注1:この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。
注2:タイムスリップISOとは
注3:このお話は何年にも渡るために、分かりにくいかと年表を作りました。
第141話から続く
先月の研究会で実行を決めてから1か月間で、5つの認証機関に相談? 異議申し立て? に行き、すべてにおいて審査の判定を覆した。
スコアリング法でないとダメ、著しい環境側面を目的にしていない、マネジメントプログラムが1個しかない、ひどいのは規格の用語を方針や規定で使っていないとか
また審査員が法律を知らずに不適合としたものも多い。BODの測定結果が来たのが10日後なので、そんな遅い環境測定会社を変えるべきとか
審査員が法律とか環境学に詳しくなければならないということはない。その根拠を聞けばよいのだ。
BOD測定に日数がかかっていると思えば、どうしてそんなにかかるのか聞けばよい。
まあBOD測定の日数も知らないと、その審査員がどう思われるかは知らない・・・実際にそう質問した審査員を見たことがある。
もちろん一家言(?)ある認証機関もある。絶対に規格の用語を使わないとダメとか
そういう狂信者は説得できないので、猫を追わずに皿を引いて認証機関の鞍替えをするしかない。
翌月の研究会である。
メンバーが揃ったので開会する。
「皆さんからいただいた『審査ミス対策の報告書』は環境部長の決裁を受けて、業界団体の傘下企業に広報しました。今後もしこれに該当する不適合が出されたら、業界団体として誤判定を受けた企業を支援しますという意思表示です。
以前から懸案になっていたことは、これでほぼ一掃されたと思います。この結果をもう少し広報に努め、これから認証機関と交渉する会社や工場のトラブルの支援をすれば、研究会の仕事は終了かと思います
「いえ、まだ完了じゃありません。
私は前任の高橋から引き継いであまり経験がありませんが、おかしいと感じることはいろいろあるのです」
「はて、それは今までの問題のとき上げなかったのでしょうか?」
「ちょっと問題の性質が違うのですよ。
言いにくいのですが露骨に言えば、ユスリ・タカリと言いますか審査に来るといろいろなものを欲しがる、食事の要望、宴席の要望、細かいことでは礼儀作法、早い話が無礼極まる態度を取る審査員も多いのです」
「分かります、分かります。先生と呼ばれないと返事をしない審査員は珍しくないですね」
私は先生と呼ばれないと返事をしない審査員というのは都市伝説だと思っていた。
間もなく引退するという2012年に、関連会社の審査を見物に行った。
すると会社の人が審査員を〇〇さんと呼んだら返事をしない。その人はしょうがねえなあ〜という顔をして、〇〇先生と呼ぶとすぐに返事をしたのを見た。
アイソス誌によく顔を出す有名審査員だった。
あれを見たとき、いや〜都市伝説ではなかったのだと感動したよ。
「私は28ですが、昨年、工場でISO審査を受けたとき、坊やと呼ばれました。
失礼極まりますよ」
「そんなこと、本当にあるの?」
「ありますねえ〜、さすがに私の年になると坊やはなかったけど、『
いくら何でもビジネスで他社の人を君呼びはないですよ」
注:敬語や尊称は、時代と共に目上から同輩に、目下に、蔑称になっていくことが一般的で、「敬意の
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| 吉田松陰 |
「私じゃないですが、私の工場では後輩が『小僧』と呼ばれました。本人は小僧の意味を知らず、自分が呼ばれたと認識しませんで、大層審査員がお怒りになりましたね」
「はあ〜、なんで怒るわけ?」
「ご自身が大層偉いとお考えなんでしょう。ウチの課長ができた人で、すぐに審査員に審査はビジネスですから敬意をもって行ってくださいと言いました」
「それで一段落したのですか?」
「アハハハ、真逆でした。火に油を注いだようで・・・、収まりがつかず審査リーダーを呼びご注意願いました。向うで何か話し合ったようで、それ以降はおとなしかったですね。
恨みはらしに不適合を出されるかと構えていましたが、それ以上揉めずに審査は終わりました」
「ISO審査アルアルですな〜、アハハハ」
注:そんなことあるはずないとお思いの方がいるかもしれない。納得いかないなら弊方にメールでお問い合わせください。
「規格解釈の次は、審査員のマナーと職業倫理について抗議しないとならないな」
「皆さんがおっしゃることが本当なら、どうして大問題にならないの?」
「どこもISO認証が欲しくて仕方ないのですよ。吉本さんは業界団体勤めですからお判りいただけないかもしれないけど、一般企業はやはりISO認証はブランドですから喉から手が出るほど欲しいのです。
ですから審査員様のご機嫌を悪くしないよう必死なのです」
「そうなんです、多少嫌みを言われても、たかられても、我慢ですよ、アハハハ」
「笑い事じゃないんですよね」
「なんとかせにゃならんな」
「田中さん、ネットでSNSなんかで暗躍しないでくださいよ。もしするなら業界団体とは袂を分ってからにしてね」
そんな話をして半月ほどして、Y新聞の社会面に縦一段横6センチ170字ほどの記事が載った
朝、始業のチャイムが鳴ると、佐川と山口が吉井部長から呼ばれた。
「Y新聞読んだか?」
「ISO審査員が饗応を受けたという記事ですね」
「そうだ。あの記事は事実なのか?」
「新聞のようなことは日常茶飯事、なければ珍しいことですよ。
山口さんも経験あるでしょう?」
「私は工場の担当をしたことがないので、私が要求されたことはありません。しかし工場の人が要求されているのを目にしたことは度々あります。
宴席を要求されることは常態ですね。それとお昼ご飯もあります。
兵庫工場だったかな、お昼に工場食を出したらいたくお叱りを受けました。審査員が『音響メーカーのS社に行ったときは、ステーキが出た』と言ったのをこの耳で聞きました」
「工場食では気に入らなかったのかもしれないな」
「山の中の工業団地ですから、車で10分以上行かないと田舎のラーメン屋さえありません。まともなレストランは20キロ先です。仕出しといっても田舎ですから立派なものはありません。
工場食と言っても一般従業員が食べているのと違います。お客様用とか社内で従業員の送別会などをするときのものです。なにしろ山の中の工場なので皆、遠くから車通勤で、街で送別会をしては参加者が大変なところなのです。
わざわざ工場長と会食をセットしたのですがね」
「なるほど。しかしステーキとは・・・10兆円企業のS社と比較されても困るな」
「そもそも工場の感覚は、ISO審査はULの工場検査と同じなのです。審査員の立ち位置は顧客とは違います。役務の調達先です。
ULの検査員なら食事は食べてきますし、タクシー代だって自分たちが払います。工場でタクシー券を渡そうとしても受け取りません。
ISOよりもビジネス上重大なULの審査機関がそういう状況ですから、それより重みのないISO審査をUL同等と認識するのが普通でしょう」
「そういやワシの前任地であるイギリスの工場で聞いたことがあるが、ISO審査員に飯だとかお土産などまったく用意していないと言っていたな」
「私はイギリスに行ったことはありません。しかし1990年代の審査員の教育資料をいくつも読みました。ISO認証が始まった頃は、イギリスのテキストの翻訳ものばかりでしたからね。
審査員が宴席などに呼ばれた場合にどうするかなんてことが載っていましたね。
テキストではしっかりと断れとありました」
「当然だな。この記事では認証機関の取締役も酒を受け取っていたとある。まあ、推して知るべしか。
おっと、ウチと関連会社でここを使っているところはあるか?」
「そこはISO14001では最初ものすごいシエアでしたので、当社グループとは別の業界系なのですが、当社の工場で2件、関連会社では10数件あります」
「鞍替えさせる必要はないか?」
「こんなことを言っては何ですが、どの認証機関も大同小異です。この新聞記事がどのようになるか・・・・・・燎原の火となるか、しけった花火になるのか、分かりません。
燎原の火となれば認証業界の大掃除が行われるでしょう。
しかし、なあなあで済んでしまえば何も変わらないでしょうね。日本では良くあることです」
「実は業界団体の環境部に環境ISO研究会というのがあります。元々は佐川さんと私が参加していたのですが、佐川さんも昇進されまして、今は私と3人のメンバーが交代で出席しています。
今月の例会で、認証機関の間違えで出された不適合を撤回させることは一段落したのですが、これからは認証機関の職業倫理向上と、マナー向上を要求して行こうという話になっています」
「話を聞けばちょっとおかしいと思うぞ。
贈収賄とか饗応というのは昔からある。法律や倫理的に問題ではあるが、納得できることは権益と賄賂の交換であるということだ。だから賄賂は製品やサービスを売る方がする。買う方がするってのは聞いたことがない。
なんでお金をもらう方が、うまいもの食わせろ、宴席を設けろ、お土産を・・・というのか、納得できないな」
「現在のISO審査は対等じゃないんですよ。ISO審査の審査員はauditorではなくjudgeなのです。それは我々が思うだけでなく、審査員もそう認識しているようです」
「意味は分かる。権限ある者の使い走りが、権限をもっていると勘違いしているということか。
しかし日本語で審査員というと調査ではなく決定する人だな。訳語もおかしいのと違うか? オーデターなら調査員だろう」
「部長、話が発散しています。部長はこの記事が我々にどんな影響を与えるかを心配した。悪影響があれば認証機関を鞍替えするつもりだったのでしょう」
「そうだ。日本の倫理観では、すぐに忘れ去られるというなら、とりあえずは放置としても、そんなレベルの認証制度にはなにも期待できないな」
「とおっしゃいますと?」
「積極的に揺さぶってみたらどうなんだ?」
「今、工場から相談を受けていることがあります。
ISO審査は形式上、実態調査でして、その報告を受けて認証機関内部の判定委員会で認証の可否を決定するということになっています。
工場で審査が終わると判定委員会で説明するためと言って、様々な資料の作成を要求されています。要求されることの中には事業上の社外秘もあります。
ところが別のルートで聞くと、判定委員会ではそのようなものが必要ないというか使われていないそうです」
「じゃあ何のためだ?」
「審査員は副業でISOコンサルをしている人が多い。そのコンサル先に提供するらしいのです」
「何だって! コンサルの連中はウチの社外秘情報を飯の種にしているのか?
佐川、お前それを知っているなら社内、関連会社にISO審査後に資料を作り提供するのを止めさせろ」
「その証拠をつかんでから、既に提供するにあたっては認証機関と守秘契約を結ぶことが必須と社内に通知しております。
するとそれ以降、要求はされていません」
「ちょっと待て、先ほど山口は工場から困っていると相談されているといったな」
「要求されている中には社外秘でないものもあるのです。例えば審査前に認証機関に提供した資料では表なので分かりにくいからグラフを作れとか、マネジメントプログラムの活動内容の説明資料を作れとかですね。
そういうものは今も対応しています。1審査当たり数日、20〜30時間を要しています」
「待て待て、よく考えれば、審査で不適合が出たとき、その是正処置を行って報告するわけだ。それ以外・・・事前資料を送る以外に認証機関に提出する書類はあるのか?」
「審査契約ではありません」
「じゃあ、そもそも何でそういうことをするのか?
迷うことなく、今後ルールにない資料の作成提出はできないと言え。文句を言うなら認証機関は転注だ。ISOでは鞍替えとか移転というのか?」
「はい、そういたします」
「それとだ、しけった花火にならないように、少し薪をくべてみないか」
「はっ?」
佐川が新聞社につなぎを取ろうと広報の石川 と会って話をする。石川は未来プロジェクトメンバーだから話しやすい。
「というわけで大手新聞社と非公式に話をしたいのだけど、石川さん、ツテはないかな?」
「暴露話を匿名でするってわけね。会社としては芳しくないな。大きな被害があるなら顧問弁護士からそれなりのルートで抗議をして、最終的には民事訴訟というのが真っ当な方法でしょうね。
そこまでいかないというか、憂さ晴らししたいなら我慢するか転注しかないわ」
「個人としてブログやSNSなんかで批判するのはまずいでしょうね」
「佐川さんのような重鎮ではまずいわ。バレたら問題にならなくても話題になるわ」
「重鎮どころか文鎮でもないよ」
「自分が思っているだけ。自覚がないようだけど、あなたは有名人だから。
少し時間をちょうだい。ちょっと考える」
「吉井部長が待てるウチに頼みます。あの人、待てない人だから」
「分かってるわ、吉井さん、沸点が低いのは有名ですもん」
数日後、会社にいる佐川に電話が来る。
S新聞の長谷川と名乗る人物からISO認証についてのインタビューの申し込みだった。
内容はY新聞の記事についてという。
佐川は相手の確認も込めて、ちょっと考えてから連絡すると言って電話を切った。
石川に電話する。
「おや、佐川さん、もう連絡が行ったの? 早いじゃない」
「石川さんの紹介でしたか?」
「長谷川さんとは古い付き合いなの。向こうからY新聞の記事が本当なのかという問い合わせがあったのよ。佐川さんが語っていたことを思い出して連絡先だけ教えたわけ。
私が受けて環境部に回すと会社ぐるみになってしまうけど、長谷川さんと佐川さんの間の話なら当社は関係ないわ」
「その様子ではインタビューを受けても良いの? 私が言いたい放題、語って良いのかな?」
「社名とご自身の名前を出さないという条件なら良いと思う。私は預かり知らないよ」
「分かりました。会うのは社内でも良いの?」
「いつもいろいろな人と社内で打ち合わせているんでしょう。かまわないわ。個室は取った方が良い。誰がいるか分からないから。
という意味では社内の方が安全かな」
佐川は山口の同席を考えたが、万が一のとき塁が及ぶかもしれないから、自分だけ会うのが無難だろうと一人で会うことにした。
翌々日、吉宗機械のロビー階の小応接室である。
長谷川記者は一人で来た。名刺交換して話を始める。
「Y新聞の記事を読みまして、やられたと思いました。実は私もそういう噂を聞いて記事にしようとしていたのですが、先を越されました。証拠が難しいのですよ。
Y新聞は認証機関の名前も認証を受けている企業名も出しています。私も10社くらいに取材はしました。どこも口では語りますが社名は勘弁してくれと言いますね。
佐川さんのところはどうでしょう?」
「Y新聞を読みましたが饗応について書いていましたね。私の経験では問題のカテゴリーは三つになると思います」
「問題と言ってもいろいろあるわけですか?」
「そうです。いわゆる職業倫理に入るものをY新聞が取り上げていました。しかし問題はそういうものばかりではありません。
認証機関自身がISO規格を理解していない問題もありますし、審査員のマナーが悪いという問題もあります」
「ISO規格を理解していないとは・・・そういう認証機関が存在すること自体、大問題ではないですか?」
「その通りです。弊社も加盟している業界団体ではそういう問題を集めて問題の多い認証機関には是正を要求し、対応しないところは切るというか認証機関を替えることを勧めています。
正直言いまして二月ほど前に、工業会加盟の企業は審査で問題がある認証機関を、バッサリ切って認証機関の移転をしたところです。
弊社の事業所と関連会社で合わせて30件ほどありました」
「ほう、業界団体として行っているのですか?」
「そうです。それについては私が話すのもなんですから、〇〇工業会環境部に問い合わせてもらった方が良いですね。
規格にない要求をして不適合、つまり不合格ですね、それを出している認証機関に是正を要求して、対応しない認証機関から真っ当な規格解釈の認証機関へ審査依頼を移行しています」
「それは饗応以上の問題ですな」
「企業から見たらどちらも大問題ですよ。
話を戻してその話は結構広まっていますので、業界団体からお話を聞いた方が客観性もあり、また実名で出すのも支障ないと思います」
「規格解釈は人により認証機関によりばらつきが多いと聞きますが、佐川さんというか業界団体が考えるものが正しいと言えるのですか?」
「もちろん重大、重要なことですから、うかつなことはできません。ですから我々も行動に移す前にはISOTC委員、つまりISO規格を検討する国際会議に日本を代表して出席する人たちですね、そういう人たちへの問い合わせ、また他の認証機関への相談などをしています。
特にイギリス系の認証機関は、ISO規格の基となったBS規格
そもそも、どう考えても一つの方法が、認証機関によって適合と不適合と分かれるとはおかしいと思いませんか」
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1つの質問に正反対の回答をしている認証機関が多数ある。いや、全部の認証機関の回答が一致した質問が1個もないという驚くべき事態である。
こういうのを見て、認定機関や認証機関が、それにアンケートを取ったシステム規格社(アイソスの出版社)が疑問に持たず、放置しているというのがスゴイと思わないか?
「そんなことがあるのですか?」
「工業会の環境部に行って資料を見せてもらってください。というかコピーをもらえるでしょう。これは別段秘密ではありません。それを持ってISOの専門家、例えばISOTC委員とかに聞き歩けば面白いでしょう。
もちろん無名の人に聞いても意味がありませんよ。いや、ISO関係者、多数に聞いて、解釈が違うのを集めるのも面白いかもしれません」
「だいぶ自信がおありですね」
「こんなことをもう7年もしてきました。認証機関のレベルは大体把握しています。ですから並の審査員よりは経験も長く詳しいと思います。
思い出しましたが、一旦出した所見報告書は変更しないのですよ」
「どういうことでしょう?」
「審査では問題となったものの是非について結論が出ないものもあります。一旦、ペンディングにすれば良いのでしょうが、多くは審査員はその場で不適合として報告書をまとめて帰ってしまいます。
その後、会社が行政や弁護士に相談した結果、問題ないということも多いわけです。
となると当然のことながら、認証機関に不適合と書いたものを削除してもらいたいわけです。ということで認証機関を訪問して修正を依頼しても、9割は断られます。なぜか分かりませんが、一旦出した審査報告書は改定できないそうです。
間違った判断を修正しないということは、認証機関の恥が残るから余計まずいと思いますがね。
最高裁で判決が確定しても、新たな証拠が見つかれば再審
「実質的に問題がなければ良いじゃないですか?」
「会社によりますが、ISO審査で不適合があると担当者の査定をマイナスにする会社もあります。まあ、当然ですね。仕事でミスすれば成績が下がるのは当たり前です。
でもね、審査員の能力不足のおかげで、企業担当者がマイナス査定になるのはひどいんじゃないですか。経験者としては許しがたいですね」
「もうひとつのカテゴリーはマナーの問題と言いましたね。Y新聞の饗応問題ですか?」
「Y新聞にあった饗応とかとはちょっと違うのです。
審査員の方々は自分が偉いとお考えのようです。審査に行った会社の若い者・・・と言っても30代の立派な大人を、坊主とか小僧呼びをする人がいます」
「坊主に小僧ですか。今風に言えばパワハラですか?」
「パワハラというより礼儀知らずですかね。社会人なら身につけるべきマナーの欠如です。
呼ばれた本人が気を悪くするよりも、審査を受けている会社は、レベルの低い認証機関とは取引をしたくないと考えるでしょう」
「聞くところによると灰皿事件というのがあったそうですね」
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「その話は聞いたことがあります。6年くらい前でしょうか、資料の提出が遅くてかんしゃくを起こした審査員が、重いガラスの灰皿を女子社員に投げつけたという話でした。
あれも審査員に上位者意識があったからでしょう。女子社員なら怪我をしても良いと考えたのですかね。
その審査員の心情は分かりませんが、審査に行った先をお客様と見ていないのは間違いない。
お金を払う
「私も遺産相続とか土地のことで、個人的に弁護士とか税理士に依頼したことがあります。依頼者である私を、
弁護士の社会的地位はISO審査員より高いでしょう。しかしビジネスでは金を払うからではなく、客に限らず仕事で付き合う人すべてを個人として敬意を示さなくちゃいけません。
長谷川さんは仕事で自分より若い人に会っても、まさか
「そういう審査員は多いのですか?」
「多いですね。会社の人が審査員を〇〇さんと呼んでも返事しない方もいます」
「えっ、お名前を呼んでも返事をしない・・・じゃ、どうすれば?」
「先生です。〇〇先生と呼ばないと返事をしないのです」
「はあ〜」
結局、長谷川記者は業界団体に行ってインタビューをするということで帰って行った。
燃料になるのかどうか・・・佐川は推測がつかない。
ずいぶん前だが何かの本に「審査員に必要なものは自立と自律」なんて書いていた審査員がいた。
その通りである。だがその審査員が書いたように、自立して自律的に行動している審査員はいかほどいたのか?
いないから、その審査員が書く必要があったのではないか?
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| 注1 |
これは嘘や冗談ではない。実際にそういう不適合を出された経験がある。そういう問題が多々あったから、ISO14001:2015でアネックスにA.2が追加されたのだ。 ISO14001:2015アネックスA.2 「この規格では組織のマネジメントシステムの文書にこの規格の箇条の構造又は用語を適用することは要求していない。組織が用いる用語をこの規格で用いている用語に置き換えることも要求していない。組織は、"文書化した情報"ではなく"記録"、"文書類"又は"プロトコル"を用いるなど、それぞれの事業に適した用語を用いることを選択できる。」 | |
| 注2 |
嘘だと思う人がいるだろうが、2000年頃には普通にあった。 ちなみにISO規格では環境方針を覚えろという要求はない。全従業員に周知して実行させることである。 覚えてなくても方針にあることの実現に努めれば良く、暗記しても何もしなければNGである。 | |
| 注3 |
BODとは生物化学的酸素要求量のことで、水の汚れを示す指標である。水に含まれる酸素量を、初期と5日後の差である。汚れ(有機物・栄養分)を微生物が消化するとき消費する酸素量である。 BODは測定するのに5日間かかる。採取、運搬、測定、報告書作成、郵送あるいは持参などを考えると10日間は妥当である。 | |
| 注4 |
産業廃棄物を収集運搬業者に依頼するとき(運び出す前に)、業者に引き渡す産業廃棄物管理票に、廃棄物の数量(重量や箱の数など)を記載しなければならない(廃棄物処理法施行規則第8条の20第1項)。
だが普通の会社に重量物を測る秤はない。それで台貫計量業者に行ってトラックごと重量を測ってもらう。そのため引き渡し時の数量欄の記載は概ねかトラック1台という表記になる。そうすることを環境省通知(環廃産発第110317001号)で認めている。 そして収集運搬業者が台貫で計量してもらった後に、その測定値を産業廃棄物管理票に、例えば「トラック1台の脇に1500kg」と追記するのは正常な運用である。 処理費用の支払いは台貫で測定した重量になる。 | |
| 注5 |
何度か書いたことがあるが、ある会社の認証を指導したときのこと、やって来た審査員が環境方針に「枠組み」「汚染の予防」など規格の言葉が入っていないとして、欠落した4つについてそれぞれ不適合を出されて環境方針だけで不適合を4件出されたことがある。 J△○○というところだった。 さすがに頭に来たので、審査の部屋から出てその認証機関の取締役に電話した。その取締役少しも騒がずとりあえず黙って受けておいてくれという。後日報告書が来た時は環境方針の不適合はまるっとなくなっていたが、謝罪はなかった。 | |
| 注6 |
地球軌道の正反対の位置に反地球があると唱えた古代ギリシアの哲学者。![]() | |
| 注7 |
同様のことを、この物語より3年後の2003年8月1日に読売新聞が報道した。 | |
| 注8 |
BS規格(British Standards:英国規格)は、英国規格協会(BSI)が制定する英国の国家工業規格。日本のJISに相当する。 ISOMS規格の多くは、BS規格をベースにISO規格化されている。 BS5750 ⇒ ISO9001 BS7750 ⇒ ISO14001 | |
| 注9 |
一度確定した裁判の判決に重大な誤りがあった場合、裁判をやり直す制度。 後から証拠が見つかった場合などに請求でき真理がやり直される。 |
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