第12回 爆笑!スターものまね王座決定戦 1992年12月1日放送

【司会】  研ナオコ 榊原郁恵 清水国明

【審査員】

鈴木邦彦 生田悦子 淡谷のり子 峰岸徹 うつみ美土里&
志茂田影樹
和田アキ子 大矢明彦 水前寺清子 針すなお 保沢紀

1回戦・Aブロック 第1組目

ピンクの電話

松居直美

ハムスターのまねで 森高千里のまねで
モンスター 私がオバさんになっても
●毎回あの手この手のぬいぐるみネタを引っ張ってくるピンクの電話。今回は「ハムスター」で「モンスター」。そういえば、『第22回オールスター』のときは「ウォンバット」で「ウォンテッド」だった。小動物とピンクレディの間には何やら不思議な関係がありそうだ。
●今年は2戦とも決勝まで進んだ松居直美。ということは、この時期ネタ作りに非常に苦労しているはず。しかしそれを感じさせない挑戦的な(笑)ものまねが今回の「森高千里」。一昔前のものまね王座っぽい真似の仕方、といった感じだろうか。声はそこそこ、でも振り付けと表情で最後まで聴かせていた。
ピンクの電話・90点、松居直美・96点。松居、楽々と2回戦進出。

1回戦・Aブロック 第2組目

松村邦洋

ビジーフォー

ビートたけし、高田純次、高田文夫のまねで 布施明のまねで
港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ それが青春だ
●この当時人気急上昇のバウバウ松村。いよいよ満を持しての「高田文夫」と、出世作の「ビートたけし」。宮沢りえと貴花田(当時)の婚約ネタを中心に、3人の喋りネタ。高田純次の「いやいや驚いちゃいましたねぇ〜、貴花田と森尾由美の結婚。あ、そりゃ間違っちゃいましたね」のフレーズは秀逸。最後は思いっきり「バウッ!バウッ!たけちゃん、バウッ!」、そして殿の「ハーウッ!」でオチ。『北野ファンクラブ』を知らない地方の人には、何を真似てるんだか分からないネタだっただろう。でも筆者は好きなネタ。
●前回欠場のグッチ裕三が復帰。1回戦はビジーフォーのフルメンバーが登場して青春ドラマを完全再現。モト冬樹がラガーマンに扮して若い頃の「布施明」を、その他のメンバー(グッチ、ウーロン茶、エデン、北海、紅一点)が学生に扮し、最後はグッチが魔法の水(ヤカンに入った普通の水)を紅一点にかけられてオチ。研ナオコも「なんか、久々に出てきたらこれだ」とやや呆れ顔。それにしても冬樹の布施はそっくり。『シクラメンのかほり』の布施でなく、『これが青春だ』の頃の布施の声を忠実に真似していた。
松村邦洋・90点、ビジーフォー・95点。松村とピンクの電話の点数が同じ・・・松村は「ものまねタレント」なのに・・・。

1回戦・Aブロック 第3組目

斉藤ルミ子

栗田貫一

松田聖子のまねで 三波春夫のまねで
サザエさん チャンチキおけさ
●斉藤ルミ子はデビュー作であり看板作品でもある松田聖子に2度目のチャレンジ。「栗田さんが対戦相手と聞いて、これしかないと思いました」とのこと。いつもは真面目に歌真似する彼女にしては異色の作品で、『サザエさん』のメロディに乗せて、CMなどで見られる松田聖子のコミカルな一面を演じる。「みんなが笑ってる〜」の後に甲高い声で「アッハッハハハ〜」など。四天王を相手に、もう捨てるものなど何もない!という気合が感じられた。和田「寒気するぐらい(似てた)、松田聖子のものまね。参ったよねぇ、なんで?めちゃめちゃ好きなんでしょ?顔見てると腹立つから目つぶってたの。でも似てる。やだなあ、と思うところがそっくりだった」、清水「あれ?ということは和田さん、松田聖子さんのこと嫌いなんですか?」、和田「(すかさず)好きですよ!すごく(笑)!好きだから言えるんですよ〜」と芸能界のドンが一刀両断。
●栗貫は、ベテランらしい出し物「三波春夫」。往年の『ものまね王座』では数々の名人が真似してきた三波を、栗貫らしいコブシで聴かせる。栗田「恐いのは、角川博さんって言われるんじゃないかと・・・(笑)」。和田「(栗貫のほうは)なんか安心して聞けちゃって、逆にこっち(斉藤ルミ子)に負けちゃったかな・・・」
斉藤ルミ子・94点、栗田貫一・99点。和田のトークで話題の中心は松田聖子だったが、それをものともせず栗貫の勝利。栗貫がここまで貫禄を見せて勝つのは、なんだか新鮮。

1回戦・Aブロック 第4組目

ダチョウ倶楽部

清水アキラ

アントニオ猪木大仁田厚ジャンボ鶴田のまねで デーモン小暮一節太郎のまねで
ドレミの歌 浪曲子守唄
●ダチョウ倶楽部は、アントニオ猪木(寺門)、大仁田厚(上島)、ジャンボ鶴田(肥後)のプロレストリオ。『ドレミの歌』の歌詞に乗せて、「ドラム缶」「レンガ」「水」「ファイヤ〜」「掃除機」「ラッパ(←そのまんまじゃねえか)」などが次々に上島にぶつけられる壮絶なネタ。次の「シ」で「死んじゃうよ〜」には笑った。最後はセット後方のロープに投げつけられ、FMW(当時)さながらの電流爆破!会場がドッピキだったのが最高。最後は3人で思いっきり「ファイヤ〜!」。最後のインタビューで上島が「あんな火薬が仕込まれてるなんて聞いてないですよ!」と、涙が出るくらいのお約束。いい時代だったなあ。針「隣りの水前寺さんがねえ、泣き出したんですよ。火薬が恐いって。だから、そこ1点減点ですね(笑)」、これにはダチョウも「おいおいおいおい!」。
●見た目はデーモン小暮で登場の清水アキラ。研ナオコに「誰やるの?」と聞かれ、しゃがれ声で「一節太郎だ」には参った。同じ声質を利用して、デーモンと一節を交互に歌うアイデアものまね。途中、どっちがどっちか分からなくなるが、もはやそんなことはどうでもいい。針「これ1回戦でやると、ノドやられて後がつらいんだよね。2回戦、頑張ってね」、これにはダチョウが「おいおいおいおい!」(笑)。淡谷「どっちも面白くないですね」、これに4人全員でズッこけるシーン。今回はお宝シーンの連続だ。
ダチョウ倶楽部・91点、清水アキラ・97点。2回戦の「栗田貫一VS清水アキラ」では今大会屈指の名勝負が繰り広げられる。

 

1回戦・Bブロック 第1組目

松本明子

笑福亭笑瓶

平松愛理のまねで 小金沢昇司のまねで
部屋とYシャツと私 みちのくひとり旅
●松本明子は、女子大生やOLに人気だった当時のヒット曲から『部屋とYシャツと私』。まあいわゆる松本らしい出し物である。顔はあんな風で、声はあんな風だろうなあ、と予想して聞いたらその通りだった、みたいな感じだろうか。だからといって完成度が低いわけではない。歌の上手い人は何をやらせても平均点以上は取るものだ。
●笑福亭笑瓶は見た目普通の格好だが、ヘッドホンをつけると、話題の「小金沢くん」に変身!レコーディングスタジオ風のセットで、「フィニッシュコーワ(のどにシュッシュッとする薬)」を片手に『みちのくひとり旅』を歌うが・・・歌いだしの「ここでぇ〜ウウォッホッホッ(シュッシュッ)、すがるウウォッホッホッ(シュッシュッ)」から歌い終わりまで、咳をしてはシュッシュッ!の繰り返し。研「笑瓶ちゃん、それだけで最後まで引っ張るとは思わなかったわ・・」、和田「なめとんのか!それじゃその薬効かないということじゃない(笑)」
松本明子・96点、笑福亭笑瓶・86点。絶対に1回戦落ちはしない松本、今回も楽々クリア。

1回戦・Bブロック 第2組目

しじみとさざえ

布施辰徳

朱里エイ子悲しげな女のまねで 春日八郎のまねで
北国行きで 長崎の女
●しじみとさざえは篠塚が朱里エイ子、松下が特殊効果で悲しげな女を。内藤やす子、桂銀淑、アンルイスなど、長年この番組で聞かせてきた篠塚のハスキーボイスも今回で聞き納めである。しかし後年、日テレの『ものまねバトル』で「新ネタ」と称して朱里エイ子をやっていたときは「コラコラ!」とツッこまずにはいれなかった。
●新人ながら貫禄十分の前回チャンピオン・布施辰徳が登場。1回戦はシブイところで春日八郎。春日八郎を知らない世代にも、「あ、似ているんだろうな」と思わせるような上手さがあった。顔にセロテープを貼らなくても似るもんである(笑)。そう、春日八郎の歌といえば『お富さん』だが、それだとやはり清水アキラのイメージからどうしても抜け出せないため、ものまね的には新鮮な『長崎の女』を持ってきたというのも、巧みな選曲だったといえる。
しじみとさざえ・96点、布施辰徳・99点。しじみとさざえは次回が最終回。最後の最後で80点代を出してしまった、そのネタとは何か?

1回戦・Bブロック 第3組目

ribbon

CCガールズ

イモ欽トリオのまねで アラベスクのまねで
ハイスクール・ララバイ ハロー・ミスター・モンキー
●学生服姿のribbonと、カラフルでセクシーな衣装のCCガールズの対決に、研「なんか、子供と大人って感じだよね」。「子供」のribbonは、イモ欽トリオの『ハイスクールララバイ』を、振付けをそのままに歌う。当然だが男性の声を女性の声で歌うため、全く似ていないが(笑)、「見せ物」としてのネタならいいのでは。正統派の歌真似ばっかりだと息苦しくなるため、そういう番組側の配慮もあるのだろう。
●対して「大人」のCCガールズは、こちらもまさに「見せ物」。派手な衣装と振付けと露出で勝負。同じジャンルの対決になると、どうしても派手なほうが有利になってしまうよなあ。
ribbon・90点、CCガールズ・92点。和田アキ子は両方に「8点」。まあ一番正直な審査ではあると思う。

1回戦・Bブロック 第4組目

しのざき美知

桑野信義

志茂田景樹のまねで 竹村健一のまねで
キャンディ・キャンディ アイアイ
●1回戦最後は衝撃の色物対決!郁恵も「最後に残っちゃったんですねえ、この2人が」。まず、明らかに誰の真似だか分かる扮装でしのざきが登場するやいなや、審査員席のご本人が「こりゃひどい、こりゃひどい」と。自分の真似だと分かったようだ(笑)。出し物は終始おネエ言葉の替え歌。志茂田本人の批評を引用しよう。「う〜ん、いい感じって言いたいけど許せない!もう。大体ねえ、プロポーションが悪すぎる!それと声もおかしい!自分の声はねえ、すご〜くあれだからね、ソフトでジ〜ンと染み入るような声をしているの。いくらボクの真似をしたところでファッションセンスがない!すべて最悪!」。スタッフはこの言葉を言わせるために彼を審査に回したのは明らかである。
●対する桑マンは、前回の和田勉に続く「インパクト髪型シリーズ」(←筆者が勝手に命名)。今回は「大体やねぇ」の口癖でおなじみ竹村健一。トレードマークのパイプを片手に、童謡『アイアイ』の替え歌で「大体やねぇ、大体やねぇ、竹村さ〜んだよ〜」と。途中ヘアブラシを取り出して頭髪を叩き「あ、イタイイタイ!」には笑った。バンドの指揮者である三原綱木先生も、吹き出すのを我慢しながら棒を振っていた。
しのざき美知・84点、桑野信義・97点。志茂田、しのざきにお約束の「6点」。一年間に3人から「6点」をゲットしたしのざきは、やはり偉大である。

 

準々決勝 第1組目

松居直美

ビジーフォー

水前寺清子のまねで スタイリスティックスのまねで
三百六十五歩のマーチ 愛がすべて
●桑野に続いてご本人の前でのものまね、松居直美が水前寺清子に初挑戦。声はともかく(今回はそんなのばっかりだ)、横から見たら雰囲気なんてそっくりだ。と研ナオコが言っていた。
●まさにビジーフォーの原点、ともいえるアフロな髪型で登場。誰もが聞いたことのあるソウルフルなメロディ、ものまね好きなら一瞬聞いただけで「あ、グッチだ」と分かる声(笑)。特にサビからの2人のハーモニーは鳥肌もの。前回欠場のグッチの美声に、審査員が「久しぶり〜」と感動していた。久々にビジーフォーの真骨頂を感じさせる、音楽性豊かな出し物だった。
★松居直美・96点、ビジーフォー97点。水前寺、あろうことかビジーフォーに「8点」。まあ気持ちは分かるが、もしビジーフォーが負けてたらどう責任を取るつもりだったのだろう?

準々決勝 第2組目

栗田貫一

清水アキラ

財津一郎のまねで 松鶴家千とせのまねで
愛の讃歌 わかんねだろう 〜夕やけこやけ
●間違いなく今日のハイライト・名人対決。先攻の栗貫は、珍しい人選で財津一朗。『愛の讃歌』の歌詞に乗せて、アクの強い財津のフレーズをふんだんに盛り込む。「チャンコテ、チャンコテ、ぱっくんこ」「抱きしめてチョーダ〜〜イ」「審査員の皆さん、100点入れてチョーダイ」「そうしてくんないと、ヒジョーにキビシィ〜〜」など。アイデアもさることながら声の質もよく捉えており、90年代初期における栗貫の代表作といってもいい出来だろう。ちなみに、後の『あなたが選ぶものまね王座ベスト101』では、2期連続のリクエスト1位を獲得していた。
●そして迎え撃つ清水アキラは、これまたレアな人選で松鶴家千とせ。「オレが昔、夕焼けだった頃、弟は小焼けだった」「わかんねえだろうなあ」などで一世を風靡した漫談芸人。清水はこれを「オレが昔、スナックで営業やってた頃、栗ちゃんは六本木でキャベツ切ってた。信じられないだろうが、その頃冬樹さんにも髪はフサフサあって、裕三さんは2度目の結婚してた。分かるかなあ、分かんねえだろうなあ。」と、四天王の語られたくない過去を織り交ぜつつ熱演。バックのジャズっぽい演奏とマッチし、非常に通好みの作品に仕上げていた。四天王が互いに相手を意識しあっての出し物、どちらも2回戦で「これを出したい!」という気合が感じられ、白熱した名勝負であった。
★栗田貫一・100点、清水アキラ・98点。清水に「9点」を出したのは淡谷先生と針先生。

準々決勝 第3組目

松本明子

布施辰徳

研ナオコのまねで

桑田佳祐のまねで
かもめはかもめ 涙のキッス


★松本明子・95点、布施辰徳・99点。

準々決勝 第4組目

CCガールズ

桑野信義

ブロンド・オン・ブロンドのまねで 丹下段平のまねで
ワンサカ娘’78 黒ネコのタンゴ


★CCガールズ・92点、桑野信義・91点。

 

準決勝 第1組目

ビジーフォー

栗田貫一

ジェームズ・ブラウンハマーのまねで 片岡知恵蔵(遠山の金さん)のまねで
Sex Machine おふくろさん


★ビジーフォー・100点、栗田貫一・98点。

準決勝 第2組目

布施辰徳

CCガールズ

五木ひろしのまねで ノーランズのまねで
待ってる女 恋のハッピーデート


★布施辰徳・97点、CCガールズ・90点。

 

決勝

ビジーフォー

布施辰徳

長渕剛のまねで 松山千春のまねで
巡恋歌 季節の中で


★ビジーフォー・99点、布施辰徳・98点。