最近読んだ本(タイトル忘れた)が、この本を参考文献として挙げていたので、図書館から借りてきた。
私はベストセラーとか新聞の新刊案内など見ないから、本を読むきっかけは自分が読んだ本がスタートである。
読んだ本で引用文献あるいは参考文献となっていて、そこからの引用した内容を確認するために読む必要を感じた本は、必ずと言ってよいほど読む。その結果、記述内容が信用できないと判断すれば、それを読む元となった本も信用しないというのは必然だ。
さて図書館から借りてきて奥付を見て、こりゃおかしいと思った。
これを見て、おかしいと思わないとおかしい。
そういうものもないわけではない。法律の解説とかマニュアル類などはグループとか団体などが取りまとめて著者には○○協会とか○○編と記しているものもある。そして著名な人を監修としているものは多い。
いや監修者でも良いのだが、それであっても本の奥付けに著者あるいは編者の氏名の記述もあるべきだろう。
だが著者名の記入なしで監修者の氏名しかないとは、どういうことだ?
とはいえ、せっかく図書館で取り寄せてもらったのだ。せめて50ページくらいは読まないと申し訳ない・・・いや、別に義理はないけど
地政学というが、私はこれは学問ではなく、方法論だと思う。第一次大戦頃もてはやされたが第二次大戦頃に廃れたものだ。それが1990年くらい書名とかマスコミに登場しているのは、冷戦時代に相手にされなくなったものがキッシンジャーやレーガン時代に使われたからと言われている。
まあ学問か否かはともかく、この本を読んで考えた事を書く。
地政学と言うなら地図が必須である。地政学を論じながら地図の出てこない本もあるが、それは著者の頭がおかしい。
まず図法はほとんどメルカトル図法である。地政学を語るなら距離が等しいとか面積が等しいとか用途に合わせて使う必要があるだろう。なにせGoogle mapも今は3D投影である。
下図はこの本ではないが、他の地政学の本にあった図が左図で、メルカトール図法である。この図からはアイスランドの重要性が分からない。
この本では扉をめくると見開きでメルカトル図法の世界地図があり、紛争地域が書かれている。書かれてはいるが、それを地図に書いたところで特段、何を意味しているのか分からない。
注:扉とは表紙をめくって印刷のない見返し(遊び紙)の次の、タイトルの書かれたページのこと
例外的に2カ所で正距方位図法を使っている。
もうひとつはp.153の図で北極海航路を示す図である。これは「商船三井」のウェブサイトからの引用と表示されている。
ヨーロッパを論じるならヨーロッパ諸国の距離と面積が等しく表せるような図法を使うべきだ。
ちなみにスペインの面積が50万km2、スウェーデンは45万km2である。ましてや国々の位置関係が正確じゃないから、メルカトル図法を使って説明しても意味がない。
注:A国とB国の位置関係ががトポロジー的には正しくとも、距離が離れていたり国々の距離が比例していなければ地政学的には議論にならないだろう。
この本を読んで勉強になったとか、ためになったと語る人は、日常テレビのニュースも見てないのだろう。テレビのニュースを見ている人なら、改めて世界は紛争に満ちていると感じる程度だろう。
想像だが、この本を書いた人は「最近、地政学なんて言葉が流行っているようだ。タイトルに地政学を付ければ売れそうだ」てな安易な発想で、この本をサッサと書いたに違いない。
注:一回に印刷する部数を3,000として合計24,000部なら、税別で1,800円だから、印税8%としても350万、儲かってますねえ~。
ちなみにこの本の参考文献として19冊載っているが、いずれも21世紀に書かれたもので、流行で書かれた本ばかりという感じだ。
疑問だがケント・ギルバート氏はこの本を見て、自分の名が刻まれることに忸怩たる思いはなかったのだろうか?
単なる名前貸しなのか?
連休になって日々、本を読んでいる。感動した本もあり、この本のようにフザケルナ!と言いたい本もある。
最後に一言
ついでに言えば、マンガなんて書いてない。単にマンガ風の挿絵があるだけだ。まさに名ばかり、看板倒れ、羊頭狗肉である。
「お前は地政学をどう考えているのか?」と私を問い詰めたい方へ
なぜか
2025年4月12日初版発行
2025年6月14日第8刷発行
監修 ケント・ギルバート
マンガ ベジコ
発行者 石野栄一
発行 明日香出版社
以下住所とかデザイン担当者などが記載
この本を参考文献として書いていた本では「書名、氏名、出版社、発行年月日」が記載してあった。論文などの書き順としては普通だ。
だがその場合、氏名とは著者あるいは編者であると思うのが普通だろう。まさか監修者の名とは思わないだろう。
監修者の記載だけで著者の記載がないのはかなり怪しい、私はそう思う。
この書籍の文責は誰にあるのか?
もちろん法的には発行者の責任であるが、書いたことについての質問や記載内容の正誤についての責任は監修者なのだろうか?
書いた人(s)は責任回避で匿名とし、責任を監修者に負わせたとしか思えない。
ということで、読む前からこの本の信頼性は最低になった。
この本でも189ページに51個の地図が登場する。ところがその地図がいかなることを説明しているかとなると、まったく意味がない。
NATOを語るなら北極を中心にした地図でないと意味がない。
右図は私が書いた正射図法だ。この図を見れば東西冷戦時代、アイスランドはアメリカとソ連の中間で重要と言うことが見えるだろう。
ひとつはp.131のアンカレッジからの距離を表す図であるが、これもまた問題である。北極を頂点とした図なのに、アンカレッジから距離を測ったのでは使い方が誤っている。
この図の中心はバイカル湖の北西あたりで正確な図法は不明である。ビジュアルはともかく、北極海航路の説明に適切かどうか判断付かない。
NATOを論じるのに、メルカトル図法を使っているから、スペインよりスウェーデンが何倍も大きく表現される。そんな地図でNATOを解説してもピンとこない(p.25)。
とにかく読んでも何が問題なのかさえはっきりしない。
要するに読む甲斐がない。
それでも8刷まで売れたなら万々歳だろう。
8刷が本当なら、地政学を名乗る本としては希代のベストセラーに違いない。
本日の思い
わざわざ一文書くほどのこともないが、これから買おうとか読もうとした人がGoogleで検索して読者の評価を知ろうとするかもしれない。
だから「読むなよ」と言う意味で書いた。
「3時間でわかる本」とあるが、読んでいて本当か?と思うことが多々あり、ネットや他の本を引っ張り出して調べた。だから3時間では読めなかった。たった189ページの本を6時間くらいかけて読んだ。
大分前に書いたこちらをどうぞ
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地政学を読む
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