タイムスリップ132 監査の後2

25.12.15

注1:この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。

注2:タイムスリップISOとは

注3:このお話は何年にも渡るために、分かりにくいかと年表を作りました。




街にはクリスマスツリーが並び、クリスマスソングが流れている。若い恋人たちには最高の時期だろう。
ジングルベル
「ジングルベル」ですよ
1999年も年末年始の連休前に、やっとのことで社内の遵法監査が一巡した。検出されたたくさんの違反やリスクは、それぞれの事業所で対策してもらっている。

各監査員の報告のとりまとめは年明け、取締役会への報告は1月下旬の予定だ。
是正完了報告は4月過ぎだろう。遅いと言われるかもしれないが、問題の重要さに応じて対策はしている。今回検出された問題では、不祥事報道にまで発展はしないだろう。


星山監査部長はそんな状況を見て考える。
さて関連会社の遵法監査をどうしようか? 吉宗機械本体の事業所より規模は小さいが、数が多いし、業種も多様だ。
社内の監査のように、工場から監査員を招集するのが可能かどうか。工場の場合は監査したりされたりだから、特段苦情もなかった。
しかし関連会社の監査になると、工場サイドは人を出すのに良い顔をしないだろう。本社の仕事を応援しても、本社がその人件費や出張旅費を持つわけではない。

事業本部に傘下の関連会社の監査してもらおうと、星山監査部長は考えている。万一事が起きれば、社長が謝罪会見することはあっても、事業本部が謝罪するわけではない。その分、費用負担しても良いのではないかというのは、星山の身勝手ではなかろう。


北川と坂口は、実務レベルの計画で、星山監査部長よりも大変だ。
多発している問題は一般的であり処置も対策も決まり切っているのだが、工場固有とか事業固有の問題は相談する相手もなく、監査部に問い合わせというか頼って来るところが多い。

💭💭💭
北川星山坂口
北川星山部長坂口

全てのビジネスには事業特有、業界特有の商慣習もあるし、法律だけでなく細かい通知/通達(注1)もあるから監査部では手に負えない。
本来はビジネスをしているところが考えなければならないことだろう。分からなければ法務部とか外部の機関に相談なりして対応してもらいたい。監査部はお門違いだ。




こちらは環境部である。
環境関連でも、無届出での工場緑地の変更、公害防止管理者不在、資格者の変更届出漏れ、印紙金額不足など多々あったが、実質的に一番大きいのはPCB機器の紛失だった。


注:1968年にカネミ倉庫製の米ぬか油に、PCBが混入して多数の被害者が出て大問題になった。そのため1972年PCB機器の製造は禁止されたが、問題は多数使われていたPCB機器の扱いである。

当時、適切な処理方法がなかった。外国では濃度基準を緩くして、どんどんと焼却や化学分解で処理していった。日本では大規模な中毒症が発生したため、そのような合意がとれず、機器の利用者に保管を義務けた。保管者は毎年点検し報告する義務があった。

日本で処理方法が確立して処理が始まったのは2004年、完了予定は2027年である。この長期間、使用者に保管させていたというお粗末な話だ。
まさに行政の怠慢、いや政府、遡れば国会が無能である
東日本大震災でも保管中のPCB機器が200台流出して不明と報告されている。


佐川はその重大性に鑑みて山口と佐々木を工場に出張させて、所在を調べさせた。
お邪魔した工場の環境課長は、トランスが行方不明となって年月が経ちもう分からない、紛失したと処理してほしいと言うばかりだ。
工場の度重なる工事やリレイアウト(レイアウト変更)によって、頻繁に所在が変わり行方不明になったようだ。毎年行う点検報告も、近年は点検せずに異常なしと報告していたという。

トランス 二人はそれまでの保管場所、工事の状況を調べ、それら過去の保管場所をひとつひとつ粘り強く捜索した。
そして四日目に、数年前の工事のときから廃棄できない古い機械や材料を保管している貸倉庫の中で、ゴミか何か分からないものの下にあったトランスを発見した。幸い外観に異常はなく絶縁油の漏れもなかった。

埃だらけになった二人からその報告を聞いた、工場の環境管理課長以下全員が起立して二人に頭を下げた。


注:どこの会社でもあると思うが、使い物にならない機械や計測器、生産終了した部品や材料など、廃棄処分にする予算がないとかで、後生大事に保管しているガラクタがあるものだ。


二人が帰ってきてからそれを聞いた佐川は、二人を労うとともに、工場の人もしっかりしろと思う。
PCB油のトランス紛失は、2001年にPCB特措法ができる前から重大なことであった。それを見当たらないと探しもせずに、毎年異常なしと報告していた責任を追及したい。
こういうことは早く手を打つほど見つかる確率が高く手間もかからないのだ。怠慢で処分されてもおかしくない。


その他の不具合の是正状況も佐川はフォローしている。
工場立地法の無届(第124話)は、工場の環境課長に県の出先事務所に行かせて善後策を相談させた。相談を受けた県の職員は良くあることだと、特に問題を大きくしないで手続きを教えてくれたそうだ。

佐川真一
自分が動くより、他人
を動かすのは難しい
公害防止管理者不在については、今年度の公害防止管理者等資格認定講習に割り込ませてもらうことになった。
講習会開催機関の方から「本来は中小企業優先なのですよ」とは言われた。これにもひたすら頭を下げていたそうだ。することの順序が逆だろうと思わざるを得ない。
但し資格取得までの期間は、他の工場から公害防止管理者の有資格者を異動させることが条件である。有資格者は、同じ事業本部内の他の工場から、3月間、借りることで対応するという。

定年退職に伴う資格者の変更届出漏れは、顛末書と謝罪文を出して了解してもらった。5年も遅れたのは珍しいと皮肉を言われたそうだ。良くあることだとも言われたが、恥ずかしいことに変わりない。
ISOの必要資格一覧表と保有者一覧表は役に立ったのかと聞くと、あれは審査員に見せるもので、実態とは違うのだという。それじゃ何のために一覧表を作ったのかと聞けば、「ISOのためです」と即答してきた。これにも脱力する。




佐川は山口以下4名に、関連会社での遵法環境監査のマニュアル、点検項目をまとめさせている。関連会社には製造業は半分もなく、販売会社、建設工事、エンジニアリングと続く。

製造業が関わる環境法規制は典型7公害から始まるが、非製造業となると関わる法規制は大きく異なる。


業種関連会社数
割合
関係する環境法の特徴
製造31%典型7公害
販売23%販売と設備機械の設置工事を伴う
その他、販売に伴う下取り、工事廃棄物、販売する
危険物や毒劇物の保管や取扱いもある
建設工事
エンジニアリング
21%
情報システム
ソフトハウス
7%大よそ中規模以上のデータセンターは、第1種エネ
ルギー指定工場等に該当する
不動産管理
ビル管理会社
4%不動産業は元々、社宅や寮の管理の仕事を分社化し
たのが、後に寮や社宅を廃止したので企業を存続す
るため、持っている建物とノウハウを生かして不動
産業を始め、その後アパートやマンションを建てて
生き伸びたという流れのようだ。
不動産では夜逃げや孤独死で、残された家具の処理
などもある
修理・サービス3%サービス会社では修理依頼されたものの見積もりを
出すと、高額だから修理しないで捨ててくれと言わ
れることもある。捨てるにも金が掛かるのだが
運送会社2%運送会社では輸送省エネ、薬品の輸送など
倉庫業では客が放棄した品物の廃棄処理など
廃棄物処理業1%廃棄物処理業といっても、工場から中間処理業まで
の運搬を関連企業にさせているものらしい。
家電ならばリサイクル事業もあるのだろう
携帯電話販売1%世紀が替わる頃、多くの会社が携帯電話販売に参入
した。当初、携帯端末はキャリア(NTTなど)の所有
であり、機種変の場合は販売店に返却した
その後、端末の所有がユーザーになると、キャリア
と販売店の間で、客が不要としたものの所有権が
キャリアにあるとしたようだ。大丈夫かという気も
するが、関係省庁とは話を付けていたのだろう
その他
印刷業
保険代理店
広告代理店
旅行代理店
人材派遣業
経営コンサル
物品賃貸業(リース)
弁当製造販売
飲食店
合計7% 旅行会社も最初は出張手配や社員旅行の業務が独
立し、一般の旅行代理店として生きている
印刷屋は製品カタログ、取扱説明書などから始まり
その後外販主体となった。印刷会社では紙類は一廃
でなく産廃となる
大会社では保険代理店ではなく、保険会社を持って
いるところもある
弁当屋でコンポストをすると肥料法に関わる
健保会館が外部の客を取ると飲食店になる

何事も嘘は付けないので、私は製造業の某大手企業のグループ一覧というのを見て、業種ごとの数を数えた。さまざまな業種があるのに驚く。


非製造業(という業種はないよ)の環境監査は簡単だと思うかもしれないが、リース業などでは廃棄物の扱いなど複雑で、その商慣習などを知らないと監査できない。
現実には環境監査というものはなく、業務監査で全体を見る感じになるだろう。


佐川はそんなことを指示して、非製造業の環境法規制一覧をまとめさせている。
山本達から、監査する前に、非製造業を集めて説明会をすべきだという意見があった。
それは良いアイデアと言いたいが、関連会社は全国津々浦々に散在しているわけで、呼び集めるのは現実的ではない。
地方ごとと言っても、青森と福島じゃ青森・東京の方が時間距離は短い。
俺たち考えてもしょうがねえよな
ハテナ
ハテナ
ハテナ ハテナ
佐々木 山本 大谷 山口
佐々木 山本 大谷 山口

環境に限定するなら、各関連会社を巡回して環境管理状況の調査、指導までまとめてしまうのが良さそうに思える。別に悪者を探すこともなく、点数を付けることもない。
目的は不祥事を出さないことだ。仕事において守るべき法規制を教え、遵法意識を持たせれば良いのではないか。

とはいえ環境部だけでも進められない。監査部と話し合い、他の監査項目と合わせて最適解を求めないとならない。要は監査部がOKするかどうかだ。

仮にそうするなら近隣の会社は一度の出張で回るとしても、200社を5人で割るとして、いやひとりじゃ無理だろう。2人のチームなら100回、1か所1日として、100日、移動を含めると・・・どうしたものか?
やらねばならないのは分かるが、どうするのかは見当もつかない。




1999年が過ぎて、2000年となる。
大騒ぎした2000年問題(注2)は、日本では官民の努力で大きなトラブルもなく済んだ。

1月10日 2000年から成人の日は、ハッピーマンデーとなった。要するに連休したい人の票稼ぎだろう。
成人の日は由緒正しい(注3)から、1月15日を変えるべきではないと思う。




1月20日(注4)
ミネベアという精密部品の大企業の子会社で、地下水汚染が発覚した。ミネベアの広報では以前から知っていた風ではない。
他方、朝日新聞クロスサーチではミネベアは、その2年前にISO14001認証のために調査したとき、それを知っていたのに黙っていたことが問題という報道であった(注5)それで認証機関は騙されたということらしい。


注:2025年の今となるとネットと新聞だけでは真相は分からない。
いずれにしても、当時は企業不祥事として、下記の新潟県警ほどではないが、大きく報道された。当時、私の仕事柄とても気になった。


ここで断っておくが、昔も今も過去の土壌汚染、地下水汚染は犯罪じゃない。今は土壌汚染したら報告しなければならないが、昔は規制がないから、報告義務もなくこぼしても犯罪ではない(注6)そもそもこぼすと土地を汚染するという認識がなかった。


1月28日
とんでもない大事件が起きた。新潟県三条市で、少女を誘拐して10年も監禁していたことが発覚した。
それはとんでもなく悪質極まりない犯罪であったが、それだけでなく警察もとんでもない悪辣なことをしていた。

事件の最中に警察庁の中田局長の視察があったので、県警のトップである小林県警本部長がそれに対応して、
 
◎◎
◎◎
◎◎
事件解決の指揮も取らず視察官の接待を優先し、あげくに温泉旅館で局長と賭け麻雀をしていたという。
温泉も田中局長が「雪の見えるところ」と小林本部長に要求したそうだ。もはや視察ではなく、観光旅行ではないか。

その他に、本部長不在の場で、誘拐被害者を救い出した経過について嘘を騙っていた。
恥ずべきことだ(注7)

この時代、官公庁や大企業の不祥事があると、ジャンジャンと報道され社会問題になった。ISOと関係はないが、不祥事多発の一環なので記載しておく。


マスコミは賭け麻雀が悪いとか、賭けたものが図書券だから良いとか、コメンテーター同士の議論が白熱した。でも、そうじゃないだろう。
私は賭け麻雀よりも、緊急事態に対応しないことの罪が重いと思う。こんな県警本部長に治安を任せられない。 いけません
なお、その本部長と接待を受けた警察庁の局長は、懲戒処分になると同時に辞表を出した。当然のように退職金はまるまる受け取った
懲戒処分前に辞表を出すとか、退職金を受け取らないくらいの矜持を見せろよ。

警察庁が辞表など受けとらないで懲戒解雇にしなかったのはなぜ?




2000年3月某日
今日は未来プロジェクト室で定例会である。
佐川は定例会には必ず出席している。ハッキリ言って、佐川がいてこその未来プロジェクトだ。欠席することは無責任と思っている。


石川 広報部石川さやか
本宮洋子 本宮 総務部
伊達マネジャー伊達隼人吉田 吉田 人事部
野村財務課長野村財務部企画課長佐川真一佐川 環境部

注:各人の脇に書いてあるのは未来プロジェクトでの任務ではない。伊達マネジャーを除き兼務者なので、各人の所属部門である。


佐川だけでなく未来プロジェクトのメンバーは、報告書の予想が成就したかを非常に気にしている。佐川もいつまで予言がズレないかが心配だ。
未来プロジェクトが動き出して、もう4年経つ。その間、佐川の予言により吉宗機械が、失敗コース、悲劇コースを辿らないよう、そして自分たちの個人資産を増やそうと予測を出してきた。
自然の成り行きへの干渉が積み重なって、いつか本来の歴史を曲げてしまうのではないか、という恐れを誰もが持っている。


幸いなことに佐川の予言は、1999年度もパーフェクトだった。
不祥事の予言は2年前に2000年頃急増するとしていた。もちろん不祥事報道は1996年頃から散見され、2000年から発生というわけではない。しかし最近増加しているのは間違いない。

マスコミも加害者を叩いても反逆を食らうことがないという安心感か、不祥事を見つけるとニュース、ワイドショーなどで嬉しそうに報道し、貶している。


伊達隼人 「皆さんご存じのように、今回も予言は完璧に現実になりました。未来プロジェクトの成果は、プラスではありませんが、マイナスになるのを防ぐことができたと思います。
私としては『義務を果たした』とネルソンの気持ちです」

石川さやか 「死んじゃダメよ(注8)

伊達隼人 「大丈夫です、私が死ぬ予言はありません。
2000年に何が起きるかは、既に昨年末に報告を出しています。これから半年かけて2001年の予想をまとめましょう。911が最大の事件ってこともないですよね。

我々の仕事はどんなイベントが起きるかではなく、会社にとってビジネスチャンスを生かし、リスクに備える提言をすることです」

本宮洋子 「私が気になっているのは芸予地震ですね。当社の対応はどうでしょうか?」


注:芸予地震は2001.03.24だが、2000年度に入る。


伊達隼人 「えっと、今村今村博士でしたね、彼と話はしています。夏頃に前回同様(第115話)週刊誌に注意喚起を載せる予定です」

石川さやか 「お膳立てしてもらい、記事を書いてお金がもらえる、良いお仕事ね」

吉田 「科学者としての信頼が彼の価値だからね。残念ながら、石川さんでは誰も信じない」

石川さやか 「広島県と愛媛県にはウチの工場はなかったわね」

野村財務部企画課長 「工場ばかりではないよ。広島には山陽支社もあるし、なによりお客様である代理店がいくつもある。
お客様に余計なことを言うのもなんだが、できる範囲で被害を減らしたい。被害を受けて売り掛けの回収ができなくなっても困るしね」

石川さやか 「まあ、野村さんはすべてお金なの?」

野村財務部企画課長 「未来プロジェクトの仕事で、お金でないものがあるの?」

石川さやか 「グサッ、きつぅ〜」包丁

伊達隼人 「不祥事問題は当面は納まらないのでしょう」

佐川真一 「納まりませんね。今年だけでも、雪印乳業の集団食中毒事件(戦後最悪規模)は6月、三菱自動車のリコール隠しは7月と、大物が続きます」




佐川が環境部に戻ると、吉井部長が佐川を部長席に呼ぶ。


佐川真一 「何かありましたか?」

トラック

吉井環境部長 「不祥事の大流行だからな、心配するか。そんな深刻なことじゃない。
関連会社に吉宗運輸というのがあるだろう」

佐川真一 「はい、それが?」

吉井環境部長 「10年前、バブルの盛りに土地を買った。そこに会社の保養所を作ろうなんて思っていたらしい。
当時はお金が余って利益を出すよりと思ったのだろう。
まあ、ご時世も変わり、今度はいくら安くても売ろうと考えた」

佐川真一 「じゃあ、その先を当ててみましょうか。
転売しようと調査したらそこはゴミの山だった、ではないですか?」

吉井環境部長 「残念ながら大当たりだ。それで売るに売れないわけよ。買った当時は法律でも商慣行でも説明義務はなかったようだ(注9)

塩漬けになるのは諦めるとして、その吉宗運輸がISO14001認証しようとしたら、汚染した土地を持っているからダメと言われたそうだ。
ということで、認証できるよう認証機関に説明してほしいという依頼だ」

佐川真一 「汚染した土地を持っているからダメってのもおかしな話ですね。
ところで吉宗運輸って顧客は当社だけですか?」

吉井環境部長 「仕事の7割は当社で、2割は関連会社だ。当社や関連会社の社員の引っ越しもあるがわずかで、残りは純粋な外販になる」

佐川真一 「吉宗運輸がどうしてISO14001の認証をしたいのでしょう。客から要求されていないのでしょう?」

吉井環境部長 「まあ大手企業はたいてい運送会社を持っているが、そのほとんどがISO14001認証しているので、体面上必要なんだそうだ」

佐川真一 「運送会社ならグリーン経営認証(注10)があるじゃないですか。その方が簡易ですし安くお得ですよ」

吉井環境部長 「それはそれとして、頼むぞ」



うそ800 本日の意図

ISO9001の意図は「顧客満足」、ISO14001の意図は「遵法と汚染の予防」、今回の意図は「不祥事問題から未来プロジェクトへのつなぎ」です。



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注1 通知/通達というものは、省庁の内部文書であって行政機関への命令であり、国民は従う義務はないというのが理屈だそうだ。
だけど通知で法律の解釈をこうだときめると、国民はそうじゃないと考えても通用しないのが現実だ。自分の解釈を通そうとすると裁判しかない。

それでほとんどの人は、裁判しても負ければまるまる損だからしない。 知る限り産業廃棄物の扱いについて裁判を起こした人がいた。それは新しく起こしたビジネスだから頑張ったのであって、一般の廃棄物を出す会社や個人が裁判することは考えないだろう。

個人的には法律でしっかり決めて、通達とか要綱で仕事するようなことは止めて欲しいものだ。

注2 2000年問題とは、コンピュータで年の表示を2桁でしていたため、2000年を1900年と誤ってトラブルが起きると予想されたことを言う。2000年が閏年であったことも悪影響が予想された。

結果として、政府や企業がシステムの点検と見直しをしたことにより大きな問題なく2000年を迎えられた。決して何もしなくてもトラブルが起きなかったわけではない。

2019年の2,000万円問題は、何もしないうちに立ち消えになった。そもそも問題ではなかったからだろう。
2025年の試算では1,238万円だそうだ。2000万と1238万ではだいぶ違う。
そもそも初めから平均で2000万と言われており、それが最低と誤解されたことによるトラブルだろう。
人により暮らしぶりも違うし家庭環境も違う。セレブなら年2000万必要かもしれず、我が家なら年金で十分だ。

注3 ハッピーマンデーは成人の日だけでなく、体育の日、海の日、敬老の日の4つに適用される。これらには由緒正しいものと、由緒怪しきものも、由緒のないものもある。
日の丸
成人の日とは奈良時代から男子の元服の儀、女子の裳着(もぎ)という通過儀礼で、小正月に行われたことに由来する。
元服は武士だけでなく町民や百姓にもあった習慣。

体育の日は1964年の東京オリンピックに由来する。東京オリンピックも2回したからどうでもいい。
海の日は1876年明治天皇が東北巡幸から「明治丸」で帰着されたことに由来する程度でどうでもいい。
敬老の日は、1947年に某村が年寄りを大事にしようという日を決めたことがきっかけという、由緒もないことだからどうでもいい。年寄りになった今、敬老の日など要りませぬ。

注4 報道か広報発表かなどにより数日の違いある。
・ミネベア音響(株)一関工場の土壌及び地下水汚染について
・朝日新聞クロスサーチ(2000/2/22)による
なお、クロスサーチは元、聞蔵という名称だった。

注5 朝日新聞クロスサーチ(2000/2/22)によると
「一関工場では「国際標準化機構(ISO)14001」の認証を得るため、昨年11 月まで計五回にわたり、工場敷地内の土壌や地下水を調査した。1998年10月に実施した土壌ガス調査で、敷地外周部に沿った17 地点のうち南東部の数カ所で、有害物質の濃度が高いことがわかった。この時点で、工場側は土壌の「異常」を認識していたという」とある。

注6 下記の法の原理から、過去地下水汚染が罪になることはない。
罪刑法定主義とは「法律がなければ犯罪はなく、法律がなければ刑罰もない」という近代刑法の基本ルール。
「法の不遡及の原則」とは「後からできた法律を、過去の行為にさかのぼって適用して罰してはいけない」という原則(憲法39条)。

但し、被告人に有利なものは遡及して適用されることもある(例:尊属殺人)。

注7 当時はインターネット興隆のときで、ネットでは県警本部長を批判する書き込みがすごかった。

誘拐監禁事件も大事件だったが、賭け麻雀も大騒ぎとなった。
まさに大不祥事である。
ところが、そればかりではなかった。新潟県警不祥事とググるとたくさん出てくるが、同時期に警察署内でのセクハラとか元警官による捜査妨害とか、不祥事続発だった。
県警本部長は麻雀などしている暇はないぞ。
この事件は今も新潟県警不祥事の金字塔…いや黒歴史か?

参考資料:新潟県警不祥事を通してみる現在の警察の問題

注8 1805年トラファルガー海戦で指揮を執ったホレーショ・ネルソンは「神よ感謝します、私は義務を果たした」と言って息を引き取ったと言われる。

なお、ネルソンは流れ弾を受けて戦死した。司令官なのだから防護のしっかりしたところにいればと当時から言われている。
トラファルガー海戦とはフランス・スペイン連合艦隊(33隻)をイギリス艦隊(27隻)が打ち破った、日本海海戦に匹敵する祖国の攻防をかけた戦いだった。

注9 1990代に埋立地に廃棄物による地下水汚染が起きていることが発覚し、1998年頃に埋立地の排水基準や構造基準が強化された。
2003年に土壌汚染対策法が施行されたが、土地売買の際に土壌汚染の調査が必須なのは工場跡地のような場合だけだが、それ以外は法で義務ではない。またゴミ/廃棄物を埋め立てただけでは調査義務はない。

バブル時代の土地の売買は、売ったもの勝ちである。バブル崩壊後、地価は低迷、土壌汚染の規制は強化、売るに売れず塩漬けだ。

注10 バス グリーン経営認証制度は、(公財)交通エコロジー・モビリティ財団が実施している。運輸事業者の環境保全への取り組みを評価して認証をする制度。ISO14001より簡易で主に運搬の省エネがメインである。

主に中小のトラック、バス、タクシー事業、旅客船、港湾運送、倉庫業などを対象とするが、大手企業も認証を受けるところが多い。ISO14001とグリーン経営認証の双方の認証を受けているところも多い。







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