タイムスリップ131 監査の後1

25.12.04

注1:この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。

注2:タイムスリップISOとは

注3:このお話は何年にも渡るために、分かりにくいかと年表を作りました。




1999年11月上旬
臨時遵法監査も8割方終了した。とはいえ、ホッとするのはまだ早い。中山取締役からは、吉宗機械本体の監査が終わり次第、継続して関連会社についても監査を行うよう指示が出ている。関連会社と言って200社はある。どこまでするのか(注1)

工場に比べて規模が小さいから監査工数を工場の半分で、現地で6名3日、報告まとめと是正フォローに5日かかるとして、200社なら9,600人日となる。年間稼働日数250日で38人、監査専任者を10人として4年かかる。まず不可能に近い。

今日は監査部と環境部の、監査の結果の反省とこれからについての意見交換である。監査部長も北川も、環境部が取締役会の指示を受けて、真っ先に監査が必要と考えて監査員の育成から監査方法も計画していたことから、一目置いているのだ。
出席者は、監査部は星山部長、北川、坂口で、環境部は吉井部長、佐川、山口である。


星山 「いやあ〜、違反やリスクというものがザクザク出てきて、あやまったよ」

吉井環境部長 「そもそもの目的は、他社の不祥事が報道されているが、当社からは問題を出すなということでしょう。
ならば悪いところを見つけて、問題になる前に対処できるのですから良かったではないですか」


星山監査部長星山机吉井環境部長吉井環境部長
北川北川佐川真一佐川工場管理課長
坂口坂口山口山口

星山 「吉井部長は口がうまい。ものも言いようですなあ〜」

吉井環境部長 「いえいえ、事実ですよ。仮に今回、監査をせずに、何かのきっかけで当社の違反が発覚すれば、マスコミが鬼の首を取ったように報道して大騒ぎになったでしょう」

星山 「吉井さんの立場ではそう言えるでしょうが、監査部としては辛いところです。今までまっとうな監査をしていなかったということですから」

坂口 「それに我々のスタートが遅かったですね。環境部からお話を聞いてからですから、取締役会の指示からふた月、出遅れました」

星山 「それも問題だ。だが、あの通知を見ていれば、我々は臨時監査をしようとしたのかどうか、どうだろう?」

北川 「確かに吉井部長からお話がなければ、ウチの部は遵法にも事故のリスクにも関係ないと思って、何もしなかったかもしれませんね」

吉井環境部長 「まあ、ともかく問題がたくさん見つかったことは、不祥事防止に役立ったのはもちろん、このように反省する機会となったと喜ぶべきでしょう」

星山 「そう思うしかないな。
坂口君、我々の業務監査の方法について、どのように改善すべきか考えたか?」

坂口 「監査範囲、監査方法、監査員、技量、などいろいろ懸案事項があります。お金といえば経理と思いますが、現実には現場で現金払いもありますし、契約と言っても契約の権限を委任された人は多数います。そういう意味で監査の対象範囲の見直しが必要です。

それから健康保険組合とか構内外注は、法的には別法人ですが、何か問題があれば当社の名前が出ますから、監査する必要がありますね。
関連会社は株主の責任、構内外注は大家という理屈で監査していますが、健康保険組合となるとちょっと難しいと思います

吉井環境部長 「健康保険組合といっても、廃棄物の処理とか安全に関わることなら、当社は大家として監督責任があるでしょう。どこでも健保会館は工場の近くにある。それに名前に拘ることなく、監査でなく視察でも良いと思う」

坂口 「なるほど」

北川 「監査員については監査を受ける事業所の専門家が、交互に監査するという仕組みなら恨みっこなしでしょうな。
その場合でも監査の方法はもちろんですが、業務を知っているか、法律を知っているか、最近報道された業務に関する違反や事故を知っているか、コミュニケーションが上手かという観点で選抜してもらう。更に今回のように監査部で教育するかですが・・・」

星山 「それは皆で考えてくれ。良い方法が決まれば、毎年、工場や支社の人を集めて研修会をしよう。監査部に異動してきた人も、その講習会で学んでもらおう」

坂口 「今まで工場の部長級に監査に参加してもらっていたわけですが、来年からそれへの招聘がなくなると苦情が来ませんか?」

北川 「規則を見たけど、工場の部長に委嘱するという決まりはないな。慣習としてやっていたのだろう。想像だが部長ともなれば仕事に関する法律はもちろん、会社規則はそらんじていると思って部長が監査員になることにしたのだろうが、現実はからっきしだったようだ。
部長ともなれば忙しいから、余計な仕事から解放されてホッとするんじゃないか」

坂口 「工場では部長になると、他の工場に監査に行ける身分になったとみなされるのです。工場では部長でも出張などそうないですから、日本中に散在する工場に行って温泉と接待と、楽しみなのです」

星山 「まあ、そういう気持ちもあるだろうけど、世の中はドンドン変わっている。それについていけない人は捨て置かれるだけだ。

今は総会屋との付き合いは犯罪までいかなくても大スキャンダルだが、バブル前ならよく見かけた。法律も変わり世の中の倫理観も変わり、また投資をする人も増えたから(注2)株価の操作は許しがたい犯罪となるのは当然だ」

北川 「我々の感覚もアップデートしないとなりませんね」

佐川真一 「今日の話は、私どもは用がなさそうですね。お暇してよろしいでしょうか?」

星山 「いやいや、そうじゃない。今、坂口君から話があったが、環境部の監査員教育のテクニックがすごいと聞いている。その辺のノウハウや資料の作成など教えを乞いたいと考えている。

まず大きなことだが、監査の方法だ。今までは会計監査と、それ以外の業務監査を分けて監査していたが、業務監査だけでも大変なので、業務ごとに分けて監査したほうが、する方もされる方も負荷が少なくなるのではないか。どうだろう?」

吉井環境部長 「部門ごととおっしゃると、品質、設計、安全衛生、環境その他、細かくして実施するわけですか?」

北川 「現在でも輸出管理(注3)や、特定顧客については法律や専門性から、監査部では手に負えないので、本社の専門部署に監査を委嘱しています。
その考えでいくなら、環境監査をまるごと環境部にお願いする方法も考えられます。あるいはそこまで細かくしてしまうと逆に大変になってしまうなら、業務監査をふたつくらいに分けて行うのが現実的かなとも思えます


注:輸出管理とは敵性国家に秘密あるいは戦略物質を渡さないという方針で始まったCOCOM(対共産圏輸出統制委員会 Coordinating Committee for Multilateral Export Controls)に由来する。

今はCOCOMはない(共産圏がなくなったから)が、同様にロシア、中国、北朝鮮、イランなどに輸出や出張での持ち出しなどを禁じられている。対象国以外でも出国するときに持ち物を社内でチェックする。
専門家が出国するときはその専門性も審査される。私が海外出張したときは知能がないとみなされたのか、その審査は非該当だった。
いけません
なお、逆の場合、つまり海外から来た人は秘密とか技術のタッチできないよう体制を取らねばならない。
日本国籍の海外駐在員でも来日したときは、外国人と同じ対応が必要となる。駐在員が帰国したとき、古巣を訪ねて駄弁るなどもってのほかなのだ。


吉井環境部長「それは検討しましょう。先の話はともかく、今回の問題とか反省はどうかな」

山口「私が感じた問題の一番は、監査員の力量ですね。監査をする前に1週間かけて教育しましたが、今回の講習で法規制を初めて知ったなんて方もいました。見方を変えると仕事に関わる法規制や会社のルールを知らずに、日常業務をしていたわけです。
具体例を挙げると、廃棄物契約書でも、処理が2号文書、運搬が1号文書で印紙税が違うことを知らなかった人がいました」

北川「オイオイ、それじゃ今まで間違えていたのか?」

山口 「いや、その方は今までのものを見て仕事をしていて、結果として間違いはなかったのですが、なぜ印紙の金額が違うか理由を知らなかったそうです」

坂口 「会社規則など、どこの事務所にもあるだろう。調べようとしないのも大きな問題だ。
向学心がないと言うか、惰性で仕事をしているようだ」

吉井環境部長 「普通の人はそんなものだよ。ISO規格の文章がおかしく翻訳の間違えではないかと、JIS訳を放って英語原文を読んでいるのは佐川くらいだ」

星山 「冗談抜きに、佐川君に監査部の監査員教育の講師に来て欲しいと考えている」

佐川真一 「いやいや、私は環境部だけでなく未来プロジェクトも兼務しておりまして、暇ではないのですよ」

星山 「そう言えば、未来プロジェクトが2000年前後に不祥事が多発すると予知したのが、今回の監査実施の発端と聞いている。
伝え聞くのは他社の不祥事ばかりだが、当社では不祥事問題が起きないのかな?」

佐川真一 「一説によると、他社には我々が関わらないから未来は不変だが、当社は我々の活動で変わるから未定なのだそうです」


注:本当は前世では佐川は既に吉宗機械を退職していて、吉宗機械で不祥事が起きたかどうか知らないのだ。マスコミの不祥事報道しか知らない佐川が、未来プロジェクトの報告を書いているからだ。


星山 「あー、なるほど、そうか。ならば我々は、この機会を与えてくれた神に、報いなければならんな。

北川君、各事業所から発生した不具合は多いと言えども、その類型は片手くらいに収まるだろう。その類型ごとに対応を決めて各事業所を指導しよう。
本来は監査した者が是正指導してはいけないと佐川先生が語っていたが、今の状況では誰かが主導してトラブルを解決しないと時間がない。

排水の規制基準を超えたなどは環境部と相談して決めなければならないが、契約書の印紙税の問題などは、個々に税務署に相談するより本社がまとめて国税庁・・・ではお門違いか、東京国税局に相談に行って全社まとめて対応を決めた方が良い。
自己申告した場合は、過怠税の軽減措置があるはずだ(注4)

おっと、これは経理部の範疇かな?
関係部門と相談してくれ」

吉井環境部長 「じゃあ、解散だ」




監査部から環境部に戻って来る。 吉井部長は早速、佐川に今回の監査の対応をどうするか決めるように指示する。 佐川は既に大筋は決めていたが、山口以下のメンバーの意見を聞くことも大事だと思い直す。

思い立ったが吉日とも、鉄は熱いうちに打てとも言う。佐川は今いる課員を集めて検討会をすることにした。
今日は佐々木が監査で出張だ。山口、山本、大谷そして佐川の4名が小会議室に集まる。


佐川真一 「今回の遵法監査で見つかった違反と事故のリスクは多々あったけど、類型というかパターンはそんなに多くないと思う。まずその辺から上げていってもらおうか」


大谷が挙手して、自分がまとめたといってA4の紙数枚を綴じたものを配る。
なるほどしっかり仕事をする男だ。
佐川は山口と大谷にも、まとめたりしたかと聞くが、二人ともしていないという。
皆、大谷が配った資料を見る。


総合まとめ
種類法規制違反法規制・未確認法規制・未処理事故・違反
のリスク
運用不備
排水61148
排ガス00124
危険物・毒劇物3201422
表示類121156
騒音・振動1311162
廃棄物・PCB4824162
安全13136
建屋・敷地62225
その他・・・・・・・・・・・・・・・
  1. 法違反とは現状で違反しているもの
  2. 法規制未確認とは、合法か拙いか行政に確認していないもの
  3. 法規制未処理とは、行政と相談しているが現時点、未対応/未完了のもの
  4. 運用不備とは法規制・会社規則には関わらないが、現実に不都合があるもの

細目表
種類事象区分件数発生事業所
排水コンプレッサードレインをそのまま放流法違反2宮城・千葉
ボイラーブロー水をそのまま排出法違反1新潟
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
排ガス・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
危険物
毒劇物
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・

佐川真一 「素晴らしい。ここでやろうとした第一段階は完了済ですね。
これに加えるなら、原因の区分が欲しいな。イメージしているのは、法規制を把握していないのかどうか、把握していたなら手順書に反映されていたか、教育訓練していたのか、怠慢なのか実行が無理なのか、そういう分け方をイメージする」

大谷 「それは各工場から是正報告が来てからになりますね」

佐川真一 「面倒だろうから、各工場に是正計画の前に原因を究明したら発生の顛末を送れと依頼したら? どっちみち顛末書を作るのだから、前半分ができていればそれを送ってもらえれば済む」

大谷 「そういう依頼を出して良いのですか?」

佐川真一 「我々は本社だよ。本社の機能は統制と支援だ。そのためには工場の情報を得ないと何もできない。
工場の部長宛てにワークフローを書いてください。私の名前で発信するから」


それを聞いて大谷は驚いた。佐川は工場なら部長だ。そして自分は全社を動かす立場なのだと気付いた。自分はやりがいもあるが責任も重大だと思い知る。


大谷 「了解しました。それじゃ、今日の打ち合わせ結果を反映して、表を見直して発信します。
一括でなく、工場ごとに出したほうが差し障りないですね?」

佐川真一 「そうしてください。
そいじゃ排水から討議していこう。
意見を言って欲しい。思ったことを自由に語ってくれて良いよ。山口さんから行こうか」

山口 「小さな会社ならともかく、当社でコンプレッサードレインとかボイラーのブロー水をそのまま側溝に流しているとは驚きました。異常だと気づかないのは問題ですね」


注:ボイラーブロー水とは、ボイラー内部に溜まった不純物や析出物を除去するために外部に排出する熱水。自動又は手動で定期的に行う。ボイラーの清缶剤や鉄さびなどが混入しているしアルカリ性だから、処理しないと排出できない。
コンプレッサー
コンプレッサードレインは、圧縮されると高温になりオイルなどが蒸発する。圧縮空気の温度が下がると、これが液化しエアタンクや配管内に溜まる。
それは潤滑油や空気中の埃・ゴミなどで汚れた水なので、油水分離を経由して油分は廃油として処理する。


大谷「普通、入社したら上司や先輩から口伝で仕事が伝わります。先輩の操作や語ることに従いますよ」

山本 「その前にルールがどうか確認しないと」

大谷 「新入社員が、要領書とか手順書とか見ると思うかい?
先輩の話を100%信じるよ。環境に限らず営業だって設計だって同じだと思う」

山口 「当社は、ルールより先輩の話を尊重する企業文化でしょうか?」

佐川真一 「山口さんだって、入社してチューターだった當山さんのことを正しいと思っていたでしょう」

山口 「あー、そう言われればそうですよねえ〜
先輩の話より、ルールを尊重する社風に変えないとダメということですか?」

山本 「それって気風とか企業文化なのだろうか、単なる怠惰じゃないですかね?
道交法で警官から言われたならならともかく、友人や同僚にこれくらい大丈夫だよと言われて信用しますか?
あっ、これくらいって、例えば車体が半分敷地内にあれば駐車違反切られないとか、停止線を超えるのは30センチなら大丈夫とか」


注:ネットで見かけたのだが、車の車輪が敷地内にあれば駐車違反でないという風説がある。本当だろうか?
ChatGPIで質問したら「車の車輪だけでも敷地外にあれば駐車違反」という回答だった。


山口 「確かにそうだよね。仕事外なら、法律に関することを人の話を信じて行動するってことはなさそう。
会社の仕事は法律ではないから先輩の話を信じるのかな」
説明

大谷 「そもそも仕事の説明をするなら、手順書を読みながらするのが本当でしょう。
手順書を見ないで説明するとか、それを不思議に思わないっておかしいでしょう」

山口 「それはそうだ。
あー、言われて思い出しました。私が佐川さんに会ったときから、佐川さんは書いたものを示して教えてくれました。あれには引用文献とか参考文献とか引用元をしっかり書いてありました。
三段組なんてそのものずばりでしたね(第15話)」


注:引用文献とは論文などで、本文中で文章を引用した、図表やデータを借用した、など具体的に引用した文献。
参考文献とは、引用しないが知識の土台にした文献


佐川真一 「私が何かを学ぶとき、出典が書いてあるものを選びますね。習い事ならお墨付きかな。
形式があれば良いわけでないけど、最低限の保証は欲しい。
あれっ、これってISO認証みたいなもの?」

山本 「それは新入社員が先輩から教えを受けるときもですか?」

佐川真一 「当然だろう。間違ったことを覚えても害にしかならないよ。
真っ当な人なら教えるとき、『この仕事は会社規則の「XXXXXX」に決まっている。君に渡したのはそのコピーだ。
ご存じと思うが、会社規則をコピーすることは禁止されていないが、仕事に使うのは禁止されている。実際に仕事するときは、会社規則のファイルか、イントラネットのものを見てすること』
というだろう。

そういう説明がないなら『それはどの規則に決まっているのですか?』と一声かけるだけで、相手はまじめになるだろうよ」


注:私が現役時代に審査員にかける決まり文句は「それは規格のどこにありますか?」であった。
なにしろ、優秀な審査員は規格にない要求事項を生み出すし、優秀でない審査員は規格の要求事項を曲解するから油断できない。

そして私の掛け声ではっと気が付くとか、反省する素直な審査員は少なく、逆切れする審査員は多かった。
困ったことである。


山本 「そう言って相手は気を悪くしませんか?」

佐川真一 「気を悪くする・・・・・・うーん、お前の教えることは間違いないのかと問われて、気を悪くする人がいるのかね?
まさか、俺の目を見ろ何にも言うな〜♪なんて演歌ではしょうがない。

私なら自分が語ることを常に吟味して欲しいと思う。
間違ったことを語るつもりはないけど、相手に問われて答えられないなら、自分が未熟であると教えてもらったことになる。ありがたいことです」



うそ800 本日、手間がかかったこと

遵法監査でどのようなものがどれくらい見つかったかを、お話しであっても示さなければなりません(と自分は思った)。
デタラメも書けません。環境犯罪や環境事故がどれくらいの割合か調べました。

これってネットに統計がないのですよ。窃盗や性犯罪のようにメジャーじゃないのですね。水質事故の統計はありますが、その過半は原因不明です。公害防止の測定記録改ざんなど、マスコミ報道されただけで、それ以外の統計などありません。

2000年前後、有機塩素系溶剤による地下水汚染が数多く報道されましたが、汚染した時代は法規制がなかったから、犯罪じゃない。犯罪になったのは、それを隠して土地を売ろうとかいうものだけ。
ただマスコミはそんなこと気にせず、汚染されていた、汚染していたと言ってたね。

冷蔵庫

廃棄物の不法投棄なんて犯人が見つからないのが多い。そりゃ山林に大規模に捨てれば警察は動くでしょうけど、そういうものは年に何度もない。
他人の林に冷蔵庫捨ててあっても、警察は受け付けても捜査なんてしてくれません。

ちなみにISO関わりの事件というと、認証のためにノイローゼになって自殺とか、簡単に認証できるという詐欺に引っかかったとか、そんなものが数件ある。


そんなわけで、本文中に書いた違反項目と数字は、白書や自分の見聞を基にしたものです(注5)


ところで、毎年7,000件近くの廃棄物処理法違反が発生しています。その半数は不法投棄、無許可処分は0.2%、委託違反は0.15%。
そして不法投棄の9割は一般人です。庭に古い家電を放置(捨てた)、ゴミを隣のマンションのゴミ捨て場に置いた、そういうものです。



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注1 グループ企業といっても位置づけは様々だ。議決権のある株式を50%超持っているのが子会社、20%以上を関連会社と呼ぶ。その他にグル−プ名を付けている冠称会社、資本関係がなくてもグループ企業として広報している会社もある。

冠称会社とは、親会社がAならAエンジニアリング(株)とか、A不動産などのように頭に親会社の名が付く会社。

こういった会社が不祥事を起こしたとき、親会社はどこまで責任を負うかということは法的にはしっかり決まっている。親会社が完全に支配している場合を除き、出資比率が100%であっても基本的に法人格が違うから責任を負わない。
とはいえ特に冠称会社なら親会社(本当は親会社でなくても)が謝罪会見をするのが普通だ。いずれにしてもビジネス上イメージダウンは免れない。

とはいえ実質的に支配できてないときは、困ってしまう。監査を受け付けないことをあるし、監査を受け入れて監査で不具合を見つけても「お金を出してくれるのか?」と言われればそれまでだ。監査員としては、報告を上げることしかできない。

注2 2024年度株式分布状況調査の調査結果について
資料集の2ページに「個人株主数の推移」のグラフがある。

注3 輸出管理で事件になったのは、ヤマハの無人ヘリコプターの中国輸出(2007)と、ミツトヨの三次元測定機を北朝鮮・イラン・リビアに輸出(2006)が思い浮かんだが、いずれもこの物語より遅い。
冷たい戦争は1990年で終わり、2001年のアメリカ同時多発テロまで、表面上は平和な時代だった。

注4 ・国税庁ウェブサイト No.7131 印紙税を納めなかったとき
下記の文言がある。
「課税文書の作成者が所轄税務署長に対し、作成した課税文書について印紙税を納付していない旨の申出書(印紙税不納付事実申出書)を提出した場合で、その申出が印紙税についての調査があったことによりその課税文書について過怠税の決定があるべきことを予知してされたものでないときは、納付すべき印紙税の額の1.1倍に軽減されます。」

注5 参考資料
・犯罪白書(令和5年版)
・環境白書(令和6年版)







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