ISO第3世代 108.鞍替え6

23.09.28

*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。

ISO 3Gとは


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物語の時は2019年3月上旬である。
スラッシュ電機の環境管理課の岡山は、磯原課長代行からISO認証機関の鞍替え予定としているジキルQAの評価を頼まれていた。昨日はあまり審査の品質が高くないという報告をした。それを聞いて磯原は一晩考えさせてくれと言った。

翌日の朝、磯原は岡山と田中、坂本を集めた。

磯原 「昨日みなさんから報告を聞いて考えました。気が付いたのですが、これはジキルの審査における苦情や判断ミスの報告だと思います。私も考えるのが遅いのですが、後で皆さんの報告はジキルQAの審査の品質は高くないという報告であり、今まで依頼していた品質環境センターとの比較がないことに気づきました。
ジキルが皆さんが期待するレベルより低くても、過去と比較すればましなのか、あるいは同じなのか、低いのかが分かりません。
それで客観的であるためには、従来の品質環境センターと、できれば他の認証機関のトラブル状況というか、審査の品質を比較できるようにしてくれませんか」

田中 「これはしたり! それは考えていませんでしたね」

岡山 「我が社では品質環境センターとジキルQAの他にもありましたか?」

会議室

磯原 「それは調べてほしいと言いたいところだけど……他に2社あって大日本認証と真実QAです。関連会社ではそれ以外の認証機関もありますね。
もちろんそこでトラブルが起きているかどうかは知りません」

岡山 「分かりました。いつまでに?」

磯原 「早いほうがいいですね。遅くとも明後日。もちろん皆さんで調査項目はよく考えてくださいよ。私も後で気が付いたのであまり言えませんが、皆さんも調査不足に気づいていなかったのも問題です」



*****


磯原は去ったが、3人は残って話し合う。

田中 「ちょっと考えが足りなかった、慚愧、慚愧」

岡山 「データベースはありますから、それを苦情や審査ミスなどに分けて集計するだけですから、そう時間はかかりません」

田中 「まあ、一敗地に塗れたんだから次はない。腰を据えてしっかりやろう。
トラブル内容も分類すべきだ。大きく分ければ審査ミスとマナーの問題になるだろう。だが、審査のミスといっても、規格解釈、規格外の要求の有無、証拠・根拠の有無、法規制の理解、あるいはもっとあるかもしれない」

岡山 「それによって対応というか評価が違うのですか?」

田中 「違うと思うよ。規格解釈といっても勘違いなら軽いだろう。和訳だけしか読んでなくて、原文を参照していないとかね。
有益な環境側面となると罪が重い。おっと単なる言い間違いなら問題じゃないが、確信犯なら手に負えない」

坂本 「具体的な話だがね、今10時だ。これから手分けして……過去3年としても、グループ全体だと認証件数は70や80社はあるだろう……都合240件くらいになる」

田中 「問題が起きたとして、その2割だろうね」

岡山 「50件というところですか。まずはそれを抜き出してか……」

坂本 「こうしよう、まず岡山君がデータベースから問題があったのを抜き出して、書式を考えてプリントアウトする。
それができたら皆が集まって、みんなで1項目ずつ分類して重み付けでもしよう。それを岡山君がその場で入力する。
それを認証機関別に分類ごとに配点を決めて評価する。
そこまでいったらみんな集まってその評価でよいかどうかを考えませんか」

岡山 「分かりました。プリントアウト完了11時として、11時から集まりましょう。1件1分は無理でしょうから、1件3分として午後3時に終わるでしょう。そしたら夕方提示前にそれをどう解釈するか、どういう方向にするか考える。
それから先はそのときということで」

田中 「了解した。じゃあいったん解散しよう」



*****


夕方、16時少し前である。岡山、田中、坂本が疲れ果てたような格好で会議室にいる。
机の上には飲んだコーヒーの紙コップが山になっている。

ミルク 紙コップ
紙コップ
ミルクコーヒー ミルク

田中 「まとめると、どう言えばいいんだろうねえ〜」

岡山 「まず認証機関として有益な環境側面なんておかしなことを、唱えているところはダメですね。そんなところは除外すると認証機関のレベル差というのはあまりなさそうというか、審査員のバラツキが非常に大きいということでしょう」

田中 「いや認証機関に有意差ありだ。データが少なく統計的には言えなくても直感的に違うよ。
認証機関を並べれば、審査の質は大日本と真実が同点首位、マナーは大日本が1位。ジキルQAは審査の質は3位、マナーも3位。この評価なら真実QAか大日本だね。

気が付いたのだけど、ノンジャブの認証機関はどこも、規格にない要求をしているところはないね。そしてどのshallが根拠かはっきり明記している。エスタブリッシュメントは、ノンジャブが安い悪いと言うけれど、そんなことはない」

岡山 「ノンジャブは、会社を良くする審査なんて言ってないことも好感ですね」

田中 「そう言えば大日本認証は、3年前に2016年に『統一見解』というものを出していたね(第19話)。あれは素晴らしいと思うよ。
審査員が審査でよく『私どもの統一見解では』と言うが、実際に統一見解を決めて公表しているところはない。大日本を除いては」

坂本 「大日本は今回の7つの認証機関中では最高点だね。統一見解ができたのが3年前というから、それ以前はどうだったのだろう?
岡山君、調べたかい?」

岡山 「あ〜、そこまでは調べてませんでした。10分ください」

  ・
  ・
  ・
  ・

岡山 「過去6年まで見ましたが大日本認証の審査でのトラブルは、統一見解のビフォーアフターで完全に違いますね。統一見解はマナーに関係ないはずですが、態度・マナー問題も3年前からゼロになっています。
そもそも統一見解が出たのは、磯原さんが当社を審査している会社を集めてなにやら抗議したことが発端と聞きますから……それがトリガーになって色々見なおしたのでしょうね」

田中 「大日本は問題があれば是正する……第三者認証ビジネスに真剣に向かい合っているということか。当たり前といえば当たり前だな。そもそも認証機関というか審査員は、一般サラリーマンと違い上から目線がデフォだったから」

坂本 「あそこは元は、計測器の校正とか試験装置を持たない企業から各種試験を請け負うような仕事だったけど、今は売り上げの半分はISO第三者認証が占めているからね。そりゃ真剣だろう」

田中 「さて、偏見なしに考えると、鞍替えするなら大日本を推奨というのが結論かな」

坂本 「山内さんとジキルのしがらみはどうなんだろうねえ〜」

岡山 「別に取引関係はないでしょうし、大学時代の付き合いと聞いていますが」

坂本 「もしかして向こうに鞍替えすると言ってしまったのかな」

岡山 「もし義理や取引があるなら、まともな審査をしろと言ってくれれば良いと思いますが」

田中 「ともかく現実から引き出された結論はこれで良いのかな? 我々は政治的なことまで配慮することはないだろう」

岡山 「これで行きましょう。ええと、まだ定時まで20分ある。磯原さんがいるかどうか見てみましょう」



*****


岡山が磯原を呼んでくる。

岡山 「昨日の磯原さんの指示に従って、我が社とグループ企業のISO審査でのトラブルがどのようなものだったか、その内 認証機関の責任になるものについて調べました。
結論的には過去3年間でみると、大日本認証が一番、真実QAが二番、ジキルが三番というところです。なお品質環境センターはその下です。

正直言って、関連会社ではノンジャブを含めたそれ以外の認証機関が3社ありましたが、それを加えても品質環境センターは最下位でした」

磯原 「いろいろ調べてくれてありがとうございました。
そうすると皆さんの結論は大日本を推薦ということになりますか?」

岡山 「昨日の磯原さんの指示に従って、我が社とグループ企業のISO審査でのトラブルがどのようなものだったか、そそう考えています」

磯原 「不具合点をジキルに指摘して、その改善を図るという言質を取るならジキルでもよいと言えますか?
いえ、私がジキルを推すわけではないけど、上がジキルに拘る場合に備えてだけど」

岡山 「それでも良いかと思います。そのあたりが落としどころかもしれません。もちろんお手並み拝見というニュアンスでしょうけど。
いずれにしてもジキルの審査費用は、大日本より高いと明記すべきでしょう。たかだが二、三十万ですが」

磯原 「分かりました。無駄に時間をかけることはないから山内さんに話そう。皆さん、ここにいてください」



*****


山内が来て、打ち合わせを再開する。
岡山がコピーしてきた調査結果を配る。

山内 「早速だが、移転先候補の調査結果を聞かせてくれ」

磯原 「数日前にジキルQAに来ていただきました。訪問されたのは、橋野取締役の他に片桐という審査員もいました。話しぶりからするとその片桐氏がこちらの審査時のリーダーを務める雰囲気でした。
こちらは私と岡山さんが出席しました。

打ち合わせの目的は、今まで本社や工場でISO審査要求事項の解釈でもめたり、規格に書かれていないことを要求事項だとされることが多々ありました。ジキルではそのような解釈をしないかどうかの確認が目的でした。

ともかくそこで2年前に品質環境センターに確認したと同じく、何項目かについてどのような考えをしているかについて問いました。
主に片桐氏が対応したのですが、まず有益な環境側面について問題視していませんでした。それについては橋野取締役が、その場で誤った考えであること、イギリスの本社ではそのようなことを否定していると話して、我々に対しては有益な環境側面など審査では口に出さないと約束しました。
その他、いくつかの項目がありましたが我々の要求について、片桐氏は当然できるという回答ではなく、できない説明に終始しました。

法律に反しているとして不適合を出して、その後こちらが行政に確認して合法であると報告したにも拘らず、何も返事がなく不適合のままとしたことについては、橋野取締役から、いずれも担当した審査員が間違いを隠して上長に報告していなかった。それについては懲戒処分にした。今後は起きないから了解してくれということでした。
真実か否かは分かりようがありませんが、当社の工場や関連会社で複数発生しているものが、すべてそれぞれの審査員の問題とは考えられません。そういう体質だと考えてしまいます。

また、対応も態度も言葉使いもですが、上から目線でして、好感は持てませんでした。
過去に片桐氏は高知工場に審査に来ていますが、そのとき失礼な態度をとったということで、高知工場ではそれ以降、審査員の諾否伺いが来るたびに、彼を忌避しています。

以上のことがありましたので、ジキルQAの審査におけるトラブルは他の認証機関による審査と……と言いましてもスラッシュ電機グループに限定されますが、過去3年間のトラブル、トラブルには審査でのミスジャッジもありますし、審査の態度なども含めて認証機関による違いを調べました。
その結果、大日本認証が一番、真実QAが二番、ジキルが三番、品質環境センターは四番となりました。

これらから認証機関の移転先として、審査の品質から考えると、ジキルにするメリットはないと判断しました。俗にQCDと言いますが、コストについても高めです。
まず以上のことを報告します。

私としては大日本認証を第一候補とするべきと考えます。もしジキルに依頼するなら最低限、審査において正しい判断をすること、暴言などのトラブルを起こさないことの言質をとることが必要と考えます。
また我が社のルールというわけではありませんが、各工場の審査での問題を共有しており、ひとつの事業所で問題を起こした審査員は、それ以降全社で忌避することにしております。これはジキルに限らずすべての認証機関に適用しています。当然、先方がリーダーと想定している片桐氏も忌避することにします」


山内は目をつぶって上を向いてしかめっ面をする。

山内 「橋野も口だけだったか。
岡山よ、君が調べたのか?」

岡山 「我々、この三人で手分けして調べました」

山内 「そのジキルが審査して判断間違いというのはどんなことがあった?」

岡山 「法に関わる不適合を出して間違った判断であると分かったものは、すべて異なる審査員によるもので、特定の審査員が間違えたということではないようです。

違法とされたものの内容は多様で、騒音特定施設の届け出をしていないとされたものは届け出不要、マニフェスト票の記載不備とされたものも問題ありませんでした。
また電子マニフェストでインプット時の選択が間違いとされたものがありましたが、これも行政が指導している通りであることを確認しました」

山内は沈黙してしばし考える。

山内 「うーん、わしの考えも磯原君と似たようなものだが、どうするかだな、
提案として

1.この情報を全部ジキルに話して問題のない審査を要請する

2.今回の評価で良かった認証機関とする

3.何も話さずにジキルで審査を受けて、問題があれば苦情を出す。当然次はない

こんなところか」

磯原 「大変言いにくいことですが、山内さんは橋野取締役に依頼すると話していますか。もしそうでなければ今おっしゃった2番目が良いと思います。
既に発注すると語っているなら、1番か3番しかないと思います」

山内 「橋野にはお前のところに頼むぞとは言ったが、契約したわけじゃない。それは気にすることはない。
むしろ審査の品質が悪いことに気づいたから頼むの止めたと言うほうが筋が通るだろう」

磯原 「当社の決裁権限規定では年300万程度では課長決裁ですが、元々品質環境センターの決定は当社が株主だから上のほうで決定されたと聞いています。
ジキルに移転するということは、上のほうはどこまで了解を取られているのでしょう?
もしジキルに移すことにいろいろ議論があったなら、更に移転先を変えるとなるといろいろ問題があると思いますが」

山内 「まあ、そんな問題は俺の仕事だ。君たちは最善を考えれば良い。
ところでISO審査に向けて何か計画を立てたのか? 認証機関が違うと規格解釈も違うし、審査方法も違うというからな」

岡山 「本来ならば認証機関が変わっても、規格解釈も審査方法も変わるはずがありません。なにしろ国際標準ですからね。
とはいえ、現実には認証機関の考えに合わせて対応しなければならないのが事実です。我々がジキルと打ち合わせたのは、我々の考えで先方がOKするかの確認でしたから」

磯原 「そしてジキルはできないという雰囲気でしたねでしたね」

山内 「オイオイ、できないってことは、まともな審査ができないということか?」

岡山 「先ほど申しましたが、できない理由をいろいろ述べましたね。橋野取締役ではなく、片桐氏ですが。ジキルも上が思っているのと、末端の現実は違うのでしょう」

坂本 「ウチだって社長方針が末端まで徹底しているかといえば、そうじゃないよね」

田中 「だけど社長が仕事はこうすると言えば、多くの人がそれに反することはしないだろう。主義主張と業務は違うからね。露骨に言えば職務規定違反だ」

山内 「ええと、とりあえず大日本以外の候補はないと考えてよいな?
分かった。では結論だ。
わしが社内については大日本でいくように話をする。ジキルにはわしから断りをしておく。
磯原君一党は大日本に、見積もりと6月末以降夏季連休までの日程での実施の可否の確認をしておいてくれ。
委託するとは言わないでくれ。とりあえず実施可否の確認と要求事項の理解の確認だ」

岡山 「あそこは統一見解というものを策定して公開しています。それは私から見ておかしいところはありません」

山内 「なるほど、しっかりしているところは、しっかりしているということか。とはいえ実際に会って確認はしておけよ。トラブルはごめんだ」



*****


翌日、山内は面倒なことは早いところ片付けようとジキルに電話をする。

ジキルQA橋野取締役 「はい、橋野です。おお、山内か、先日は御社にお邪魔したよ。磯原課長と岡山さんから規格解釈についての確認をされたよ。いささか見解が異なるところもあったようだがよろしく」

山内 「ちょっとさ、ウチも甘く見られたもんだねえ〜」

ジキルQA橋野取締役 「なんだろう?」

山内 「君と片桐という審査員が来社されたと聞く。その片桐氏の評価はご存じだろうか?」

ジキルQA橋野取締役 「彼は期待の若手だよ。認証機関で若手というと普通は50代初めのことだが、彼は正真正銘の40代初めだ」

山内 「彼は過去2回御社からウチの高知工場に審査員として提案されているが、二度とも忌避している。というのは3年前に審査で大分不遜な態度で工場幹部以下非難轟々だったからだ。
あの席に彼を出したということは、彼を審査のリーダーにするつもりかと思うが、そういう経緯をご存じなかったか」

ジキルQA橋野取締役 「なんだってぇ〜、そんなことがあったのか。
お宅もそういうことがあれば、忌避するのでなく、問題があった時点で正式に苦情を出してほしいよ」


注:「忌避」とは、審査前に認証機関が派遣する予定の審査員を受け入れるかどうか通知するが、そのとき種々の事情でこの人は変えてくれということ。
種々の事情とは、同業他社勤務、外国人あるいは外国居住者、過去にトラブルを起こしたなどが該当する。

ちなみに輸出管理令に関わる仕事の場合は、外国人あるいは外国居住者の構内立ち入りには、所管官庁の許可が必要な場合もある。

「苦情」とはISO17021-1のルールで受査側を含めた利害関係者が審査に不満があるとき認証機関や審査員登録機関に申し立てること。審査員登録の更新のときに、しっかりとそれを報告しなければならない。程度によっては審査員更新が拒否されることもある(らしい)。


山内 「橋野君、実は打ち合わせの状況を昨日聞かされてお宅を推したわしはいささか恥をかいたよ。君は真実を隠しているのか。あるいは君は真実を知らされていないのか?
磯原が審査で法違反とされたものを審査後に行政などに確認したら合法だったものがあり、後で訂正を求めたがなしのつぶてだったという話をしたそうだ。それに対して審査員個人のミスだったと回答したそうだね。

君が把握しているかどうか知らないが、そういったことは御社がスラッシュ電機グループの審査で起きたのは1件じゃないんだよ。過去3年で4件発生していると聞いた。それらの審査員は皆違う。審査後にそれら全部が合法だと確認したというこちらからの通知に対して回答がこれまたすべてに来ていない。工場の人たちは我々本社と違い腰が低いからお宅に強く言えないのだ。
これは審査員個人の問題じゃなくて御社の体質というか管理の問題だろう。

先ほどのことだが、高知工場で片桐氏を2度も忌避したら、ここは日本だから、婉曲的に断ったと理解してほしいものだ。
そのためには苦情を出さないとだめなのか? それじゃお宅も本人も困るだろう。毎年の審査員登録更新時には、苦情を受けたら登録機関に申告しなくちゃならないはずだ。場合によっては問題を起こした企業に確認まですると聞いたことがある。

そういえば君は磯原に、ジャッジミスの場合は審査員個人にではなくISO17021で定める異議申し立てをしないからだと語ったそうだね。それもおかしくないか?
ともかく先日の打合せ結果で、御社に対する信頼性は相当落ちた。移転についても再検討だ」

ジキルQA橋野取締役 「大変ご迷惑をおかけした。ウチに審査を依頼しないにしろ、言われたことは徹底的に調査して報告する。
申し訳なかった。2週間ほど時間をいただきたい」

山内 「頼むよ。本社の審査だけでなく、過去から御社で審査している工場は3つあるがね、そこまで波及するかも分からない」


橋野は電話を切った後、録音再生を押して再び聞く。受けた電話はすべて録音している。
いやあ、参ったねえ、
俺が思っているのと
現場の実態は違うか

ジキルQA橋野取締役
相手方に無断で録音することは違法ではない。但し裁判などで証拠にするには制限があること、また悪用することは違法である。

山内もだいぶ感情的になっているが、言っていることはおかしくない。
果たして説得で収まるか、いやその前に彼が言ったことは間違いないのか、確認と対策は必要だ。
橋野は誰を集めればよいかを考える。
おっとその前に、片桐を呼んで話を聞こう。



うそ800  本日の妄想

私は1993年頃からISO9001認証に関わってきた。
当時は一刻も早く認証しないとEUに輸出できないという切羽詰まった状況で、審査員が灰皿を投げようと、机を蹴ろうとして私の脛を蹴ろうと、じっと我慢の子であった。

1990年代も後半になると、そういう切羽詰まったことはなかったが、おかしな審査で苦情を言おうとすると意気地なしの上長が、遠くまで審査に来てくれたんだ快く同意しようなんて、支離滅裂なボケをかましてどうしようもなかった。

21世紀になって、審査員にそれは間違っているでしょうとか、17021に違反だとか対等に発言できるようになった。
20世紀に審査員と対等に話ができたらなあ〜と残念である。



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