イラク戦争の再検証を!

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ロシアがウクライナに軍事侵攻して2か月以上たち、ますます泥沼化の様相を呈しています。大国の思惑に振り回され犠牲になるのは、いつも弱い立場の市民です。

欧米は21世紀にこのような戦争を起こすのは許せないと、ロシアの戦争責任を問うていますが、それならば2003年のイラク戦争の戦争責任も問われねばならないと考えます。

イラクは査察を受け入れ、指定された武器も破棄しました。中立すれば戦争は避けられるという選択肢もなく、経済制裁で疲弊しきった民間人の上に、新兵器の展示会のようにイラク各地で見境のない爆撃が行われ、大量の劣化ウラン弾を撃ち込まれ、そのウランの粉塵による放射能でイラクの人たちは被曝し、土地も水も汚染されました。その結果、子どもの白血病が増え続け、奇形児の生まれる確率も圧倒的に増えています。そして、それはいまでも続いているのです。イラク戦争は21世紀の、ついこの前の戦争です。

イラク戦争は国連を無視した武力行使で、明らかに国連憲章違反ですが、その理由とした「大量破壊兵器」は、国連が検証した通り、存在しなかったのです。様々な報告によれば、2003年のイラク戦争の結果として少なくとも約66万のイラク人が殺され、その他、傭兵や民兵による暴力によって15万人以上が殺されたと推定されています。戦争が目に見える形である今、イラク戦争の再検証なしでは戦争の議論はできず、これからの戦争を避ける手段など見つかるはずもないと考えます。

アメリカは、これだけの大量殺戮に対し、今に至るまで、補償はおろか、一言の謝罪もしていませんし、国際社会は既に終わったこととして忘れ去ろうとしています。 今回の戦争は、アメリカがロシアを潰したいがために、ウクライナを利用しているとしか思えません。ロシアを弱体化させることさえできれば、ウクライナの人々の命など、どうなってもよいと。

ウクライナ東部に、新鋭ミサイルなどの軍備支援を強化し、親ロシア系住民を弾圧させて挑発し、その挑発に乗って軍事侵攻したロシアを叩くというやり方は、これまでにもアメリカが戦争を必要とするときに何度も使ってきた手です。同じことを何度繰り返せば気がすむのでしょう? イラク戦争の再検証をすることで、同じ過ちを避けることができるのでは、と縋るような思いです。

2022.05.13 ヤスミン植月千春



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