注1:この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。
注2:タイムスリップISOとは
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佐川の奥様の洋子さん |
金曜日、兵庫工場の終業時においとまして東京に着いたのが夜9時、福島の自宅にたどり着いたのが11時であった。
さすがに疲れたが尾関副工場長を相手にするよりは気楽だ。福島工場にいれば、いやでも奴の顔を見なければならない。
帰宅して妻の洋子に明日は会社に行くというと、やりがいがあるでしょうけど無理しないでねと言われた。洋子は昨年11月までのしょげた自分を覚えていて、心配してくれるのだ。ありがたいというか、うれしいというか、
翌日は休日であるがいつも通り、始業時前1時間には出社してパソコンを立ち上げる。今日はいろいろやることがある。
まあ、そんなところか。
まずは出張報告を片付けよう。
TO: 本社 生産技術部 技術管理課 野上課長殿 福島工場 製造部 品質保証課 猪越課長殿 Co. 本社 生産技術部 技術管理課 山口様 長野工場、兵庫工場 ISO認証支援(No.1)
頭記の件、本社 山口様と同行して実態調査と指導を兼ねて出張した報告をいたします。 日時 ・長野工場 3/23〜24 ・兵庫工場 3/25〜26 結論 あと1か月を有効に使えば十分予備審査に対応できる。更にひと月半後の本審査に十分耐えられると考える。 過去の指導は、正しい方向を示すというより、いろいろ試してみる方法で、決して間違いではないが効率が悪く、なによりも全体のイメージが持てないことと、目標と現在地が分からずモチベーションが上がらなかったと思われる。明確な目標と進捗状況を示すことにより、工場の活動が活性化できると考える。 個別論 長野工場 試行錯誤を繰り返していたが、結果として規定の見直しと現実との一致化を進めている。今回は、記録類までは点検していない。次週訪問時、記録類の点検と現場の巡回を行い不適合点を摘出する(第2回目の内部監査とする)。 上記是正を図れば十分予備審査に耐えると考える。 兵庫工場 工場設立後間がなく、初期に制定された規定と実際の運用のずれが発生していない。このため認証のための活動の第一段階の現実と規定の齟齬調査を飛ばしていけることは大きなアドバンテージである。工場の整理整頓、表示なども新しいので問題が少ない。 次回、現場の点検と第2回目の内部監査を行い、ブラッシュアップを図る。 以下ダラダラと…… |
要旨はそんな風にまとめた。
出張報告を書くと電子メールで、暫定上司である本社の野上課長と猪越課長に正を、山口さんに写を送った。
1993年だって電子メールはあり、ファイルを添付することもできた
内部監査報告書については、まず報告書の用紙様式を決めた。長野工場と兵庫工場の様式が同じでも良いだろう。もし不都合あれば向こうで所定の様式に入れ込んでくれればいい。
内部監査の練習の応答やQ&Aをうまくまとめて各課とも、内部監査を40分程した風にまとめた。各課A4で3ページくらいだが、長野工場が12部門、兵庫工場が10部門である。様式さえ作れば升目を埋めるだけだし、1部門の文章の文字数は1,000文字もあれば十分だ。
それでも22部門を書くと22,000文字、全部仕上げるとお昼を少し過ぎていた。
注:内部監査の様式も書き方も、会社の数だけある。だから普通の内部監査報告書の文字数がいかほどか見当つかない。でも1部門2,000字は書かないだろう。
ちなみにA4を11ポイントの文字で埋め尽くすとほぼ1,000字である。実際は文章途中での改行とか一行開ける段落改行もあり、800文字程度だ。だから2,000字というと3ページになる。
一方、私が拝見した審査報告書は多々あるが、一番充実していたのは某外資系認証機関でA4で30ページくらいあった。一番プアだったのは某業界系で3ページだったが、記載はエクセルでフォームからの選択するものであり、とても審査料金の価値はないと思った。
審査報告書でそんなものだから、一部門3ページの内部監査報告書なら十分だ。もしボリュームが少ないと言われたら、審査員にその認証機関の審査報告書を見せてやればよい。
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一旦パソコン作業を止めて、昼飯を食べことにする。今日は洋子が作ってくれたサンドイッチである。
現場にいたときは二段重ねの保温のお弁当を作ってくれた。しかし昨年秋に管理職を首になり、品質保証に来てからは、体を動かすことが少なくなったので、こんなもので十分だ。
事務所の机が固まっている脇に、数人が話できるように1メートル角くらいの机とパイプ椅子が二つ三つ置いてあるところで缶コーヒーを飲みサンドイッチを食べる。食べながら、明後日からの出張でなすべきことを考えメモしていると、猪越課長が現れた。
この人も会社人間だなと佐川は思う。
「やあ、元気にしていたか?」
「お久しぶりです。体調も気分も好調です。というのは思っていたより長野、兵庫とも規定もしっかりしているし、運用もまあまあでした」
猪越課長は通勤で持ち歩いているソフトアタッシュを自分の机の上に置いて、佐川が食べているテーブルに座る。
「予備審までひと月ないけど見通しはどう?」
「報告書は既にメールで送りました。簡単に言えばいろいろ漏れはありますが、これから20日間頑張れば予備審はOKというか、本審査を予定通りしてもらえるでしょう」
「なるほど、これから頑張るということは、佐川君が指導に行きっきりになるということか?」
「毎週、長野と兵庫とここを、巡回するようにしようと考えています。一番の問題は移動時間がかかることですね。
今回は月曜日夕方東北新幹線で大宮乗り換え、長野でホテル泊り。長野工場は翌火曜日の朝から水曜日の15時まで、そして移動して真夜中西明石着で泊り。兵庫工場は木曜日朝から昨日の定時までで、福島着は夜11時でした。
来週は日曜日の夕方にここを出て、先週より一日前倒しで同じルートで、木曜の夜帰着、金曜日には出勤する予定です。
もっとも予備審査までそれを続ければ、あとは予備審査の問題対策と最終的に点検をすれば良いと考えています」
「じゃあ、長野と兵庫の予備審査まで、福島工場では仕事はできないということか?」
「いえいえ、以前と同様にするつもりですよ。正直言ってこれから何をしていくのかは、各課長も担当者も分かっているはずです。品質保証課がすることは、旗を振ることではありません。
私が考えているのは、各部門で続々と湧き上がる疑問点と悩み事、その対応をどうするかという、困り事相談なのです。
それについては毎週一日はここに来て、各部門の悩み事相談を受けることとします。緊急なことは電話でもメールでもありますよ。
それと長野でも兵庫でも悩み事はたくさんあります。そのQ&Aをまとめましたので、これをすべての工場に公開して、みんなでみてもらおうと思います。もちろん新たなものを、どんどん追加していく予定です。
情報の共有化ですよ」
「なるほど、それは問題が起きたとき参考になるだろう。それに他の工場の様子も分かる。
課長連はそういう情報と、週に1回君が戻ったとき相談すれば良いということか。
ちょっと話は変わるけど、長野も兵庫もここも、認証機関が皆違うんだよな。認証機関の違いによる審査の違い、判断の違いはあるのだろうか?」
「ええと長野はR社、兵庫はV社、ウチはB社でしたね。いずれも違う認証機関ですが、どこもイギリスの認証機関ですから審査の差はないと思いますよ」
「佐川君は初めてのわりに自信たっぷりだね」
「自信はありますよ。なぜならイギリスはBS5750で品質システムの認証ビジネスを始めて、もう10年になります。BS5750を基に作ったのがISO9001です。
ですからイギリスの認証機関は10年間切磋琢磨してきたわけで、おかしな判断とか物乞いなんてすれば淘汰されてしまいます」
「物乞いか〜、笑っちゃうね」
「笑い事ではないですよ。内部監査のロールプレイとか、審査でのトラブルの対処のケーススタディなどを、審査員になる研修会や内部監査員の講習会などでやるそうです。
そういうものの設定というか台本は、日本ならきれいごととか模範演技がとりあげられるでしょう。けれどイギリスのテキストは審査に遅刻したときどうするか、審査員が審査中に物を壊してしまったときどうするか、お土産を欲しいと言った場合とか、なかなか赤裸々なお話がありますよ」
「誰かに聞いた話かい?」
「審査員になろうとして研修に行った人の話です。現在は審査員研修会に参加するには英語ができることが条件だそうです。そこで使われているテキストというか配布資料を見せてもらったことがあります
イギリスでは、事故や見解の相違などの扱いについては経験を積んでいるので、対応も考えられているということです」
佐川は前世で自分が参加した講習会のことを、伝聞のように説明した。
「審査員や認証機関によるバラツキは少ないということか」
「そうです。しかしこれから日系と言いますか、日本で設立した認証機関が雨後の筍のように現れると思います。そういう認証機関は、審査の方法でも判断もバラツキが大きいでしょう」
「日系の認証機関を使うなと聞こえるよ」
「そう思います。日本では業界ごとに認証機関を設立するでしょう。そして業界加盟の企業から審査員となる人を出向させることになり、必然的に業界傘下の企業はその業界設立の認証機関に審査を依頼するようになる。結果、審査を依頼する企業が認証機関を替える流動性はものすごく小さくなる。同時に審査員が認証機関を移ることもあまりないでしょう。
そうなると認証機関ごとに規格解釈、審査方法、判断基準がそれぞれ独自の進化をして、本来の意図から離れていく」
「いつも思うのだけど、佐川君は見てきたように話をするね〜」
「講釈師見てきたような嘘を言いですか、アハハハ
私は嘘を言いません。預言者と思ってください」
「神の言葉を伝える佐川君はイギリスの認証機関を推薦か。だがウチの業界で認証機関を作るとしても、動くのは2年くらいかかるだろう。その間、イギリスの認証機関で認証を受けていれば、わざわざ日系に替えるという動きをするだろうか?」
「認証機関を変える理由というか事情はふたつあります。
ひとつ、出向者を受け入れるには、お土産を持ってこいとなります」
「ああ、グループ内の出向でも同じだな。出向させるには年間の取引〇億の持参金とか言われるね。審査員に出向させるなら工場3つを持ってこいとか」
「3つじゃ足らないでしょう。工場ひとつの審査費用が200〜300万なら、10工場くらいもっていかないと」
「企業内失業者の処遇として、第三者認証の登場はありがたいということか? その恩恵を受けるためには認証を切り替えないとならないと」
「元々イギリスではじまった品質システムの第三者認証ですが、欧州に広まったのはEU統合のためは建前で、本音はホワイトカラーの失業対策と言われていますよ」
「欧州では失業対策、日本では社内失業者対策か。そういえば前任者の福田課長は……」
「それは、まあ……
ええと、もうひとつの理由は、2・3年後に環境ISOというのが現れます」
「また預言か?」
「いえいえ、昨年のリオ会議で決まったことです。ISO9001が品質保証であるのに対して、これは環境管理の国際規格です。
日本は公害列島なんて言われまして、それだけにしっかりと公害防止法規制が作られ、また企業も公害防止に努めてきました。
しかし世界には法整備も遅れて公害垂れ流しという国もあるわけで、法に寄らず自主的に環境保護に努めるべき基準を決めたものと聞いています」
「それが登場すると、どうして認証機関の鞍替えが起きるのかい?」
「そのときには外資系でなく、日本資本のそれも業界設立の認証機関がそろい踏みしています。そうなれば新たな審査依頼は業界設立の認証機関に依頼するのが半分義務みたいになるでしょう。そのとき品質のISO認証も合わせて、その認証機関に替えろという圧力が経営トップからかかりますね」
「なるほどなあ〜。その行く末は予想できるぞ。認証の質の低下だ。
どんなものでも、製品競争力でない要因で調達先が決まれば、品質は低下すると決まっている」
「多分そうなるでしょうね。その圧力を跳ね返し、出向者を戻すくらいの根性がある会社であってほしいものです。
ところで、私不在の4日間に何か問題がありましたか?」
「おお、そうそう、まず絶対してもらわないとならないのは、内部監査員教育だ。来週末の金曜日にでもしようか?」
「規格適合の確認そして内部監査員を育てる最も良い方法は、内部監査を受けることです。
三段組がありますから、監査する方もされる方も、あれを棒読みしただけで内部監査はできますよ。しかもその辺の内部監査員研修よりは有効です。
ともかく了解しました。内部監査員講習は、最初は座学とロールプレイを半日すれば良いでしょう。その後1・2回内部監査に私と一緒に参加してもらえばよいかなと思います。2回も参加したら一人前とみなしても良いでしょう。
とりあえず本審査前までは、課長級で4名も育てれば間に合います。役職についてない人でも良いのですが、課長でないと行った先で突っ込むのは難しいでしょう。
もちろんゆくゆくは全課長になってもらいましょう」
「そんなに簡単なものかね?
ISO審査で内部監査員の資格認定とか言い出すんだろう? 内部監査員は外部講習を受けなくても良いのか?
そういえばISO10011-2なんてのもあったな
「ISO9001では、内部審査員の要件とか資格を求めていません。そしてISO9001はISO10011を引用していません。故にISO9001の内部監査員の資格要件を規格では決めていません。組織、つまり審査を受ける企業や工場が決めればいいんです。
審査では内部監査員の教育をどうしているか聞くでしょうけど、早い話が認証機関主催の内部監査員講習に参加しろというお誘いです。そんなものお金の無駄です。
私が内部監査員育成の手順をつくりますよ、素晴らしい内容てんこ盛りのを。大丈夫です」
「そうか、じゃあ来週の金曜日の午後に、5名から10名ほど集めて置けば良いか?」
「そう願います。三段組を持ってくるようにと言ってください。読んでくるほどのことはありません」
「了解、そう伝えよう。
あれっ、そうすると、君は明日の夕方から出張で木曜の夜帰着だから、ホテルで夜作ることになるが、まあ大丈夫か。
そういうことすればウチの予備審査も、問題なくいくということか?」
「そう考えています。
私が本社応援することも、悪いことばかりではありません。他の工場を見ればどうすればうまく行かないか、うまく行くか、参考になる情報がザクザク手に入ります。
もちろんこちらも同様に情報発信しなければなりませんが、総合すれば本社もウチも他の工場もウィンウインですよ」
「分かった。じゃあ来週の金曜日を期待している。出張に俺に会社から貸与されているノートパソコンを持って行けよ。さっきの内部監査教育の資料も作らんとならないだろうし、出張報告も電車でもホテルでも書けるだろう」
「それはありがたいです」
注:この時代、セキュリティなど気にする時代ではない。飛行機の中、電車の中、駅のベンチでパソコンを叩いているサラリーマンは尊敬の目で見られた。
コンピューターウイルスが騒がれたのはネットにつながるようになった1995年以降だし、企業や官公庁が、社員に対して公共交通機関やカフェといった場所でのパソコン使用に関するセキュリティガイドラインを設けたのは2000年以降だ。情報セキュリティはそんなに歴史がない。
2024年の今、同じことをすれば、情報保護意識のない人だ、どこの会社の者だと見られるのがオチだ。
結局、佐川は翌日曜日も出勤した。やろうと思うとしなければならない仕事はいくらでもある。
まずは福島工場の内部監査員教育だ。なにもテキストを用意せずに始めても良いが、審査員が内部監査員教育のテキストはあるか、何時間かけたのかとか突っ込んできたときに備えて、配布するテキストなどを作っておいたほうが良いだろう。次回にも使える、いや他の工場でも使えるだろう。
それにロールプレイやケーススタディの脚本も10件くらい作っておけば便利かもしれない。
それから今日乗る電車の手配もしなければならない。ホテルは山口さんが手配すると言っていた。
東京、某所である。
野上課長が日曜日の朝 自宅で、何事かあるかと会社から貸与されているノートパソコンをモデムで電話回線につなぎ、メールチェックする。社内や関連会社で製造設備の事故や人身事故とか起きれば、生産技術部に連絡が入るのだ。原因究明するにも、対外広報などするにも、検討委員会のメンバーに入っているのだ。
昨日の夕方メールチェックしたときは何も入っていなかった。幸いというか、今日も特段問題発生というメールは入っていない。問題の場合メールタイトルにその旨記載することになっており、メールを開く前に分かるのだ。
山口からメールが入っている。明日、月曜日の朝一に報告を聞くつもりだったが、なにか緊急な連絡があったのだろうか?
野上課長殿 山口です。金曜日深夜に帰京しました。 佐川さんから、月曜日朝一から長野工場での指導の2回目を実施するとの指示を受けました。それで来週明けには本社には顔を出さず、先週と同じ長野、兵庫の2工場を巡回します。
私の出張報告を添付します。 なお、佐川さんからも出張報告が課長宛てに送付されています。私には写が来ています。 詳細はそちらを読んでいただきたいです。佐川さんの結論はこれから毎週訪問して指導すれば予備審査に耐えられ、本審査は予定通り実施できるだろうとのことです。 注:予備審査でOKにならないと本審査に進めません。 佐川さんはISO認証について、とにかく知り尽くしていると思われます。規格解釈でも対応方法でも迷うことがありません。 実際に予備審まで20日しかない現状では、考えてからということでは、手遅れです。素晴らしい助っ人だと思いました。 なお、佐川さんは指導力も十分にあります。知識だけでなく、人を動かす力があります。 こんなこと言っては何ですが、當山さんは口だけで、しかも語ることが的を得ておらず指導料の価値がありませんでした。佐川さんの指導ならお金を払いたくないという工場はないと思います。 もっとも今も1日15万の指導料を取っているのかどうか知りませんが。 その他、夜遅くまでホテルで資料を作ったりものすごいパワーです。二度目の出張も日曜日の夕方東京発で長野泊りで月曜朝から仕事と予定を組んでいます。 正直ついていくのがつらいです。 以上 |
第一は月曜日朝から長野工場で指導するために本社には出勤しないという連絡か。それにしても日曜日に向こうに行って朝から仕事をするとは感心だ。
野上課長は山口からのメールを見て、まずはホッとしたが、ISO認証を期限までにしようとすれば、佐川のように昼も夜も休日も働かないとだめなのだろうと思う。
そういえば當山は始業時以降に電車に乗り、終業時には帰着という出張だったような気がする。やはり當山はまじめな社員ではなかったのだな。
そして山口も當山に教えられたから、その辺の考えは甘いのではなかろうか。
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野上課長 |
江本部長への報告は佐川からの出張報告で間に合うだろうか? まずは山口の報告書を読んでみよう。
それに自分は課長として、佐川の扱いも合わせて報告しなければならないだろう。
佐川の勤務時間の扱いなど、どうするのか考えねばならない。工場からの応援扱いでは深夜労働をさせると面倒だ。兼務にするか、奴の力量が本物なら早い時点で転勤させてしまうか……それには福島工場が同意するとも思えないが
本日の思い出
私が初めてISO9001認証しようと頑張ったとき、深夜どころか翌朝まで仕事をしていたわけですよ。もちろん会社から自宅まで数キロであり、かつ車通勤という条件でないと無理です。
一旦家に帰り風呂に入って一眠りして出直そうと会社を出ると、新聞配達が「おはようございます!早いですね〜」と挨拶をしてくる。こちらも挨拶を返すわけだが、苦笑いするしかなかった。
その後、ISO14001認証とか、認証の指導とか30回か40回はしたが、遅くとも夜中の12時には帰宅した。
振り返れば、仕事をするというよりも、思いめぐらすとか迷っていただけのようだ。
ISO認証なんて芯をとらえれば単純である。後は審査員とのやり取りであり、これもおかしな考えの方でなければ難しくはない。
おかしな審査員が かなり いたので難儀したのは事実である。
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TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet ProtocolSMTP)上で動くSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)が決まったのは1982年、日本でも1984年から使われていた。企業で日常の通信に使われたのは1990年代の初めだった。 ![]() この物語の1993年はwindows 3.1が登場した年で、まだDOS-Vメインだったが電子メールは企業で普通に使われていた。ただ当時は会社のメールアドレスを与えられたのは、パソコンを支給された管理職とか業務上必要な一部の人に限定されていた。 メールアドレスをもらってもパソコンのない人は、共用パソコンを使うしかない。 ![]() | ||
1990年初めの種々講習会では、イギリスで使われている資料そのままとか、怪しげな和訳されたものが使われた。 ![]() そういう中では審査に行くとき道を間違えて審査員が遅刻した、さあどうしようとか、訪問した企業に審査員の知人がいたので話しかけたことの是非とか、審査に行ったら先方の責任者が不在で代理の人が出てきたが話が通じない、どうしたらよいかとかいう、どこにでもあるようなケーススタディで面白かった。 ![]() ただいずれにおいても、企業の人たちが一堂に会して開会を宣言するとか、経営者が審査を受けるとき、周りに何人もいるというシチュエーションはなかった。イギリスではISO審査は大きなイベントではないようだ。 そして審査側もされる側も1対1で、かつ飾らないで正直に応答するということが印象的だった。 ![]() | ||
ISO10011-2は「品質システム監査員の資格基準」である。この規格を読むと審査員も内部監査員も区分けしていない。英語ではauditorでそもそも区分けしていない。 この規格を根拠にした議論は聞いたことがない。 ![]() その後、guide62が1996年に制定されて、2006年にはguide62とguide66の代替えとしてISO/IEC17021が制定されて現在に至るが、それらの規定する範囲は同じではない。ISO14001のguide66に比べるとISO/IEC17021は大雑把で細かいことを決めてないし、どういう関係なのは私には分かりません。 ![]() |
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