タイムスリップ112 未来プロジェクト7

25.09.18

注1:この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。

注2:タイムスリップISOとは

注3:このお話は何年にも渡るために、分かりにくいかと年表を作りました。



佐川が「有益な環境側面あるある派」に対する反論と言うか、「有益な環境側面はない」ことをいかに説こうかと自席で考えていると、プロジェクトリーダーの佐山から午後一にプロジェクトメンバーを集めろという。

電話機 急な話なのでメールだけではだめだろうと、各個に電話連絡する。
連絡が終わると佐山に全員に通知完了しました。全員参加するとのことですと報告する。佐山は何度かうなずいただけだ。

佐山はミーティングの理由を聞く気もないので、指示されたことを終えて有益な環境側面のことに戻る。




元の仕事に戻り、まず説明する方法はいくつもある。それらのどれか一つを選ぶか、あるいは全部を述べるか?
本来なら理屈を言えばお終いだし、あるいは実例を挙げればお終いだ。
だけど今までの経験では、「有害な環境側面ある派」には、何を言っても「ああだこうだ」と、「ああ言えば上祐(注1)を演じるだろう。
となると考えられる方法を全て挙げ、逃げのないようにするしかない。


そんな論理の進め方を考えていると、佐山が声をかけてきた。どうも佐山は佐川が臨時のミ−ティングをする理由を、尋ねてくるのを待っていたというか、聞いてほしかったようだ。面倒な人だ。


佐山 「原発の件だがね・・・」

佐川 「ハア〜、どうかしましたか?」

佐山 「我々が東日本大震災のことを報告してから半年以上経つのに何も進展がなく、私は気をもんでいた(第101話)。
我々に話は来なかったけど、上の方はいろいろ検討していたようだ。

まず名前は知らないが地震の権威に相談したところ、過去40年くらい大きな地震がなく、溜まったひずみを解消するために、阪神淡路大震災を初めとして、21世紀初めには大きな地震が続く恐れがあると言われたそうだ。
笑われることを覚悟で佐川君の予想した地震のリストを見せたところ、いずれも発生の恐れが大で、信頼できると言われたという。

その学者は、君の予言をうまい形でマスコミにリークできないか考えているという」

佐川 「上手い方法があれば良いですね。笑われてお終いとか、人心を惑わすなんてなると問題ですからね」

佐山 「原発の防潮堤だが、経団連で原発の災害やテロ対策の検討会があるそうだ。そこで福島原発の津波の予想が甘いのではないかという問題を提示をして、防潮堤の見直し、緊急用電源の見直しなどを東電に申し入れるという。
対応するなら経団連が援助するということらしい。飴と鞭だな」


注:不勉強にして防波堤と防潮堤の違いを知らなかった。
防波堤とは陸地でなく海に作られて、防波堤内部に大きな波が来ないようにするもので、港の安全を守るのが役目
防潮堤とは陸地または海岸線に作られ台風や津波が市街地に侵入するのを防ぐもので、陸上の安全を守るのが役目


佐川 「それはすごいですね。ただ予想が当たりすぎて、情報発信源が疑われると困ります」

佐山 「それは間に入る人が、海千山千だから心配ないだろう」

佐川 「それが今日のテーマですか?」

佐山 「それもある。
初年に大成果を出したから、トップが未来プロジェクトにかける期待が、ますます大きくなっているんだ。あれだな、去年の総会屋対策と東アジア金融危機対応が大成功だったからな。問題を把握して事前に対策して被害を最小に抑えた。

夢再び、いや三度(みたび)四度(よたび)だよ。期待は膨らむばかりだ。
当初は懐疑的だった社長も、今は一点の迷いもなく未来プロジェクトを最大限活用せよとの仰せだ。

今年(1998年)だってブラックマンデー以降も為替相場の急落もあったが、すぐに回復するという事前情報があったから財務部も驚くこともなかった。
若貴はすごい人気だった まあ若貴が横綱になっても当社の経営には無縁だったけどね。和歌山カレー事件も当てたし、予言の信頼は確固たるものだ。

しかし中山室長の売り込みもえげつない。彼は個人的な損得じゃなくて、未来の情報をいかに活用するかとその成果に熱を上げている。個人的にも(きん)を買っているらしい」

佐川 「未来の情報があっても(かね)がないとダメですね。
我が家では1995年、今から3年前ですね、300万円でドルを買い、今年540万に日本円に換金しました。来年は確定申告しなければならず、税金が取られます。儲けの5%くらいですかね。

吉井部長は500万を両替したそうですから、今、両替すると900万ですか、悪くありませんね(第53話)。
中山さんが金を買っているなら絶対に損はしませんが、15年くらい持っていないと・・」

佐山 「ノストラダムスの大予言は1999年に滅亡だったよね。あと半年で人類が滅亡するという予言はどうなの?」

佐川 「なにごともなく、まったくの大外れでした。あるいは予言(注2)が外れでなく、五島(ごとう)の解釈の間違いかもしれません。元ネタは『1999年7の月、空から恐怖の大王が降ってくる』でしたっけ?

私の予言とノストラダムスの違いは、具体的か曖昧かです。曖昧なら外れても解釈違いだったととぼけられますが、具体的な予言ならハズレたらごまかしできません」

佐山 「まったくだ、具体的でないと予言の意味がないね。五島勉は人騒がせだ」

佐川 「話を戻しますが、経営陣はどのようなものをお望みなんでしょう?
経済問題、戦争や安全保障、当社のビジネスの今後とか」

佐山 「とりあえず1999年の世界と国内の出来事だな。それを皆で議論して、当社にとって重大問題を抽出し対応をまとめよう」


佐川はヤレヤレと思う。未来プロジェクトは、何をするにも佐川が8割方仕事をしなければならない。まあ、それが仕事と言えばそうなのだが、自分の記憶も薄れてあまり自信を持って言えなくなってきた。




午後一、臨時ミーティングが始まった。
メンバーは所属員プラス例の人たちだ。

野村財務部企画課長野村財務課長
佐山マネジャー佐山
相馬次郎相馬 生産技術
下山人事部次長下山本宮洋子 本宮 総務
中山経営企画室長中山経営企画室長吉田 吉田 人事
大木経理課長大木経理部業務課長佐川真一佐川 環境
技術 伊達伊達隼人石川さやか石川 広報

佐山 「皆の努力によって未来プロジェクトの成果も信頼も上がっている。ところがそれは更なる要求につながる。
経営陣から1999年に起こる問題、それへの対応についてより成果が出るようなものを期待すると要求された。

会社は年度で動いているから、様々な計画に反映するには今年末、あとひと月半でまとめなければならない。各部門はそれを考慮して動くからね。
もちろんそれは年計で進めていたわけだが、改めて、より成果を出せとか事業に貢献するものと言われると、もう少し見直しを重ねて、勿論可及的速やかに報告案を作らないとならない。

まずは佐川君から、1999年の内外のイベントの説明をお願いする」

佐川 「それでは資料をお配りしますね。秘密漏洩防止にタイトルしか書きません。詳細は口頭で説明します」


1999年主なイベント

国内
  • 政治
    石原慎太郎都知事誕生(2012年まで務める)
    国旗国歌法成立
    男女共同参画社会基本法 セクハラ禁止、
    ダイオキシン特措法
    自自公連立 第2次小渕内閣
    児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律

  • 経済
    1999年、株価は年末まで上がる一方で、2000年は下がる一方で要注意
    非正規雇用の拡大
    地域振興券 多くの県で発行
    日銀 ゼロ金利始めます
    栄養ドリンク、消化薬などが医薬部外品となりスーパーなどで販売
    米輸入解禁

  • 事件・事故
    全日空ハイジャック、操縦士殺される
    下関通り魔事件(5人死亡)
    池袋通り魔事件(2名死亡)
    下関駅に乗用車で突っ込み無差別殺人(5名死亡)
    東海村臨界事故
    神奈川県の玄倉川が増水。中州の客13人が死亡

  • 文化・流行
    ヤマンバスタイル
    2ちゃんねる始まる
    ナンバープレートが希望番号制
    東京ミレナリオ初開催

    新製品
    バイアグラ認可
    Iモードサービス開始
    SONYアイボ発売




世界
  • 政治・戦争
    コソボ紛争でNATO軍がユーゴスラヴィア攻撃
    ロシアエリツィン大統領からプーチン大統領へ
    パナマ運河がアメリカからパナマへ返還

  • 経済
    EUでユーロ導入

  • 事故・事件
    コロンビアで大地震死者 1,900人
    トルコで大地震 17,000人死亡
    台湾で大地震 死者・行方不明2,500人
    東海村でJCO臨界事故 2名死亡







注:機密書類はコピー配布するとき、どこかに誤字、捨て仮名(促音等の表記)を大きいままにしたり、文字間隔を変えたりして、全て異なるようにする。
電子データなら、表示されない余分な文字を入れたりする。そのようなことで、漏洩すれば、誰が漏らしたか明確にする。


年度首に示したものだが、改めて概要を説明する。
説明した後、皆に声をかける。


佐川 「まずは内容について確認したい人、質疑応答どうぞ」

相馬次郎 「石原慎太郎って、もう政治家としては、過去の人と思ってましたが?」

佐川 「確かに、1995年でしたか『日本の政治はダメだ、失望した』と言って衆院議員を辞職しました。しかし、やはり日本を動かしたいというか、良くしたいとい気持ちはあるのでしょうね。
彼は都知事を3期務めて4期途中で辞任、そして2013年かな、再び衆院議員になるのですよ。引退は2014年かな」

吉田 「ゾンビみたいね」

相馬次郎 「昭和男子の強かさなのでしょう。彼も大口を叩くけど、やることはやるよね」

中山経営企画室長 「政治的には、大事件とか混乱はないのね?」

佐山 「概要を見ると、そのようなことはなかったようですね。
ただ株価の動きを見ても分かるように、スロー(不景気)ですね」

佐川 「国政では、小渕首相は今年首相になりましたが、来年も低支持率で厳しい状況です。
言っちゃいけないのでしょうけど、小渕さんは2000年に病気で亡くなります。次は森喜朗が首相です」

吉田 「まあ連立・・自民、自由、公明だっけか? 連立ではやりたいこともできないし、大変な心労だったのだろう」 国旗

下山 「国旗国歌法ってのはなんだい?」

佐川 「国旗を揚げる揚げないで、もめた学校の校長が1999年春、来年ですね、自殺したのですよ。
そのようなことがないようにと、夏に制定されました。これは小渕さんの成果でしょう。平成以降では最も短い法律です」

下山 「なるほど、言われてみると今までと言うか、今現在は国旗や国歌を決めた法律がないわけだ」

伊達隼人 「男女共同なんちゃらってなんですか?」

佐川 「我々はセクハラ防止法って呼んでました。たくさんのことが書いてありますが、男女同権を具体的に決めたものです」

下山 「話は聞いている。会社もしっかりした体制にしないといけないね。これは取締役会報告事項だな」

佐川 「男女同権と言いますが、内容は女子優先法としか思えません」

石川さやか 「今まで差別されていた分、上積みしてもらわないと」

本宮洋子 「佐川さん、そんなこと言ったら訴えるわよ」

佐川 「そうなんです。会社での発言を注意しないとすぐにしょっ引かれます。
アメリカ映画ですと、今は重役が男性、秘書が女性と、その反対の組み合わせが登場しないといけないでしょう。そんな感じ」

中山経営企画室長 「らしいな、取締役会も数名女性を入れることになるだろう」

本宮洋子 「女性は昇進が有利になるわね」

中山経営企画室長 「管理職は社内登用だろうけど、取締役は著名な女性弁護士でも社外取締役にしてお茶を濁すんだろう。
ま〜難しいわな。アメリカでもガラスの天井ってのがあるしね。女性を多くすれば何が良くなるか分からん。女性を活用すれば売上が伸びることもあるまい。力量がないとお互いに困る。
おっと、モノ言えばか…ちょうど今の季節だ、アハハハ」


佐山 「ダイオキシン特措法とは、以前佐川君が言ったあれだな?」

佐川 「そうです。確か対策は、生技の高見さんが動いていたはずです。進捗は知りませんが、法制定に間に合ったのでしょうか?(第70話)」

本宮洋子 「総務の中山さんも一緒に動いています。状況は中山さんから聞いてます。
当社の焼却炉は今年中に処理完了予定。関連会社は、既に昨年度末で処分が完了しています」

佐川 「そりゃ良かった」

中山経営企画室長 「ええと、それはどんなことですかな?」

佐川 「所沢のダイオキシン問題を報道した、テレビ朝日の番組を覚えてらっしゃいますか?
あっ、失礼。それが放映されるのは来年2月でした。 ダイオキシン

塩ビなどのプラスティックを低温で燃やすと、ダイオキシンという毒物ができるのです。今のゴミ焼却炉のほとんどが、それに該当します。

所沢市には廃棄物処理業のごみ焼却炉がたくさんあり、煙突からダイオキシンが飛散し、近隣の畑のダイオキシン濃度が高いと報道をするのです。
それで日本中がパニックになってしまいます。

その後の調査では汚染は騒ぐほどではないとか、これからのことですが、名前忘れましたがウクライナ首相だった方を、ロシアが暗殺しようとダイオキシンを食べ物に盛るのですが、死ななかったわけです。

そんなことで毒性も強くないことが知られました。2010年を過ぎると、あの騒ぎは何だったのだろうと言われるようになります。集団ヒステリーだったのかもしれません」

中山経営企画室長 「すぐに法改正で規制が緩くなるなら、その間保管しておいた方が良いのではないか?」

佐川 「残念ながら法律は、それ以降も廃止もさえず改正もされず残るのです。
焼却炉を残しておいても使用禁止、廃棄するには大金がかかる。金のない会社は周囲を囲って、人が近寄れないようにしないとなりません。
煙突などはメンテしないと劣化しますし、これから大地震が多発しますから、それが倒壊したらまた大変です。

ともかくこれからテレビ朝日の放送で大変な騒ぎになり、今まで工場や学校やビルにあるごみ焼却炉が使用禁止になり、更に廃却するときは炉内にダイオキシンがないか調べ、あれば専門業者に依頼して、処理をしないとならないという法律ができるのです」

下山 「焼却炉があると、えらくお金がかかるわけだ。それを事前に手を打ったと・・」

佐川 「下山さんから道義的にどうなのかと問い詰められそうですね」

下山 「お前もだんだん言うようになったなあ〜」

佐川 「私は下山さんに睨まれて、もう昇進はない無敵の人(注3)ですから、怖いものなしです、アハハハ」

本宮洋子 「安衛の中山さんは佐川さんのアドバイスで50億節約したって言ってたわ」

下山 「分かった、分かった。実際の害が小さいなら問題視することはない」


吉田 「ヤマンバってなんだい?」

中山経営企画室長 「山と姥とかいてヤマウバと読む。山奥にいると言われるばあさんの妖怪だ。話し言葉ではヤマンバになる」

ヤマンバ

石川さやか 「中山取締役、今はそうじゃありません」

本宮洋子 「それってアイシャドウの強烈な人でしょう。ときどきテレビに登場するけど、あれが流行るのか、若い女性の美的感覚が分からないわ、オソロシ」


下山 「非正規雇用の拡大か、まあ、法律も変わったしね(注4)
とはいえ1990年頃、バブル最盛期には終身雇用より、契約社員を望んだ人が増加した。当時は新聞も大いに推奨してたけど、不景気になるとかわいそうとは・・」

野村財務部企画課長 「欧州統合も通貨統合になると、もう後戻りはできないな(注5)

中山経営企画室長 「離婚できない夫婦か」

大木経理部業務課長 「通貨統合はそればかりでなく、とんでもないことになります」

中山経営企画室長 「とんでもないとは?」

大木経理部業務課長
「今は欧州の国の中でも通貨が強い弱いがあります。変動相場制ならそれは自動的に調整されます。
しかし欧州域内の通貨を一本化すると、通貨の価値は同じです。輸出が多くて強いドイツに引っ張られユーロは強いまま、するとどうなるか?」

中山経営企画室長 「分かった。強い通貨なら輸入品は安い、輸出はできないと。時がたてば域内で貧乏な国ができるし、へたするとデフォルトだね?」

佐川 「ギリシアは2009年にデフォルト寸前まで行きます。IMFの支援などを受けて緊縮財政とか手を打ちますが、私の知る限り2022年時点でも失業率が高い、生活水準が下がったまま、など国が健康になったとは言えません。

結局は産業構造とか生産性などの問題がありますね。本来なら通貨が安くなって自動調整されるのですが、共通通貨なら挽回できません」

野村財務部企画課長 「考えてみれば、東アジア金融危機と同じ筋書きだな。
しかしそれは重大だ。佐川さん、そうなるのはギリシア一国ではないですよね」

佐川 「さすがですね、アイルランド、ポルトガル、スペイン、キプロスなどで、経済と言うか国の体質が弱い国は、皆困ったことになります。これはユーロ圏債務危機と呼ばれます」

野村財務部企画課長 「大木さんも同じですが、貿易関係でこれから要注意ですね。へたすると・・」

中山経営企画室長 「そればかりでなく、スペインに工場を建てる話があるだろう。要検討だな」

大木経理部業務課長 「私もそれを思いました。
EUって、悪く言えばドイツが儲かるための仕組みですよ。他のEUメンバー国からの搾取ですね」

野村財務部企画課長 「そう言うより、虎の威を借りる狐じゃないですかね。いざというとき虎が助けてくれなく食べられちゃうだけでしょう。
まっとうならドイツに負けないように、外貨を稼ぎ通貨の価値を挙げれば良いわけです」

大木経理部業務課長 「どの国も通貨の価値をあげるってのは理屈にあいませんよ。
強い国あれば弱い国あり。貿易黒字があれば貿易赤字がないと釣り合わないのです」




佐山 「ええと、特別に地震についても話したいということだったな。
佐川君、薦めてくれたまえ」

佐川はまたA4で1枚物の資料を配る。


佐川の提出した今後10年間の大地震リスト


21世紀に発生する大地震
  • 2001/03/24:芸予地震(M6.7) 死者2名
  • 2003/09/26:十勝沖地震(M8.0) 死者1名
  • 2004/10/23:新潟県中越地震(M6.8) 
  • 2007/03/25:能登半島地震(M6.9) 死者1名
  • 2007/07/16:新潟県中越沖地震(M6.8) 15名
  • 2008/06/14:岩手・宮城内陸地震(M7.2) 68名
  • 2011/03/11:東北地方太平洋沖地震(M9.0) 死者・行方不明19238名



佐川 「次は日本でこれから起きる大地震のリストです。概ねマグニチュード7以上とご理解ください」

中山経営企画室長 「1年おきに大地震が起きていることになる。ところでマグニチュード7なんて今まであったのか?」

佐川 「気象庁の記録そのものが以前はありません。それとマグニチュードという単位は1935年からだそうで、それ以降も正確ではなかったようです」

中山経営企画室長 「マグニチュードというのはどうして使われるようになったの?」

佐川 「日本では昔から震度という単位がありました。震度とは揺れの大きさですね。
しかし震央から遠ざかるほど震度を小さくなります。それに気づいて、地震そのものの大きさを表す単位として考えられたそうです」


注:震源とは地震が起きた地中のところであり、その真上の地点を震央と呼ぶ


下山 「考えるべきことはいくつかに分けられます。
当社の対策、従業員の対策、国の対策への助言(影響)ということですな。まだ少し猶予はある

佐山 「東日本大震災を除けば、1年前に被害が予想される事業所幹部に内々で通知、これは設備投資とか建物の補強などを考慮すると。
半年前に防災訓練、特に避難訓練と危険物や火災の恐れ対応でしょう。
当日は毎年の休日について、設備メンテナンスなど理由を付けて、休日にするというところでしょうか」

下山 「あまり露骨にすると問題ではあるが・・」

中山経営企画室長 「最終的には取締役会の決定事項だろう。皆さんのアイデアと提言を期待するよ」



うそ800 本日の疑問

仮に地震発生が分かったとして、どうしたものでしょうか?
地震だ! 大分前ですが、中国で地震が起きると予知して、当該の地域の人を避難させたものの、冬だったので寒いとか、地震が本当に起きるのかとか、家に帰ろうとする人で大変だったらしい。

偶然か必然か、予測通り地震は起きたのだが、家もインフラも破壊され大変なことには変わりない。
東日本大震災の発生が予知できたとして、津波からの避難はできたとしても、家も財産も失われ大変なことには変わりない。

そして実際の避難では渋滞やわれ先にという争いも起きただろう。難しいね。
おっと、原発に何かができたかとなれば、予知できたのが何時間前か、何日前か、何カ月前かによって変わるだろう。せめてひと月前だったらかなりのことはできただろうと思いたい。



<<前の話 次の話>>目次




注1 上祐史浩を忘れたかもしれない。北九一色村のオウム真理教のサティアン攻防は1996年初夏のこと、1998年はまだ記憶に新しい。
上祐は当時オウム真理教の外報部長として記者会見の対面になり、何を言われてもとぼけたり話をずらしたりするので、「ああ言えば上祐」と呼ばれた。

注2 ノストラダムスの大予言とは16世紀のフランスの占星術師ノストラダムスが書いた予言集「諸世紀」に「1999年7の月に恐怖の大王が来るだろう」とあり、これを五島が「1999年7の月に人類が滅亡する」と意訳した本が売り出され、信じる人も出て社会問題になった。
もちろんそれに該当するような出来事は起きなかった。

注3 「無敵の人」と言う表現は、2008年に、「2ちゃんねる」の創設者である西村博之が使ったのが始まりらしい。ということはこの時点ではなかったことになる。

注4 小泉内閣の目玉である「構造改革」において規制緩和の一環として労働者派遣法の改正が行われた。

注5 イギリスはEUから2020年離脱した。これを英国の「Britain」と、離脱の「exit」を合わせて「Brexit(ブレグジット)」と称した。
もし通貨まで統合していたら、イギリスはEUから分離できなかっただろう。

参考図書
「希臘から来たソフィア」三橋貴明、自由社、2013






うそ800の目次に戻る
タイムスリップISOの目次に戻る

アクセスカウンター