 榊原郁恵 清水国明
【審査員】
鈴木邦彦 | 生田悦子 | 淡谷のり子 | 野口五郎 | 峰岸徹 |
水前寺清子 | 別所哲也 | 大矢明彦 | 針すなお | 保沢紀 |
1回戦・Aブロック 第1組目 |
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CCガールズ |
しのざき美知 |
ゴールデン・ハーフのまねで | 宮沢りえのまねで |
24000回のキス | ウルトラマンタロウ |
●2度目の登場のCCガールズは2度目のゴールデン・ハーフ。番組のオープニングに相応しいお色気もの。当然、野口五郎のトロンとした表情が随所に挟みこまれることになる。野口「CCガールズの4人は、もう可愛くて、スタイルも良くて、僕は誰でもいいです(笑)」。 ●しのざきは写真集『サンタフェ』で話題になった宮沢りえを『ウルトラマンタロウ』の軽快なノリで。イントロで「みやざわ!サンタフェ4億円!」、歌い出しは「宮沢りえがいる〜、篠山紀信がいる〜、そしてバックに宮沢の母がいる〜」。しのざきの出し物としてはよく練られており、途中に挟んだ宮沢のしゃべりも悪くなかったと思うのだが・・・。いかんせん審査員には評価されない。 ★CCガールズ・93点、しのざき美知・86点。しのざきに「8点」がズラッと並ぶなか、大矢明彦の「10点」が光る。押し間違い?の問いに「いま一番話題のあることをやってくれたのでね」と優しいコメント。 |
1回戦・Aブロック 第2組目 |
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松本明子 |
ダチョウ倶楽部 |
ドリームズ・カム・トゥルーのまねで | 宜保愛子と左ト全のまねで |
Eyes to me | 老人と子供のポルカ |
●懐かしい曲を出してくることが多い松本だが、1回戦は珍しく最近のヒット曲を熱唱。まだドリカムが今ほど世間的に認知されていない頃だったため(『Eyes to me』はドリカム初のオリコン1位曲)、得した感じ。顔は吉田美和に何となく似ていたが、歌はそれほど似ていなかった。そっくりなドリカムを聴くためには4年後の星奈々を待たねばならない。 ●ネタの型が確立してきつつあるダチョウ倶楽部。今回は肥後が「宜保愛子」、ジモンが「左ト全」、上島が「幽霊」。「やめてけれ、やめてけ〜れ、ギボギボ」「愛子でございます」を連発。途中、上島のレツゴー3匹・じゅん、肥後の名古屋章が登場。天国の名古屋章もさぞ喜んでおられるだろう。 ★松本明子・96点、ダチョウ倶楽部・91点。 |
1回戦・Aブロック 第3組目 |
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しじみとさざえ |
たけし軍団 |
シモンズのまねで | 小椋桂のまねで |
恋人もいないのに | 逢うたびに君は |
●前回の『第23回オールスターものまね王座』では決勝まで勝ち進んだしじみとさざえは、キャラクター通りの懐かしいハーモニーを聞かせる。田中ユミと玉井タエの関西系フォークデュオ、シモンズに挑戦。ちなみにシモンズはポール・サイモンの名前のローマ字読みが由来である。どうでもいいが。ところで、篠塚のオデコが広くてかなり恐い。どうでもいいが。 ●たけし軍団、今回は大森うたえもんと井手らっきょの2人で登場。ハゲ頭に黒インクを塗りたくって「池谷幸雄」と言い張る井手をバックに、大森が小椋桂を歌い、『キリンラガービール』(だったと思う)のCMを再現。バルセロナが近い池谷、あの頃はカッコよかった。 ★しじみとさざえ・96点、たけし軍団・90点。たけし軍団の得点を聞くときに、郁恵が誤って「それでは、ダチョウ倶楽部の点数を・・」と言ってしまい、それが大きな減点対象になってしまったようだ(笑)。 |
1回戦・Aブロック 第4組目 |
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ビジーフォー |
笑福亭笑瓶 |
平尾昌晃のまねで | ゴジラで玉置浩二のまねで |
星は何でも知っている | じれったい |
●ビジーフォー1回戦は冬樹の得意ネタ、平尾昌晃。いやらしい顔を浮かべてフニャフニャになりながら歌う芸は天下一品。隣りではグッチが、これまたお得意の(?)フルート演奏。譜面台が無いだの、歌と合わないだの、なんだかんだと最後まで吹かずにひっぱり、ラスト3音を「プ、プ、プ」とだけ(お約束)。相変わらず「ミ」の音しか吹けないところがいい。 ●笑福亭笑瓶は、人面魚以来の「○○といえば玉置浩二」シリーズ。このシリーズの最後を締めくくるのはゴジラ。頭の上を飛行機がブンブン飛んでいたが、途中で落っこちてしまうハプニングが地味にあった。ゴジラと玉置浩二の雄叫び「ギャァ〜〜、ハァァ〜〜」がなかなか良かったのではないか。 ★ビジーフォー・98点、笑福亭笑瓶・95点。思いがけず接戦となった。笑瓶は、次回ようやく念願の1回戦突破を果たすことになる。 |
1回戦・Bブロック 第1組目 |
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岩本恭生 |
清水アキラ |
谷村新司のまねで | トニー谷のまねで |
帰らざる日々 | さいざんすマンボ |
●1回戦から勿体無い組み合わせ。ともに決まった服装、ともにヒゲ。まず岩本恭生は十八番の谷村新司。正統派、ここに極まれり。顔の表情から歌声まで寸分違わぬものまねに、淡谷先生も大拍手。 ●対する清水アキラは、左手にソロバンを持ち、目尻から後頭部を通ってもうひとつの目尻までセロテープでひっぱり、さらにフォックス型メガネをかけ、トニー谷を演出。相当昔の人物なのに、一体どうやって研究したのか。本人を知らなくても楽しめる、エンターテイナー・清水アキラならではのネタであった。 ★岩本恭生・95点、清水アキラ・99点。清水の新ネタには、100点を出さないとまず勝てないのだ(淡谷先生のいる回に限るが)。 |
1回戦・Bブロック 第2組目 |
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松居直美 |
ピンクの電話 |
マイケル・ジャクソンのまねで | アリのまねで |
BAD | 愛あればこそ |
●1991年は洋物を一つは入れてきた松居直美、その締めくくりはマイケル・ジャクソンの『BAD』。毎度のことながら、みっちり特訓を積んできた努力が窺える。でもどうせなら栗貫みたいに「石川さゆり、大月みやこ、都はるみ」の演歌歌手3人で『BAD』を歌ってほしかった(ムチャを言うな)。 ●ピンクの電話のぬいぐるみネタも数えること9作目。今回はタカラジェンヌに憧れるアリという設定で、「アリ〜、それは〜、いっぱいいる〜」と子供でも分かる替え歌を歌う。清水美子「今回はねぇ、ちょっと自信あるんです。直美ちゃんには悪いけど」。 ★松居直美・96点、ピンクの電話・90点。清水美子「やっぱり相手が悪かったですね」。とりあえず、松居直美の洋物シリーズは今回で一段落することになる。 |
1回戦・Bブロック 第3組目 |
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斉藤ルミ子 |
桑野信義 |
松坂慶子のまねで | ラッシャー木村のまねで |
愛の水中花 | 君といつまでも |
●かつての伝説ものまね「夏木マリ」の影響か、色っぽいものまねを期待される斉藤ルミ子は、網タイツ姿で松坂慶子。うん、確かにいいものを見せてくれた感じがする(オッサンか)。声はあまり似ていないが、もはやそんなことはどうでもいいのだ。 ●前回は散々だった桑野、今回はラッシャー木村のマイクパフォーマンスで会場を大いに湧かせる。『君といつまでも』のイントロが流れて、「幸せなんだよ!」と言った途端、後ろの芸人仲間(ダチョウ・笑瓶・井手)が大爆笑。歌い終わり、点数を見てみる直前、いきなり「おい保沢!オレに10点入れるなよ!後が無いんだからな!」と。研「でも、これ勝っちゃったらどうするのよ」、桑野「・・・・・・」、研「泣かないでよ・・」。 ★斉藤ルミ子・91点、桑野信義・98点。かつては田代まさしとともに3度の優勝を獲得した桑野、いつの間にか1回戦を突破しただけで大騒ぎされるポジションになってしまった。 |
1回戦・Bブロック 第4組目 |
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コロッケ |
栗田貫一 |
工藤静香のまねで | 長渕剛のまねで |
MUGO・ん・・・色っぽい | しゃぼん玉 |
●1回戦で四天王対決、といえば「コロッケvs栗田貫一」、またしても登場。研ナオコ曰く「病み上がりと化け物の対決」。まずは化け物代表、コロッケ。目尻をテープで思い切り下げて、大袈裟すぎる工藤静香で「目と目が垂れている〜、確かに、んん、顔デカい〜」と熱唱。でもコロッケの女性ネタもいささか食傷気味かなあ、という気がしないでもなかった。 ●続いて病み上がり代表の栗貫。この頃、栗貫は肺に穴が空いてしまい、入退院を繰り返していた記憶がある。余談だが、大晦日のフジテレビ特番に四天王が出演したときも、栗貫だけは入院中。司会の明石家さんまが「あの人ねえ、気を遣いすぎなんですよ。いっつも木村はんに怒られてるでしょう?『バカヤロー、栗田、お前喋るな!』って。だから肺に穴空くんですよ」と言っていた。閑話休題、出し物はドラマ『しゃぼん玉』の主人公、ポーさん(長渕剛)を。練習期間が短かったせいなのか、割と軽めのネタだった。 ★コロッケ・99点、栗田貫一・97点。栗貫はデビュー以来、四天王を相手に勝利した経験はまだ一度のみ(第2回準決勝、清水アキラに勝利)。中でもコロッケ相手には4戦4敗と完封。しかし次回、ようやくコロッケ相手に白星を飾れる日が訪れる。 |
準々決勝 第1組目 |
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CCガールズ |
松本明子 |
マドンナのまねで | 岩崎宏美のまねで |
ライク・ア・ヴァージン | ロマンス |
●2回戦のCCガールズは4人マドンナ。純白のドレスに金髪とブーケが艶やか。4人がそれぞれに違った振り付けで自由に演じ、寝転がるもの、動き回るもの、ウィンクするもの・・。最後は4人が後ろ向きに大開脚、ビジーフォーとはまた違った卑怯さを開拓しつつある(笑)。 ●一転して地味な松本は、すっかりおなじみとなった十八番の岩崎宏美。今回は特に顔を意識して作っていたように見えた。CCガールズにぶつけるには正統派が一番威力を発揮するが、その格好のネタだったのではないだろうか。しかし岩崎ネタもさすがに3回目、もう今後の『王座』では通用しないだろう。 ★CCガールズ・91点、松本明子・100点。CCに唯一10点を出した野口五郎の恥ずかしそうな表情が忘れられない。対する松本、最後の岩崎宏美に、ご祝儀の満点。 |
準々決勝 第2組目 |
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しじみとさざえ |
ビジーフォー |
ザ・ピーナッツのまねで | ビリー・ジョエルのまねで |
ふりむかないで | ザ・ロンゲスト・タイム |
●しじみとさざえの必殺技、ピーナッツが早くも登場。やはり相手は最強敵のビジーフォー、ここでぶつけるしかない。篠塚と松下の2人の声がピタッと揃う瞬間が聴いてて心地よい。 ●対するビジーフォーは5人フルメンバーで登場。グッチのビリー・ジョエル+4人のコーラス。ものまね王座でアカペラが出てくることは珍しい(かつて鈴木末吉の久保田利伸、というのがあったがあれは例外)。ものまねを超越した(←ここが大事)、高い音楽性で聴かせる。 ★しじみとさざえ・99点、ビジーフォー・100点。両方が正統派で良質の音楽性を披露した、名勝負だった。 |
準々決勝 第3組目 |
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清水アキラ |
松居直美 |
忌野清志郎のまねで |
研ナオコのまねで |
デイ・ドリーム・ビリーバー | あばよ |
●好カードが続く。カラフルな衣装で登場の清水は「日光猿軍団!」といってサルのものまね。よく考えればどこもサルに似ていないぞ。ただやりたかっただけなのだろう。出し物は初挑戦の清志郎、最後に腰を振りすぎるところがあったが、大体マジメにやっていた(清志郎もあんなキャラだし)。声もよく似ていたし、もっとやればいいのに。間にギャグが入らないため地味めに見えるが、十分代表作になりえる出来である。 ●松居直美は、ご本人の目の前で研ナオコ。声の特徴がつかみにくく、持ち歌もメロディが取りにくい歌が多いため、女性歌手の中では真似る難度がナンバーワンといわれる(顔を作るのは割りと簡単だが(笑))が、よく捉えていたのでは?やはり歌が上手いと芸の幅が広がるね。ついでに言うと目の離れたところも似ていた。 ★清水アキラ・97点、松居直美・97点。今日初めてのジャンケン、結果は気合を入れすぎてパンツが破けた清水の勝ちだった。 |
準々決勝 第4組目 |
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桑野信義 |
コロッケ |
笑ウせえるすまんのまねで | ハウンドドッグのまねで |
男はつらいよ | ff(フォルティシモ) |
●今大会のハイライト。藤子不二雄Aの人気漫画、『笑ゥせえるすまん』の喪黒服造の実写版で現れた桑野、郁恵に「だいじょうぶ?」と声をかけられての第一声、「ただのセールスマンじゃございましぇーん」がそっくり!すかさず研ナオコに「もうやっちゃダメ!本番無くなっちゃうから!」と諌められる。気が弱い桑野、この時点でもう手が震えている。しかし本番になると一変、基本的に喋りのみ(「ワタシのお売りする商品はものまね。」「お金は一切いただきましぇーん」など)だったが、バックの音楽とピタリと合わせられ、(偶然?)完成度の高いネタに仕上げることが出来た。針すなおも「いやあ、スゴイのをぶちかましましたね」と白旗。 ●コロッケは正統派の大友康平。正統派といっても、合間合間でコロッケらしいデフォルメが飛び出す。個人的には、歌の途中で一瞬チラッと横を向いて睨む表情が好き。でも対戦相手があんな飛び道具を出してきては、さすがのコロッケもおとなしく見えてしまう。 ★桑野信義・99点、コロッケ・96点。コロッケは前回に続き、2回戦で運の悪い相手にあたってしまった。 |
準決勝 第1組目 |
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松本明子 |
ビジーフォー |
ピンキーとキラーズのまねで | 長渕剛のまねで |
恋の季節 | しゃぼん玉 |
●松本明子の真骨頂、昭和43年のヒット曲『恋の季節』を、シルクハットにステッキというお決まりのスタイルで。最初の第一声からオォー!と大歓声。太い声を出させたら松本明子の右に出るものはいない。 ●ビジーフォーは定番、冬樹の長渕剛。「やはり骨格が似ていると声のほうも似るんだね」とは木村Pの発言。1回戦では栗田貫一が同じ歌をやっているが、ビジーフォーのほうが安心して聴けるのは、やはり格の違いなのか。 ★松本明子・96点、ビジーフォー・97点。生田悦子はビジーフォーに8点。もう好みだけで点数を付けていい時代は終わってるぞ。 |
準決勝 第2組目 |
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清水アキラ |
桑野信義 |
山本譲二のまねで | 水野晴郎のまねで |
みちのくひとり旅 | 蒲田行進曲 |
●「今回はカラーを出していこうかな」と無駄な決意(笑)、清水アキラは『びちぐそ一人旅』とボソッとつぶやいて曲に入った。「たとえ〜どんなに長くて太くとも〜これがオレには最後のウンコ〜」とアキラ節が大爆発。もうこの際似ている似ていないを問うのは愚問というもの。この替え歌を思いついてしまったら最後、彼はやらずにはおれないのだ。 ●まさかの準決勝、桑野は水野晴郎という危険球を出してきた。「虹の都、光の都、シネマの天地〜」のあとに「いやぁ、映画ってホントにいいもんですね。」とささやく。とそこまではいいが、あとはそれの繰り返し。まさか最後までそれで引っ張るとは。本人よりもコーラスのほうが長く歌った出し物というのも珍しい。2人が演じ終わり、研ナオコ「(桑野に)きみ、ズルイ!ひきょうモンだよね。(アキラに)お前、最低!」、郁恵も思わず「これ、準決勝ですよ?どっちかが決勝に残るんですよ?」。当然淡谷先生も「また下品なことして。何度言ったら分かるの!」とお怒り。この瞬間、清水の心底後悔している顔が面白かった。清水国明「でも審査員のなかには大ウケしてた方もおられましたよ」、研「ゴローちゃんでしょ?」。 ★清水アキラ・93点、桑野信義・93点。本日2回目のジャンケン。結果は、今日は色んな運がつきまくっている桑野の勝利。後ろの芸人仲間達も大拍手。 |
決勝 |
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ビジーフォー |
桑野信義 |
ポール・マッカートニーとマイケル・ジャクソンのまねで | 美輪明宏のまねで |
セイ・セイ・セイ | 愛の讃歌 |
●決勝は意外な顔合わせとなった。まずはビジーフォー、ポールとマイケルのデュエットを、2人ならではのコンビネーションで魅せる。圧巻は冬樹のマイケル、高音・英語・早口と3拍子揃った難しいパートを、迫力で押し切り、流石は・・というところを感じさせた。今日ノリまくっている桑野から発せられるプレッシャーを見事に受け止め、ベテランは頑張った。 ●卑怯な技で3つ勝ちあがってきた桑野だが、最後は真面目に名曲を熱唱する(エンディングのナレーションで研ナオコに「その辺がシロートだ」とか言われていたが)。マイクを持つ手が震えるほどの緊張感、でもそのなかに堂々としたものがあり、味のある熱演で最後を締めくくった。 ★ビジーフォー・97点、桑野信義・96点。桑野の大健闘もあと一歩及ばず、ベテランが孤塁を守りきった。ビジーフォーも優勝は本当に久々(88年末の『第4回』以来)で、本人たちも信じられないといった様子。裕三「桑野くんがすごくノッてましたからね、優勝は無いと思ってましたよ」。昨年末から清水アキラ、コロッケ、栗田貫一と、四天王が立て続けに栄冠に輝いたが、無事にビジーフォーが最後のトリを飾ることができた。これで同一ユニットとしては史上初・3度目の優勝となる。 |
≪熱演賞≫ ダチョウ倶楽部 松居直美 たけし軍団 笑福亭笑瓶
≪努力賞≫ CCガールズ しじみとさざえ
≪敢闘賞≫ 清水アキラ 松本明子