ISOサーベイ 2024

25.11.03

「ISOサーベイ」を日本語で言えば「ISO調査」である。何を調査したのだろかうと期待するかもしれないが、単に全世界のISOMS規格の認証件数を集計したものである。
いつから始まったのか知らないが、私は1993年から記録している。当時はISOMS規格でない、ISO品質保証規格のISO9001sしかなかった。

なお「ISOサーベイ2024」というものは、2024年のデータを集計したものを2025年に広報したもので、年鑑などと同じ表記の仕方である。
例えば「読売年鑑2025」は2024年の情勢をまとめて2025年3月5日発売である。
ちなみに読売年間は新聞社系では、現在日本で唯一の総合年鑑(年1回の定期刊行物)だ。「朝日年鑑」は売行き悪く、2000年に休刊(発行を終了)となった。

毎年のISOサーベイの発表は、年によってかなりばらつきがあり、早い年は9月初旬、遅い年は10月下旬とばらついている。


今年の発表を、今か今かと頻繁にISO survey(注1)のページにアクセスしていたら、10月5日に見つけた。私が訪問してないときアップしていたかもしれないので、それより数日早かったかもしれない。
なぜそんなに待ち遠しかったのか、それには理由がある。

ISOサーベイ2023の数字がおかしいので、2024年の数字がどうなるか、興味津々であったのだ。

2025年の発表を読むと、2025年からは今までのように年に1回発表するのでなく、常時、世界の認証件数をリアルタイムでIAF(注2)のウェブサイトに掲載するようにして、年一回の公報はなくするとあった。
どうでもいいけど年1回の発表であるISO surveyとは違うような気がする。JABと同じく単なる登録件数の公開ではなかろうか?


それは良いこと、などと思ってはいけない。2024年までデータをダウンロードするのは無料だったが、これからはお金を取るそうだ。1万円札

500円くらいなら良いかと思って読んでいくと、なんと$60と書いてあります。アメリカドルですよ、ジャマイカドルじゃない(注3)

単にISOMS規格の各国の認証件数が載っているエクセルファイル数個に、1万近いお金を使うなど、年金生活者にはできない。

ひどい話だ・・・・・・と思っていたら、「但し一人がファイル2個までは無料でダウンロードできる」とある。
よし、それなら無料でISO9001と14001のデータを頂こうと思いました。ところがそこに至るには、自分の勤務先、担当業務、どのISO認証を受けているか、その認証機関は・・・そんな質問がたくさんありました。

無職者にはインプットできない項目がたくさん。エコプロ展などに行くとき、無職は空欄でOKだったので、その伝で記入できないものは空欄で「次へ」をクリックすると、前のページに戻されます。
空欄でなく無職とか認証をnoneとかいろいろ記入してみても双六(すごろく)の振出しに戻れとか、RPGゲームのリスタートであります。


英語不得手の私だから細かいとこを見落としているのか? そう思いまして、外資社員様に助けてとお願いしました。 持つべきものは師、すぐにアクセス方法を教えてもらいました。


ということですぐにアクセスしてダウンロードしたのですが、ファイルを開いてみるとワケワカランのですよ。
何がおかしいかというと、中国です。数字が過去との連続性がない。もちろんどの国も認証件数は、増えたり減ったりはある。日本のように、減る一方の国もある。

中国が特別なのは規模が大きいからです。日本のISO14001認証件数はたかだか1万そこそこ、1年に減る数は100や200、どうということありません。でも年に数十万変動したらのけぞります。理解できません。
中国の統計が信じられないこともありますが、1年で十万件以上も違う数字を眺めて、そこから何かを読み取ろうとすること自体、無意味であると感じます。


話が飛びますが2018年からISOサーベイのデータの取り方が変わりました。認証件数でなくサイト数(sites)と認証数(certificates)の二段構えになったのですが、その定義も定かではなく、過去との連続性はないとのこと。

しかし、連続性はないと言われても、過去の数字とグラフをつないでみれば、少し切片なり係数が加わった程度に見えるだけ。全体の流れはおかしくない。


1993年から2023年までの推移
2017年と2018年の間の不連続、認証件数の取り方を変えたため。大きく下がっているけれど、全体の流れとしては連続していると思える。


ISO9001認証件数推移   ISO14001認証件数推移

ISOサーベイ2024になると、中国の変化は全くおかしい。
だって認証件数は下表のとおり


Certificates件数
規格区分2021年2022年2023年2024年
ISO14001 全世界 420,333 520,983 300,410 676,232
全世界から中国を引く 202,841 225,482 243,295 295,213
中国 217,592 295,501 57,115 381,019
ISO9001 全世界 1,077,884 1,265,216 837,978 1,474,118
全世界から中国を引く 651,168 713,361 707,576 822,267
中国 426,716 551,855 130,402 651,851

sites件数
規格区分2021年2022年2023年2024年
ISO14001 全世界 610,924 744.428 526,046 1,176,389
全世界から中国を引く 391,671 446,995 461,870 537,407
中国 219,253 297,433 64,176 638,982
ISO9001 全世界 1,447,080 1,666,172 1,250,243 2,321,640
全世界から中国を引く 1,017,015 1,109,888 1,103,518 1,327,374
中国 430,065 556,284 146,725 994,266

上表をグラフにすると

2021〜2024年中国の認証件数推移
ISOサーベイ中国cer推移 ISOサーベイ中国sites推移

グラフを見て中国が減っているとき世界全体の認証件数も減るから同じと思ってはいけない。世界全体の増減と中国の増減が一致しているでしょう。つまり中国の変化が世界の変化そのものなのです。

2023年のデータは全く異常なので、何らかの事情で間違いだとしよう。でも唐突に正常に復帰するのもおかしくないですか。2021年から2022年の傾斜を伸ばして2024年の値というのも非常におかしい。

中国のISO9001のcertificatesを見ると、どう考えたって22年から21万、29万と来て5万、次の年は38万なら、21年から22年が8万差だから、2023年を除けばほぼ直線だから、そんなものかと思う。
しかしsitesでは22万から30万、6万となって64万、こりゃすごい断絶だ(ワケワカラン)


じゃあ中国は放っておいて、他の国だけ見ようというのもナンセンスに思う。中国は全世界の認証件数のQMSは44%、EMSは56%を占めている。
その現実を踏まえると、世界の合計数の意味はないように思う。ISOMS認証は『中国の、中国による、中国のもの』でしかない。

そして、もちろん中国以外の認証件数が信じられる根拠もない。
ちなみに日本の認証件数はどうなのか?

日本の認証件数 ISsurveyとJAB規格
JABとISOサーベイの比較

ISOサーベイの数値は、JABのウェブサイトに表示されている認証件数の全体的に倍である。認証件数が多いのはおかしくない。IAFの方はジャブ以外の認証機関の認証を受けている会社も含むから多くなるのは当然だ。

JAB認定のカーブと似ているかといえば、似ているとも言える。だがIAFの方は2018年と2020年に大きな山谷がある。2017〜2018年は前述のように、ISOのデータの取り方が変わったためでおかしくない。
しかし2020年の不連続は何だろう。
認証件数が1年で倍になったり減ったりするとは思えない。どうなんでしょうね。

ノンジャブのシエアがいかほどか、私は知る由もないが、身の周りで聞く限りJABと同等あるとは思えない。せいぜい3割程度ではないのだろうか。それともノンジャブでなく自己宣言とかオーストラリアにある適合宣言なども含むのか、

それとピークがJABより1〜2年遅れている。これも実感と違う。
総合すると、ISO surveyは意味があるのか分からない。

信実かどうかはともかく、認証件数の推移とかを考えるとき、JABを基にするのが間違いないように思う。


私はISO surveyを見るのは、これを限りに止めようと思う。
そもそもこのISO surveyとは何のためなのだろうか? 認証が増えているというデモンストレーションなのか。
中国人は「中国イズナンバーワン」と喜ぶかもしれないが、数舜後、数字が信頼できるのか不安になるだろう。いや、その前に、認証件数が多いことが何か良いのだろうか?

考えてみよう、
認証している企業にとって何の意味もない。ISO認証がビジネス上の要求なら認証するしかないが、その場合でも外国の認証件数が多かろうと少なかろうと、比較して得ることがない。

認証機関は認証件数など知らずとも、国内の認証ビジネスに何ら影響はないだろう。

消費者にとっては、中国の認証件数が伸びようと、中国製品の品質が向上しているとも思わない。
私は冥途員チャイナのいろいろなものを通販で買っているが、衣類で注文したサイズと違うことが何度も経験がある。水泳パンツのLを頼んでも来たのはMでは使えない。小物電気製品など発注したものと、全くの別物が来たこともある。
ミニカー ジオラマ作りで1/87のミニカーを頼んだら1/100のものが来た。30台で1000円くらいで高いものではない。諦めて再度縮尺サイズに注意されたい旨、記載したが送られてきたのはまたもや1/100だった。もう、お手上げである。
現物違いで返却したこともあるが、諦めたほうが多い。重要なものはフェイスツウフェイスしかない。水泳パンツはメイドインチャイナであっても、Arenaなどのブランド品に限る。

品質とは製品だけでなく、現品違いもあるとは考えないのか。いや現品違いは品質以前だよ。営業まで含めれば品質が悪いと言ってよいだろう。


そんなことを考えて半月も経ってしまったという事実、私も意味のないことで悩んでしまった。
今回の文字数は3,000字そこそこであるが、考えあぐねた時間は多い。恋愛もビジネスも見切りをつけるのは早い方が良い。もうここで止めることにする。



うそ800 本日の驚き

10/30にISO surveyのウェブを見たら、ISOサーベイのデータのダウンロードが無料になっていた。
なんだ、こりゃ〜!、松田優作じゃねえぞ

全然関係ないが、松田優作と私は同じ年である。彼と違い病気にならず彼の倍近く生きてきた。あなたの分も頑張ります。




ISO surveyのページ

国際認定フォーラム(The International Accreditation Forum)の略
各国の認定機関の国際的な組織で、日本はJAB(日本適合性認定協会)が加盟している。

通貨単位がドル呼称の国は多い。下記に主な国を示す。
 2025/1/01時点の1ドルが日本円とのレート
アメリカ155.0お金を手渡す
バミューダ★★★154.0
シンガポール118.0
カナダ111.0
オーストラリア103.0
ニュージーランド90.0
バルバドス76.0
ベリーズ76.0
東カリブ諸島57.0
香港20.0
台湾5.0
ジャマイカ0.9
リベリア0.8




うそ800の目次に戻る

アクセスカウンター