タイムスリップ189 身の振り方3

26.08.10

注1:この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。
ご注意ですが、法令は物語の時点を記しており、その後、改正があって現時点と異なるものがあります。

注2:タイムスリップISOとは

注3:このお話は何年にも渡るために、分かりにくいかと年表を作りました。



佐川と話した翌週、下山は山田危機管理監に会って、佐川の出向を引き上げるという話をした。
山田がしたのはまずは山田と佐川の対談である。
話合い

佐川は定年以降の扱い、出向している今の賃金のことなどを説明した。定年以降は嘱託になるが、そうなると出向はない。
微妙な立ち位置なので、内閣官房として佐川の今後の面倒を見られないなら、会社に戻してほしい旨説明する。

もし会社の定年後も佐川が必要なら、会社で嘱託をすればその賃金は正社員時の5割程度になるので、そのときはこちらで雇用して嘱託と同じくらい賃金は負担してくれないかと話す。


注:このお話は2005年である。この時代は多くの組織で定年は60歳である。


山田も佐川が民間企業からの出向とは知っていた。しかし出向者の賃金は100%派遣元が負担と聞いて驚いた。後で聞くと伊藤事務官も全額、派遣元負担という。ちょっとお上意識が強すぎないかと思う。

山田も佐川は使い勝手がよく便利ではあるが、議員の私設秘書という不安定な地位であることは知っていて、内部で検討するということにした。




それから伊藤事務官や佐藤議員たちと、佐川がいなくても大丈夫かと相談した。佐藤議員は、佐川が2020年までの詳細な未来史を書いてくれたのでいなくても大きな問題はないという。

🗨 🗩
佐藤議員 山田危機管理監 鳥海議員 遊佐議員
佐藤議員 山田危機管理監 鳥海議員 遊佐議員

毎年、問題が起き災害が起きるが、これから5年間の大きな問題は、いくつもはない。2020年までの大きな問題は、2008年のリーマンショック、2009年の総選挙、2011年の東日本大震災に尽きると豪語する。


鳥海議員が言うには、リーマンショックは、まずリーマンショックの発生を防止できるかどうかがあり、次善の策として日本がダメージを受けないようにする策を考えるのは政治家と官僚だ。経済問題は佐川がいてもあまり力にならない。
確かにそう言われるとそのようだ。


2009年の総選挙の敗因はいろいろあるが、佐川の話を聞いていろいろ手を打ってきている。
議員のお金の問題は膿を出し切ったつもりだ。
首相が短期間で変わって信頼が薄れたことについては、大泉首相は安部(やすべ)議員に禅譲して党の全力を挙げて長期政権を維持することを目指している。お二人とも健康状態は悪くない。
景気対策も企業と一般家庭の両方に考慮した方法を検討する。
民衆党のマニフェストの欠陥を明らかにして理論闘争を挑む。
そういう方法で進めたい。


東日本大震災がこれまで取った施策によって被害がメルトダウンの防止など抑えられれば、政権交代した場合、現政権の努力の成果とみなされないかもしれない。
そして民衆党の成果とされて民衆党政権が長期化する可能性もある。

それを防ぐために彼らのスローガン「コンクリートから人へ」ではなく、こちらは原発の防潮堤を引き合いに出して「コンクリートが人を守る」と旗幟鮮明にして対決しなければならない。
その他、埋蔵金とかいろいろあるが、佐川の歴史通りなら、証拠をあげて論破できる、なぜなら真実だからという。




山田はM研の意思をまとめて森官房長官に話を持っていく。
官房長官は話を聞いてすぐに困ったという。


森官房長官 「佐川氏の話は我々レベルでは決められないよ。総理に確認しないとならない」

山田危機管理監 「雇い主は官房長官と聞きましたが」

森官房長官 「形の上では私の私設秘書なんだが、それは公務員だと秘密保持とか指示系統とか問題があるからなのだ。
受け入れたときから総理決裁で、総理の私設秘書にしては、隠すのが難しいから私に回ってきたわけよ」

山田危機管理監 「いろいろ事情があるのですな」

森官房長官 「彼は年収いくらくらいなのかな?」

山田危機管理監 「1,500万だそうです」

森官房長官 「かぁー、そんなに・・・民間企業は高賃金だな」

山田危機管理監 「彼は部を持つ部長ではないですが、人事上は部長級だそうですよ。
こちらに来てからも、それだけの価値はあったでしょう」

森官房長官 「確かに価値はあるな。我々は既に数十億あるいはそれ以上の利益を得ている。
とはいえ、私は私設秘書にそれだけの賃金は払えんな」

山田危機管理監 「佐川君は定年を過ぎたら嘱託になり、賃金は半分になると言っていましたが」

森官房長官 「それにしても年収750万か、しかし人件主費だけでなく人件副費、つまり通勤手当、保険、厚生年金とかはそれにプラスされる。とても出せんな」

山田危機管理監 「佐藤議員たちにも聞き取りしましたが、大きな問題の対策は実施段階に入っているので、リーマンショックも総選挙も地震も彼がいなくても大丈夫とのことですが」

森官房長官 「本当にそうなのかな。私には自信がない」

結局、大泉首相に報告し決裁してもらうことになる。






数日後、首相官邸である。


大泉首相 「うーん、いつかは来るとは思っていたが、とうとう来たか。
彼も定年前に身の振り方を決めたいのも当然だな。何も手を打っていなくて定年で放り出されても困るだろう。
私は東日本大震災の決着がつく2012年くらいまでは置いておきたいが」

森官房長官 「彼は今55歳、2012年となりますと62歳になります。普通定年は60歳ですから既に引退している年齢ですね。
正攻法なら彼を党職員として雇用するしかありません。しかし党職員でも定年は60歳ですし、年収は正規職員でも750万はいかないでしょう。
私が雇用するとしたら、企業の嘱託の賃金でさえ払えませんよ」

大泉首相 「すまん、この場では決定できないな。
山田さん、派遣元の吉宗機械の人事に当たりと話をしてみてくれないか?」

山田危機管理監 「分かりました。なるべく現状のように100%派遣元負担で従来通り政党に派遣してもらうということですね」

大泉首相 「それが理想だが、条件を交渉してほしい。こちらもフルタイムでなくても良いとか、いろいろ譲歩できることはあるだろう」

山田危機管理監 「承知しました」





握手

数日後、今度は山田が下山を訪ねた。
お互い面倒は嫌いで、理屈をこねるのは得意だ。
しかし30分もかからず交渉は合意に至った。
どんな話になったのか?





10日後、佐川は下山人事部長に呼ばれた。
大手町の本社まで地下鉄で6分、勤め先はそれぞれ駅から歩いて4・5分だからオフィスから昼飯を買いにコンビニに行くのと大して変わらない。


下山 「君の行先は決まった。君も我々も内閣官房も満足という素晴らしい解だ」

佐川真一 「その口ぶりでは奇手か秘策か、とんでもないことでしょうね」

下山 「いやいや、きっと君も気に入る。
ええと今日は2005年10月17日だ」

佐川真一 「以前の日本なら小泉首相が今日、靖国参拝して、中国は大騒ぎしました」

下山 「こちらの歴史では、靖国参拝しなくても中国は騒いでくれる。
ええと、来月16日付けで人事異動を発令する。16日で君の出向を解除し、17日から新職場で仕事をしてもらう。
異動先は本社だ、ここに戻ってきて経営企画室勤務とする」

佐川真一 「経営企画室とは、私の資格や経験で務まるものでしょうか?」

下山 「経営企画室といっても、している仕事は人それぞれだ。中長期計画といっても元々そんなことを専門にする部門も固有のスキルもない。
星山
星山室長

経理とか営業とかしてきた経験から、製品や事業の分析をしたり将来を予測したりしているわけだ。

君が品質保証のプロというなら、現在の品質保証体制の問題点とか、あるべき姿の提案はできるだろう。

ところで君が出向したときは中山さんが室長だったが、彼は昨年6月、取締役を退任して、今は経営企画室顧問になっている。
今の室長は元監査部長の星山さんだ」

佐川真一 「星山さんは結構なお歳と思っていましたが?」

下山 「見かけはそうかもしれないが、中山さんよりはるかに若く、君より二つ三つ上だよ。
話は戻るが今日は17日、まだ転任の挨拶とかされると支障がある。正式な内示は今月末の28日になる。挨拶はそれ以降にしてほしい。
内閣官房の山田さんに挨拶するのもそれ以降にしてください。人事異動は辞令が出るまで確定しないのが定説だ。
今日は君から出向から戻りたいと頼まれていたので、その検討結果の通知だ」

佐川真一 「ありがとうございます。これから仕掛かり仕事の完成と引継ぎの準備をしておきます」




下山から異動の話を聞くと、心機一転という感じがした。同じ仕事は5年が限度だろう。惰性でするよりチャレンジしたほうが面白い。
内閣官房に戻っても自分の小部屋には誰もいない。とりあえず2006年のイベントと対応策はまとめておこう。11月末までと考えていたが半月早めないと間に合わない。

これからの10年のシナリオを描くのが最後の仕事だ。採用しなくても種々条件とか発想の参考になるだろう。




10月28日朝から本社に行って下山人事部長ではなく、人事部次長から辞令を押し頂く。
その足で経営企画室に顔を出し、星山室長と中山顧問に挨拶する。
星山室長と話をするのは、不祥事防止の遵法監査(第131話)をしたとき以来である。


注:ところで辞令とは、どういうものなのか?
私が現役時代、工場内の異動、昇格、昇進、降格、転勤、転職など10回以上あったが、いずれも何ももらわず口頭で言われただけでした。
はてな? 果たしてそれで良いのか? と調べた。

国家公務員は文書によって人事異動を通知すると決まっているそうです。地方公務員は自治体によって文書アリとなしといろいろだそうです。

そして民間企業ですが、辞令とは人事異動、昇進、降格を通知することであって、法で方法の決まりはないそうです。

通知方法は、紙による辞令、イントラネットに掲示、人事部や上司が口頭で伝える、など会社が決めれば良いらしい。
民間企業の多くは口頭の通知らしい。(調べたわけではありません)

ドラマや小説で賞状のような辞令を押し頂くのは、視聴者や読者がその場面を見ただけで人事異動したと伝わるからだそうです。


経営企画室という組織には40人ほどいるはずだが、机はそれほどない。事務所も40名は入れない。聞くと20数名は兼務者で、専任は20名弱だという。
自分の仕事とかを知りたくいろいろ質問するのだが、二人にも、突然、下山取締役から話があったところで、担当業務はまだ未定と言われてお終いだ。




佐久間さん
佐久間さん
私は一度しか登場し
てないのよ(第46話)

経営企画室をそうそうにお暇して、名目上在籍している環境部に顔を出す。
古巣とは言え、ここももう自分が出向する前からのメンバーは庶務の佐久間さんくらいしかいない。
環境部長に挨拶しようとしたら、私の姿を見て出かけて行ったと!
佐久間さんと話をしても、思い出話しかない。
ここも早々にお暇する。




戦友、山口は今、古巣の生産技術に異動していた。今彼は、ISO認証については佐川の後を継いで権威者と言われている。
ただ仕事はISO認証から、ISO返上に変わった。

山口
山口

ISO返上とはなにか?(笑)
山口のアイデアから始まったのだが、当社はISO規格を十二分に満たしているはずだ、ならば認証はすることはない。基本的に認証を止めよう。
客先から認証を求められたら(法規制で認証は強制できないが、商売上やむを得ないなら)、そのときだけ・該当部門だけを認証するという方法である。

これはおかしな話ではない。
昔々のこと、1992年頃だったと思う。イギリスに輸出するにはISO9000s認証が必要という時代があった。
EU統合の際にISO9000s認証を求めたのは、その拡大版というか式の変形である。
これは向こうの法規制だから輸出するには認証するしかない。だから対象品の輸出が終われば認証を返上するのもまた道理である。


品質保証体制や環境管理体制を確立する(●●●●)のは、好む好まざるに関わらず今の時代は常識だ。だがISO認証する(●●●●)か否かは、対外的に必要か否かであり無条件に必須ではない。
取引先から求められたら認証して、取引が終われば返上するのはおかしくない。なにせ年に100万とか300万とかかかるのだから。

とはいえISO認証しているとカッコいいのか格調高いのか、認証が不要でも毎年上納金を払っている会社は多い。
厳密に言えば背任ではなかろうか?


山口に会うとさすが貫禄も付いた。名刺も課長となっている。マスターとはいえ40歳で課長なら立派である。
10分ほど雑談して別れた。

山口 「佐川さんが本社に戻ると噂が流れていますよ」

別れ際に言われて言葉を濁しておいたが、本社では人事異動は秘密でないのか?




次は未来プロジェクトに顔を出す。部外者立ち入り禁止という佐川が付けた看板が今もドアにかかっていた。
自分も出向前は未来プロジェクト兼務だったし兼務解任された記憶がないから、関係者だろうと気にせずにドアを開ける。

伊達隼人
伊達

以前から変わらぬ小部屋に伊達はいた。
壁には模造紙が何枚も貼ってある。近づいて見ると2006年の出来事が縦方向にあり、横方向には実施事項と月日、担当、が書いてある。
メンバーの名前は見覚えのあるものもあるし見知らぬものもある。

佐川が部屋を眺めているのを黙って見ていた伊達が、給茶機からコーヒーを注いで持ってきた。


伊達隼人 「佐川さん、座ったらどうです。あまりにも真剣で声掛けできませんでしたよ」

佐川真一 「3年ぶりですね? 今、未来プロジェクトは何してるんですか?」

伊達隼人 「まず仕事の内容が変わった。今は未来プロジェクトというよりもシンクタンクという感じかな。さまざまなこと、開発や投資とか採用とか、そういう計画の見通しとか損益計算の検証するのが仕事になってきた。

我々が企画するのでなく各部門が企画したことを、未来情報を基に評価・検証するという感じだね」

佐川真一 「最近の課題は何ですか?」

伊達隼人 「リーマンショックのダメージをいかに緩和するかだね」

佐川真一 「策はありますか?」

伊達隼人 「世界恐慌をなくすなんて無理、なんとかして、日本を円高から救えないかと考えている」

佐川真一 「方法は?」

伊達隼人 「リーマンショックを聞いた人の多くは、為替介入と金融出動しかないというね。
消費税減税も効果があるでしょうけど、財務省があるから無理。
だけど最近の指標を見ていると面白いことに気付いたよ」

佐川真一 「面白いこととは、なんでしょう?」

伊達隼人 「東日本大震災対応だよ。福島第一の防潮堤だけで400億、非常用発電は新規と同じくらい金をかけている。
それだけじゃなくて、東北地方の原発すべての地震と津波対策の工事、その他の原発の防潮堤工事、非常用電源の見直し、全部合わせると2,200億はいく。

そうそう佐川さんの住んでいる千葉県でも命山(いのちやま)とか津波避難タワーの建設が20カ所はあるでしょう。それからビルや一般家屋の耐震工事、避難場所の整備など東北から房総半島にかけてスゴイ予算が付いてます。

インフラでは国交省と各自治体が空港や沿岸などを結ぶ道路の、新設から幅員拡大などに投じているお金も巨額です」

佐川真一 「へえ、そうなの?」

伊達隼人 「佐川さんは細かいことまではご存じないかな?
国も自治体も被害を少なくすることはほぼ終わりました。今、国と各自治体が手を打っているのは、復興のためのインフラ整備ですよ」

佐川真一 「復興のため?」

伊達隼人 「原発事故のとき活躍したのが福島空港です。東京と近いため羽田と福島は路線がありませんでしたが、新幹線が動かないですから臨時便が飛びました。なによりも原発の事故対策のための人員、機器運搬がありました。

それで今は地震からの復興に備えて空港と原発の間の道路整備ですね。予定ではまだ先だった”あぶくま高原道路(注1)は7年早く作られましたし、高速の終点から原発までの県道が整備中です」

佐川真一 「完全に大地震対応ですね」

伊達隼人 「その結果は、分かるでしょう。景気回復です」

佐川真一 「ごめん、そういうことまで気が回らなかった」

伊達隼人 「経産省や総務省はしっかり把握していると思いますよ。
経済成長率は1960年頃から50年間、下がる一方でした(注2)バブル以降は輪をかけて・・・
佐川さんが出向する前から経団連に原発の耐震・津波対策を要請していました。

その効果か2002年から経済成長率が上向いてきています。
2003年は当初1.9%見込みだったと思いますが2.6%でしたし、2004年は3.4%、今年は4%以上を期待してます。

高度成長期でもなければ4%成長なら御の字ですからね。
ましては地方の公共事業ですからお金は末端まで回りますよ」

佐川真一 「そうなのか、すごいな」

伊達隼人 「最終目的はリーマンショックです。2008年2009年は、世界中ひどいことになるでしょう。
しかしね、家を建てるにしても一朝一夕ではできません。特に市庁舎やアリーナなどは当座は仮ですごし、人々の暮らしが一段落してから本命を作るでしょう。

要するに大地震からの復旧は10年はかかります。長期に渡る復興事業によってリーマンショックも薄まるのではないかと期待するのです」

佐川真一 「なるほど」

伊達隼人 「次なる問題は民衆党が政権をとるかどうかです。
地震対策は選挙に使えません。まだ先で予想の段階ですから。でも景気回復は使えますよ」

佐川真一 「でも地震対策はその場凌ぎのカンフル剤で、効果はすぐに切れると言われるでしょう」

伊達隼人 「自転車と同じで、少しでも回ったら動き出しますよ。そうすればトリクルダウンです。景気は気分でもありますからね。

それから佐川さんは、2009年の選挙で民衆党は公約でなくマニフェストって言ってたね。今、みんなでそれを読んで、対抗するロジックを考えている」

佐川真一 「マニフェストって、選挙前にでっち上げたんでしょう。あと3年くらい経たないと形にならないよ」

伊達隼人 「おやおや、佐川さんじゃなかったの? 民衆党のマニフェスト(注3)の内容を書いたのを我々に配ったじゃないの」

佐川真一 「そういうことあったかなあ~。私はマニフェストなんてもう忘れましたよ」

伊達隼人 「あれを有効活用していますよ。埋蔵金とかおもしろいね」

佐川真一 「私は既に東日本大震災の原発事故防止とか手を打っているでしょう。それが震災や津波に有効なことは確信を持っている。でも、政治的に、どういう影響とか変化があるか予想がつかない。

経緯を知らない人は、被害が小さく済んだことを、民衆党の成果と思うのではないかな?」

伊達隼人 「そりゃキャンペーンすれば良いじゃないですか。
私自身は金品も褒賞もいらない。だけど地震対策の名誉と成果を、民衆党に盗られたくない。

あれは佐川さんの情報、我々の力、政府の活動でできたことを知らしめましょう。広報はドクター・マジックや今村博士に頑張ってもらおう。
彼らの口から、やったのは民衆党じゃなくて、大泉首相とか国交省、自衛隊とか経団連とか力を合わせたからできたと大声で叫ぼうよ」


佐川は伊達の話を聞いてなるほどと思った。
勲章 昔、読んだ本(注4)「勲章をもらうには三つ条件がある、実際に手柄を上げること、生き残ること、そして上官の目に止まること。どれが欠けてももらえない」とあった。
それに照らせば、地震対策は実際にしている、我々は生き残る、そしてその成果は我々が成したと認識してもらわなければならない。そのためには大いに語ろう。
まずは、今、佐川が書いている置手紙は、もっとポジティブに書き直したほうが良さそうだ。



うそ800 本日の思うこと

東日本大震災を思い返すといろいろある。
まず当時勤めていた会社の工場のいくつかが、大きな被害を受けた。そんな工場から悲痛な電話が来た。
電話 工場が地震で崩壊し壊滅状態になり、復旧を考えて工場を見ていたらつぶれた自分の事務所の中にある電話が鳴った。

何事かと瓦礫を取り除き受話器を取ると、認証機関からで「お宅の審査はふた月後ですが、日程大丈夫でしょうか」
認証機関に本社から電話するなと言って欲しいとのこと。
工場の担当者は、回答するのもバカバカしくて、本社から苦情を言って欲しいとのことだった。

あまりのことに受話器を叩きつけたくなった。
実はその前に、地震が起きた後すぐに、認証機関の取締役に電話して、「弊社の工場は多大な損害を受けた。ISO認証などの電話であれば工場にかけずに本社の環境部で受けるから御社内に徹底願う」と要請していた。
なんで大事なことを徹底できないのか?

少なくても相手が受話器を取ったら「大地震がありましたが、お宅はいかがですか?」くらい言えないものか。
社会人だろう、いい歳こいて今までどんな人生を送ってきたんか?

そういうことがあったからISOが下火になったのかもしれんよ
ISO9001の意図はなんぞや?
  顧客満足だ

認証機関から見ると、審査を受ける会社は顧客ではないのか?

「顧客」の定義3.2.4(ISO9001:2015)
個人若しくは組織向け又は個人若しくは組織から要求される製品・サービスを、受け取る又はその可能性のある個人又は組織



<<前の話 次の話>>目次



文末脚注
  1. あぶくま高原道路は矢吹町から小野町まで36kmをつなぐ高速道路である。元々は2011年3月26日開通予定だったが、地震発生のため3月24日に繰り上げ開通した。


  2. 社会実情データ図録 経済成長率の推移


  3. 民主党マニフェスト


  4. たぶんロバート・A・ハインラインの小説だったと思う。記憶力は良い方だったのだが、(よわい)喜寿(きじゅ)ともなると忘却の彼方だ。







うそ800の目次に戻る
タイムスリップISOの目次に戻る

アクセスカウンター