「普通の主婦だった私が50歳で東大に合格した夢を叶える勉強法」

25.02.24

お断り
このコーナーは「推薦する本」というタイトルであるが、推薦する本にこだわらず、推薦しない本についても駄文を書いている。そして書いているのは本のあらすじとか読書感想文ではなく、私がその本を読んだことによって、何を考えたかとか何をしたとかいうことである。読んだ本はそのきっかけにすぎない。だからとりあげた本の内容について知りたい方には不向きだ。
よってここで取り上げた本そのものについてのコメントはご遠慮する。
ぜひ私が感じたこと、私が考えたことについてコメントいただきたい。



少し前、産経新聞を読んでいて『「お母さんも受けてみる」浪人息子に刺激を受けて挑戦 50歳で東大合格した安政真弓さん』という記事を読んだ。

記事は最近だが、実際に東大を受けて合格したのは、2012年だからもう15年前だ。
記事では当時どうして受験しようと決めたのかとか、学んだことをどう生かしてきたかということだった。

定年後、大学院に行った私は興味を持ったので、彼女の本を図書館から借りてきて読んだ。
私が関心を持ったのは家庭生活や費用のことであったが、タイトルが「勉強法」であるように、そういうことは、書かれていなかった。 とはいえ読んで参考にならなかったわけではない。勉強法の前に、全容を把握し、目的を明確にし、それを実現するための目標を定め、それを実現するための計画を作ることと定義している。


書名 著者 出版社 ISBN 初版 価格
普通の主婦だった私が50歳で東大
に合格した夢を叶える勉強法
安政真弓 朝日新聞出版 9784022510419 2012/12/20 1430円

それを読んで思ったのは、彼女のアプローチはまさにプロジェクトマネジメントだということだ。
まさにISO14001で要求する「6.2環境目標及びそれを達成するための計画策定」である。

もちろん本に書かれていることは大きなプロジェクト管理ではなく、小さなというか個人レベルのことだが、だからこそ私の暮らしに適用できると思った。
もちろんプロジェクト管理の初歩は知っているつもりだが、その人によってアプローチも展開も違うから、とても面白く感じた。

おっと年寄りになった私が、起業しようとかNPOを立ち上げるなど目指しているわけではない。そんなことを考えなくても、嘱託を止めて干支が一回りしても、生きている限りやらねばならないことは発生する。
計画を立て実行しフィードバックをかけて目標を達成するということは、否が応でも必然的に発生するものだ。

例えばお葬式を執り行うにも、趣味の会合を開催するのもプロジェクトである。
そんなことでこの本は面白く読めた。


注:プロジェクトの定義は「特定の目的を達成するために、目標、期限、コストを定めて行う業務」なんだそうです。



この本は、プロジェクト管理とはこういうものだ、例えばという流れではない。その逆で、「○○を達成するために、こういうアプローチを考えて実行した」という流れで説明していく。
プロジェクト管理でセオリーとなっていることを、自分が考えてやってみたというのが素晴らしいと思う。
いや、ご本人はプロジェクトとかプロジェクト管理などと思ってもいないだろう。

と言ってもピンとこないだろうから、いくつか例を取り上げる。


「夢はなくてもかまわない(p.20)」
企業と違って個人が何かをしたいというのは、○○になりたいとか、○○を実行したいという夢というよりは現実的な目的があってチャレンジすることが多い。

この人は夢でなく、具体的な目標を明確にして、その達成をしようという。
ISOMS規格ならobjective(目的とか目標)であろう。
曖昧なものを目指しても達成の指標も曖昧になる。具体的な目標を決めてそれを達成するとはまさに目標管理である。

次に目標を細分化し、身近な時間で達すべき目標を立てよという(p.37)。
最初に目標(objective)を、そして月単位、週単位に途中時点でのとりあえずの目標(target)を決めて、進捗をフォローできるようにする。
もちろん当初の目標(objective)が年単位なら、targetは1年になるかもしれず、月単位なら週単位とかに細かくなるだろう。

もちろんその計画表を作りフォローするわけだが、日常の出来事を盛り込んで、そういうこともフィードバックに反映すべきとある。
確かに家庭の出来事などにより進捗が変わることもある。そういうことは企業のプロジェクト管理より発想が繊細である。

そして計画は「予定が目標に到達するための目安として機能すること(p.52)」と定義している。


また「達成したら必ずプラス、ダメでも失うモノはない(p.23)」と気楽に構えている。
個人の計画は、国運を賭けた国家プロジェクトなどではないから必達が至上命令ではない、と割り切っている。
確かに50歳で東大に合格すれば快挙だろうし、不合格でも恥ではない。18歳の受験と違いそういう余裕はある。


受験に使う本は参考書、問題集といったものになる。
本の使い方にもいろいろ語っている。

お金を出して買う(p.88)
書き込みをするには借りた本ではいけないとある。これは常識だろう。私もISO規格の本は2部買った。一冊は会社、一冊は自宅において、いつでも手に取れるようにしていた。

本は目次から読め(p.89)
これも常識だ。小説ではないから頭から読む必要はなく、必要なところを読んで間に合えば、その他の部分を読む必要もない。当たり前である。
人によっては「はじめに」から「奥付」まで読む人がいるが、私は必要があって本を買うのだから、必要が満たされたらそれ以外を読む必要を感じない。
図書館から借りてきて、必要なところを数行見つければ返却することも多い。それがおかしくとも何ともない、合理的な判断であり行為だと思う。


シャープペンよりHBの鉛筆(p.128)
マニュアルとは元々の意味は「手作業」を意味したそうです。ワープロばかり使っていると漢字が書けなくなり、エクセルを使っているとマクロは上手になっても、暗算の能力が衰える。昔は常用対数を覚えていて計算したが、今は「log3と言われても、待てよ」となる。
まあ、現実には記憶容量の制限があるから、使わないデータを消去して、今必要なことをメモリーに入れたほうが良いことが多いけどね。


電子辞書より紙の辞書(p.136)
これも良く分かります。しかし残念ながら今本屋に行けば国語辞典にしても英和辞典にしても、子供が最初に使う辞書なら紙の辞書はあるけど、その次の辞書となると、もうない!
紙の辞書が欲しいと言っても、もう願いは叶わない。



ぬれ落ち葉 本日の要約

個人が何かをしようとするときの、計画の立て方の参考になります。
もっともこの本を読んで計画を立てようとするのではなく、一回読んでおいて何事かあったとき、要点を思い出せば十分です。

会社で大きなプロジェクトをするなら、プロジェクト管理の専門家を読んだ方がよろしいです。
一度、プロジェクト管理の専門家と一緒に仕事したことありますが、専門家と自称するだけに、さすがと感じました。もちろんその方は大きなプラント建設とかをいくつもしてきた方でした。
本当に仕事でプロジェクト管理が必要な事態になったら、自分が考えるより頼んだ方がよろしい。餅は餅屋です。


ところで、現実のISO審査員には、このような基本的というか自然発生的プロジェクト管理を知らずして、「目的は3年以上のスパンがないと該当しない」と語るバカがいるから企業の人たちは参ってしまうよ。

東大に入るのは無理なのは分かるけど、50の手習い、60の手習いで、計画とはどのようにあるべきかをしっかり考えてほしいものだ。
えっ、東大出ていたのですか!
東大出てもISO規格の理解がままならない人がいるんですね〜




審査員なら最低、次の言葉を理解しましょう。

どっかの認証機関が騙るように、Objectiveが3年なんてことはなく、半年のこともひと月のこともある。
Targetも1年単位でなく、月単位、週単位で考えられる。
Foremanの管理、managerの管理、directorの管理が考えられると同じだ。
どこで3年を拾ってきたのか問い詰めたい。

実話である。
REACH(欧州の化学物質規制)のときである。審査員は、対策の期限が3年間より短いから、不適合ですという。
審査員が言うにはobjectiveは、3年以上の期間でないとだめだそうだ。
2年後までに対応しないとならないことを、3年かけて行えばISO規格適合なんだそうだ。
そんなバカなことがあるものか!
日本の輸出を壊滅させようとする悪の手先なのか?



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