*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。
前回のあらすじ
磯原を異動させたい(追い出したい)上西課長は上司や人事に話すのだが、いずれも上西が現実を認識していない、
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磯原が憎い | |
課員の勤務状況と成果物のまとめを頼まれた柳田は、翌日の昼前にはとりまとめて上西に提出した。
柳田は文句は言うが仕事は早いと上西も思う。
早速拝見する。
10月分 | 11月分(11/16まで) | |||||||||
出勤日数 18日 | 出勤日数 12日 | |||||||||
就業時間 | 休暇日数 | 休暇時間 | 時間外 | 在場時間 | 就業時間 | 休暇日数 | 休暇時間 | 時間外 | 在場時間 | |
上西 | 135 | 1 | 7.5 | 12 | 139.5 | 90 | 1 | 7.5 | 4 | 86.5 |
田中 | 135 | 30 | 165.0 | 90 | 8 | 98.0 | ||||
坂本 | 135 | 1 | 7.5 | 25 | 152.5 | 90 | 8 | 98.0 | ||
磯原 | 70 | 205.0 | 90 | 25 | 115.0 | |||||
岡山 | 135 | 1 | 7.5 | 17 | 144.5 | 90 | 10 | 100.0 | ||
増子 | 135 | 10 | 145.0 | 90 | 8 | 98.0 | ||||
石川 | 135 | 16 | 151.0 | 90 | 8 | 98.0 | ||||
柳田 | 135 | 4 | 139.0 | 90 | 1.5 | 11.25 | 4 | 82.8 | ||
課発生時間 | 184 | 1241.5 | 79 | 784.0 |
磯原が一番時間外を多くしているのは一目瞭然だ。10月は70時間になっている。今月11月は半ばで25時間、半減とまではいかないが大幅減だ。環境管理課の時間外の4割を磯原一人で占めている。確かにこれは目立つし問題だ。とはいえ課長でありながらそれに今気づくとはおかしいと思わない上西である。
これは田中、坂本が来た結果、仕事を振り分けたからだろう。二人が来てくれた効果は大きいということか。
磯原は気に入らないが、奴は無能ではない。ということはそれほど仕事があるということか。となると磯原がいなければ環境管理課は立ちいかないというのは本当か?
しかし不思議はいろいろある。10月は4人が異動したばかりだが、11月をみると課全体の残業時間は25%増加だ。ということは磯原の仕事を田中、坂本に移しても、まだ二人が熟練していないから磯原がしていたときより時間がかかっているのか? あるいは以前に比べて更に仕事を取り込んでいるのか? それとも今までは仕事を消化しきれなかったのか?
では成果物のほうはどうなのか?
柳田は成果物の指標を見つけられなかったようで、単に各人の担当業務を羅列しただけだった。
10月 | 11月(16日まで) | |
上西 | 社内/グループ企業報連相まとめ | |
田中 | 社内/グループ企業報連相まとめ★★ | 社内/グループ企業の環境施設調査 |
坂本 | 監査不具合調査 環境教育テキスト検討 | 社内/グループ企業の環境施設調査 環境業務共通要領書検討 |
磯原 | 監査員教育 事故対応 ISO認証準備 | 監査員教育 事故対応 ISO審査準備 |
岡山 | 環境監査体制検討 広育体系検討 | 環境教育テキスト作成 教育の実施(講師) |
増子 | 廃棄物共通手順書検討 契約書作成システム | 廃棄物業者本社登録制度 廃棄物保管場の標準化/マニュアル化★★ |
石川 | 廃棄物業務の理解 | 廃棄物削減/リサイクル推進 |
柳田 |
本来ならというか当たり前の管理者なら、部下の担当をしっかりと定め、かつ今期の計画を示して進捗管理をしなければならないが、上西は磯原が各位に割り当てたものを追認しただけだ。
一見した感じでは、廃棄物関係の工数投入が多すぎ、公害防止の専任者がいない。これは問題だと上西は思う。そもそも上西が公害防止の担当であったわけで、問題は公害防止の仕事をしない上西にあるのだが、もちろんご本人はそんなことを思いもしない。
役割分担を早急に見直して、石川にISOとか監査員教育を、坂本と田中の役割を公害防止に軸足を移さないとまずいと思う。下山が補強を要求した理由を忘れるなと語ったことは、既に忘却の彼方のようだ(第89話)。
上西は柳田の資料から目を上げて、斜め上を見て考える。
上西もバカではない。最高峰と呼ばれる国立大学を出て、その後院に進み修士で入社している。だから単に解法を考えるのでなく、まずは解があるのかどうかを考える。
現状で磯原を追い出すことは可能だろうが、その後に環境管理課の実権を得ても、自分は上手くハンドリングしていけるものだろうか? 自分がトップになってから大きなミスをしたら、それこそ言い訳できない。そうなれば退職するとか……
となるといっそのこと自分がここを去るほうが利口ではないだろうか?
自分は環境のようにしょっちゅう問題が起きて、その火消しをする仕事は向いてないんじゃなかろうか。岩手工場では無事環境課長を務めたつもりだったが、裏ではボロが出ないようにいろいろ細工していたことを知った。もしあのとき問題が露見していたら、課長である自分が責任を負って処分を受けていたかもしれない。
現に今も長野工場の問題で右往左往しているが、大火事になると大変だ。辞めるための理由付けは、能力がありませんでしたでもなんでもいい、責任を負う事件が起きる前に逃げることが最良の選択だろう。
もう既に社長候補から外れたのだから、これから頑張っても本社の部長になれるかどうかも定かではない。とはいえ大卒入社で本社の課長あるいは工場の部長になれるのは、同期の中でせいぜい4割だろう。自分は同期のトップで42歳で本社の課長になった。見方を変えればもう会社すごろくを上がってしまったとも思える。
ここを去れば磯原と争うこともない。面倒くさいことはもうたくさんだ。
そう心を決めると、肩の荷が消えてしまったようで楽な気持ちになる。
そして上西は現状の仕事をすっかり忘れて、どんな仕事が良いかを夢想する。
あまり責任のある仕事は嫌だな。突発的なことが起きて即座の対応を要求されるのも難しい。
日々勉強しなければならないのも好きじゃない。十年一日で変化のない仕事がないものか。
上西はパントリーに行って、愛用のマグカップにブラックコーヒーを注いで自席に戻る。コーヒーを飲みホッとする。
それを見ていた柳田が、引き出しからタルトを取り出す。
「課長、コーヒーのあてを差し上げますよ。
コンビニじゃなくて、このビル2階のケーキ屋のタルトですから美味しいですよ」
「ありがとう、いただきます。私はコーヒーはブラックオンリーですが、甘いものが大好きなのです」
柳田は上西の言葉を聞いて、異星人に乗っ取られたのかと顔色を変えた。
心境の変化だろうか? それともおかしくなったのか?
定時間際に坂本が名古屋から戻ってきた。坂本と石川が長野工場に出張に出かけるので、その打ち合わせに顔を出してもらおうと、磯原が上西に話をすると、愛想よく打ち合わせ場に出てきた。
メンバーは長野に行く石川と坂本、そして上西、増子、磯原である。
「突発的なことで苦労を掛けますが、よろしくお願いします」
「いえいえ、私はトラブルシュートが生きがいですよ」
「状況は電話で聞いただけで詳細は分かりません。ですから向こうで、とにかく正確な情報を集めてください。判断が付けられるなら、対応策を決めて実施してもらう。そこまで無理なら、できるだけ正確な情報を収集してください。
実施事項の手順を書いたものがこれです。それから収集すべき情報をリストしたものがこれ」
「了解しました。これに従って進めます」
「朝一に工場に入って1時間半もすれば概要はつかめるでしょう。その時点でFAXかメールで速報を入れましょう」
「そうですね。それから向こうで打ち合わせして、午後一くらいに第二報という感じですか。夕刻、向うを出る前に方向が決まればそれをメールします」
「向うが主体的に動いているならこちらが出しゃばることはないけど、あまり動かないなら君たちが会議を仕切るなり対策を提案するなり、主導しても動かしてほしい」
「お任せください。
そろそろ時間です。事業本部の高野さんとは受付で待ち合わせていますので、出かけます」
坂本と石川が出て解散すると、増子が上西に声をかけた。
「課長が顔を出してくれて良かったですよ。課長はあまり細かしいことを言うことはないですが、挨拶とか激励はしてほしいですね。皆の士気が上がりますから」
「これからそのように努めます」
上西は『これから』がないと思いつつ、そう返した。
上西が自席に座ってまた考える。
決心が変わらないうちに人事の下山に伝えた方が良いか、それとも一晩おいて気が変わらなければ下山に話すべきか。
ふと妻に相談してから決めた方がいいなと気が付いた。
とりあえず下山には明日会ってほしいというメールだけ打っておくことにしよう。
上西は、考えが決まったので、明日の午前中に相談に乗ってほしいという趣旨のメールを打つ。
そうこうしていると定時のチャイムが鳴る。
机上を整理して出張者を除いた、柳田、磯原、岡山、増子に挨拶をして帰る。皆がギョッとして顔を見合わせる。
上西課長が出退勤の挨拶をしたなんて初めてのことだ。
柳田は自分のスマホを持つと、空いている小会議室に入りドアの表示を「使用中」にする。
夫 下山に電話をする。
「あなた、ちょっといい?」
「いいとも、なんだろう?」
「あなたのところに上西課長がメールを打ちませんでしたか?」
「ちょっと待ってね、ああ、来ている。なになに『考えが決まったので、明日の午前中にお会いして話をしたい。時間を取ってほしい』とある。奴も腹を決めたか」
「既に退社しましたけど、帰るとき今日は職場の人に挨拶をしていきましたよ。前代未聞です」
「オイオイ、今までは挨拶もしなかったのかい。そりゃサイテーだぞ」
「じゃあ、もう課長を辞める決心をしたんでしょう」
「そうかもしれんな。教えてくれてありがとう。
こちらも彼の行き先の面倒を考えておかねば……」
「あなたもいつまでも人事にいられるわけじゃないから、自分の居場所を確保しておいてね」
「いやいや、最後まで
人事や経理は絶対に社長になれないから、社長夫人は無理だけど」
「人事は定年までいられる職場じゃないからねえ〜。まあ、お好きな人生を歩んでくださいな」
人事という職種は官僚のような世界である。毎年人事に数人配属されるとする。よほどのチョンボをしなければ誰でも順調に課長まではなる。
スラッシュ電機では人事課長は各事業所にひとりずつなので、40人くらいいる。毎年5人採用するとして、みな順当に課長になれば7・8年人事課長を務めることになる。
ところが部長クラスになると大きな事業所だけしかいないから数人いれば間に合う。いったん部長になれば数年間部長を勤めるから、人事部長になれる人は課長の2割くらいになる。残り8割の課長は余ってしまう。そして人事屋の最上位である執行役人事部長は一人しか存在しない。
職階が上がるごとに真剣勝負の
とはいえ、それだって他の職種より分が悪いということもない。
* どうでもいいこと、
ミュージカル(ズ)チェアとは人事異動のことかと思っていたら、そうではなく「仕事、決定、見通しなどが、混乱を招くほどの速さで変化する状況(a situation or series of events in which jobs, decisions, prospects, etc., are changed with confusing rapidity)」なんだそうだ。
競争に勝つというより、ドタバタするという意味なのだろうか。
下山は柳田の電話を切ると、山内にあとで相談に行きますと電話してから、人事の桃田参与と話し合いを持った。
「桃田さん、環境管理課の上西課長が課長を辞める雰囲気です」
「あの能無しが自ら身を引くとは思ってもいなかったが、これで悩み事が一つ片付くか」
「明日の午前中に私が話を聞くことにします。もし決まれば、問題にしていた監督不行き届きの事情聴取は棚上げですね?」
「まあ、君が話を聞いてからだが、自らそう言いだしたならそれでいいだろう。こちらも悪人を出したくはない。
奴のこれからの仕事はどうするんだ?」
「彼の仕事ですが、いくつか考えました。
ひとつはISO審査員の出向口が二つほど空いています。審査員なら面目も立ちますから、まずそれを提案しようかと考えています。彼が審査員を厭わないなら良いのですが」
「彼は環境管理の専門家を自称していたが、本社に来て馬脚を現したじゃないか。環境の審査員などできるのか?」
「審査員に出向しますと、半年や1年は
「関連会社もあるだろう?」
「彼は総務とか営業の経験は皆無ですし、製造部門の仕事もしたことがありません。彼の性格や今までの仕事ぶりを見てますと、手順書に書かれた決まり切った仕事が向いているようです。ISO審査員は定型化した仕事そのものですから」
「本人が納得するかどうかだな、ほかの案は?」
「関連会社の○○社では電子機器を医療機器メーカーに供給する計画で、薬事法の規制を受けることになります。それで我が社に薬事法対応の人を出向させてほしいという話が来ております。その仕事を彼にどうかと思いました。正直言って私としてはイチオシなのです」
「薬事法? 彼はそんなものに関わったことはないだろう。また逃げ出すことはないのか」
「薬事法の仕事は、定型化そのものです。変化があるのは法改正だけですから、真面目な人なら務まると思います。
当社で薬事法に関わる工場は5つほどあります。そこでひと月くらい研修をしてもらい、外部の薬事法講習会を受講させれば大丈夫かと思います。責任技術者になるわけではありませんし……
薬事法に関わるといってもいろいろありまして、関連会社は医薬品でなく医療機器の電子部分ですから簡単ですよ」
注:医薬品や医療器具などはその用途から品質保証が重要であり、薬事法で製造業者、輸入業者に原材料の県さ、保管、製造、包装、製品保管、出荷などにおいて行うべきことが定められている。
電子機器もその一環としてGMP(Good manufacturing practice)が要求される。
製品の種類により要求される管理が異なり次のようなものがある。
GMP省令(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)
GQP省令(医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令)
QMS省令(医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)
簡単に言えば、ISO9001のようなものだが、要求事項が具体的に定められている品質保証要求事項である。
「最後の案は、関連会社の事業所の責任者ということになります」
「本社ビルのビル管理会社のようなものか?」
「そうです。お仕事は上意下達ですね。とはいえ改善する意欲があればやりがいのある仕事です」
「分かった。本人が納得し進んでやるようであれば私はよいと思う。
但し、彼にはこれまでの行状が本当に危ないところだったということを知らしめておいてほしい。このままズルズルとしていたら、彼だけでなく我々の監督不行き届きが問題になるところだった。これから行くところで同じ気持ちで仕事をされたら大変だ」
「承知しました。では明日、彼と話をしたら報告いたします」
下山はその後、山内のところに行く。先ほど電話したから待っているはずだ。
もっとも山内は定時で帰ることはまずない。それどころか徹夜などなんとも思わない。
研究所時代は所長になってからも、寝袋を所長室に常備していたという。それだけでなくキャンプ用品、小型のコンロとかコッヘルも備えて夜食・朝飯を作っていたそうだ。
それは山内氏が山登りしていたからではない。大学時代から、テント以外一式そろえて付きっきりで実験していたと聞く。
総務から危険だと禁止されてからは、自炊をあきらめて食い物はコンビニで買っていたらしい。
そういう人だからこそ、数多くの特許を取り特許料が年俸より多く、論文数は会社で一番となるのだろう。
「家内から聞いたところでは、上西課長が辞意を示したそうですね」
「ほう上西君が……知らなかった。それよりも君に奥方がいたとは驚きだ」
「ご存じなかったですか? 山内さんご存じの柳田ユミですよ。職場結婚で当時家内は総合職でして、仕事の関係で社内では旧姓を使ってました。
その後、私が転勤することから一般職に転換してもらい、爾来十数年夫婦で諸国を放浪しているという聞くも涙、語るも涙の……」
「分かった分かった、いや素敵な奥様でうらやましい。
ところで本題だ、会議室に行こう」
小会議室にて
「上西課長の行先は、本人の希望を聞いて斡旋する予定です。そりゃ経緯があれですから、いずれは関連会社の役員なんてことはありませんが、一般社員よりはるかに恵まれていると思います」
「見方を変えれば、40そこそこで本社の課長になったのだからもう十分だろう。わしよりもはるかに昇進が早い」
「そう認識してほしいですね。高望みされても困ります。
しかし人事も問題がありますね、岩手工場の人事担当はだいぶ絞られるでしょう。上西先生の評価が間違っていたと人事部内では総スカンですよ。
おっと、本日相談したいのは、環境管理課長の後釜です」
「上西君が着任してふた月経ってないのだから、問題になるだろうなあ〜」
「そうです。山内さんが課長というわけにはいきませんが、課長代行くらいの名目でどうかなと思いまして。とりあえず来年4月までの期限付きとか」
「君も分かっているだろうが、わしも環境管理課の面倒を見ているだけではないのよ。大川専務が環境担当役員として
取りまとめているのは、旧環境部の業務全体だ。そして実質はスタッフの私がしているわけだ。
それは環境報告書、今はCSR報告書だが、それと製品の環境設計、含有化学物質、輸送における省エネとか省資源、新製品とか新技術の広報なども結構ある。環境管理課以外の方がはるかに多い。
ということで環境管理課の管理職までは手が回らん。どこかから課長を持ってくるわけにはいかないのか?」
「田中さんなら課長代行というのもありかもしれませんが、彼もあと4か月で嘱託ですからねえ〜
磯原は……彼を本社の課長にするには相当異論があるでしょう。年齢が若いし、社内の等級は部長級になる要件は満たしてません」
「課長代理は係長同等の者の肩書だな。課長代行というのは職階ではないな?」
「職階名ではありません。一時的な不在を補うよう指名された者の呼称です」
「よし、磯原を課長代行にしよう。決裁権限は一時的に持つとする。理屈付けは人事で考えてくれ。
ただ彼を課長代行にすると実務担当者が一人減るわけだ」
「今まで上西課長が仕事してなかったわけですから、保有工数としては同じはずです」
「だが元々彼の時間外が多くて問題になっていた。オーバーワークなのは分っているだろう。それをどう解消するかという問題は残っている。
まさか課長代行なら時間外をいくらしても問題ではないとは言わんだろう」
「それは人事も把握しており、上西課長の問題の一つでした。
今すぐには答えは出ませんね。少し時間をください」
「もちろん磯原本人の意思確認は必要だ。能力はあっても責任者にはなりたくないという人は多い。お宅の奥さんのように」
本日のため息
人が足りないなら補充する、残業が多いなら上司と人事は手を打つ、そんなホワイト企業があれば良いですね。このお話のように、人事も上司も善人なら働く人は幸せです。
でも現実はそんな甘いものではありません。
人が足りないって! 口を動かさないで手を動かせ
徹夜でも、家に持って帰ってでもやれ!
根性だ!大和魂だ!
普通はそんなことでおしまいです。ブラック企業に限りません。
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おばQさま いつもコンスタントな更新有難うございます。 ついに上西氏、自分から退職ですか。 引き際は流石に理解しておりました。 自分の問題は棚に上げて部下のせいにする上長、リアルを感じてしまいました。 人事の話も生々しくて良いですね。 内容はとても良かったのですが、先が気になる。 >磯原を課長代行 とは言え彼は代行だから、管理職でないから長時間労働の問題は続く。 今では「名ばかり管理職」は問題になりましたが、当時では当然なのでしょうね。 但し「課長代理だから問題解決」とは言わずに、「課長代行なら時間外をいくらしても問題ではないとは言わんだろう」と引き続き見直しとの事。もちろん全ては磯原が引き受けてからですけれど。 当時の労働環境だと、「そのうち課長になるのだから忙しくて当然だよね」という労働と責任の前払いをさせられる気がしました。 >細かいけれどリアルを感じた 前回記事で名古屋から長野への移動:地図上では中央本線で名古屋と塩尻(長野)はつながっていますが、そこから長野市は遠い、距離があるけれど東京経由 長野新幹線の移動が約3時間半と速いのですよね。 だから磯原の出張指示は適切。 もっと遅い時間だと、名古屋から深夜バスで長野に早朝到着はありですが、たった一本。 しかも深夜の移動だから気の毒。 |
外資社員様 毎度ご指導ありがとうございます。 外資社員様からお便りをいただくと、何か間違いが!と青くなります(ホント) その1 私の経験ですが、どうしようもない管理者も担当者も幾人もいましたが、自ら身を引いた人は一人としていませんでした。皆自分は優秀だと思っていたのでしょう。もしかすると私もその一人だったのかもしれません。 その2 運転なら代行もありですが、管理者の代行はいけません。名誉と栄光なんていりません。同情するなら金をくれと言いたいです。 残業については、私は平の時から金の付く残業も付かない残業もしてきましたね。まあ自分の肥やしだと思うしかありません。 磯原の時間外を70Hとしたのですが、私から見ると少なすぎます。とはいえ今時100Hとか言ったら大げさとしか見られないでしょう。1980年以前は休日は日曜だけでしたから、時間外100Hというのはかなり辛かったです。 その3 いくら何でも夜行バスはきついです。私が若い時、1970年代初めは夜行列車というのがありまして、逆に東北新幹線がありませんから、遠方への出張は夜行列車でした。北海道なんて東北本線、青函連絡船と、札幌に着く頃は疲労困憊でした。バスは電車より疲れます。 |
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