注1:この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。
注2:タイムスリップISOとは
注3:このお話は何年にも渡るために、分かりにくいかと年表を作りました。
第139話から続く
佐川は、スコアリング法などおかしな考えを打破する理屈を考えたろうから、報告を聞くぞと皆を集めた。
だが3人が報告をする前に、佐川は話を始めた。
「ISO審査は裁判に似ている。というかデベートとか議論というものは本質的に皆同じだ。
自分が被告人であるなら、なすことは自分が無罪であることを立証することではない。有罪であることの否定だ。
同じく不適合と言われたら、規格適合であると説明することではなく、不適合とされた証拠と根拠を否定することだ」
「えっ、それって・・・・・・じゃあ有益な環境側面がないと考えることは無駄だったのですか?」
「いや、無駄ではない。相手の言い分は正しくないという確信がない反論は単なる言葉の遊びだ。だから規格の正しい理解は必須であり、相手が間違っているという確信を持たなければ不適合を否定する意味がない。
それに自分が正しいと立証することは悪魔の証明だ。
とにかく正しい理解していなくては証拠・根拠を否定できないしね。不適合を出されたときは、することは不適合とする相手の論を論破することだ」
「裁判はそうかもしれませんが、ISO審査で不適合とする証拠と根拠がないことを問題にすることが可能でしょうか?」
「オイオイ、何を言っているの?
だって不適合とは規格に適合していないことだよ。不適合とするには、何が規格に合っていないかを証拠と根拠で示さなければ不適合といえないでしょう。
お前は殺人をしたと言われても、いつ、どこで、誰を殺したか分からなければ有罪になるはずがない
お前が殺人をしたと言われたなら、自分がしなかったことを説明するのではなく、相手が言う証拠と根拠を否定することになる」
「根拠とはなんですか?」
「殺人なら人を殺したら殺人罪、つまり罪になると決まっている法律だ。盗みが罪なのも、殴るのが罪なのも、横領も罪なのもすべて法律に書いてある
殺人の場合は根拠を否定できないから、証拠を否定することになる。
贈収賄とか脱税などは、解釈によって罪になるかならないか微妙だから、罪となる根拠を争うこともある。
ついでに言えば証拠は犯行を裏付ける、物証(凶器、指紋等)、書証(鑑定書、防犯カメラ映像等)、人証(目撃証言、自白等)がある。状況証拠は非常に弱く、人証も弱く、物証が一番強い。
ISO審査で証拠となるのは、手順書通りでない操作や運用、規格を満たさない手順書、手順書通りでない記録を見つけるとか、審査員の目撃、ヒアリングで得た証言です。
だから仮に内部監査をしていない事実があっても、根拠は一意に決まりません。
『内部監査を手順書で定めた通りしていない』なら、根拠は手順書でしょう。
『内部監査を定期的にすると決めていない』なら、根拠はISO規格の4.5.4となります」
「ええと、それは審査の判定に異議を付けるときどう関わるのですか?」
「佐々木さんの担当は『目的と目標のプログラム2つが必要』を否定することでしたね。ならばISO規格を読んで『二つ必要』と書いてあるかどうかとなる。
書いてないなら不適合じゃない。書いてあるなら従うしかありません」
「そのとき証拠は何ですか?」
「証拠は犯罪あるいは不適合を構成するために、検事側、審査員側が用意しないとなりません。
この場合、審査員は目的用と目標用のプログラムがないことを証拠とするでしょう。しかし不適合を否定するためには規格にないことを根拠にできるから、証拠はいりません。
そもそも法律に犯罪だと書いてないなら犯罪ではないし、ISO規格に要求がないなら不適合ではありません」
「あー、そういうことか。私は不適合とは審査員が不適合と言えば、そのまま不適合になるのかと思っていました」
「冗談を言わないでください。審査員は独裁者とか全権者ではありません。審査員は英語でauditorといい、言葉の意味は聞く人、つまり調査員です。
昔々ペルシャの王様は、国民が王様のことをどう思っているか部下に命じてひそかに街の人たちの話を聞いてこさせたというのが始まりだそうです
審査員は審査で認証できるかどうかの審査で、調査した結果を認証機関に報告するのです。認証する・しないの決定はできません」
「あれ、私の工場の審査では、クロージングミーティングで認証しますって言っていましたよ」
「それは聞き違いか審査員の言い違いでしょう。認証すると決めるのは認証機関であって、審査員が決めることはできません」
「私のところに来た審査員は認証機関の取締役でしたから、決定できる権限があったのかもしれません」
「それなら、そうかもしれませんね。
さてISO審査はISO14001で行うわけではない。ガイド66というのを聞いたことがありますか?」
「はっ ?」
「ISO14001やISO9001はMS規格、マネジメントシステムの規格です。それは企業が満たさなければならない規格ですね。
しかし審査はそれだけではできません。審査の要件とか手順を決めたルールが必要です。
審査の規格もISO第三者認証の制度ができてから、だんだんと整備されてきました。ISO14001を審査する規格はガイド66と言い昨年制定されました
「認証の方法を決めたルールがあるのですか?」
「私たちは工場や関連会社を指導とか、問題があれば支援する仕事ですから、そういうことを覚えておく必要があります」
「審査員研修では、そういう規格があるとは教えてもらっていません」
「私も教えてもらっていませんよ。山口さんはもう担当者じゃなくて、指導者なのだから、聞いてないとか、教えられてないというのはなしですよ」
「そういうものがあるというのは、どうして調べるのですか?」
「私も教えられたことはありません。ただ考えました。認定機関のことは知っていますね。
佐々木さんも山口さんも、ISO審査員研修を受けている。研修では必ず認証制度の仕組みを習います。認定機関が、認証機関、審査員研修機関そして審査員登録機関を認定する」

注:この仕組みはISO17021が作られてから、審査員研修機関と審査員登録機関は同格でなく上下関係になった。認定機関は認証機関と審査員登録機関を認定し、審査員登録機関が審査員研修機関を承認する制度に変わった。
「するとその仕組みを説明する手順が必要になるはずだ。それは誰が作るのだろう?
当然、認定機関が作り審査員になりたい人や審査員研修機関を作りたい人たちに周知するはずだ。
ならば認定機関のウェブサイトに手がかりがあるはずだ・・・そう思うよね?」
「佐川さんは誰にも教えてもらわずに、そう考えたのですか?」
「だって、私に師匠はいないよ。当時本社で工場を指導していた、山口さんが教えてくれたら良かったのに」
「仕事というのは習熟することも重要ですが、分からないことにチャレンジしなければならないのですね」
「開発とか製造の最前線は、創造性とへこたれない精神が必要ですよ。それに比べればこの程度のことは容易いことです。
閑話休題、ともかくガイド66くらい暗記してないといけません」
「ガイド66とはどこにありますか、あ〜、入手先です」
「認定機関のウェブサイトを漁ってください。必要なら規格協会から購入してください。
ともかくガイド66には審査員の資格、審査に何時間かけるか、不適合を出すときどのようにするかなど、審査の手順・基準が決めてあります。
みんなしっかり読めよといって済めばよいですが、まだ見たこともないでしょうから、認証機関に抗議に行くとき最低知っておくべきことを説明しますね」
注:私にも師匠がいれば良かったのですが、残念ながらいませんでした。ですからJABや認証機関のウェブサイトを漁り、関係ありそうな規格やガイダンスがあれば、それを探して読むということをしておりました。
まさに解体新書に立ち向かった杉田玄白であります
ただその後いろいろなことから、師と言える方としてISOTC委員がおふたり、日系認証機関の社長、外資系認証機関の取締役の4名の方にお会い出来ました。それ以降、私から尋ねる形ですが、いろいろ指導をいただきました。幸運でした。
「知っておくべきことはたくさんありますが、まずは先ほど言った相手の証拠・根拠を確認することです。
不適合に証拠・根拠が書いてなければ書くように要求してください。ガイド66では明確に記述するとあるだけで具体的に証拠・根拠を書けとはないようです。
ただ審査員研修に行った方はご存じと思いますが、研修では証拠・根拠が必須と教えられます。
佐々木さん、そうですよね?」
「ハイ、そう習いました」
注:どこの審査員研修機関でも不適合を出すには、証拠と根拠が必要と教えるはずだ。
だが20世紀は皆がそうではなかった。今でも存在する某審査員研修機関はすごかった。「不適合の根拠がないなら、ISO14004のshouldをshallと読み替えるとか拡大解釈するんだ」なんて語っていた。
ああいう講師に教えられた人は、暴れん坊審査員とか暴走審査員になったのだろうなあ〜
「根拠を書くときは具体的に書きます。『文書管理が悪い』なんて書く審査員がいますが、それでは落第です。文書管理にはshallが2個あり、要求していることは20個くらいあるわけです。
ですから根拠はどれなのか分かるように、例えば『文書管理4.4.5では文書の所在が分かることとあるが、会社規則では配布先を決めていなかった』と書く。
『文書管理4.4.5に反している』では不合格ですからね。
同様に証拠も、読んだだけで現場確認ができるよう具体的に書く。
例えば『会社規則〇〇で、工場の温度湿度の記録をすることになっているが、第1工場の柱NO.12に掛けてあった12月の記録表は、審査が17日だったが5日までしか記載してなかったとか書く。
そう書かないと、審査員の立場からは、後でそんなことありませんと言われると不適合でなくなる。
また会社の立場からすれば、審査員がウソついているかもしれないからだ。
ガイド66には、その他に審査員がしてはいけないこともいろいろ書いてあります。
結構あることですが、認証機関の講習会を受けると審査の肝を教えてもらえると聞いたことあると思います。また講習会で講師が主催した認証機関を利用してほしいなど営業活動もありますね、皆禁止されています
少し休憩して練習を始める。
最初は佐々木だ。練習と言っても、実際に抗議に行く不適合通知(CAR)を基にして行うロールプレイングである。
「A社で出された『環境目的と目標が一枚の紙に書かれているので不適合である。別々のプログラム2つにすることが必要』という不適合は、不適合でないと考えます。撤回をお願いします」
「ISO14001の4.3.4では『その目的及び目標を達成するためのプログラムを策定し』とありますね。これを満たしていませんから不適合です」
「目的と目標の意味ですが、目的は定義である『到達点』、『目標』は『目的を達成するための詳細なパフォーマンスの要求事項』とあります。
その認識で良いですか?」
「それで結構です」
![]() | ロールプレイ役 |
![]() | 見学者 |
「この文章から目標は二通りの考えができます。ひとつは目的達成の途中の時点での達成目標ともとれますし、目的を達成するために複数の作業があればそれぞれの達成目標を表すともとれます。
それでよろしいでしょうか?」
「そういう解釈もできますね。それでも問題ありません」
「最終到達点と途中経過あるいは複数のプロセスについて、一枚のシートに書き切れることもあると思いませんか?」
「あるかもしれませんな」
「するとひとつの目的を成すための長期計画と短期計画、あるいはいくつもに小分けされた作業を一枚の紙に書いたプログラムがあれば間に合いませんか?」
「その発想でマネジメントプログラムがひとつで良いという結論に持っていきたいのでしょうけど、それはできません。
というのは規格は、目的のプログラム及び目標のプログラムと書いているからです」
「そうしますと規格の読み方の問題ですね」
「読み方じゃなくて、そう書いてあるじゃないですか」
「ええと規格の英語原文は『The organization shall establish and maintain (a) programme(s) for achieving・・・』とありますね。
英文では単数の場合も複数の場合もあるときは、語尾の複数形のsをカッコで囲むこともあります。規格のprogrammeの後に(s)があるのはその証拠です。また前に不定冠詞の(a)があるのは単数のときのためのものです。これは単数も複数もあるよという意味ですね。
あるいは普通の文でも論文や公式な文でも、複数形のみ表記して単数・複数を意味することもあります
この文章はまさにそれで、プログラムが複数のときも単数のときもあるということです」
「そう言われるとそういう気もしますが、絶対とは言えないと思いますよ」
「ええと、それでしたらISO14004をご覧ください。附属書に目的目標をまとめた表があります」
ISO14004:1996の「実践の手引き」の表(対訳本を見て私が同じく作成した)
| 約束及び方針 | 計画 | 例 |
| 天然資源を節約する | ||
| 目的1 | 技術的、商業的に可能な限り水の使用を最小にする | |
| 目標1 | 選定サイトにおける水の消費量を1年以内に現在水準の15%削減する | |
| 水の再使用 | ||
| 行動1 | 行程Aのすすぎに用いた水を、行程Bで再使用するため、リサイクルするための装置を設置する | |
| 1) 同様のプロセスが、全ての方針での約束、目的及び目標について繰り返されることが望ましい。 | ||
「これは例じゃないか。それにISO14004はガイダンスだからISO14001の参考にはならないよ」
「困ったなあ〜、そいじゃ御社に依頼するのを止めて、他の認証機関に依頼することにしますよ。
ええと、契約解除になると思いますが、御社の契約不履行になりますので支払いはなし、損害賠償請求するつもりです」
「なんですって!」
「だって、他の複数の認証機関に確認しましたが、どこも環境マネジメントプログラムが1個で適合と言ってましたので、お宅に拘ることはありません。
そして他の認証機関がOKで、御社ではダメというなら御社がおかしいと考えられます。損害賠償は当然です」
「最後のセリフを言うの前に、もっと説得する方法がないかは考えてくれよ。
良いところは応答が短文でたたみかけたことだ。短いイエス・ノウの質問を重ねるのは良いね。
長いセリフでは前の方を忘れてしまうからね。イエスかノウかだ」
注:短いクローズドクエスチョン(yes/no)の一問一答を連発するのは尋問の常套手段だ。
相手に「はい」か「いいえ」で答えさせる質問を重ねて、逃げ道をふさぐことで矛盾を引き出し、事実を明確にできる。
長い質問は誤解や言い訳を生みやすいため、相手を追い詰めるには不向きだ。テレビの刑事ドラマで長ったらしい質問をするのを観ると、止めてくれと言いたくなる。
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大谷の番である。
「私は『環境目的は著しい環境側面から選ぶこと』といわれて、不適合をいただいたB工場の代理です。これを取り消していただきたいのが本日の用件です」
「吉宗機械さんのB工場の審査での問題ということですが、大谷さんはどういうお立場ですか?
当認証機関はB工場と審査契約を結んでおり、本社とは関りがないのです。当事者能力のない方は・・・」
「まず審査の契約書にはB工場と認証機関のお宅の名称が記載されていますが、B工場は契約を結ぶ法人格はありません。工場が結ぼうと契約の主体は吉宗機械(株)です。商法の基本ですからご理解いただけますね。
それで工場で対応できない問題は本社が支援する、お宅様から見て、対応する私は吉宗機械であることに変わりありません」
「そうであっても私どもが契約したのは、B工場の敷地とその中の事業活動だけですよ」
「ですからB工場の敷地も事業活動も、まさしく弊社の一部であるということです。
仮に工場が審査費用を支払わない場合は、御社は工場を相手にではなく、当社を相手に裁判を起こすことになります」
「わかりました。では大谷さんを工場の代理人とみなします」
「ISO14001では『環境目的は著しい環境側面から選ぶこと』という要求はありません。ご確認ください」
「いやいや、『目的を設定し見直しするときに(中略)著しい環境側面に(中略)配慮しなければならない(4.3.3)』とあるでしょう。
配慮とは『抜けのないように心配りをすること』です」
「国語辞典ではそのようですね。しかしそれは規格の日本語訳で英文の意味に近い日本語を当てたにすぎません。
原文は『an organization shall consider its significant environmental aspect』です。配慮に対応する原文の単語は『consider』です。
『consider』とは・・・」
「あー、分かりますよ『考慮する』ですね」
「ISO規格では厳密に意味を決めています。漏らしてはいけないものには『take into account』を使い、『consider』は検討しなければならないけれど採用しなくて良いものに使うことになっています」
「そんなこと誰が言ったの?」
「寺田さんが本に書いています
注:寺田 博さんはISO14001で日本最高の権威だろう。
「分かりました。では『著しい環境側面で目的に選ばれていないものがある』という不適合を削除します」
注:文末
だが時とともに解釈が変わっているわけではないので、本のストーリーに影響はしない。
現実は寺田さんの名前を出しても、そう簡単に不適合を引っ込めなかった。
なにしろ認証機関にはISOTC委員より規格に詳しい方が多いようだ。
それにしては誤判定が多いのはなぜかな?
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山本の番だ。
山本の担当は、著しい環境側面をスコアリング法で決めていないとして不適合を出されたことに対する異議申し立てだ。
「著しい環境側面を決定する方法を決めるのは企業です。審査側はそれが適正か否かを審査します。企業が決めた方法が悪いなら、それを立証するのは審査側の責任で、企業側は適合であることを立証する責任はありません。
先日の審査では弊社の工場でスコアリング法でないとして不適合となりましたが、その理由は書いてありません。
まず不適合の根拠を明確にしてください」
「おかしいな、ガイド66にはこう書いてあるぞ。
『著しい環境側面を特定する基準を設定し、この手順を開発するのは組織の仕事である。著しいかを決める手順が適切なものであり、それが守られているかを審査するのは認証機関の仕事である(ガイド66 G.5.3.21)』
企業が著しい環境側面を決定する手順を決めたのだから、その方法が正しいことを立証してほしい」
「著しい環境側面を決める手順は弊社が決めました。ですから佐川さんがおっしゃったそのガイド66の通りです。
認証機関がそれに対して不適合を出したのですから、その手順が適切でないことを立証する責任があります」
「山本さん、もう疲れたから止めよう。
だけど今の山本さんの論理は説得力に乏しいな。
適切でないと言ったのを、反論できないくらいバシッと決めつけてほしいね。上手い言葉は浮かんでこないけど・・・
スコアリング教の狂信者は、まともに考えられない人が多い。そういう人にも対抗できることが必要だ。
いやな渡世だね」
私が工場でISO14001を受審したとき、川の名と同じ苗字の審査員がリーダーだった。
最終日に環境目的と環境目標のプログラムがないと不適合を出された。当然私は予想していて、寺田さんの書いた本とか規格の英文の解釈とか揃えていて、規格適合であると反論した。
ところが私のバカ上司が、「ウチの会社のために言ってくれたのだから受入れよう」と言い出した。
ISO認証機関と言えど、発注先に過ぎない。なんでそんなに気を使うのか?
がっかりしたし呆れたがサラリーマンだ、仕方がない。
その後、職を変わり、某社の本社環境部で働いた。そのとき関連会社から「環境目的と環境目標のプログラムがないと不適合を出されたので助けてくれ」と声がかかった。
そこの部長が認証機関に抗議に行くとき同行した。
認証機関で審査部長と審査のリーダーに会った。見ると審査のリーダーは以前、私に同じ不適合を出した川の名の審査員だった。
私を抑える人がいないから、私は堂々と正論を語り論破した。
同行というか主役の関連会社の人が帰っても私は残り、その川審査員と認証機関の幹部の2人が残った。
私は川さんに、田舎の工場で同じ不適合を出されて異議申し立てしたが拒否された者だと言った。川さんは私を忘れていた。
それからなぜあのとき間違いを認めなかったのかと問い詰め、認証機関の幹部に私の勤め先とその関連会社では絶対におかしな不適合を出さないと約束させた。
川さんと幹部の顔と目を見ていたが、二人とも早いところ私に帰って欲しいと思っているだけで、規格解釈などどうでも良いのは見え見えだった。
更に2年ほどして、他社の環境担当の知り合いから、目的と目標のプログラムふたつがないから不適合にされたと言う。審査員の名前を聞くと、なんと例の川さんだった。
懲りない奴だと呆れた。
私? 他人のことまでは首を突っ込みませんよ。
川さんの名前は今も覚えている。利根とか石狩のような大河じゃないですが、皆さん知っている川です。
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| 注1 |
ミステリーで「死体がなければ殺人にならない」というのは理屈では正しくないが、現実には、ほぼ殺人を立証できず不起訴あるいは無罪になる。 | |
| 注2 |
但し刑法第199条で『人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する』と定めているが、殺人をしてはいけないという決まりはない。 殺すなとは道徳?宗教?の問題です。殺人があっては社会が混乱するから、そういう行為を処罰するだけです。 | |
| 注3 |
アケメネス朝ペルシャのダイレオス1世(紀元前550年頃 - 紀元前486年)は帝国を20の州に分け、知事を置いた。そして「王の耳」と呼ばれる調査官を置き、知事を監視した。これが監査の始まりと言われる。 日本でも目付という役目があったが、ペルシャより2,000年遅れている。 出典 ・「真実の世界史講義」倉山 満、PHP、2017、p.141 ・A Brief History of Auditing | |
| 注4 |
ガイド66のタイトルは「環境マネジメントシステム審査登録機関に対する一般要求事項」 翻訳されたJISQ0066が制定されたのは2000年のこと。 | |
| 注5 |
杉田玄白らが訳した「解体新書」は1774年。極めて誤訳が多かったと言われる。 | |
| 注6 |
いずれも当時有効なガイド66の版のG.4.1.24〜29に書いてある。 | |
| 注7 |
複数形を(s)などとするのはよく見かけるが、論文などでは複数形で記述しても単数の場合も含むとしていると理解するそうだ。 出典は特にないが、Google USでいろいろ当たったが、何かを説明する際には複数を使うという意見が多かった。 | |
| 注8 |
「ISO14001:2004要求事項の解説」寺田 博、日本規格協会、2005、p.92 |
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