注1:この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。
注2:タイムスリップISOとは
兵庫工場予備審査の翌日である。
佐川と山口は翌日も兵庫工場にいて反省会を持った。参加者は品質保証課のメンバーと、書面審査で応対した面々である。
大木品証課長 | ![]() ![]() ![]() | ![]() | 小林さん | ||
樋口人事課長 | ![]() | ![]() | 佐川 | ||
鈴木購買課長 | ![]() | ![]() | 山口 | ||
渋谷さん | ![]() | ![]() | 野崎品管課長 | ||
大谷営業課長 | ![]() | ![]() | 藤森製造課長 |
「それでは昨日の反省と改善提案など自由に発言をお願いします」
「審査員が『規格では』という言い方をしてくるんだよね。佐川さんは規格を一切知らなくて良いということだったが、規格も勉強したほうが良いのではないかな?」
「私も『規格に書いてあるでしょう』とか、『規格を知らないのか』とか、言われたわ。バカにされた感じだわ」
「規格など知らなくて良いと言ったのは私です。
正確に言えば、私たちは審査を受けるために規格を理解する必要はありません。審査員の言葉を理解できなければ、審査員は社員が分かるように、言葉を言い換えなければならないのです。彼らは審査を実施するにあたり使う言語をはっきりさせないとならない
原文では日本語とか英語と言った区分を想定しているかもしれないが、工場で使われている言葉とすべきだろう。聞いた人が分からないんじゃ通じないんだから。
渋谷さんの対応としては、バカにされたと思わず、最初から何処に書いてあるのか見せてくださいと言うのが最善でしょう。
そうしたら審査員は自分が言ったことが書いてあるところを示さなければならず、規格にないと気づいて恥をかいたでしょう。
それから大谷営業課長のときはISO規格にないことです。審査員は、単に認証範囲が不適切と言いたかったのでしょう」
「そうなんですか? 私は言っている意味が分かりませんでした」
「ISO9001は品質保証の仕組みです。審査員はこの工場で設計・製造しているものは品質保証の範囲だと思ったらしいですが、設計だけしてタイの工場で製造して、日本に持ってきて販売しているのが、ISO9001の認証範囲から外れていることを問題視したわけです」
「だとすると、我々には無関係ですね。お門違いという奴ですよ」
「おっしゃるとおりです。ですから大谷さんの対応で問題なかった。それを理解できなかった審査員の問題です」
「でも放っておくわけにはいかないんだろう?」
「仮に向うが不適合、つまりNGにしようとしたとき、不適合にする理由がありません。規格に他の工場で生産している場合、それも合わせて認証しろという要求がありませんから」
「不適合を書くときに気が付くわけですか?」
「まともな審査員なら書く前に気が付くと思います。
だからあのとき何も説明せず、この工場だけ認証を受けますと言えば良かったですね。何度もやり取りしているうちに気付くでしょう。
この件への対応は、今後とも、気にするなとしか言いようないです」
「分かりました。理不尽はどこにでもありますものね」
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「そうそう佐川さんに教えられたように、感熱紙の記録はすべてコピーして押印しておいた。審査員はジロって睨んだようだけど、良いも悪いも言われなかった。
問題があるのを期待していたのかな?」
「ほう、そうかい? 俺んとこでは、新入社員の研修での質疑をホワイトボードに書いたのを、そのままファイルしていたら言われたよ」
「どんなこと?」
「長期保管する記録ではいけませんだって、
新入社員教育記録はすべてが終わったときにまとめて正式な報告を作るので、この記録はそれまでですと言うと、何か月かというので、新入社員教育は6月一杯というと、それで終わったよ」
「良かったじゃないか」
「これからは数か月ならOKという基準にしましょうか。ファイルに綴じていれば、半年でそんなに薄れないだろう」
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「私の場合は、『記録が即座に取り出せないから問題だ』と言われました。今回は人事課長からアドバイスがありましたが、私が規格を知っていれば私でも拒否出来ましたけど」
「そのために三段組を作っているつもりです。三段組を見てもらえますか?」
「三段組って何ですか?」
「これですよ、ご覧になっていませんか?」
「ああ〜、これですか。課長がときどき広げてみていましたね。
……ああ、書いてあります。『記録の保管場所は分かるようにしておく。取り出すのに時間がかかるのは良い』と」
「なんだ、私は知らずに一昨日、質問したが、三段組を読めば分かったのか?」
「いえいえ、誰だって読んだことの半分くらいしか理解しませんよ。何度か繰り返して覚えるわけです」
「三段組は課長が読んでいるのを見たことがありますが、私は存在も知りませんでした」
「審査の場に出てくる人は事前勉強が必要だな」
「私はピンチヒッターですよ」
「審査に出てくる人は一読しておいてほしいですね。全部でなくて良いですよ。お宅なら総務課と書いてあるところは、読んで内容を理解しておいてほしい」
「なるほど、規格を読むとか、まして理解するなんて言ったら大変ですね。三段組を作った意味がありませんし。
本審査の際は、審査で対応する人には、三段組を渡して読んでもらいましょう」
「それよりもウチの課長に休むなって言ってほしいわ」
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「私は品質方針を現場の人が知らないから、不適合にすると言われたときは、一瞬心臓が止まりましたよ」
「オイオイ、敷地内で死なれちゃ後始末が大変だ。死ぬなら構外にしてくれよ」
「審査員も他に問題がなかったから、ひとつくらい不適合を出そうと思ったんだよ。気にするな」
「いくつかの観点があります。
ひとつは何か問題があったとき、例えば規定集に書き込みがあったとき、1件なら不適合とはならないでしょう。数件あれば不適合になってしかるべきでしょう。
だから品質方針を何名かに聞いて皆が知らないなら悪いと判断したことは、審査員としてはよろしいかと思います。
ただ品質方針の理解なるものを、あの審査員は理解していなかったということは間違いないですね。
そして私が見ていて、藤森課長さんは最善の対応をしたと思います」
「私も藤森課長の説明を聞いて素晴らしいと思いましたよ、
審査員も方針展開なるものを理解したんじゃないかな。授業料をもらわなくちゃ」
「審査は審査員の教育の場ですか。こちらがお金を払っているのだから、もっとましな人を派遣しろと言いたいですね」
「何事もひとつとか、ひとりだけなら許しましょう。偶発ならしかたありません。同じ問題が複数あれば、認証機関に苦情を言って良いと思います。それは審査員の判断基準と同じです。
藤森課長の説明を聞いて理解されたのですから、良しと判断しましょう。世の中には、ああいう素直な審査員ばかりじゃなく、ドラえもんのジャイアンのような人も多いですよ」
「まだ審査は本格的に始まってませんが、佐川さんは知っているように言いますね。講釈師見てきたような嘘を言いですか?」
「審査員だって人の子ですから、間違いを素直に認めない人の方が多いと思いますよ、アハハ」
「話は変わりますが、審査の切り口が佐川さんに聞いていたのと違い、現象というか具体的なもので質問が来たので驚きました」
「そう、僕もそう感じた。佐川さんの内部監査とか審査の練習では、『規格の○○項では……』という聞き方をしましたが、意外と杓子定規でない質問でしたね」
「おっしゃるとおりです。ああいう聞き方は、審査が上手い方だと思いますよ。今までプラントの検査をしていたというから、現場の人が理解できるように話し方を工夫されたのでしょう。
もちろん項番○○の審査をしますという審査員も多いです。そういう審査員は杓子定規、一字一句、規格通りか聞いてくるでしょう」
「そうなるとこちらも、規格を覚えていないとならないということですか?」
「いやいや、逆に規格を知らなくても良いと言えるでしょう。
先ほど申しましたように、質問は相手が理解できるようにしなければならない。それは審査員の義務です
もし質問が分からないなら、分からないと答えるのが正解でしょう」
「だけど例えば品質方針を聞かれて、品質方針という言葉を知らないとは言えないでしょう?」
「企業が規格の用語を使うことは要求されていませんから、従業員が規格の用語を知らなくても不適合にはなりません
企業によっては方針じゃなくて、例えば『私たちの誓』というのを見たことがありますし、ノードストロームなら『ようこそノードストロームへ』とかね。そういう会社で方針を知らないのか? と言っても知らないと言われますよ」
「顧客満足だな。しかし、けっこう客観的に公平にISOの仕組みは作られているわけだ」
品質保証の国際規格 ◇ISO規格の対訳と解説◇ 増補改訂版 | |
監修 久米 均 | |
日本規格協会 | |
「ということは審査員が要求にないことを言い出して、被審査側とトラブルが起きることもあるということかな?」
「そうです」
「しかし佐川さんもさあ〜、ISOの経験がないと言いながら、何でも知っているような口ぶりだね」
「知ったかぶりで信用ならないですか。
誰もが経験をしたことがない状況であろうと、手に入る情報を咀嚼し考えること、そして人間の本性を加味すれば、どうなるかはだいたい分かります」
「どちらにしても人間のすることか?」
「話を戻してよろしいかしら?
良かったと思ったのは、規定集を皆総入れ替えしたことです。
何気なしに見てましたけど、高橋審査員は何度も規定集を取り換えて、違いがないかを見ていましたよ」
「規定集は審査のテーブルに3冊置いたから、物によってバージョン違いとか欠落がないかをチェックしたのだろう。
手間をかけたけど、やって良かったよ」
「工場巡回時に、コンベアの下にもぐって、アース線がどこにつながっているかを見たのには驚きましたよ」
注:私は想像では物を書かない。想像力がないからかもしれない。
アース線が切れていたのは実話で、審査だというので今までにないほど力を入れて大掃除をしたようだ。それまで計測器が載っているラックは、そのまま掃除機をかけるだけだったが、みながラックをずらして掃除したものだからアース線が切れてしまったようだ。
どうしたかって?
そこの課長が「アハハ」と笑ってお終いだった。
いちいち言い訳するとか糊塗することもない。笑い飛ばして、審査員も唖然とすれば不適合にする気もないだろう。それくらいでないと大物ではない。
「それは見学者立ち入り禁止でしょう。安全上大丈夫でしたか?
危ないとか営業秘密に関わるのであれば、案内者は制止しなければなりませんよ。ISO審査とて例外ではありません」
「確かにコンベアが動いていましたから、チェーンに触れたら危なかったですね」
「私の反省ですが、工場巡回には作業服に着替えて安全靴、ヘルメット着用としましょう。そして巡回前に安全のための注意を伝えましょう」
「事務所の巡回では、事務作業中のモニターや掲示板を見ていました。あれは問題ないのですか?」
「見られて困るものは隠すか裏返しにしてください。それで良いです。
技術部の巡回や実験室は、通路から見るだけにした方が良いでしょう」
「本チャン前に、ルールを決めて周知するようにするよ」
「それは良いですね。注意事項をまとめたものをいただければ、本社から各工場に伝えましょう」
「品管課も品質情報などを見せたくないのだけどね」
「購買も同じでさ、調達先の評価となると品質関係だけでなく、反社との付き合いとか各社の内部事情とか多岐に渡る。けっこう知名度のある取引先もあって見られたくないものも多い。丸ごと見せてい良いのかなと悩むよ」
「一応守秘契約はしているけど、見たことを外部に話すかどうか確認できないし、審査員がすべて認証機関の社員でもないから、その懸念はありますね。
審査で見せなくちゃならないけど、見せたくないものは隠しておきなさいよ。ファイルなら開いたところだけ見せて、他のページを見せないとか」
「認証機関の社員でないというのは、どういうことですか?」
「審査員は専門職のようなもので、認証機関の社員でなく審査業務の契約している人も多いのです。審査がないときは別のお仕事、例えば自営の技術士とか他の企業で働いているとか」
「そういう人がいるのか? 守秘契約を取り交わしても意味がないのか?」
「ハッキリ言って信用はできませんね。ただ審査前に審査員候補の氏名と業歴などが書かれたものが送られてきて、諾否回答をすることになっています。
同業他社勤務とか他の工場で問題を起こしたような人は、拒否すべきです。断っても何ら差し支えないです」
「ある程度、審査が行われてそういう情報が蓄積すれば良いけど、現時点では情報がないね」
「今はそうですね。
おっと、大事なことですが、審査員から資料が欲しいとか規定のコピーが欲しいというような要求は、すべて断ってください。
どうしてもという場合は、認証機関名の受領書と社外に出さないという誓約書を取ってください。
と言いますのは、審査員の中にはISO認証のコンサルもいるわけです。万が一いや、十に一くらいですが、当社の資料を社外に出される恐れがあります」
「懸念は分かるが……そう言われて出さなければ心証を悪くするのではないか?」
「出さないわけではありません。認証機関から受領書を取ればよいのです。
そういえば100%要らないと言いますよ。大部分は審査員個人の要求であって、認証機関の意思ではありませんから。というか審査契約に、審査する企業が提出する文書が記載されていて、それ以外も必要とするという文言はありません」
注:正直言って、ISO9001の審査で、品質データとか規定が欲しいと言われたことは一度もない。
ISO14001時代になってから、審査の度に規定がほしい、測定データが欲しい、環境側面の決定データが欲しい、法規制一覧表が欲しいと言われた。
審査員が審査を受けた企業から饗応を受けたと読売新聞が報道したのは2003/4/22で、大きな問題になった。だが饗応だけでなく、文書その他の資料の要求もあり、企業にとってはそちらの方が大きな問題だった。
審査員が替わっても毎回審査後に、判定委員会に見せるためと言われ種々の資料を要求されていた。その認証機関に、審査員から要求される資料があまりにも膨大で、作る手間暇も大変なので、少なくしてほしいと要求した。するとそういったものは判定委員会で使っていない。今後一切提出する必要はないと返事が来た。
審査員に渡した資料はどこに行ったんだろうね?
「佐川さんはISO認証の裏の裏まで知っているのか? どうも腑に落ちないな」
「とにかく今回の予備審査のQ&Aと巡回時に何を見たか、それが審査にどうつながったかをまとめて他の工場に伝えることが必要だね」
「大木課長のところでQ&Aと巡回時の特記事項を、まとめてくれませんか。
Q&Aは全部でなくて、質問と回答の要旨のみで、よろしいです。できれば正解もですが」
「私の対応は余計なことが多かったから、そこは削って、的を射たところだけ頼むよ」
「いやいや、藤森さんの品質方針の解説は、ぜひ全工場に知らしめたいところです、アハハハ」
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皆が雑談を始まったので、佐川は山口に話しかけた。
「一昨日の話には驚いたよ」
「一昨日? ああ、品質保証課が詳細スケジュールも準備も、していなかったことですね」
「そうだ。それで予備審時と本審査のときの、対応事項とスケジュールの概略をまとめてこれから審査を受ける工場に周知してほしい」
「えー、私も知りませんよ」
「サヨちゃんに聞いてまとめてほしい。つまらないところでチョンボしたくない」
「はあ〜」
「それから、オーイ、大木課長と小林さん、ちょっと来てほしい。
先ほどの審査のQ&Aと工場巡回の件ですが、お宅から回すのも筋違いと思いましたので、私の方にいただけますか。本社生産技術部から部長名で全工場に発信します。もちろんお宅の名前も併記します」
「そうですね、それがよろしいです。
それから一昨日は、審査の準備がお粗末なところをお見せしてしまいました。あのあと小林君とサヨちゃんに準備をまとめておくように指示しましたので、それも合わせてお送りしましょう」
「よろしくお願いします」
大木課長の話を聞いて、山口はホッとした顔をした。
佐川はそれを見て、もう少し前向きで仕事をしてもらわないとまずいぞと思うのであった。
曜日を1日間違えていたので修正しました。(11/07)
佐川は明日土曜日には福島工場に顔を出したい。福島工場はどうなっているだろう?
土曜日に出勤すれば猪越課長がいるだろうから、福島工場のISO準備状況の確認をしよう。
日曜日は休養だ。洋子と一緒に買い物にでも行きたい。
月曜日は朝から本社に顔を出して、報告と予定の確認だ。
まず兵庫の報告、それから千葉工場と凸凹機械の関係がどうであったのか、その結果、凸凹機械の指導はどうするのか、そのあたりを確認して、今後の方向を決めないとならない。
水曜日は長野工場の予備審査だ。あそこは英国系の認証機関で、今回とまた毛色が違う審査ではないかと思う。
佐川は山口に、来週月曜日本社に出勤したら、佐川と一緒に課長に兵庫工場の予備審査の首尾を報告すること、兵庫工場から報告のまとめが来たら生産技術部長名で全工場にISO審査の情報として送ること、月曜日の夕方に一緒に出発して火曜日朝には長野工場に顔を出すと話をする。
佐川と山口は対等の関係なので、直接的な命令は差しさわりがある。できませんと言われるとそれまでだ。山口は反論しなかったけど、佐川から指示されるのはうれしくないようだ。
夕方、兵庫工場がいつもの状態に戻った頃、人事課長の樋口が本社に電話をする。
「下山さんですか? 樋口です」
「おお、そう言えば昨日は兵庫工場のISO審査だったな、どうだった?」
「審査と言っても本審査ではなく、本審査ができるかどうか事前調査する予備審査がありまして、今回は予備審査ですよ」
「首尾はどう?」
「全く問題なしです。こんなことは初めてだと審査員が誉めてました」
「ほう〜、聞いた話だが、他社の審査で不適合なしというのはなかったと思う。大したものだ」
「それで以前、下山さんから言われていた佐川のことですが、彼が指導に来なければこんな状態まですることは到底できませんでしたね。
彼を一言で言えば優秀です。人格も穏やか、知識もあり、しかも率先垂範です。問題があれば、まず自分がして見せます。やってみせ、言って聞かせて、させてみせと、まさに山本五十六です。
彼と一緒に本社から来ている若い者が今風なのですが、その指導もしっかりやっていました。
彼が来なければ、こうはいかなかったですね」
「ほう〜、奴は不平不満を言ってなかったか?」
「そんなことないですね。楽天家ではないようですが、常に前に向かって努力する、そんな感じですか。
こぼすと言えば、彼は今、工場所属で本社応援だそうです。それで住居も変わらず、毎週金曜日の夜遅くに帰宅、日曜日の午後には次の出張先に家を出るそうです。その意味では家庭的にも肉体的にも大変と言ってましたね。
今4つの工場の指導をしているとのことですが、それが終わっても他の工場の認証が続くだろうし、一段落するのは今年度一杯かかるだろうと言ってました。
ISOの知識があると余計な仕事をやらされて大変ですね、同情しますよ」
「そうか、また情報があれば頼むよ」
「再来月の初めに本審査です。もちろん当社ではトップですから、楽しみにしていてください。
実を言って、私も楽しみなのです」
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佐川は山口と同じ新幹線で東京まで帰る。今からだと東京着21時、そこから東北新幹線で福島着は22時半、帰宅は23時か……娘たちは起きているかな?
気は急いても移動時間ばかりかかるのがやるせない。
本日の思い出
私はISO9001とかISO14001を認証する工場の支援は、飽きるほどしましたが、移動はあまり問題なかったです。というか、移動時間がかかるところは遠慮しましたから。そうでなくちゃやってられません。
関西も北海道もありましたが、主に関東圏内です。
じゃあ、楽かといえば、なことありません。
数話前に何もしなかった千葉工場のお話がありましたが、現実にそういうケースもありました。
原因は担当者のやる気の問題、担当者が病み上がりとかいろいろあります。そもそも営業であれ製造現場であれ、やる気満々の働きマンを、ISO認証担当にするはずがありません。
病み上がりでリハビリ中とか、家庭の事情で残業できないとか、チョンボして閑職に、そんな人たちがISO認証を担当するのは、憲法で決まっているようです。
実を言って私もその一人だったのかもしれません。
私の場合、後がないから頑張った。
それを見た偉い人が、あいつでいいじゃないか……そんなところかな?
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ISO10011-1 5.2.1 監査計画 「(監査)計画には次の事項を含む。 -監査で使用する言語」 注:原文は「audit」であり、日本語訳は「監査」でなく「審査」であるべきだ。 ![]() | ||
この時点で有効な審査の規格は「ISO10011-1:1990 品質システムの監査の指針」であり、そこでは監査の一切の責任は監査員にあり(4.2.1.2)、被監査側はそれに協力する義務がある(4.2.3)と定めている。 ![]() | ||
これは2015年改定で明記されたことであるが、それ以前から規格の用語を使わなければならないとか、周知しなければならないという要求事項はない。 ましてや規定の項番やタイトルを、ISO規格に合わせる必要もない。 ![]() | ||
当時はまだガイド62はない。 ISO9001の審査機関要求事項ISO/IEC guide62が制定されたのは1996年であった。 もう誰もガイド62とかガイド66なんて読まないだろうが、ISO17021などよりはるかに価値ある文書だよ。 もし読みたければ、US Googleで「ISO9001 Guide62」で検索すると英文のpdfが見られる。 ![]() |
予備審査 無事終了で何よりでした。 いつもの勉強になります。 >企業が規格の用語を使うことは要求されていませんから、従業員が規格の用語を知らなくても不適合にはなりません(注3) 注2の説明でISOー10011ー1を参照して、注3に関連した記載を見つけました。 4.2.1.2. Auditor's responsibilities(審査員の責任) communicating and clarifying audit requirements; (審査の要求事項をはっきりとさせ、(被審査者へ)判るように伝える事) 裏返せば審査される側が理解できないのは、審査員の責任だと書いてあるのですね。 恥ずかしながらISO-10011なんて良く知りませんでしたので勉強になりました。 おばQさまは、社内やグループの監査の為に「品質システムの監査」ついて、しっかりと理解していたから、すぐに思い当たるのですね。 |
外資社員様 毎度ありがとうございます。 ISO9001の審査の規則は最初はISO10011(枝番アリ)でしたが、それでは不十分と言うことで、1996年にはISO/IECGuide62というのが作られました。 同様にISO14001にはISO/IECGuide66というものが審査規格として作られました。これがまた素晴らしいものでした。審査員がこれを理解していれば審査のトラブルは皆無になったことでしょう。でもそうなりませんでした。 その後、マネジメントシステム規格が雨後の竹の子のようにつくられると、個々の規格用の審査ルールを作るのが面倒くさくなったのか、ISO17021に一本化されました。そのためにISO9001だけとかISO14001だけに関わることはバッサリと切り捨てられました。結果として役に立たないものになってしまったのです。 参考にするならGuide62とGuide66です。ネットに英文ならありますから、外資社員様なら軽く読めます。 しかし不思議なことがあります。 それは審査員研修でこれらの規格を教えていないようなのです。私はISO9001は1回、ISO14001は2回審査員研修を受けました。1回は勤務先が費用を持ちましたが、2回は自前です。なぜ2回受けたかというと、審査員研修機関によって教えることが違うかを確認したのです。1回30万の受講料をよく家内が出してくれたと感謝です。 おっと、それはさておき、その3回の講習会でGuide66もGuide62も教えられませんでした。 審査員が審査の方法を習わずに審査できるのは皆優秀だからでしょうか(皮肉です) まあ、審査の品質は推して知るべし |
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