第11回 爆笑!スターものまね王座決定戦スペシャル
 
1992年3月31日放送

【司会】  研ナオコ 榊原郁恵 清水国明

【審査員】

鈴木邦彦 生田悦子 峰岸徹 うつみ美土理 菊池桃子
野口五郎 松本伊代 大矢明彦 針すなお きよ彦&保沢紀

1回戦・Aブロック 第1組目

忍者

原田ゆかり

フォーリーブスのまねで 山口百恵のまねで
地球はひとつ いい日旅立ち
●さあ、ものまね史上最大のハイレベルな戦いがスタート。Aブロックには初登場組が3組も終結、その先頭を切って登場するのが、ジャニーズ系アイドルの忍者。すでに「あの人たちは今?」的なグループになりつつある彼らが挑戦するは、同じ事務所の大先輩・フォーリーブス。木村プロデューサーに無理矢理やらされた感のぬぐえない哀愁漂うものまねである。「だって、地球はまーるいんだもん!」と言われても・・。まだ『ブルドッグ』とかの方が迫力があって良かったんじゃないの?鈴木先生も「忍者のフォーリーブスもそれなりに良かったですよ。本来は4人でやるところを、忍者の6人でやって、迫力があった分、似てなかったかなと(笑)」と鋭い批評。私も忍者の批評にまさかこんなにスペースを費やすとは思わなかった。
●女性名人・原田ゆかりは、久々に山口百恵のものまね。2年前はアップテンポなナンバーで凄みを効かせたが、今回はバラード系をしっとりと。この曲、実力がなきゃ1回戦で歌えませんぜ。清水国明「原田さんはオードソックスで良かったですね」とベタなボケを披露。
★忍者・93点、原田ゆかり・98点。研「(忍者に)また来てね。忍者が歌うとお客さんが若くなるから」。

1回戦・Aブロック 第2組目

朝田昌貴

ribbon

美空ひばりのまねで キャンディーズのまねで
川の流れのように やさしい悪魔
●続いて初登場組同士の対戦。まずは「素人ものまね番組あらし」と呼ばれ恐れられていた朝田昌貴が『王座』デビュー。この番組では定番の『川の流れのように』を熱唱。何というか、いかにも「素人名人」が歌う美空ひばり、という感じ。初出場を感じさせない堂々としたステージぶりで見事だった。しかし「あさだまさたか」って全部ア段なんだね。
●対する初出場はribbon。見かけによらず器用なアイドル3人組で、よくテレ朝のものまね番組にこの頃ひっぱりだこだった記憶がある。『王座』デビュー曲は懐かしいキャンディーズの『やさしい悪魔』。振付けが有名なこの曲を、アイドルらしく可愛く。野口「ランちゃんの壊れそうな声がすごく似ていた」と永作を絶賛。
★朝田昌貴・99点、ribbon・96点。「針すなおは美空ネタに絶対に10点を付けない説」がここでも実証されることになった。

1回戦・Aブロック 第3組目

わたる哲兵

しのざき美知

浜田省吾のまねで 中山美穂のまねで
悲しみは雪のように ローザ
●王座挑戦は4度目ながら、未だ1回戦を勝ち抜いた経験のないわたる哲兵。どうも要領が悪いというか、場の空気になじめないようなところがいつも敗因になるような気がする。今回は大ヒットドラマ『愛という名のもとに』の主題歌を熱唱。しかしハマショーの知名度が審査員の間ではそれほど高くなく、ネタの選択を誤ったのでは・・という気がしないでもなかった(もちろん知らない審査員に非があるのだが)。声はそこそこ似ているが、ちょっと力強さが足りず軽い印象になってしまったのが残念。研「哲兵くん、んー誰だかよく分かんない(笑)。アタシ所さんが歌ってるのかと思っちゃった」。確かに所ジョージをやらせると上手そうだ。
●毎回トビ道具的なネタで何を持ってくるか分からないしのざき、今回は大爆発!今風にいえば「ありえない」衣装で、「ちょっとどーしたの?なーにどーしたの?ホントにホントにホントにホントにごくろーさん!」を繰り返す。もちろん、足のふくらはぎをチラっと見せるあの振付けで。「ハワイでー、いっしょにいたー、トシちゃんとはどーなっちゃったーのー」の歌詞が時代を感じさせる。ものまねを超越した芸に、会場はまさかの異様な盛り上がり。みんなから「気持ち悪い」「女を捨ててる」とか口々に言われていたが、歌い終わると「あなたはこの番組には必要」「貴重な存在」と大絶賛を受ける。わたる哲兵、今回も立つ瀬なし。
★わたる哲兵・92点、しのざき美知・94点。郁恵「(哲兵に)自信作だったんでしょう?」、哲兵「あぁ・・、また勉強してきます・・」、研「まさかコイツに負けるとは思わないよね」。

1回戦・Aブロック 第4組目

ジミー大西

松居直美

矢沢永吉のまねで プリンセスプリンセスのまねで
ルイジアンナ ダイアモンド
●前々回はジュリーでオープニングを飾った(飾り損ねた?)ジミー大西が再登場。今回もスタッフの目を気にしながらオドオドと永ちゃんに挑戦。もう見てて可哀想になるくらい、音と歌と踊りが合わない。まあそれが彼のカラーといえばカラーなのだが。ジミー「始まる前に、スタッフにエライ怒られたんです。オマエ、勉強してきてるのか、って。でも僕には精一杯なんです」。この言葉に同情票が集まるか?
●女四天王の松居直美は、いつもの洋物ではなく、珍しくポップスを披露。長い足をさらしつつ、定番『ダイアモンド』を。歌い出しは「おぉ!」と思ったが、慣れてくるとだんだん松居直美本人の声に戻ってしまったのが残念ではあった。
★ジミー大西・89点、松居直美・98点。1回戦Aブロック、いまだ針先生に「10点」なし。

 

1回戦・Bブロック 第1組目

ダチョウ倶楽部

笑福亭笑瓶

名古屋章のまねで パーマン2号のまねで
ユー・キャント・タッチ・ジス おもちゃのチャチャチャ
●好カードといえば好カードだが・・・何ともいえないマンガチックな対戦。ダチョウ倶楽部は前回好評だった肥後の「名古屋章」に加え、上島の「東京章」と寺門の「大阪章」の「章ダンサーズ」が登場、「今日はぁぁ、あのぉぉぉ、うぅぅぅ〜〜」と3人同時に卒倒するシーンは大爆笑もの。MCハマーの代表曲に乗せて「ななななんだオイ!」「おいおいおい、またかおい?」を連発。ただ踊るだけでなく、ダチョウならではの何か面白いアクションを起こせばもっと爆発力があったかもしれない。普通にダンスを踊ってどうする。
●鏡で横顔を見ていて「サル顔」であることに気付いたという笑瓶、見た目で勝負のパーマン2号。この番組初の空中パフォーマンスでバナナを撒き散らし、会場は湧きに湧いた(まあ子供向けの出し物なんだけどね)。そんなことより、似顔絵の「パーマン2号」はやはり針すなおが描いているの?という疑問が頭に浮かぶ。
★ダチョウ倶楽部・91点、笑福亭笑瓶・99点。笑瓶、初の2回戦進出!それにひきかえ、ダチョウが見事に「スベッた」という顔をしていたのがたまらなかった。

1回戦・Bブロック 第2組目

しじみとさざえ

ケントフリック

こまどり姉妹のまねで フリオ・イグレシアスのまねで
三味線姉妹 黒い瞳のナタリー
●今回は「双子ネタ」が色々と登場するが、その1発目がしじみとさざえの「こまどり姉妹」。合い間合い間に「ベケベンベンベン」と三味線の音を自ら発声し、笑いを取る(・・と良かったのだが。実際はハズしていたっぽい)。そんなことより早くピーナッツやりたいんだろうなあ、とふと思った。この番組のあとに放送された『ものまね王座の舞台裏』という番組で、木村Pに何やらくどくどと叱られていたようだったが・・・。多分「余計なアドリブを入れるな」とかいうことだったのだろう。
●効果音ものまねの草分け的存在も、この番組ではいまいちパッとしないケント。今回もインチキ外人風で、フリオ・イグレシアスを熱唱(顔は圧倒的に「草刈正雄」なのだが」)。巻き舌が少々ウルサイ気がしたが、歌は基礎がしっかりしていることもあって、聞かせるツボを押さえている感じ。毎回思うことだが、ケントと研ナオコの身長差ありすぎ。いつも研は首が痛そうだ。野口五郎は「ケントさんは、もう見るからに外人ぽくて・・・」と感想にいちいち笑いを入れてくる。
★しじみとさざえ・100点、ケントフリック・97点。地味ながらもハイレバルな得点となった。しじみとさざえは「ザ・ピーナッツ」以来の満点を獲得。

1回戦・Bブロック 第3組目

ピンクの電話

松本明子

ゴマちゃんのまねで リンドバーグのまねで
こまっちゃうナ 今すぐKiss Me
●前の対戦の得点を聞いていたとき、セット後方で必死にネタ合わせをしていたピンクの電話。記念すべき10作目のぬいぐるみは、キュートさ屈指の「ゴマちゃん」。漫画『少年アシベ』に出てくるゴマフアザラシのキャラクターである。竹内「今回は、これやろうと思った時点で、『あ、似るな』と思いました」。山本リンダの曲に合わせて「ゴマっちゃんが〜、キュン、デートにさそわれた〜」。審査員、司会とも「かわいい」しか感想がないのが、もっともなような、かわいそうなような。
●松本明子は、前回のドリカム同様、最近のヒット曲からリンドバーグを選曲。この当時ネコもシャクシもカラオケで歌っていた曲だけに知名度は抜群。あの渡瀬マキ独特のハスキーさは足りなかったが、元気で真っすぐ伸びていく声はよく捉えておりました。
★ピンクの電話・96点、松本明子・100点。しかしピンクに96点が出るとは・・。竹内「私たち、普通のものまねやってもこんな点数取れないですもん」。

1回戦・Bブロック 第4組目

桑野信義

清水アキラ

藤島桓夫のまねで 矢沢永吉のまねで
月の法善寺横町 止まらないHa−Ha
●前回は卑怯なワザで決勝まで勝ち進んだ桑野信義。どうやら今回も1回戦からキタナイ手を出してくるようだ。「ほうちょう、い〜っぽん」のフレーズが有名な『月の法善寺横町』と、一見マイナーなシブイものまねで勝負かと思えば、「ほうちょう、にほ〜ん」「ほうちょう、さんぼ〜ん」と体中のあちこちから包丁が出てくる。結局全部で12本の包丁が登場し、「いちだ〜す〜」でシメ。私が中学生のとき、同じ陸上部の同僚が「包丁の2本目までは面白かったが、3本目以降はしつこかった」と厳しい批評をしていたことを思い出す。
●知る人ぞ知る、アキラの矢沢。昔から「きみはファンキーモンキー、モンキー!」でサルの真似、というネタをよくやっていたが、今回は一本ネタで割りと真面目に。顔の右半分に縦にセロテープを貼り、矢沢の顔を作りやすくする工夫はスゴイ。実はこの当時、矢沢はCM問題でピリピリしていたのだが(かつて『王座』にも出演していた矢沢のそっくりさん・五十嵐ひろゆきが、本人に無断で北海道のパチンコ屋のCMに出演し、いかにもYAZAWAが出ていたように演出したことが永ちゃんの逆鱗に触れたという事件)、そんなことはまるで気にもせずのびのびとやっていた。研「よかったよー。なんで淡谷先生がいないときにそんな真面目なものやるの?」。
★桑野信義・96点、清水アキラ・100点。Aブロックとはうってかわって、100点が連発。特に審査が甘いという雰囲気もないのだが・・・今回はトップ層がみんないいネタを持ってきたということだろう。

 

1回戦・Cブロック 第1組目

松村邦洋

コロッケ

とんねるず(石橋貴明)のまねで 菊池桃子のまねで
ガラガラヘビがやってくる BOYのテーマ
●今回の最激戦区・Cブロック。この頃の松村は「バウバウ!」ばかり。ちょうど『電波少年』などで脚光を浴びてきた頃である。そんな松村のネタは、前回出しそびれた石橋貴明。全身黒タイツ(モジモジ君の衣装)で、大ヒット曲の『ガラガラヘビ』を歌う。歌詞はメチャクチャだったが、研も「今までで一番よかったんじゃない?」と褒めるほど、まあまあ似ていたのでは。歌い終わって、三宅裕司をやってみたところ(「あーさて、三宅裕司ですけどもですね」)、またまた大ウケ。研「そんだけ上手いのになんでガラガラヘビやっちゃったの?」、松村「あーそうですね、またいつものパターンになってしまいましたね」。
●コロッケはお得意の審査員ものまね(ていうか、コロッケのネタが決まった時点でブッキングするのだろうが)、今回の餌食はなんと菊池桃子。まあいわゆるコロッケらしい間の取り方で、可愛らしく不気味に歌う。菊池「始まる前は絶対似ていないと思ったんですけど、なんか似ていませんでした?声が。伏し目がちにした表情とか、私に似ていたような・・・」、司会一同「えー!似てないよー!」。菊池「でもなんか親近感が湧くというか、コロッケさん愛してしまいますね」の声に、心底うれしそうなコロッケ。コージー冨田が真似するコロッケの「あ、うれしっ!」のフレーズはこの時に発せられたものである。
★松村邦洋・97点、コロッケ・99点。松村の97点が出たときに、「あー、負けたー」といったリアクションをしたコロッケ。最近負け癖がついているだけに2回戦進出もやっと、といった感じであった。

1回戦・Cブロック 第2組目

岩本恭生

栗田貫一

ザ・タイガース(沢田研二)のまねで 石原裕次郎のまねで
君だけに愛を 夜霧よ今夜も有難う 
●1回戦屈指の好カード。岩本恭生は前回に引き続き相手が四天王、栗貫も1回戦で強敵とあたることが多い、というクジ運の悪い者同士の戦いである。岩本は得意のジュリーだが、今回は若々しくタイガース時代のジュリー。歌声+表情+フリ+雰囲気、トータルで見ても完璧なまでのものまねである。昨年は一度も決勝へ行けなかった岩本だったが、もしかしたらこのネタをいつも決勝用に取っておいたのかもしれない。磨きぬかれた、素晴らしい完成度だった。
●いつもながら凄い相手とあたってしまった栗田は、新ネタの(そして今まで誰もやっていない)石原裕次郎に挑戦。会場がシーンとなるほど、全員が聞き惚れていた。歌い終わって、研は「えぇ〜?(栗貫を指差して)うまーい!」、郁恵は「栗貫ってそんな声が出るんですか?」と、今までの栗田のカラーをかけ離れた出し物にみんな驚いた様子。鈴木邦彦「栗貫、何それぇ〜?ぞくぞくっとしましたよ。滅多にないことだと思いますけどね」、峰岸「栗貫がやっとやってくれたという感じで、聞いていて裕次郎さんが浮かんできましたよ」と審査員も大絶賛。しかし針のみ「もう少し声の膨らみみたいなね、裕次郎独特の、あのへんが表現できればなあ、と思ったんですがね。ジュリーのほうは、いつもながらの、お見事!という感じで聞きました。」と。審査員の意見が真っ二つに分かれたのは珍しい。
★岩本恭生・96点、栗田貫一・99点。岩本の得点がいきなり「9点、8点、9点・・」で始まったときは驚いた。やはり、いくら完璧に似ていても、ジュリーや布施明ばかりでは飽きられてきたということかも知れない。岩本は91年から、にしきのあきら、和田アキ子、谷村新司、沢田研二と、自分が完璧に作り上げた(と思われる)ネタばかりを出しては負けてきた。今回、自分でも最高に自信のあるジュリーで負けたことで、この番組に対する自信というか信頼というか、よく分からないが「何か」がプチっと切れたのだろう。それは新作ばかりを追い求める番組のノリについていけなくなった、ということかもしれない。とにかく、彼は今回で番組を卒業した。岩本は現在、日本テレビの『ものまねバトル』でコロッケとともにリーダー的役割を担っている。

1回戦・Cブロック 第3組目

CCガールズ

斉藤ルミ子

ピンクレディのまねで 麻丘めぐみのまねで
カルメン’77 わたしの彼は左きき
●強豪揃いのCブロックの谷間?CCと斉藤の対決。CCガールズは前回好評だったWピンクレディの第2弾。似ている似ていないはともかくとして、野口五郎と峰岸徹が食い入るように見ていたというのが見所である。きよ彦「誰か一人だけ振付け間違えたのいたでしょ?手あげてみなさい」、藤森、藤原、原田の3人が手をあげる。そう、一人だけ合っていた青田のほうが、一人間違っているように見えたのだ。
●『ものまね王座の舞台裏』では、音合わせの段階で木村Pにこっぴどく叱られていた斉藤ルミ子。苦渋の選択の結果、1回戦で披露することに決めたのは麻丘めぐみ。中山美穂、小柳ルミ子など派手めなネタも用意してあったのだが、無難なところに落ち着いた。声が若干細すぎた印象があるが、顔の幼さや弱弱しい振付けはまあまあ似ていた。
★CCガールズ・97点、斉藤ルミ子・96点。まさかの勝利に涙ぐむCCガールズと、CCガールズの勝利にニヤつく野口五郎が好対照だった。裏でCCに「がんばってくださいね」と声をかけていた斉藤ルミ子が好印象だった。叱られても叱られても立ち上がる気の弱い斉藤、涙・涙の初優勝までは、あと少し。

1回戦・Cブロック 第4組目

ビジーフォー

城之内早苗

ビートルズのまねで 西川峰子のまねで
プリーズ・プリーズ・ミー あなたにあげる
●1回戦のトリを飾る横綱・ビジーフォーが登場。モト冬樹が研ナオコに「こないだCCガールズに電話番号聞いてたでしょ?今日は住所聞いてたよね」と攻撃され戦意喪失、というお約束のシーンが繰り広げられる。1回戦の出し物は、いきなり勝負ネタの「ビートルズ」。グッチ裕三はもちろんポール・マッカートニーだが、この1年のうちに3回もポールをやっている。それでも勝ち上がるのだから、岩本は納得してないだろう(笑)。ちなみに残り3人は、ジョン・レノンを冬樹が、リンゴ・スターをエデン東が、イジメられ役のジョージ・ハリソンをウーロン茶が演じる。ビジーフォーならではのハーモニー(つまりビートルズのハーモニーとは違う、ということだ)で、見事にごまかされた審査員による高得点が期待できる。
●大トリは実力派の城之内早苗。こちらも研ナオコに「彼氏、元気?」と言われるが、気丈に振舞っていた。出し物は、独特のコブシが難しい西川峰子。しかしそこは本格演歌歌手(?)の城之内、持ち前の歌唱力で軽々クリアーしていた。うつみ美土里がやけに長くベチャクチャ批評していたが、要約すれば「菊池桃子ちゃんの世代は西川峰子さんが歌手だったのを知らないんですって、西川峰子さんのほうが歌い方が下品だった、ビジーフォーの歯切れのよい英語が見事だった」の3点。菊池桃子、知らないのにどうやって点数つけたんだろう?
★ビジーフォー・100点、城之内早苗・97点。城之内は善戦するも、横綱の貫禄の前に敗れた。

 

準々決勝・Aブロック 第1組目

原田ゆかり

朝田昌貴

高橋真梨子のまねで ディック・ミネのまねで
桃色吐息 旅姿三人男
●準々決勝のスタート。原田ゆかりは初の高橋真梨子で『桃色吐息』。1回戦の『いい日旅立ち』もそうだったが、誰もが知っている曲を真似るのはとても難しいのだ(審査基準が厳しくなるからね)。ごまかしの効かない正統派な勝負をしてきた原田はエライ(またそれで勝ち上がるからね)。
●初出場ながら2回戦に上がってきた朝田昌貴は、往年の懐メロを守備範囲とする。今回は彼のカラーが大爆発、昭和期の大歌手であるディック・ミネのものまね(さすがに私もあまり知りません)。鈴木邦彦「原田さんは自分の持っているイメージとは正反対のものまねに挑戦して、努力が凄く見えましたね。それから朝田さん、私はあなたのことはあまり知らないんですが(笑)、さっきの美空さんとはまたまた正反対のものまねをして、中身の濃いいい勝負でしたね」と。美空ひばりとディック・ミネって正反対なの?どちらかといえば「同一線上」というイメージだが。
★原田ゆかり・97点、朝田昌貴・95点。原田ゆかりが3回戦に進むのは4年振り、優勝した『第20回オールスター(1988年)』以来のこと。

準々決勝・Aブロック 第2組目

しのざき美知

松居直美

菊池桃子のまねで 南沙織のまねで
Say Yes! 色づく街
●何かの間違いで2回戦のステージに立っている(笑)しのざき、再び審査員の菊池桃子はゲテモノ扱いされる被害に遭ってしまう。「菊池桃子」という観点で見てもコロッケの二番煎じ、「しのざき美知」という観点で見ても1回戦の二番煎じ。ただただ不細工に歌い散らせばいいというわけではないのだ。菊池「ちょっと、これは愛せないですね・・・」。しかし菊池桃子のイメージって一体??本人も自己嫌悪に陥ってなければいいのだが。
●松居は得意の南沙織を切々と歌い上げる。少しハスキーで鼻にかかった歌声がそっくり。また歌がいい歌なんだ、これが。しのざきにぶつけるには少し勿体無い出し物だったかも。
★しのざき美知・80点、松居直美・100点。ものまね史上、最多不倒得点差の20点差。しのざきの点数は順に「8、9、8、6、6、8、9、8、8、10」。うつみと菊池が史上初の6点を出し、研ナオコの名言「オマエのためにある6点だ!」が飛び出すこととなる。80点というありえない点数に、しのざき「(松居に)勝ったと思ってんじゃないでしょうね!」、一同「勝ってんだよ!」。最後に研が一言「今度は1ケタに挑戦して」。

準々決勝・Bブロック 第1組目

笑福亭笑瓶

しじみとさざえ

ボヤッキーのまねで リリーズのまねで
ミネソタの卵売り 好きよキャプテン
●1回戦に引き続きマンガネタの笑瓶。今度は『タイムボカンシリーズ』のボヤッキーを、トンズラー・ドロンジョさまと一緒に。とはいっても声はよしこちゃんと全く一緒だったりする。「ボ、ボ、ボ、ボ、ボヤッキー」の替え歌の部分は割りと似ていたのに、「あ〜ら、じぇんこくの女子こうこうしぇいのみなしゃ〜ん」のしゃべりになるとまるで似ていなかったのはなぜ?
●1回戦に引き続き双子ネタのしじみとさざえ。「すきよ、すきよ、キャプテン」という歌い出しから見ている者を一気に引き込む、すごい力があった。野口も「リリーズって忘れていたんですが、2人の第一声を聞いた途端にわっと思い出しました」と絶賛。声もさることながら、笑顔が似ていた。笑いながら歌うのは大変だったことだろう。
★笑福亭笑瓶・90点、しじみとさざえ・99点。しじみとさざえ、今日は新ネタが好評で高得点を連発している。この勢いがどこまで持つか。

準々決勝・Bブロック 第2組目

松本明子

清水アキラ

大橋純子のまねで 林家三平のまねで
たそがれマイラブ よしこさん
●松本明子は本格派のものまねに挑戦。歌唱力抜群の大橋純子を、正確に心をこめて歌う。しかし相手は強敵の清水アキラ、熱唱だけで勝つのはちと難しいか?という気がしないでもない。アキラにぶつけたということは、松本の今日の出し物のなかでいちばん自信のあるものを出してきたのだろう。
●いつになく真面目なアキラに、研「ねえ、もしかしたらさあ、優勝しようと思ってない?」、アキラ「いやぁ・・そんな」、研「こいつ!優勝狙ってんだよ!」と周りが囃し立てる。今日はアキラに限らず、強豪はみな200万円を取りにいっているのだ。さて、そんなアキラの2回戦は林家三平。「海に座布団が浮いてらぁ、ザブトンザブトン」「ヨットの端っこ持ってくれ、アラヨット」「最近はもう英語がすごいスからぁ、隣りの空き地に囲いが出来たってねえ、ブロック!」など、昭和の雰囲気プンプンの独自の世界を見事に作り上げた。時々アコーディオン奏者の新井さんに「オジサン、ウルサイよ」「合わせてよ」などと茶々を入れるところも、本人の雰囲気に近いものがある。審査員・司会一同「そっくり!」と大絶賛。と、そこへ清水国明が「たった今、情報が入りました。コイツ(アキラのこと)ねえ、やっぱり優勝狙ってるんですって。何でかっていうと、淡谷先生がいないからだって」。研「分かった!オニの居ぬ間に、ってヤツだ」。
★松本明子・95点、清水アキラ・99点。珍しく、たった一人アキラに9点を付けたのは大矢明彦だった。

準々決勝・Cブロック 第1組目

コロッケ

栗田貫一

松田聖子のまねで きんさんぎんさんのまねで
抱いて・・・ 三百六十五歩のマーチ
●激戦のCブロック・準々決勝には四天王が3組も!まずはこの番組名物の「コロッケvs栗田貫一」、しかしこの対戦が二人にとっての最終対決となる。まずはデッケェおかま、コロッケは究極の女性ネタ・松田聖子。当時話題の『タンスにゴン』のCMを織り交ぜ、コロッケらしい「間」が全開。確かに面白く笑えるのだが、1回戦の菊池桃子からさほど抜け切れていないところが気になるといえば気になる(針先生もその辺のところを指摘していた)。
●未だコロッケ相手に勝利したことがない栗田貫一は、意表を突いて「きんさんぎんさん」に挑戦。今回はいろいろと双子ネタが登場したが、その極めつけのネタといえる。舞台上で、座布団の上にちょこんと座っているように演出、口をパクパクさせながら歌う(喋る)姿に、研や郁恵が「かわいい〜」と。きんさんとぎんさんの声も微妙に変えていた(ぎんさんの方が若干しわがれ声で、たくましい)。針「僕もこないだきんさんぎんさんの似顔絵描いたんですけどね、僕の似顔絵どころではない、とてもとても、面白かったです」。後に『舞台裏』で放送されたのだが、セットの裏で勝負の行方を見守っていた清水アキラが栗貫のネタに笑いつつ「栗田、勝ったなぁ!」と言っていたのが今でも記憶に残っている。
★コロッケ・97点、栗田貫一・100点。「100歳!100歳!」のネタで、見事に「100点!」を出した。栗田にとっては記念すべき勝利。コロッケにとっては行き詰まりを感じた敗北だったのか、この対戦を最後に『ものまね王座』からは引退した。しかし岩本もコロッケも、栗貫に負けて番組を引退するとは、何だか妙な因縁を感じる。

準々決勝・Cブロック 第2組目

CCガールズ

ビジーフォー

ノーランズのまねで フォアシーズンズのまねで
セクシーミュージック シェリー
●激戦区Cブロックの2組目はCCとビジーフォーの洋楽対決(しかも4人組対4人組)。CCガールズは初期のヒット作ともなった「ノーランズ」をここで初披露。ものまね、というよりはセクシーな衣装と振付けで外国人の歌を華麗に色っぽく歌った、という感じ。でもきっちり積み重ねてきた特訓は伊達ではなく、ステージ上の華とオーラは素晴らしかった。
●同じ4人組の「フォア・シーズンズ」に、裕三と冬樹の2人っきり(+冬樹の両隣に人形が2つ)で挑戦。毎度のことながら、裕三の美声には圧倒されるばかりである。しかし、鈴木先生も言っていたが、「2人対4人」でCCの迫力に負けてしまった感がどうしても残ってしまった。奇しくも同じジャンルでの対決となったが、それがビジーフォーを不利な戦いに導いてしまったようだ。
★CCガールズ・97点、ビジーフォー・96点。まさかの大番狂わせ、大金星を挙げたCCは涙涙。「ええ、どうしよう、次(3回戦用のネタを)考えてない」の声に、裕三が素早く反応し、手を高々と挙げて「考えてある!考えてある!」と負け犬の遠吠え(笑)。ここでもしビジーフォーが勝ち上がり、準決勝で「栗貫vsビジーフォー」の戦いが実現していたらどうなっていたのだろうか。今日の栗貫の勢いなら、ビジーフォーに対する初勝利も達成できていたかもしれない(もしそうなっていたら、栗貫は四天王を全組倒しての完全優勝を果たしていたことになる)。

 

準決勝 第1組目

原田ゆかり

松居直美

中森明菜のまねで 中尾ミエのまねで
二人静 可愛いベイビー
●準決勝1組目は同じ事務所の先輩・後輩対決。久々の準決勝・原田ゆかりは、中森明菜の新曲『二人静』に挑戦。いつもオーバーめにやられることが多い中森明菜のものまねだが、原田は正統派に歌真似した。たまに本人の地声が出てしまうが、部分部分でゾッとするほど似ているところがあった。
●先輩の松居直美は、今日一番の自信作、中尾ミエを披露。第一声の「きゃわいいベイビー(←私にはこう聞こえる)」から会場を一気にツカんだ。うつみも「あの中尾さんのヨダレが出そうな歌い方っていうか、よく研究しているなあと感心しました〜」とベタ褒め。針も「直美ちゃんもエクボが出るので、その辺が余計に似ていましたね」と似顔絵師ならではのコメント。
★原田ゆかり・94点、松居直美・96点。1回戦・2回戦と楽な相手で勝ちあがってきた松居、強敵を相手に自信作で見事な勝利を修め、決勝進出の一番乗りを決めた。

準決勝 第2組目

しじみとさざえ

清水アキラ

ザ・ピーナッツのまねで 橋幸夫のまねで
恋のフーガ 恋のメキシカンロック
●今日は双子ネタ限定で勝負しているしじみとさざえは、自分たちが最も得意とする双子ネタ「ザ・ピーナッツ」を四天王にぶつける。かつて強大な破壊力があったピーナッツも流石に3回目、強敵の新ネタに通用するかどうか。
●清水アキラは準決勝で渾身のテープ芸を披露。頭周りにグルッと一本のセロテープを巻きつけ、眉間にシワを2本あしらえば橋幸夫の出来上がり。マニアックにも、「メキシカンロック〜、あゴーゴー、あゴーゴー」と歌う『恋のメキシカンロック』を選曲。首をクネクネさせながら歌うこれまでの橋幸夫の真似し方とは一線を画した歌い方に会場は大爆笑。後に橋幸夫・御本人とデュエットを果たすことになるが、御本人も「なんでこの歌なんだよ!」と立腹されていたのが可笑しかった。峰岸「アキラっておかしいねえ(笑)。抜群におかしい。それで今日全部新ネタやってるでしょ?それが全部ハマッてんのね。スゴイ!ピーナッツも似てます、確かに。でも今までので勝負している、というのがね・・・」。生田「アキラさん、あなたなんで淡谷さんいないときにこんなマジメなのやるの?」、研「それとねえ、ノビノビやってるでしょう?今日」。あとで番組スタッフが淡谷先生にもこのVTRを見せていたが「マジメにやってますけどねえ、なんにも似てないの。ただマジメだというだけで。ダメ。」と一刀両断していた。
★しじみとさざえ・94点、清水アキラ・100点。アキラは「100点」「99点」「100点」と高得点を連発させて決勝進出。峰岸徹の言うとおり、新ネタが大いにウケての勝利を重ねている。この絶好調が決勝でも持続するか。

準決勝 第3組目

栗田貫一

CCガールズ

八代亜紀のまねで 中森明菜のまねで
雨の慕情 TATTOO
●清水アキラ同様、今日は新ネタがきっちりハマっている栗田。3回戦もこれまでの栗田のカラーとは違った出し物で勝負をかける。ネタは「八代亜紀」の雨の慕情を、目をウルウルさせながら、合間合間に「ヘヘヘッ」と怪しい微笑みを浮かべる。最後は「雨、雨、降れ、降れ、もっと降れ〜、ピチピチ、チャプチャプ、ラン、ラン、ラ〜ン(「ラ」の発音は「ラ」と「レ」の中間(ちょうど「走った」の「ran」の発音に似ている))」と替え歌で。野口「いやあ栗貫、今日はちょっと異常な恐さがあるんですよ。なんか迫ってくるようなものがあって、驚いてます」。針「さっきの『きんさんぎんさん』で吹っ切れちゃって、今日はノリまくっている様子が伝わってきますね。面白いですねえ、いつもより・・・」とドキッとするコメント。
●トントン拍子で勝ち上がってきたCCガールズは、藤森夕子が一人中森明菜で、他のメンバーがトランペットを持って踊るというネタ。セクシーアイドルは一度は挑戦するといわれる中森明菜の『TATTOO』、そういう意味ではお約束ともいえる出し物である。
★栗田貫一・100点、CCガールズ・93点。栗田も「99点」「100点」「100点」と絶好調。今大会におけるアキラと栗貫の意気込みは凄く、審査員・司会ともども驚いていた。

 

決勝

松居直美

清水アキラ 栗田貫一
大月みやこのまねで 堺正章のまねで クリスタルキングのまねで
女の港 夕陽が泣いている 大都会
●実力者が3人揃っての決勝戦。今回のハイレベルなトーナメントを制するのは果たして誰か。まずは女四天王の松居直美、かつて『第7回爆笑スターものまね王座』で披露して大好評(99点)を博した、大月みやこの『女の港』を熱唱。松居のこういうタイプの曲は安心して聴くことができる。
●矢沢永吉、林家三平、橋幸夫、と今日だけでヒット作を続々と作り出してきた清水アキラは、ここへきて得意ネタの堺先生。スパイダースの衣装を着て、セロテープで目を細くし、プツプツと切れる独特の歌い方を熱唱。よく特徴を掴んでいたが、途中で「誰かに恋をして〜、はうひいホイをして〜(本当は「激しい恋をして〜」)」と歌詞がトンでしまったのが残念。本人も「セロテープを貼ることばかり考えていたら、歌詞がクシャクシャになった」と洩らしていた。
●石原裕次郎、きんさんぎんさん、八代亜紀と変則ネタで勝ち上がってきた栗田貫一は、決勝で迫力満点の『大都会』を熱唱。田中昌之(高い方)も、吉崎勝正(低くて恐い方)もどちらも似ていた。第一声の「あぁ〜、果てしない〜」で優勝を決めたのではないか(客席で涙する者も何人か見られた)。途中カツラを脱ぎ捨てグラサンをかけ、「裏切り〜の言葉に〜」の凄みのある歌声にまた驚き。決勝にこのネタを残せたのは実に大きかった。
★松居直美・93点、清水アキラ・96点、栗田貫一・99点。昨年の秋に続き、栗田貫一が2度目の優勝を飾った。特筆すべきは今日4つのネタの得点。合計「398点」と、過去最高の得点で完全優勝を果たした。今日の勝因は、何度か述べてきたが「自分と正反対」のカラーを前面に押し出したネタがことごとくウケてきたということ。そういう意味では清水アキラも完全優勝の可能性はあったのだが、決勝で少し息切れしてしまったのが残念(それでも今日の2人は凄かった)。いつも真面目な感じで「熱唱」を武器としてきた栗田が、この大会で新しい一面を開拓した。今回の優勝が彼にとってのターニングポイントになったというのは、これからのトーナメントを見ていけば分かることだろう。

 
≪熱演賞≫ 忍者 ribbon 笑福亭笑瓶 しのざき美知

≪努力賞≫ 朝田昌貴 松村邦洋

≪敢闘賞≫ CCガールズ 原田ゆかり