ISO昔話17 責任と権限

26.10.26

注1:この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。
ご注意ですが、法令は物語の時点を記しており、その後、改正があって現時点と異なるものがあります。

注2:ISO昔話とは



承前(前話の続き)

1992年12月下旬 某日
ここは佐藤マシニング(有)の社長宅である。まあ、工場の隣だがね。
客先であるヒュー・パック社から納品した部品の寸法が外れていると連絡を受けて、社長と吉永が先方を訪ねて帰ってきたのは夜8時過ぎであった。
真紀子は、吉永は独身だから家に帰っても何もないだろう、ウチ(社長宅)で食べて行けと引き留めた。
まずは夕食を食べてもらう。話はそれからだ。

社長夫人真紀子さん 佐藤社長 吉永
真紀子奥様佐藤社長吉永さん

夕食を終えて吉永が帰ろうとすると、話をするから一緒にいて欲しいと社長が言い出した。真紀子は、それはちょっとまずいよと、社長を諫めて帰ってもらう。
玄関から出て門まで見送る真紀子に、吉永はお礼を言って帰る。社長に捕まると帰りは真夜中過ぎは間違いない。

シーバスリーガル

社長は話し相手が一人減ったので、残念な顔をしてシーバスリーガルを持ち出す。
真紀子はグラスを2個と水を入れたピッチャー、キッチンの棚を漁って乾きものを持ってくる。


社長夫人真紀子さん 「それで、ヒュー社では、どういう話だったの?」

佐藤社長 「一言で言って、わけの分からない話だった。原因どころか、そもそも経緯がはっきりしない。
ふた月前、設計のミスで回転軸とブッシュの嵌合(かんごう)がきつくなってしまったらしい。それで泡を食った設計担当と購買担当が、ウチに発注している軸を細目にするようこちらに指示してきた。
それは間違いない。

しかし、今日は、それでどうなったのかも話が出なかったし、内部で何があったのかも話が出なかった。

ところでブッシュはヒュー社内で加工しているから受入検査はない。製造部門の検査でOKなら、即、次工程に行くわけだ。
だから元々、受入検査ではブッシュの嵌合問題は知らなかったようだ」

社長夫人真紀子さん 「でも受入検査では、2か月前のときにウチから入った軸が細いことに気付いたはずよね?
ウイスキー そのとき図面と違うことに気付かなかったとは思えないね。
社内で何か隠しているんじゃないの?」

佐藤社長 「俺もそれを質問した。だがそれに対しては、言を左右して説明しない。何か隠している。
表に出せない重大は不都合があるんじゃないかな。あの部品は単なる機構部品だから、重大な問題になるはずはないのだがね」

社長夫人真紀子さん 「ところで大事なことだけど、ウチの責任はないと言うことになったのね?」

佐藤社長 「それも問題なのだ。正式な改定通知なく担当者が指示したことで、ヒュー社には責任がないと言い出した。
ウチから見れば発注元の担当者の言は、先方の公式な発言と受け取るがね」

社長夫人真紀子さん 「あなた、持って行った記録とかを見せたのでしょう」

佐藤社長 「見せたし、先方は担当者がこちらに指示したことは認めている。しかし責任は担当者にあるといい、会社に責任はないという。担当者二人は懲戒したという。ほんとに懲戒したのかウソなのかも分からない(注1)」

社長夫人真紀子さん 「まさかそれでウチの責任もあるとか言い出したんじゃない?」

佐藤社長 「そうなんだよ、ヒュー社の正式な通知でないものを、正式な通知と誤認してヒュー社に損害を与えたから損害賠償だとさ(注2)」

社長夫人真紀子さん 「あなた、そんなものにサインしないよね?」

佐藤社長 「するか! 俺はヒュー社に設計と購買担当者に損害賠償請求しろと言った。すると彼らには支払い能力がないという。
なこと、こちらは関係ない。行政や弁護士に相談して、対応を考えると言った。
するとすぐにその話は取り下げるから、この件に関して一切、口外しないという念書を書けという。ああいった大会社なら法務部があり社内にも弁護士がいるだろう、そんないい加減な話をしないと思う。
・・・ひょっとして本社に内緒にしているのかな? 何が何だか分からんね。

俺も熱くなってしまったが、今回の納品を合格品として受け入れること、そしてヒュー社もウチの会社の評判を落とす行為をしないという文章を入れるならサインすると言った。
正直、ヒュー社がウチで不良を出したので取引を切ったなんて言い出すかもしれない。そんなことで評判を落としたくないからね。

そして今月分の納品で取引契約を解除し、以降取引しないと言ったよ」


注:片方が約束・誓約するものを念書といい、双方が約束するものを合意書とか覚書とか呼ぶらしい。


社長夫人真紀子さん 「よく言った、ヒュー社はウチの売上の7%くらいかな。その分、仕事を探しましょう。
いや、待ってよ。相手はそれを飲んだの?」

佐藤社長 「ああ、俺が言い出したことは想定外だったようで、あまりうれしくない感じだったが受け入れた。
合意書はこれだ。明日、弁護士に法的に有効かどうか見てもらう。懸念は、後でまた賠償金を言い出してくるかどうかだ」

社長夫人真紀子さん 「とりあえず一件落着で、当社の損害賠償はなくなったのね」

佐藤社長 「明日確認するが、たぶん大丈夫だろう。疲れたよ」

社長夫人真紀子さん 「お疲れ様、今日はもう風呂に入っておやすみなさい」

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朝飯

翌朝である。
朝食を取りながら、真紀子は昨日の高原氏の話(第18話)、つまり契約内容の見直しとか文書管理のことを説明した。


佐藤社長 「なるほど、契約内容の見直しと、契約内容の修正時の確認か。言われると身に沁みるよ。
電話を受けたとき、変更内容を書いてFAXしてほしいというのは容易いことだ。いくら急いでいたにしても、その程度なら数分もかからない。何十万もかかっているのだから、それくらい気を使うのは当たり前だったな。
ISOの要求事項か・・・案外、役に立つのかな」

社長夫人真紀子さん 「それだけでなく、文書管理の話もしていたわよ。現場用図を改定するには発行時と同じルートで行うこと。吉永さんが改定して工場長が検認することですって」

佐藤社長 「まあ、それは理屈だろうが、工場長がNC旋盤を知っているわけもなく、チェックさせても意味がないよ」

社長夫人真紀子さん 「そうじゃないの、そういう過程を踏むことによって、第二者、第三者の目が入り、おかしければ気が付くわけよ。検認って、そのためにあるんでしょう」

佐藤社長 「しかしなあ~、あのときそうすれば、どうにかなったと思うか?」

社長夫人真紀子さん 「仮定の話ですけど、吉永さんや工場長があなたの朱記訂正を見たら、加工寸法を変えるのは今回だけか、今後ズットかは聞いたと思いますよ。
そう言われたら、あなたもヒュー社に電話して次回どうするか聞いたと思うの」

佐藤社長 「なるほど、その可能性はあるな。そうなれば少なくても揉める要素は減る。
ISOは仕事のトラブルを減らすことはできそうだ。
とはいえ品質を上げるとは思えんな」

社長夫人真紀子さん 「私も品質を上げるとは思えない。仕事のトラブル防止はできても、不良が減るような要求事項はないもの。
ひとつ引っかかるのは、ISO規格の序文に『この規格の要求事項は(中略)、技術的規定要求事項を補うもの(取って代わるものではない)であることを強調しておく(注3)』という文言があるの。
その文章はそれを言っているように思えるわ」

佐藤社長 「なるほど、そういう文章があるのか。初めて聞いたが、確かにそう思えるな。
ISO規格にある要求は、すべて管理についてだ。計測器の管理と言っても、仕様計測器の選択とか校正手順などで、具体的な数値とか技術的なことは書いてない。
技術的なことはISO9000でなく、図面とか仕様書でしっかりやれということかな。

ISO9000とは、真面目にやれば役に立つのかもしれないな。
とはいえこのために年間何十万も払う必要があるかは疑問だ。言い換えると審査費用分を回収、つまり儲かるのだろうか?」

社長夫人真紀子さん 「私、高原さんの話を聞いて、疑問に思ったことは彼に質問したし私も考えたの。
今、ISO9001の認証をしていないと再来年から輸出できないというけれど、高原さんは、それが本当かどうかも分からないと言うの」

佐藤社長 「はて、元々はキャプソン社が輸出に必須だと言ってきたわけだろう(第3話)」

社長夫人真紀子さん 「だってシスター社もヒュー社も、ウチにISO認証を要求してこないじゃない。
ということは、完成品メーカーは必須かもしれないけど、下請けや部品メーカーは必須じゃないのかもしれない」

佐藤社長 「あー、そう言われるとそうだなあ~
昨日もヒュー社でいろいろ話はあったが、ISOなど口の端にも上らなかった」

社長夫人真紀子さん 「以前から品質保証協定というのがあったことは知ってるでしょう?」

佐藤社長 「ああ、商社でもあった。防衛とかNTTなんて、品質が厳しく求められる分野では、そういった客から品質保証協定を結ばされた。
俺が商社に入社したときだから1970年代だ」

社長夫人真紀子さん 「そもそもは第二次大戦でイギリス軍の爆弾に不発が多いことから考えられた手法だそうよ。 爆弾
戦争が終わって、品質が要求される分野にその考えが広まったって。しかし、広まるにつれて、要求事項の内容がバラエティに富んできて、要求される方は客先ごとに違うのに困ってしまった。
それを共通化、標準化しようとしたのがISO9000ですって」

佐藤社長 「そんな話を聞いたな。それで?」

社長夫人真紀子さん 「調達する会社の品質保証要求を同じにすれば、部品メーカーや下請けは楽になると考えたのね。
ところがそこで鼻が利く人が、どの会社も品質保証要求が同じなら、予め品質保証体制を審査してお墨付きを出しておけば、客は手間暇かけず安心して買えるだろう、売り手もいちいち客の品質監査を受けずに済む、そして新しい認証ビジネスが興り儲かると考えたのよ。まさに三方良しじゃない(注4)。
上手くいけばね」

佐藤社長 「株の空売りみたいな発想だな。上手くいけば大儲け、客が付かなきゃポシャルだけ」

社長夫人真紀子さん 「ISO第三者認証とはまさに株の空売りのようなものよ。買う人がいるから成り立つ。
誰も買わなければ何もない。普通の商売なら売れ残りは残るのにね」

佐藤社長 「そういうことか。ISO9000と第三者認証は別ものか、第三者認証しても客が不安なら品質監査に来ると聞いた。
ISO認証とは砂上の楼閣というか、実態のないものを売っているだけなのか。

しかし今現在は、EU域内で売るにはISO認証は強制力のある規制になった」

社長夫人真紀子さん 「下請けや部品メーカーまでか分かりませんけどね」

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次の日の朝一、社長は何かあるといつも相談している弁護士に電話してから訪ねた。 弁護士は聞いただけでは合意書もあるし損害賠償請求はないだろうという。ただ、向うが後で新しい証拠を出してくるとまた状況が変わる。要するに今後の成り行き次第らしい。

昨日サインした合意書はないよりはましだが、大して意味がないらしい。
あまり参考にならない話だったが、社長はもう忘れることにした。問題が起きれば、そのときは、そのときだ。

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真紀子は吉永と山田を集めて、昨日の結果を話した。吉永は向こうとの会議に参加していなかったという。
真紀子は最後に、従業員を心配させることはないし、一応済んだことだから、他の人には言わないようにと釘をさしておく。
それから昨日の話に戻って、これから作る規定の話だ。


山田 「良いことじゃないけど、現実に問題が起きると、ISO規格の一行、一行の意味がよく分かりますね」

社長夫人真紀子さん 「そうよね、この騒ぎがなかったら、契約内容の見直しを読んでも何も感じなかったと思う。口頭でのやり取りは危険ね」

山田 「高原さんは、相手が書面を出さないときは、こちらがメモしておけばよいと言っていたわ」

吉永 「ISO的には正解かもしれないけど、現実には相手の発言のメモは証拠にならない。相手の書いた紙でないとダメです。

今回の事件でも、社長の書いたメモはあるけど、メモに書かれた人が知らんと言い張ったら、小さな会社の方が悪いことになっちゃったでしょうね」

社長夫人真紀子さん 「確かに・・・ISOは自己満足か」

山田 「責任及び権限も、ISOの言っていることは分かりますが、この会社では管理者と言えば、社長と工場長と奥さんしかいないでしょう。
それでも良いんだけど、内部牽制も有効じゃないし、社長が一番大変よね」

吉永 「ISOの語るのは、どう見ても大会社用だね」

社長夫人真紀子さん 「ISO9000を満たす組織とか運用を考えると、従業員が最低100人はいないと成り立たないんじゃない?」

山田 「作業者が多いだけでなく、複数の管理職が必要でしょう。これから出て来る内部監査なんてどうします?」

吉永 「それはヨーロッパに輸出するからと認証しても、中小企業ではオママゴトというか、絵に描いたISOになってしまうということ?」

山田 「そんな感じですね。例えば現場用図を、吉永さんが描いて、吉永さんが照査して、吉永さんが検認するようなイメージよ」

吉永 「現実にはそうですね。一応、照査と検認は工場長なのですが、めくら判ですからね」


私が仕事に就いた最初のポジションは図面書きだった。当時は製図台とドラフターで鉛筆書きだった。
CAD全盛の今なら笑ってしまうが、工業高校ではT定規を使って図面を書いていたから大進歩と感じたものだ。

T定規
T定規
矢印 ドラフター

ちなみにその会社で設計欄にサインできるのは、大卒の技師という身分であり、高卒の私は技手(ぎて)と呼ぶ下働きで、自分のアイデアで自分が設計して図面を描いても、設計欄にサインできなかった。
ちなみに特許や実用新案も、考案者の名前は上司を筆頭に先輩の名が連なった末尾に、考案者の名前を書いたものだ。現在はそんなことはできなくなった(注5)。

それはともかく、ベテラン技師になると、作図、設計、照査、検認をすることもあり、同じサインではまずかろうと、作図と設計はサイン、照査は認印、検印は日付印を押す人もいた。アホな話である。

作図設計照査検印
川上 川上
川
上

設1課主任
l92.12.18l

川上
作図・設計・照査・検印を別人に見せようとして、サイン、認印、日付印を活用した努力の例である。
作図者と設計者が同一なのは問題ない。

設計に川上が三人おるんか?
大地真央のアイフルの声


もちろんその会社の規則では、作図者は照査も検印もしてはいけないと決めてあったが、誰もルールを守っていなかった。

更なる無駄話であるが、図面にするサインは鉛筆とかボールペンでなく、烏(からす)口(ぐち)でする先輩や上司も多かった。墨を烏口で書くサインは、見た目、カッコ良かった。
ほんの数年前まで青写真(注6)が使われていて、設計に烏口がゴロゴロ転がっていた時代だ。


社長夫人真紀子さん 「責任と権限とあるけど、ウチのような小規模な組織のとき、どうすれば良いのでしょうねえ?」

山田 「規格では管理責任者は、客の代理であるから品質管理とは別の人でないとダメらしいですよ」

吉永 「同じ人でも良いんじゃない? 他の責任に囚われずに判断すれば良いのでしょう」

山田 「でも同一人物では、囚われないと説明できないんじゃない?」

吉永 「そんなこと言うなら、誰がなろうと社長の決定に反対できないよ」

社長夫人真紀子さん 「この規格の要求事項を確実に履行、維持するとあるから、具体的な品質の責任を負うわけじゃなさそうね」

吉永 「いずれにしても社長が三役も四役もするようになってしまいますね」

社長夫人真紀子さん 「現実にはそうなのよね。ISOばかりでなく、社長を牽制できる人が欲しいわね」

山田 「奥さんしかいませんよ」



うそ800 本日の謎

いったいヒュー社内部では「何があったのか?」というご質問、あるいは「状況を説明しろ!」というご意見がございましょう。
実は私は「納入された製品が全数不良だ」と連絡を受けたことが しばしば(たまに) ありました。泡食って客先に行ってみれば、不良と言われたものは良品でした。先方は検査したときは異常だったというばかり。そんなことがありました。
ただ損害賠償まで揉めたことはありません。このお話で契約解消だ、念書だと書いたのは私の創作です。現実は文句も言えず帰ってきました。

そういうことがあった後、あれはいったい何だったのかと考えましたが、未だに分かりません。社内のチョンボの責任を下請けにかぶせようとしたのか、問題を大きくしてより重大なことを隠したいのか、単純な勘違いだったのか、いろいろ思い悶々としました。

ただその経験から、証拠は大事だと感じました。口頭の話なら概要だけでなく、やり取りした言葉そのままメモするとか、電話なら別途FAXで書き物にして送ってもらうとか、抜取検査でロット不合格なら、不良品を母集団に戻さず識別しておいてもらうなどは必須です。
接着不良と言われたものが、翌日に行ってみると正常になっていたことがあります。温度とか時間で変化したのでしょうか。
まあ、40年も前の話です。

今回はISO認証には価値があるというケースを示しただけです。いや間違えました、ISO規格に価値があることは間違いないけれど、ISO認証に価値があるのかは未だ立証されていません。


もし、ISO認証(●●)が、品質向上、コスト削減などに成果がある事例をご存じなら、是非お便りください。

PPCの節約とか環境意識向上なんてのはダメです。
それとISO認証以外の、小集団活動などで、できたことは除外します。
もちろんISO規格要求を遵守した場合も除外です。それは規格の効果であって、認証の効果じゃない。

認証(●●)の効果ですよ。



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文末脚注
  1. このへんの解釈はかなり難しい。公式でなくても従来から担当者の口頭指示で動いていたという実態があれば、企業が担当者に裁量を与えていたとみなされは発注した会社の指示とされ、それによる結果責任は会社にある(民法第715条)。
    指示した者を越権行為として懲戒するかどうかは社内の問題だ。
    ↩

  2. これも前者(注1)同様に、受注した方が担当者を発注者の窓口と認識していて、過去より同様な指示に対応していれば、わざわざ正式な手続きでないことを問題視することなく信用して良いはずだ(民法第110条)。
    ↩

  3. ISO9001:1987の序文の後ろから二番目の段落にある。
    なおこれと同文の文章は1994年改定版以降、すべての版の序文に書かれている。
    ↩

  4. 三方良しとは近江商人の心得と言われている。「売り手良し、買い手良し、世間良し」を三方良しとし、自分だけが儲けるのでなく、商売に関わる人が皆満足できるものを目指したと言われる。
    ところで、第三者認証制度は、審査する人良し、審査される人良し、世間良しであろうか?
    とてもそうは思えない。審査する人はウハウハだろうが、審査される人は何がメリットか分からず流されるだけ、世間は存在さえ知らない。
    いずれにしても、結果責任を取らない制度が、価値を持つことは絶対にありえない。
    ↩

  5. 実は考案者以外は考案者として記載することは、明治の御代(1885年特許制度開始)から明文で禁止されていた。
    しかし現実は上司や役員の名前などを記すのは、社内マナー(おべっか)とかで悪しき伝統となっていた会社が多い。
    ところが2000年代にノーベル賞 中村博士の青色LED発明により、会社は大きな利益を出したにもかかわらず、発明者の見返りが少ないと訴訟になり、本当の発明者を厳密にする必要性が高まった。
    2011年、特許法改正で真の発明者でない名前で登録されたものへの対応などが明記された。年と共にコンプライアンスの意識が高まり、今ではうかつなことはできなくなった・・・はずだ。
    ↩

  6. 青写真 青写真(サイアノタイプ/ブループリント)とは、鉄の化合物に光を当てて、青い背景に白い線で設計図や文字を焼き付けて複写したもの。
    アンモニアのジアゾコピーと違い、太陽光に当てても退色しないことがメリットだが、焼き付けに日光にあてて放置するという方法のためにジアゾに切り替わった。
    会社に入ったとき、1960年代初期まで使っていたと聞いた。
    ↩




外資社員様からお便りを頂きました(26.10.26)
おばQさま いつも連載 有難うございます。
>「正式な改定通知なく担当者が指示したことで、ヒュー社には責任がないと言い出した」
大会社アルアルですね。
私も経験があり、設計担当から大至急の指示により対応(図面あり)したら、その後 上司の課長が俺の承認無しに勝手に納品物を変えたからお前の責任だと言い出した。
その時には会社法14条で即座に反論しました。
>会社法14条 • 第1項(代理権の範囲):事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。
• 第2項(代理権の制限の対抗要件):前項に規定する使用人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
ようするに、発注元のルールは、下請けには及ばない。誰が代表権を持っているのかは発注側に明示責任。

杓子定規にやれば柔軟な対応は出来ない、とは言えルール無用でやれば責任を押し付けられる。
だから文書化や記録は、ISO認証で指摘されなくとも、本来は必須の事なのですよね。
結局 杓子定規にもならず、柔軟に対応出来るのが良い関係だと思いました。

外資社員様 毎度、お便りありがとうございます。
世の中ルール通りは動いていませんね。でも、それがコミュニケーションエラーとなり、損害が出、企業間、人間関係が悪くなりますから笑い事ではありません。
引退しても、クラブとかマンションの会合でも、俺の言うことを聞かないのかとか、知ってると思ったとか、何で気を利かせないの、というトラブルは多々あります。四六時中顔を合わせる人間関係では非常に困ります。
ISO規格にも責任・権限という項目がありますが、人間関係にも公式な関係と非公式な関係があり、会長より偉い無関係な人とかいますので、もう大変です。
マンションお住まいでなければ、植栽とか行事のつまらない軋轢とは無関係でしょう。うらやましいです。
マンション住まいであれば、同病相憐れむですよ。





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