ISO第3世代 113.大日本認証3

23.10.16

*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。

ISO 3Gとは


*****

スラッシュ電機で打ち合わせをしたメンバーは、また歩いて会社に戻る。帰社したのは終業時刻間際だったが、吉野が声をかけて会議室に入った。
湯気
ミルク
紙コップ
皆椅子に座ると消耗した顔をしている。歩いて疲れたのではない。考え疲れたというか、思ってもみなかったようなことをいろいろ言われ、頭をゆすぶられたからだ。

野崎が給茶機で人数分ホットコーヒーを注ぎ皆に配る。彼が一番若いということもあるが、営業なので腰が軽いのだ。
暗くなりかけの寒い道を、10分も歩いてきたので体が冷えた。皆すぐに手を伸ばす。飲むとほっと一息という感じだ。

吉野部長 「さて、印象が薄れないうちに皆さんの感想をお聞きしたい」

水谷部長 「私は今日の話を聞く限り、彼らの語ることは真っ当と思いましたね。文句を付けるなら、文句を言う方がおかしいと思いますね」

吉野部長 「私も彼らの語ることは真っ当と思いました。あれだけ理論立てて語られては、文句の付けようがありません」

加藤審査員 「あれほど真剣に規格を読んでいるとは……すべての語句をコンピュータにぶち込んで分析したとか……とても普通じゃないですな。
しかしJIS訳は使えないんだなあ〜。初めに英語原文でないとダメと言われたとき、こいつは何を言っているんだと思いましたが、話を聞けばもっともなことです」

野崎 「determineには参りましたね。そのほかにたくさん問題訳を挙げてましたが、Legibleとかawareが記憶に残りました。
一字一句を英英辞典やネットの膨大な文章から意味を捉えて訳そうというアプローチには頭が下がりますよ」

吉野部長 「Legibleは多くの人が分かりやすい文章と理解しているからね。
明瞭な
legibleとillegibleの意味
は上図を見れば一目瞭然
数年前に知り合いの認証機関の社長が本を書いたから読んでくれって言うんで、本をくれるのかと思ったら買って読めってさ。

まあ付き合いで買って読んだ。その本では『Legibleとは、分かりやすい文章のこと』と力説していたね。書籍はずっと残るし修整が聞かないから、恥もいいところだ」

野崎 「水谷部長、今日向こうでお話を聞いて一つ思いついたことがあるのですが…」

水谷部長 「なんだろう?」

野崎 「ISO規格解説本を出したいです。『英文で読もう』というタイトルにして、今日聞いたことだけでなく、それこそ規格の一字一句を正しく訳せばどうなるのかというのを作りたいです。それを審査員研修でのテキストか副読本に使いたい。市販もできると思います。
著作権で問題が起きると嫌だから、スラッシュ電機の岡山氏と共著にして、ISO-TC委員に見てもらって推薦文を書いてもらいます」


注:実を言って、ISO規格の解釈をISOTC委員などに聞く必要はないし、彼らの見解が規格を読むことに影響力を持たない。
法律でもそうだが、一旦正式に公布されたなら法律でも規格でも、書いてあることが『正』であり、読み方によっていかようにもとれるなら、それは欠陥品であるとされる。
法律や規格の利用者は、ひたすら文字を読むことに尽きる。

水谷部長 「ISO本は3,000部売れればベストセラーと言われる。2,500円で売って印税75万、4人で割ったら18万だよ。本を書くより残業したほうが金になる」

野崎 「お金じゃありません。そういう本があれば審査のトラブルは半減どころか急減しますよ」

水谷部長 「本気なら岡山氏と話をしてみなさい。彼の力が絶対必要だし、彼を無視して出すわけにはいかない。出来次第ではウチの出版物として出そう。ウチの名がつけば少しは箔が付く」

野崎 「ありがとうございます。真剣に考えます」

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加藤審査員 「著しい環境側面一覧表や法規制一覧表を元に審査をするな、現場を見て何を管理しなければならないか、そして関わる法規制を想定しろというのは全く正しいと思います。しかしそれができる審査員は何割いますかね」

吉野部長 「審査員って、ISOが好きとか環境問題に関心がある人ばかりじゃないんだよね。元の会社で環境以外の業務で管理職をしていた人を、出向するところがないからウチに出向させ、ウチでは半年くらい教育して審査員に仕立てているわけですよ。

私も元は設計です。歳をとって先端技術についていけなくなって品質管理に回り、年配になって品質管理をしていたからQMSに詳しいだろうと、ここに出された。
まだQMSは仕事と関りがあって良かったですが、環境とか公害なんて全く縁がありません。公害防止管理者や危険物の試験を受けたものの、環境法なんて手に負えません。こりゃコンピタンスどうこういう以前です」

水谷部長 「まあそういう人をうまく使っていくというのが、認証ビジネスです。人件費も出向者のかなりの部分を派遣元で補ってくれているから何とかなっているわけで」

野崎 「それだけでなく契約審査員で人件費を薄めないと成り立たちません。言い換えるとこれはビジネスなのか、高齢者の雇用のためなのか疑問に思うこともあります」

吉野部長 「1990年頃、欧州でISO9001の第三者認証を始まったとき、ホワイトカラーの失業対策と言われたそうだ。 会議室 思うことはいずこも同じか…
ともかく認証をビジネスとして見れば、今日の彼らの要求は当たり前だ。大金を払って、理不尽な態度を取られ、誤った不適合を出されて、ありがとうなんていう客はいないよ」

加藤審査員 「安藤さんは考えを変えてもらわないと、いつかは大問題を起こしそうです」

野崎 「安藤さんばかりじゃないですよ。客先から苦情が来る前に、我々営業担当が忌避したい審査員は多いですよ。問題を大きくしたくないから黙っていますけど、審査に行ったところから文句を言われる人は決まっています。そういう人は解雇してほしいですね。
審査部長にはこれを機会に審査員の質向上を期待します。トラブル対応は我々営業なんですから」

吉野部長 「切るのもなかなか難しいんですよ。あの人は突発的でも休日でも嵐でも、対応してくれる。そういう意味では使いやすい。
スラッシュ電機のように、真剣勝負のISOってのをしている会社は、めったにないですからね」

水谷部長 「事情はあるにしても、安藤さんはどうにかしないと時限爆弾と一緒で、いつかどこかで大問題を起こすぞ。
噂だが品質環境センターで暴行事件を起こした契約審査員は、俺様の態度だっただけでなく、ユニークな規格解釈をしていたと聞く。安藤さんも同様だ」

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水谷部長 「ところであの岡山って男はISO規格に詳しいのかい?」

吉野部長 「私は面識がありませんでしたが、何を言われても困った風もなくスラスラと返すところを見ると、只者ではないですね。
ただ私はあまりしゃべらなかった磯原が中心人物だと思います。3年前に認証機関を集めて話をしたのは彼でした」

水谷部長 「磯原かあ〜、ああいう人にウチに来てもらいたいなあ。何でも知っていておとなしそうで、サラリーマンの理想像だ。審査員になれば大成すると思うね」

吉野部長 「まだ40前でしょう、無理ですよ。ああいう男はこれから会社の中心で活躍するでしょう」

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野崎 「水谷部長、分からないことがあるんですが」

水谷部長 「なんだろう?」

野崎 「あれほどISO規格を理解しているスラッシュ電機なら、その効用も限界も知っているはずです。それでもなぜ認証に拘るのでしょうか?
正直思いますが、あのように深く考えているなら、認証する必要はなさそうです。なぜ認証が必要なのか?」

水谷部長 「そりゃ現在の日本ではISO9001や14001、その他情報セキュリティくらいは認証してないと、ビジネスに差しさわりがあるからだろう」

野崎 「そんなもの必要ないって部長の方がご存じでしょう。21世紀の今はどんなISOMS規格でも認証したなんてニュースにもなりません」

吉野部長 「なぜ認証に拘るのかと聞かれても、部外者には分からないなあ〜、君はなぜ興味を持つのかね?」

野崎 「彼らは環境管理に自信があるようです。あそこに限らず日本のまっとうな会社なら、ISOなんて現れる前から公害防止の仕組みは30年も歴史があったわけで、長い年月ノウハウも技術も蓄積されているでしょう。
ISO14001の序文にもありますが、遵法と汚染の予防には多様な道があるわけです。ISO14001はその一つにすぎません。
だから日本においてISO14001なんてそもそも必要なかったと思いませんか?」

吉野部長 「ISO14001が始まったとき、そういう意見もあったそうだ。ただ環境法規制がない国も多かった。だから存在意義があるという理屈だった。そして国際規格だからEMSの構造をそれに合わせるべきと言われたとか。

それにそもそもISO14001はリオ会議からのもので、持続可能性を目的としたところが公害防止や省エネとは違う。もっと大局的に考えているわけだ」

野崎 「とはいえISO14001の意図は、遵法と汚染の防止ですから公害防止と違いませんよ。(実際には公害防止規制には製品省エネとか化学物質管理のような考えはない)
スラッシュ電機が長い時代をかけて自己流の……悪い意味ではありませんが……環境マネジメントシステムを築き上げたなら、身の丈にあったISO14001以上のEMSだと、内外に叫んでもおかしくありません。

しかし認証機関が審査で問題を起こしたことをきっかけに、認証を止めるのではなく他の認証機関に移転しようとする。その理由が分かりません。本来ならもう認証はいらないと言っても良いはずです」

水谷と吉野は顔を見合わせてしまった。
確かにスラッシュ電機は、最近大きな事故とか違反を起こしたわけではない。昨年秋に九州の工場で排水漏洩事故(第65話)があったと聞くが、ローカルTVにも新聞にも載らなかったようだ。環境法違反など過去10年聞いたことがない。
昨年末の品質環境センターの騒ぎ(第94話)は環境問題ではないし、報道もされて誰が悪いのかははっきりしている。スラッシュ電機側に過失がないのは明白だ。なぜそういう状況であっても、認証に拘るのか?

加藤審査員 「私が思うに、いくつか考えられます。
ひとつはISO認証に、価値なり権威なりを認めているからかもしれません。まあ、現実のISO審査とか認証を受けた企業の実態を見ればそうは思いませんが、スラッシュ電機はそう思ったのかもしれません。
そうでなくても会社のトップが認証を大事と考えているなら、担当者にとって認証はアプリオリです。

あるいは、外部から認証を要求されているのかもしれない。
例えばグリーン調達の要件としてEMS認証を求めている企業は減少していてもまだまだあります」

水谷部長 「いや〜、加藤さんはすごいね。いろいろ考えているのですね」

加藤審査員 「考えるともっとあります。彼らは認証機関のレベルを把握したいのかもしれません。品質環境センターは認証業界の恥部と言われています。そこを長年使ってきて、いよいよダメと見切りをつけたけど、他の認証機関の実力を見ようということかもしれません。
最初評判の良いジキルに話を持っていったが、打ち合わせの過程でジキル側の問題が発覚してキャンセルし、ウチに回ってきたとも思えます」

野崎 「なるほど、そういうふうに分析してもらえるとよく分かります。
加藤さんのお話を聞くと、私は最後のISO審査の力量調査かなと思います」

水谷部長 「ISO認証の価値ではなく、ISO審査の価値を評価しようというわけか、たまげたね」

吉野部長 「もしそうであるなら、この依頼はお断りするという選択もある。なにもわざわざ面倒な会社の審査を受けることもない。それに我々の事業が社会に役立つことを目指しているわけで、そのような目的なら事業の目的に合わない」

野崎 「吉野部長、それはないでしょう。それこそウチの実力を示す機会ではないですか」

吉野部長 「だがミスをすれば……いやミスがなくても、ウチの審査を彼らが評価しなければ、それがどう広まるか」

加藤審査員 「いえいえ、今 述べたのは想像です。本当はまた別の思惑があるかもしれません」

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話が弾んだわけではないが、疑問もあるし、考えると疑心暗鬼になってしまう。そんなわけであまりポジティブでない話が続いた。
だいぶ時間を取ってしまい、一段落したところで解散することにした。
水谷部長は野崎に、今の話し合いの要点をまとめて皆に配ってほしいと頼んだ。
水谷部長と吉野部長だけになると、また話を始めた。

吉野部長 「先ほどもちょっと言ったが、この依頼をお断りしたほうが良いのではないですかね?」

水谷部長 「自信がないですか?」

吉野部長 「うーん、そうは言いたくありませんが、正直いろいろ考えたのですよ。
岡山氏が言うには、現場で直接質疑応答をしてもらうとのこと。ISO事務局なるものはないそうだが、環境部門の人は案内するだけで質疑には関わらないという。
規格の用語を知らない人相手に、ISOの審査ができる審査員が何人いるでしょうか? あの規模なら審査員が4名ないし5名必要でしょう。探せばそろうものですかね?」

水谷部長 「やはり自信がないと?」

吉野部長 「そうは言いません。ただ検討事項が多く、しかも審査員をこれからしっかり教育しなければならない、そういうことがまずあります。
他方、上手くいっても大してメリットはない。6,000人規模といっても、審査費用は4,000人とほとんど変わらない。1件で300万は大きいけど、ウチの売り上げから見たら微々たるものだ」

水谷部長 「でもそれだけ稼ごうとするなら、今の認証組織の平均人員数は100名弱だから7・8件あるいは10社くらい取らないとならない。それはそれで大変だ」

吉野部長 「総合的に考えると、営業部が頑張るか、審査部が頑張るかの選択ですね」


注:審査料金は(一日当たり単価)×(審査工数)で求められる。
一日当たり単価は認証機関によって倍くらい違うが、基本的に定額である。
審査工数は審査工数はIAFの『品質、環境及び労働安全衛生マネジメントシステム審査工数決定のためのIAF 基準文書(IAF MD5)』というもので定めている。審査組織の人数と工数の関係はリニアでなく対数曲線のようで、数が大きくなるほど増加が少ない。

ちなみにEMSで環境負荷「中」の場合、有効要員数4000名なら審査工数が20日、有効要員数が6000名なら23日である(IAF MD5 p.24参照)。
有効要員数とは、日勤・夜勤は合計し、パートやアルバイトは勤務時間を就業時間で割る。

有効要員数(人)100500a1,000aa2,000aa4,000aa8,000a
審査工数(人工)81215172025

実際には認証機関によって審査工数はかなりばらついている。ひどい場合は5割くらい違う。環境負荷の考えとか人数の数え方が恣意的にみえる。


水谷部長 「吉野さん、こう考えたらどうですか。スペシャルな客にはスペシャルな審査をするんです。あのね、航空会社だってうるさい客は丁寧に扱い、何も言わない客は普通に対応する。認証を受ける組織の上澄みと下の方では審査員も審査方法も異なっても、分かりゃしません
スラッシュにはベテランの審査員を充てて、ミスのないようにする。それでいいじゃないですか」

吉野部長 「ミスのないようにと言いますが、それが確信ありません」

水谷部長 「審査というものは、相手のレベルに合わせるものです。スラッシュ電機はプロセスアプローチと言いましたが、ISOも知らないような企業には項番順審査しか方法はありません。成熟した組織なら、プロセスアプローチもいらずに、目標と結果を見て問題なけりゃ十分ですよ」


注:目標とは改善計画などの目標だけではない。規則で示すなすべきこと、業務をQCDを満たして遂行することも目標といえる。

問:業務がルール通り行いトラブルなく処理されているなら、QMSもEMSも規格適合であることを証明せよ。あるいは規格不適合であることもあることを証明せよ。


吉野部長 「そういうものかな?」

水谷部長 「そういうものです。そしてスラッシュ電機が無事故・無違反を続けてくれるなら、我々が審査しているからだと宣伝もできる」

吉野部長 「ならばスラッシュ電機の審査をどうするかを考えなければならないな。我々が納得するだけでなく、認定審査員が陪席する場合に備えて、規格適合の理屈付けを考えなくちゃならん」

水谷部長 「おお、元気が出てきましたね。その気持ちで頑張ってくださいよ」

吉野部長 「考えます。まだ回答するまで1週間はあるでしょう」


*****

数日後、吉野部長は審査から戻ってきた加藤審査員を呼んで打合せる。

吉野部長 「まずはこの仕事は絶対に取りたい。それは仕事量確保という意味もあるし、うるさい客であるからこそ、そこを認証したいこと、その会社が無事故無違反であることは宣伝効果が高い。要するに環境優良企業を客にすれば大いに宣伝になる。

だから審査部としては、この会社を唸らせるような審査をしなければならない。今回は初回審査になってしまうので、審査工数は16人工と見積もっている。4人で4日だ。万一に備えて君を含めて優秀な審査員を5名確保したい。
その5名でプロジェクトを組み、どんな攻め方をするかの事前検討、あの会社の環境側面や該当法規制を事前勉強してミスをなくすように取り図りたい」

加藤審査員 「承知しました。プロジェクトと言いましても、専任ではありませんよね?」

吉野部長 「ああ、もちろんだ。通常の審査はしてもらわなければならない。ただ全員週1日くらい共通な空き日を作り、メンバーが集まって検討とか勉強会ができるようにしたい」

加藤審査員 「そうしますと、まずメンバーの選定ですね。私は一緒に審査した方くらいしか面識はありません。それも一二度一緒に審査した程度では、審査ではバラバラに行動しますから、力量なんて分かりません」

吉野部長 「ひとつ考えがあるんだ。品質環境センターが昨年末に行った審査のリーダーだった方を調べた。三木さんという方だ。
彼は元々大手機械メーカーで営業部長だったが、定年前にナガスネ環境認証機構に出向し、定年になってからは品質環境センターで契約審査員をしていた。
今年(2019)70になるとかで、誕生日がきたら引退するつもりだったそうだ。しかしあのトラブルで昨年末に審査員を辞めている」

加藤審査員 「はあ? それが……」

吉野部長 「彼をウチの契約審査員として、今回の審査のメンバーしようかと考えている」

加藤審査員 「その方は力量があるのでしょうか?」

吉野部長 「品質環境センターとナガスネ時代に彼の同僚だった人を探して、いろいろ聞いた。 私は宮本武蔵である 人格温厚で頭が切れる人だという。
そしてなによりも気に入ったのは規格解釈だ。彼は先輩の語ることを信じないで、一人究明し続けた……宮本武蔵だよ、修行者だよ、分かるだろう」

加藤審査員 「独りISO修業の道を歩んだということですか?」

吉野部長 「そうだ。昨年末の審査を最後までできなかったことを残念に思っているらしい。声をかければ助っ人に来てもらえないかと考えているのだ」

加藤審査員 「お聞きするとご年配のようですし、考え方が今の我々が感じている方向と同じかどうかもわかりませんし……いかがなものでしょう?」

吉野部長 「加藤さんの言うとおりだ。それで会って話をしてみるつもりだ。一緒に会ってほしい」

加藤審査員 「分かりました、いつでしょうか?」

吉野部長 「来週の水曜日の午後、ここに来てもらう約束を取っている。加藤さんの審査予定はないと確認した。
その後、地下の居酒屋で一献と行きたいと思っている。それから先はまあ、相手次第というところだ」

加藤審査員 「承知しました。メンバーになっていただけるかどうかはともかく、スラッシュ電機の様子を教えてもらいたいですね」

吉野部長 「それからメンバーの案を考えた。
佐藤審査員、谷藤審査員、永藤審査員を考えている」

加藤審査員 「都合4名では足りないのではないですか。先日は予備を含めて5名と聞きましたが」

吉野部長 「三木さんが入ってくれれば員数はピタリだ。
三木さんが参加できないなら、営業部長の水谷さんを考えている」

加藤審査員 「分かりました。営業部長なら規格以外の問題の対応は得意でしょう」

吉野部長 「それを期待している。規格解釈の違いでもめたりしてオーバーヒートするんじゃないかって心配でね。
もちろん先ほどの4名に不測の事態が起きなければ、営業部長の出番はない」

加藤審査員 「いずれにしてもメンバー候補者は事前の検討会に参加して、レベルアップと対スラッシュ作戦に加わってもらわなければなりませんね。
その三木さんに会うのが楽しみです」

吉野部長 「戦力になってくれればありがたいのだが……」



うそ800  本日の釈明

なんで三木さんを連れてくるのかと問われるでしょう。
スラッシュ電機との打ち合わせでは、スラッシュ電機内部の情報が少なかったので、それを補おうかと思いました。
それを聞いて、吉野部長と加藤さんが再度驚くという流れで……




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