注1:この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。
注2:タイムスリップISOとは
注3:このお話は何年にも渡るために、分かりにくいかと年表を作りました。
128話から続く。
みっつの工場でトライアル監査をした結果は、はなはだ芳しくなかった。その結果を基に監査部では遵法監査をどうするか検討中だ。
監査部の会議室、監査部長を始め、北川、坂口など主要メンバーが集まり議論している。
基本的に、餅は餅屋である。監査部の仕事は監査といっても、すべての業務を熟知しているわけはない。総務の仕事は総務、購買は購買、営業は営業に監査をさせるべきだ。
各事業所には、それぞれの部門のプロは最低1人はいるだろう。それを派遣してもらう。
また通常の業務監査では、監査部の者が数名で10日くらいかけて行う。遵法に限定すれば範囲は狭くなるが、不祥事を出さない目的のためには抜取でなく全数検査になるからチェックする記録は膨大になる。そして一刻も早く完了するために日時をかけられない。
そんなことで最終的に、ひとつの事業所の監査に、各業務に各業務の専門家を・・・まあ経験10年が最低だろう・・・2名ずつ監査員を揃える。その監査員を各事業所から出してもらう。つまり各事業所は監査を1回受け、派遣する業務は変わるが監査員を10回くらい派遣することになる。
監査部は監査責任者として毎回1名参加し、全体のとりまとめと決裁を担う。本社部門つまり本社総務、経理、環境などから1名、被監査事業所を所管する事業本部から1名参加する。
だから監査チームは総勢20名、各事業所を3日かけて監査を行うことに決めた。
結果として、先日、北川が佐川からアドバイスされた方法と同じものとなった。北川は佐川から言われたからでなく、諸条件を考慮すると必然的にそうなるのだと、自分を納得させた。北川以外は、良い方法を考え付いたと満足している。
3日間といっても、初日のオープニングミーティングに1時間、とりまとめに3〜4時間、事前打ち合わせに2時間、クロージングミーティングに1時間と考えると、実質2日である。現場監査も考えれば、監査員は全力というか全神経を集中して事に当たらないとならない。
そして監査実施前に、各工場からの派遣候補者を本社に集めて、本社部門が業務に関わる法規制、点検すべきこと、判断基準、過去の不具合事例などを教育する。経理は経理部、営業は営業本部、購買は購買部、技術は技術管理部、環境はもちろん環境部である。
監査部も監査の考え、手法、報告のまとめ方などを教育するという計画になった。
これは環境部で監査員予定者に、ひと月半かけて教育したのを見た経験(第120話)からだ。環境部の場合は受講者が半人前だったが、今回は一人前を派遣してもらうから1週間というわけだ。
監査部の仕事は速い。もちろん職務として命令権も実施権があるからだ。環境部が監査するのは筋違いだが、監査部が監査をするのは職権上まっとうだ。
だから各事業所や本社部門に対して、臨時の遵法監査を行う、ついては各事業所に監査人を派遣の協力を求めると通知(命令)するのも当然のことだ。
派遣を求めるのは各種業務を担当しているベテランである。支社、営業所にも営業や経理だけでなく、環境管理をしている者の派遣を要請した。オフィスや非製造拠点であっても、環境に関わる廃棄物や省エネ
監査部が監査員派遣要請を各工場に出すのと同時に、本社各部門に監査員派遣要請を出した。 環境部にも、環境監査できる者の派遣要請が来た。それはもちろん打ち合わせで知っていたわけだが。
工場や支社も、複数の担当者が同時に監査員研修に行かれては困るので、監査部の坂口は監査の実施に合わせて総数80名ほどを三度に分けた研修計画を立てた。
そして本社に集めて研修会を行った。
工場から派遣報告のあった環境担当者には、1970年頃の公害時代から担当していた50過ぎの人もいて知識は十分と思える。
しかし、経験豊かであれば担当以外のことを知っているかとなるとそうでもない。排水処理一筋で知識も経験もすごくても、廃棄物は何も知らないこともある。
現実にはメンバーの専門性をうまく組み合わせる、あるいは人数を増やすなど佐川の調整は大変だ。
第一次研修会を受けた人たちは、すぐに監査部の人に連れられて監査に向かった。
環境部として、環境担当の監査員として工場からの派遣者2名の他に、環境部から、山本、大谷、佐々木のいずれかを参加させることにした。
ここは名古屋工場である。
監査責任者は北川、初めての監査だったので監査部からは坂口も参加していた。
同じ理由で環境部からは佐川と佐々木が参加している。
オープニングミーティングの後、監査が始まった。
工場や支社から派遣された監査員たちは、意気込んで、いや真剣勝負の監査をする。
特に研修会で北川が語った「監査員が見逃しして、後に不祥事が発覚したときは、君たちを派遣した工場の評価となる」という言葉は、皆にグサッと刺さったようだ。
監査員は皆目を皿のようにしてチェックする。監査を受ける方も、環境に限定だがトライアルを受けた千葉工場などに詣でて、事前調査もして同じ不具合は出さないようにと点検するのも怠りなかった。
いや、怠りないつもりだったが、点検結果、続々と不具合が見つかる。
営業では談合と思われるやり取りが書面にも電子メールにも残っている。また受注の決裁は、規則で部長が決裁と決まっているものを、担当者が独断で受注を決めているものが散見された。契約書の印紙金額は多いのもあり足りないのもある。
トライアル監査の後に、経理部長と監査部長の名前で点検を指示しているが、単なる通知では読むだけで行動に繋がらないのだろう。
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環境についても多々不具合が見つかる。
トライアルで見つかった法で定める表示板に退職者名が書いてあるとか、退職に伴う届出忘れなどは確かにない。
しかしPCB含有廃棄物の保管場所が工場の都合で無届出で移動していたり
それは偶々かもしれないが、偶々であっても困るのだ。
排水の測定値が法基準を超えているのは行政に自己申告をして、善後策を講じている工場もあった。しかし名古屋工場では、基準を超えていても、特段対応をせず、上長のコメントもなく放置されているのも散見された。
下請けが処理に困っている廃棄物を持ってこさせて、工場の廃棄物に合わせて処理しているのは、笑っては済まされない。完璧に違法だ
廃棄物を市の処理場まで自社運搬しているのだが、実際に運んでいるのは定年間近で関連会社に出向した人が運転している。これはまずい
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三日目の午前に監査を終えて、監査責任者の北川は各担当に問題点を根拠と証拠を基にまとめるように頼んだ。
監査部の北川と坂口は、まとめをどうするか話をする。ありのままでは差しさわりがありそうだし、マイルドは報告では、経営層は当社には問題ないと誤解してしまうだろう。
「今回の監査をした甲斐はあったが、さてこれをどうしたものか。
全部、是正せよというしかないのか・・・」
「是正はしてもらわなければなりませんね。仮に行政の立ち入りとかあれば、法的なことはクリアにしておかねば大問題ですし、法に問題がなくても問題を放置していれば、社内の管理がなっていないとお叱りがありそうです」
「佐川が言っていたがISOでは不具合を直すのを処置、同じ不具合の再発防止をすることを是正といっていたな。
監査報告に、是正しろとあっても発見された問題を直すだけで、水平展開とか今後同じ問題を再発さないことまで考えてくれるものだろうか?」
「そういうことなら佐川君を呼びましょう。彼は暇そうでしたから」
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数分後、佐川が呼ばれて来た。
「どこの工場でも、皆、再発防止も水平展開も頭にない奴らばかりだ。
というわけで、どういう風にまとめれば、是正をしてくれると思う?」
「それは言いすぎでしょう。ここでもトライアル監査した工場に行って、指摘された問題には対策しているようで、似たような問題は起きてませんよ」
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| 佐川 | 北川 | 坂口 |
「本当にそうか?
兵庫工場で危険物貯蔵所に施錠してない問題があったが、ここでも鍵がかけてないのが見つかっている。
また記載漏れとか記載が退色した看板は点検しているが、現場でメチルアルコールの500mlビンを保管しているところに、カギが付いていない、『医薬用外劇物』表示がないと指摘されていたぞ
「そうでしたか・・・・・・」
「ということでだ、悪いことは悪いというのはもちろんだ。だが、トライアル監査をした工場で見つかったと同じ問題が、ここでも起きているというとやる気もなくすだろう。
前向きにさせる言い方はないものかと」
「何も考えることはありませんよ。北川さんが思ったことをそのまま語ってください。
後で私が話す機会をください。北川さんが焼きを入れたなら、そこで私が焼き戻しをして内部応力を除きましょう」
「なんだ、それじゃ、佐川君が美味いところをゲットするのか?」
「お芝居ですよ、お芝居。北川さんが
「いや、いい、ワシは甘い言葉が浮かばない」
注:ここで焼入・焼戻は言葉の遊びだ。
焼入、焼戻は鋼の熱処理の基本だ。炭素を0.02〜2%程度含有する鉄を鋼といい、鋳鉄(炭素量2.1%〜6.7%)のように脆くなく、純鉄(炭素量0.02%未満)のように柔らかくない。
鋼は熱処理によって、硬くなったり柔軟になったりする性質がある。
750〜900℃に熱して急冷すると硬化し脆くなる。これを焼入という。
焼入したものを、焼入より低温まで加熱し冷却すると内部応力がとれ靭性が増す。刀物を焼入・焼戻することにより、切味と折れにくさを両立させることができる。
何事でもアメとムチの使い分けは重要だ。
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クロージングミーティングである。
工場長以下、工場幹部が一方に座り、他方に監査責任者以下監査員が座る。
「それでは監査部より今回の監査の総括をお話しさせてもらいます。
なぜ突然、今回、遵法監査を行うのかについては皆さんご存じと思います。
ここ数年、企業不祥事がいくつか報道されています。
具体例を挙げますと、反社会勢力との付き合いが規制されたので、直接でなく迂回してお金を渡す事件もありました。
製品の材質を偽るとか、リコールすべきものを隠すことにした、工場排水が規制を超えていたが、監督官庁に報告しなかったとかもあります。
昨今そういう報道が増えていることに鑑み、当社と当社グループで不祥事が起きないようにしようと、各工場で遵法点検をしてほしいという通知を出したのが今年初めでした。
しかし各工場とも業務多忙は分かりますが、一向に点検をした報告がない。
取締役会もそれを問題視して、監査部に臨時に遵法監査を行うよう指示があったわけです。
遵法監査ですから、会社ルールの順守状況とか、諸計画の進捗などは、今回は見ておりません。
ひたすら法違反がないか、事故が起きてないか、事故のリスクがないかを見ました。
今後、定期の行政の立ち入り、あるいは他企業で不祥事発覚して当社も調べられるなどを懸念した点検でございます。
その結果は非常に残念と申し上げるしかありません。
今回の名古屋工場を監査した結果、私の聞いているものだけで20件ほどの違法が見つかったということです。
それについて早急に処置と是正処置をお願いしたい。ご存じと思いますが処置は悪いところを正すことであり、是正処置とは再発しないように対策することです。
例えば、今回、収入印紙の金額が法で定める金額に不足しているというものがありました。処置とは不足分を貼ることではありません 印紙税法では、不足していたら税務署に申告して所定の金額の3倍となるよう貼り付けることになっています。2倍の分は罰金ですな。それをするが処置です。
注:25.12.01追加
上記の過怠税を2.5倍から3倍に修正しました。
印紙税額が改正になっていたようです。2013年に引退してそれ以降不勉強でごめんなさい。
誰かの「そこまでするの!」と声が上がる。
「是正処置とは、どうして印紙金額が不足したのか原因を調べて、手順書に金額が記載してなかったなら金額の表を付けるとか、印紙の手引きを見よと記述する、そしてそれを担当者に教育する、管理者は決済時に点検する、そういう手順にルールを見直すことでしょう。
そういうことを起きた問題すべてに対処していく、そういうことをしていただきたい。
大変だと思うでしょう。様々な規制を理解して常にそれを守って仕事をしないと、不祥事が起きるとなるのです。
よろしくお願いします」
「三日間にわたる監査お疲れ様でした。この工場で沢山の法対応の漏れ、事故のリスクが検出されたという事実を重く受け止めております。
しかし私としては、非常に不満といいますか疑問があります。
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監査部の北川さんがおっしゃるように昨今、様々な不祥事が報道されています。そしてその多くがISO14001やISO9001を認証していたと報じられています。
2年前、本社指導でISO14001を認証しました。認証機関も審査員も、ISO14001は遵法と汚染の予防になると言い、それどころか会社を良くするとか儲かると喧伝しています。
現実のISO審査を見れば、毎年、審査で大きな問題はありませんが、文書に書き込みがあるとか、環境側面の計算がおかしいという不適合を出されています。
もちろんISO審査は遵法点検ではないと聞いておりますが、一度たりとも仕組みが悪いと言われたことはありません。
実際、収入印紙の金額をチェックする仕組みがないとも、危険物貯蔵所の管理が悪いと言われたこともありません。
認証を受けても仕組みの改善に役立たないなら、いや仕組みの不備を見つけないなら、認証の効果はないことになります。
では品質環境を合せて、毎年1,000万近い審査料を払うのは全くの無駄ではないでしょうか。
またISO審査が役に立たないにしても、毎年、多大な時間をかけて工場の担当部門が内部品質監査、内部環境監査をしているにも関わらず、私に提出される内部監査報告は、環境実施計画の遅延が何パーセントになったら是正を開始するか決めていないとか、新規設備の環境側面評価がされていないという、まさに神学論争のようなものばかりです。
今回指摘されたような、劇物の保管棚に、カギが付いていない、『医薬用外劇物』表示がないとか、現場にMSDSがないなど、法的な根拠があり誰もがまずいと思うようなものを内部監査で見つけていない。
ISO審査が遵法点検でないにしろ、少なくても内部監査では会社に違反があれば検出してくれないとやる意味がありません。
今回の監査を見れば、内部監査において同じことができるはずです。
いったいこれはどういうことなのか?
真に遵法と汚染の予防を実現するためには、ISO認証などというお金ばかりがかかる道楽を止めて、全力で正しい道に切り替える必要があります。そうしなければ不祥事の予防などできません。
名古屋工場はISO認証を止めてひたすらに努めるべきかと考えるところです。
本社もそういう価値観で、指導をしてほしいと思います」
北川は工場長も不満のひとつやふたつ言いたいのは分かる。とはいえ、ここではそれを置いといて、是正に励むと言って欲しいところだ。
と考えて、佐川が焼き戻すと言ったのだから、お手並み拝見としようとニヤリとする。
北川が佐川を見ると、佐川が立ち上がるところだった。
工場長は何者だという顔をして佐川を睨む。
「本社環境部の佐川と申します。僭越ながら、少しお話しさせていただきます。
まずISO規格について若干説明します。
ISO規格は会社の仕組みを決めたものではありません。会社の仕組みが具備すべき要件を定めたものです。そして要求事項ですから、設計図じゃありません。顧客の要求仕様です。
言いたいことは何も考えずにISO規格の要求を盛り込んでも、ISO規格を満たしたにすぎず、遵法と汚染の予防になるかは定かではありません。ISO14001を有効にするには、ISO規格の序文に書いてありますように、自分の会社や工場にISO規格の要求を有効であるように織り込む必要があるのです
ISO認証すれば良いのでなく、使いこなす必要があるのです。
さて、今回の監査で問題があったことをどうとらえるかですが、問題があったから悪いのではなく、大きな問題になるかもしれなかったものを見つけて良かったと考えて欲しいのです。
先行した工場でもたくさん問題がありました。しかし気が付かないままより、気が付けば手を打てます。その情報は名古屋工場でも活用しています。
そして法違反があったからお終いということもありません。もちろん隠すとか、ごまかしてつじつまを合わせるのでは最悪です。
違反があっても正しい対処方法はあります。まずは行政に相談に行くことが第一番目でしょう。印紙金額の不足であれば、税務署に報告して、当社全体で調査して不足分を納税するだけのことです。
現状をないことにはできません。現実を把握して不具合を見つけたなら、それはプラスポイントでしょう。そう考えましょう。
監査で不適合があったのは事実ですから、北川さんがおっしゃったように、処置と是正処置をしなければなりません。そして問題の顛末を全社に通知して他の事業所で展開する、それだけのことです。
孔子が『過ちて改めざる是を過ちと謂う』と語ったように、今回見つかった問題を正すことで不祥事が防げたと思えば良いのです。同じくアメリカで飛行機事故の解明に航空安全報告システム
「うーん、・・・・・・確かに君の言う通りだな。私が怒っても意味はない。また不適合は名古屋工場の問題だけではない。この工場で発生した原因究明と対策は全工場で役に立つだろう。
いや、ありがとう、少し落ち着いたよ。
おい、みんな、そういうことだから、問題をごまかしたり矮小化せず真の顛末を突き止めて、そういう情報を監査部に報告しよう。
目的は名古屋工場はすごいと言われることではなく、当社として不祥事といわれるものを出さないように、予防として遵法点検をしているのだ。
北川さん、そういうことでよろしいですか?」
「はい、工場長の真摯に工場を良くしようという心意気を受け取りました。
よろしくお願いします」
なんとなく有耶無耶にできて、穏やかに終えることができたようだ。
解散後、佐川は工場長に会ってお詫びと挨拶をしておいた。後にしこりが残らなければ良い。
誰もが自分はまじめに仕事をしていると思っているだろう。実際は規則を忘れたり、勘違いしていたり、
これくらいはOKと行動していることがある。
我が家の近くに信号機のある交差点がある。黄色になれば交差点に入ってはいけないというのが道交法の規定
だが、それを黄色までに交差点に入ればOKと解して、ものすごいスピードで交差点に近づく車の多いこと。
スピード違反も道交法に決まっているのだが?
更には田舎だから、一旦赤信号で停まっても、左右を見て車が来ないと交差点を曲がる車も多い。
困ったことです。
おっと、信号は例えですよ。
会社でも私用にタクシー券を使うとか、カラ出張なんてありませんか?
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| 注1 |
省エネ法が非製造業に関わったのは、2005年の改正以降と思っているかもしれない。 しかし1979年に制定された時から工場だけでなく、事務所も運輸部門も「エネルギー消費者」として明記されていた。ただ実際の規制は具体的でなかった。 1990年代に入り、運輸省、通産省(当時)は、省エネについての協力要請を発した。特に1997年の京都議定書以降は次のような具体的要請を出し、行動を求めた。 ・トラック輸送の効率化 ・CO?削減のための物流改善 ・アイドリングストップ等の推進 ・貨物の共同輸送やモーダルシフトの要請 この物語の1995年は既にお上の指示を受けて輸送やオフィスの省エネに取り組んでいた。2005年以降は、それが指導から規制となったということだ。 | |
| 注2 |
PCB特措法制定は2001年であった。しかしそれ以前から、PCBは廃棄物処理法の中の特別管理産業廃棄物として保管や管理について規制されていた。 廃棄物処理法の条文は今も生きている。廃棄物処理法施行規則第8条の13の3第4号 | |
| 注3 |
廃棄物の処理は排出者の責任である。もちろん排出者が処理できないものが多いが、それは行政の許可を受けた廃棄物処理業者に委託することになる(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第12条)。 有償無償に関わらず、許可のない者は請け負うことはできない。 | |
| 注4 |
廃棄物は元々排出者がするのが原則であり、自社運搬は当然OKである。もちろんそれなりの車両と産廃輸送の表示は欲しい。 その運搬を社員以外が行うと違法である。それで子会社とかに産廃運搬を頼むとき、無給嘱託という形にした。排出社の社員兼務にして、嘱託社員として運転しているのだという形をとった。 これは産廃運搬だけでなく、多くの業務で撮られる手法だ。今ときは設計もサービスも子会社とか下請けとか別会社の人が行うのが普通になってきた。そのときお客様に本体の会社名の名刺を出すのは詐欺罪になる。そのために無給嘱託という契約をして、名刺を持たせて会社の名前で仕事をするのである。 廃棄物運送については、小泉首相の構造改革で、子会社とかであってもその業務をしているならOKと、その運用が許された。 | |
| 注5 |
毒劇物法の第12条第1項 | |
| 注6 |
いずれの版の序文にも下記の記載がある。 お仕着せのマネジメントシステムが有効でないことについて 「トップマネジメントは(中略)環境マネジメントを組織の事業プロセス、戦略的な方向性及び意思決定に統合し、環境上のガバナンスを(中略)組み込むことによって、リスク及び機会に効果的に取り組むことができる(2015年版 序文0.3の第二段落)」 組織によってマネジメントシステムは異なることについて 「マネジメントシステムの詳細さ及び複雑さのレベルは、組織の状況、適用範囲、順守義務、並びに組織の活動(中略)によって異なる(2015年版 序文0.3の最終段落)」 | |
| 注7 |
「航空安全報告システム(ASRS:Aviation Safety Reporting System)」といい、パイロット、整備士、航空管制官などが自分のミスやインシデント(事故の一歩手前)を匿名で報告でき免責される。 | |
| 注8 |
道路交通法施行令第2条の信号の意味で細かく説明している。 黄色の灯火 1 歩行者等は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者等は、速やかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。 2 車両及び路面電車(以下この表において「車両等」という。)は、停止位置を越えて進行してはならないこと。ただし、黄色の灯火の信号が表示された時において当該停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合を除く。 |
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