*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。
スラッシュ電機グループのCSR報告書の発行そして説明会も終わった。スラッシュ電機グループのISO14001認証返上を盛り込んだことが、いかなることを引き起こすかいささか心配した。開けてみれば某新聞の片隅に「ついにISO14001を卒業した企業も」という見出しの小さな記事が載ったが、反響はなくそれっきりだ。
もうISOなど話題になる時代ではないようだ。であれば認証返上は時代にあっていたのだろう。
注:現実は2024年になっても地方紙には「○○社がISO14001を認証」なんて記事が載ることもある。広告料を払っているんじゃないかって気もする。
ISO22000とかISO27001ではないよ、ISO認証は健在也 💗
皆の努力のおかげか、スラッシュ電機グループでは最近 環境事故も法違反も起きていない。
とはいえ環境管理課のお仕事は事件・事故対応がメインではない。年度明けのお仕事としては、省エネなど前年度の実績を行政へ報告することは多々あり、20世紀末に環境が取りざたされるようになってから、環境に関する報告は増えるばかりだ。
行政への報告は多々あるが、報告期限はほとんどが6月末だ。3月末までの前年度実績をまとめると三カ月かかるとみているのだろう。デジタル化が進めば4月頭になるのだろうか?
省エネ法の計画と実績報告は、報告しなければならない事業所は少ないからまず問題はない。
産業廃棄物の報告は、電子マニフェスト化されてかなり自動化されたが、廃棄物を出すのが少量とか年に1回なんて事業所は、今も廃棄物処理業者が持ってくる紙マニフェストを使うところも多い。そういうところの確認もある。
PCB機器の処理は終わったはずだ。はずというのは新たに見つかるかもしれないからだが……
PRTRも子会社までは集計から報告書までシステム化したので問題ないが、材料を支給している下請けなどは、しっかりやっているかの確認が必要だ。
その他、県条例で特有の報告義務もあり、過去の事例を記録していて、そういうものを漏れなくしたかの確認を怠るわけにはいかない。
実績報告のほかに、春には定年退職や人事異動があるから、担当者や管理者の届が漏れる恐れもあり、各工場や関連会社に漏れなく行ったかのフォローしなければならない。
フォローやチェックはQA化・自動化まではいかないが、年間カレンダーを作って注意喚起している。
更に社長や役員の異動があったに、工場で行政に届をしなければならないものもある。毎年株主総会で数人の役員が変わる。それで総会後には新役員の届けに添付する種々の公的証明書を集める大仕事になる。
坂本さんがそういったものになにがあるのかどうするのかを、松村さんと余部さんに説明している。最近は「来年からは頼むよ」というのが坂本さんの口癖となっている。
松村さんも余部さんもいい年だから、できませんとは言わないが、自信のなさそうな顔をしている。
二人とも、工場にいて本社から指示されて動くとか催促されて提出することに慣れている。しかし指示される方から指示する方になると、自分がちょっとミスするととんでもないことになると実感し、なんとかこの職務から逃れたいという気になるものだ。
工場の管理者より本社の担当者の方が責任が重いことを実感する。
前年度の報告が終わると7月になる。そして梅雨が明けて、大手町にもセミが鳴き、夏がくる。
もちろん夏になろうとお盆になろうと、環境管理課の仕事がなくなるわけではない。
8月には種々の計画進捗のフォローと必要な手を打たねばならない。10月頭の上期報告では、当たり前だが、未達については是正策を添えて報告しなければならない。
磯原は今日の午前中、宇佐美と廃棄物削減の状況を打ち合わせている。
電子マニフェストシステムは21世紀に入ってすぐに社内で作り上げたのだが、それから既に20年、その間、二三度バージョンアップとパッチを充てた程度できたが、いよいよ全面的にシステムを更新しなければならない。
JWネットそのままでは社内でデータ処理する上ではいささか不便なので、会社独自のシステムを使っているのだ。
それで廃棄物情報システム更新は今年のテーマであった。
担当の宇佐美は、本社各部の人と知り合うのは得意なようだが、それが仕事につながらない。情報システムとも、資材部門のソフト外注担当とも具体的な話までしていない。今までの4か月、何をしていたのかと不満が湧き出る。
いや、もちろんそれは磯原の監督責任だ。今まで宇佐美から出てくる週報では、○○部と打ち合わせしたとか、(株)○○ソフトと要件打合せした、問題ありませんなんて書いてある。
しかし具体的なところまで見ていなかった磯原の責任だ。まあしかたない、幸いまだ挽回できる時間はある。
磯原は宇佐美が工場での廃棄物処理の仕事ではプロであるが、本社で全社を指導監督することがどんなことか、まだ理解していないと気づいた。
宇佐美は昨年本社に異動してきた。廃棄物に関わる法規制や廃棄物削減やリサイクル推進の手法は理解しているし、工場では実践していたわけだが、ちょっとした規模のプロジェクトを担当した経験がないのだ。
石川のときはどうだったのだろう?……今そんなことを考えてもしょうがないか。
宇佐美を教育するために本社に呼んだのだと、磯原は自分に言い聞かせる。
磯原は、宇佐美にこれからなすべき項目を書き出させ、更にそれを実現するための施策をブレイクダウンして、
すみません課長 これからは、しっ かりやります |
これからはしっかりフォローして、宇佐美に任せられるかどうか判断しなければならない。
もし宇佐美の手に負えないなら、自分が情報システム部に頭を下げて丸投げしなければならない。一応、要件定義は終わっているので、金さえ出せばできなくはないだろう。
ともあれ磯原は反省しきりである。
午後は坂本さんと打ち合わせである。
こちらははっきり言って、来年4月以降を、松村さんと余部さん二人でやっていけるかどうかの確認である。
不安があるなら坂本さんの3月退職を、半年とか1年延長して、二人を一人前にしてもらわないとならないと言い聞かせる。
坂本さんは言葉使いがいささか社会人として問題があるが、その経験、知識、東南アジアで工場立ち上げをした恐れを知らぬチャレンジ精神と、皆の模範となる人物だ。
逃げるわけにもいかず、なんとかしますとしか答えようがない。
しかし振り返ると、本社に招聘した人たち、最初は佐久間さん、その次の田中さん、坂本さんいずれも、経験、知識、責任感、応用力、つまり力量があった人たちばかりだった。
彼らに「某工場でトラブルが起きた、対策に行ってくれ」と指示すれば、その場ですぐに出張し、問題の調査、原因究明、対策の計画を立てて帰ってきた。
自信がないとか行きたくないと弱気なことを言われたことはない。
年代が下がると段々と力量が下がってくるのだろうか? それとも高い技量のある人は元々少なく、本社に来てくれと声をかけるとき、上から順に呼んでいたのか?
どうしてもダメなら人を入れ替えなければならない。環境管理課の仕事は廃棄物と公害防止そして省エネだけだ。これで廃棄物もダメ、公害もダメとなれば磯原も進退窮まってしまう。
まあ、それを何とかするのが自分の仕事なのだ。
・
・
・
・
坂本さんと打ち合わせを終えると、肉体的には疲れていないはずだが、精神的には疲れた。自分の席に戻るとドサッと音を立てて腰を下ろした。
さてこれから定時までにメールとインボックスを片づけて、残業で工場からの定期報告を読もう。
工場からのメールは、すべて余部さんがより分けているから、自分が対応しなければならないものだけだ。とはいえ朝から今までに来たものが20件はある。
本社他部門と社外から自分宛のメールは、当然ながら余部さんの対象外だから、自分が目を通して処理しなければならない。前日定時後に来たメールは毎朝 始業前に片づけ、午前中に来たものは昼休みに片づけているが、昼以降に来たものが夕方には40件くらい溜まる。
緊急事態関係は課長宛てでなく、環境管理課宛にくるから余部さんが見ることになっている。もし緊急事態が発生し磯原が捕まらない場合は、坂本さんが、坂本さん不在時には余部さんが代行することになっている。だから磯原が余部さんからのメールを数時間見てなくても大丈夫ではある。
なお詐欺メールとか勧誘メールは、メールサーバーで削除されてしまうから個人までは届かない。
メールソフトの受信トレイを、時間が早い方から読んでいく。
基本的に余部さんが処置できることは磯原まで来ていない。だから余部さんから転送されたメールにはなんらかのアクションを取らねばならない。
問い合わせには対応案を回答、提案には見解を、相談には問合せ先を、泣き言には励ましを
余部さんからと課長宛てのメールを片づけるには、2時間では終わらない。
広報部の広瀬課長からメールが来ている。また何か起きたのか……
磯原課長殿 2021/07/XX 広報 広瀬
このような依頼が入っております。 ご返事は直接、磯原課長からお願いします。 2021.04.XX
スラッシュ電機(株) 広報部 広瀬課長殿○○大学大学院の社会人院生の清野と申します。 私は博士課程に在籍しておりまして、ISO14001の認証の問題や改善などの研究をしております。同時に私はH電気社員であり、勤務先ではISO事務局を担当しております。 2年前、○○大学で御社に依頼した講演を聴講したことがあります。その節はありがとうございました。 御社の環境マネジメントシステムは、私の勤務先よりはるかに進んでいて感銘を受けしました。 つきまして研究のために認証返上のお仕事に携わった方に、インタビューさせていただきたいのです。時間的には2時間程度と考えております。日程と時刻は御社に一任いたします。 また、私の研究が進むにつれて疑問が起きたときは、その都度ご相談をさせていただきたいと思います。 研究テーマは認証の信頼性の実態を究明したいと考えております。 インタビューでお聞きしたいことは、世間で言われている認証の信頼性低下についてのお考え、信頼性の評価方法、信頼性の向上策、企業サイドの見方、対応策などです。 論文にはインタビューしていただいたこととご芳名を記載します。 なおインタビューにて収集した情報については、弊社のISO事務局活動への反映はさせていただきます。 以下ダラダラと…… |
磯原は一読して脱力した。H電気は同業のコンペティーターである。そこで働きながら大学院に在籍できるとは、勤務によほど余裕があるのだろう。残業とか突発的な出張などないのだろうか?
そしてそこに勤める人が博士論文を書くのに、他社に助力というか情報源あるいは指導者として頼ろうという発想が相当飛んでいる。そのお花畑の発想に呆れた、どう考えても相手にする義理はなさそうだ。
しかし広瀬課長も何を考えているのか、先日もマスコミ取材など付き合えませんよと釘を刺していたのに……
そしてよくよく見れば、清野氏がメールを出した日から10日も過ぎている。ネットのメールが届くまで10日かかるとは思えないから、広瀬課長が放っておいたのだろう。磯原から今日の日付で返事したら、先方の心証を悪くするだろう。
磯原は30秒ほど考えて、広瀬課長に電話をする。
すぐに相手が出た。
「広報の広瀬です」
「磯原です。○○大学の清野さんのメール読みました」
「そう、良かったわ、よろしく頼むね」
「あっ、まだ切らないで!
あのね、広瀬さん、まずどうして10日も放っておいたのですか?」
「私も忙しいから毎日見ているわけにはいかないわ。まして業務でもなかったでしょう」
「私にとっては仕事じゃありませんが、広報にとっては仕事じゃないのかな?
まして広瀬課長名指しできていますよ」
「一般市民からの問い合わせは広報マターじゃないわよ」
「それじゃすぐ総務にでも転送すべきでしたね
しかし中も見もせずに広報マターじゃないって良く分かりましたね」
「細かいことを言いなさんな、対応を頼みますよ」
「あのね、私の仕事じゃないですから断りますよ。そもそも広報が受けると判断したなら、広報が対応すべきでしょう。こちらに相談もなく広報が受けると決めて、私に振るとは筋違いも甚だしい。
私は受けられませんから断ります。でも私からお断りを清田さんに出したら、ウチの対応が職制通りでなく、ぐちゃぐちゃなのがバレちゃいます。それは会社の恥さらしです」
「あああ、分かった、分かった。後でそちらに行って説明するわよ」
・
・
・
・
終業時刻を過ぎて1時間ほど経った頃、広瀬は磯原の席にやってきた。
大体メールは片付けたしと、磯原は立ち上がって打合せ場に行く。会議室を使うほどではあるまい。
「まず、広瀬さんから、経緯を話てもらいましょう。話はそれからです」
「まっ、深い意味はないんですがね、まずはあなたに断りなしに転送した上に、向こうに回答してほしいと言ったのはまずかった。反省するわ。
でもいろいろ考えたのだけど、この依頼は受けたいと考えた。その理由を説明する。
ISO認証を返上する企業は毎年大量にあるのは事実。でもISO認証を卒業したとCSR報告書にはっきり記述したのはウチだけということがある。
数は力という言葉もある。ウチが目立たないためには、同じ意見の企業や論文があった方が良いと思ったこと。
ちょうど大学院生が論文作成のためにインタビューしたいときたわけ。まあ指導してほしいという意味だろうけどね、
当社は内部で検討した結果、認証を止めたわけだけど、同じ意見を我々以外のところから発信してもらえばうれしいなと思ったわけよ。
もちろんこの件に関して、当社として公式見解を示すのか、あるいは一担当者としての見解とするか、論文では名を秘してもらうなどの選択肢はあると思う。社名を出すなら、田村さんと検討してもらいウチのサステナビリティ担当役員としての見解であるとした方が良いだろうね。
あなたに転送したのは、認証返上検討のメンバーは山内さんと磯原さん岡山さんだけど、現在は磯原さんしかいないから、あなたが個人的に清田さんに説明すれば良いかなと思ったわけ。
あっ、10日私のところに留まっていたのは、まあ処理が遅れただけです。
ということで磯原さんに回したわけだけど、磯原さんから電話を受けて少し考えが足りないなと反省はした。スマン」
「うーん、おっしゃることは分かりました。しかし疑問もありますね。
コンペティーターの社員がドクターを目指すとか、コンペティーターの環境マネジメントシステムを改善することを目指しているのに対して、我々が支援することの当社のメリットは何ですか?
我々が認証返上したことへの批判が分散されるとか、赤信号みんなで渡れば怖くないという気持ちは分かりますが、元々当社はそんなことを期待していません。検討したことに弱気とか不安があったわけではない。ただし大々的に宣伝に使おうとは考えていなかった。それをCSR報告書に盛り込んだのは広報部の勝手です。
ですから環境管理課というか、サステナビリティ担当役員としても、他人に頼る必要はないでしょう。
そういう前提ですから、向こうは種々情報が得られてハッピー、我々は具体的な手法や当社の指標を知らしめる代わりに何が得られるのでしょう。
これって下手すると背任になるのではないですか? 情報漏洩とか利益供与とか」
「うーん、まさか背任とか利益供与には該当しないと思うわよ。社会貢献と考えればプラスイメージでしょう。でも心配なら清田氏に対応することの了解を取っておく」
「それと私の方の事情ですが、対応するとなれば私以外はいないですね。業務でないことに時間を費やすことは芳しくない、というか余裕がありません。
工場で事故が起きたとなれば、残業・休日出勤、夜討ち朝駆けは当たり前です。でも余計な仕事のために時間外を増やすのは……
広瀬さんも見てわかるように、山内さんがいたときに比べてここは2名減っています。25%減ですよ」
2021年当時 | 2023年 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
「分かりました。まず私の話の持って行き方がまずかった。メール転送だけでは責任の所在が明確ではない。
まず個人として行うのはまずい。社内で応接するなら会社として対応しなければならない
発言に誰が責任を負うのか、またこれに関する情報がどれくらいのコンフィデンシャルであるのか、外部の人間への無償の支援として妥当なのか、特に当社のコンペティーターであるし。それと環境管理課としての負荷の問題と……明日でも部長と話してみる。
いずれにしても清野さんへの回答は広報部からする。今晩中に清野さんに、検討中で回答が遅くなる旨を報告しておく」
「お互いの認識が一致したようで良かったです。
お宅で責任関係の確認、担当部署を決めて正式依頼することで進めてください。対応する時間の計上をどうするのかも考えてほしいです。別に工事オーダーを出してとまではないでしょうけど、類似事例が今後発生した場合に備えて、考え方をはっきりさせておいてほしい。
それから当然宛先は私個人としてではなくなるでしょうから、宛先の正は田村さん、CCを私にお願いします。
今思いついたんですが、清野さんの対応を私がすることもありませんね。向こうから見ればスラッシュ電機ですから、田村さんが対応してくれても良いわけです。そのほうが漠然とした話になるでしょうからコンフィデンシャルは問題にならないかもしれません。清野さんから見れば不満かもしれないけど」
磯原は清野がどんな方向で書くのか見当がつかないが、磯原自身は書くべきことのイメージがつかめた。
数年前、ISO14001維持審査の担当と言われていろいろな本を読んだが、そのひとつに「環境経営のルーツを求めて」があった。
ISO14001関係の本と言っても、世の中には規格要求事項の解釈、認証のために何をするか、審査対応のコツなどを書いた本はゴマンとある。
この本はそうではなく、規格制定の経緯とか規格の意義などを書いたものである。読んでも審査とか認証するためには役に立たない。ISO14001規格は何を目的に作られたかを知るためには非常に意味がある。
同時に実際に行われている審査とか規格解釈とは無縁であり、著者が現実の審査の問題や規格の意図が実現されていない事実を知らないことは明白である。
ISO認証が始まったときは「環境経営のルーツを求めて」で良かったのだろう。しかしISO14001が制定されて27年経った今(物語は2023年時点)、ISO認証の信頼性がないと言われ、認証した企業がどんどん認証返上をしている状況を踏まえて、世の中が求める本は「環境マネジメントシステム認証の実態」であるはずだ。
「……ルーツを求めて」のようにスバラシイ成果が期待できるという思い込みではなく、「……認証の実態」で、現実の問題、規格が遵法と汚染の予防にいかに無力であったかを明らかにするものでなければ、社会の要請に応えないだろう。
清野が問題に気づいて世に知らしめようとそういった論文あるいは著作を成そうとするなら、磯原は見返りがなくても限りなく支援しようと思う。
本日の思い
私が25年前に感じたこと、それから15年間、日々審査に関わってきて知ったこと、そういうことをこのウェブサイトに書き連ねてきた。審査員の方々からお前が書いているのは実際とは違う、実際の審査はもっとすばらしいというコメントをたくさん頂いた。
だが私の目の前の現実はそうではないと、世に発信し続けてきた。でもまあISO第三者認証制度など一般人には無縁であり、気にもしないだろう。
だいぶ前、池上彰がテレビのバラエティ番組でISO規格の解説をしていたのを見たことがあるが、語ったことの90%は嘘っぱちであった。世の中そんなものだ。
審査員に規格解釈を間違えているとか抗議しても馬の耳に念仏、審査がガイド66に違反だと認証機関に抗議しても正された記憶はない。今も審査員の頭の中にだけある要求事項で、審査は行われている。
元々世の中がISO認証の価値を知らず、当然素晴らしいとも思わず、間違った解説があっても誰も困らない。その割に環境事故とか違反があれば「私たちは騙された」とか「信頼できない」などとほざく。騙されたと言うなら今までは信用していたのか?、信頼できないといなら今まで信頼していたのか?(反語である)
ISO認証の信頼性など、真面目に考えること自体、無意味なのかもしれない。
せめてもの願いは「環境経営のルーツを求めて」を書いた先生が、実態を認識してほしいことだ。自分が褒めたたえたものが、そうではなかったと知ることは、本を書いた人の義務であろう。
<<前の話 | 次の話>> | 目次 |