イラク攻撃に反対します(その3)

大量破壊兵器は誰が持っているのか?Stop War Coalition
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劣化ウラン弾廃絶!(→劣化ウラン(DU)とは)
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(18) アフガニスタンのこと

昨日はイラクに戦争をしかけていった理由について書きました。
今日はアフガニスタンに侵略していったときのことを思い出してみませんか。

あの時も、証拠もないのに、ブッシュ大統領は、タリバン政権に、
「オサマ・ビン・ラディン氏を出せ。出さなければ攻撃する。」と無理な要求を突きつけ、そして西部劇を気取って
「Wanted ! Dead or Alive ! (お尋ね者、生死不問)」
として始めた攻撃でした。

それが、オサマ・ビン・ラディンの居所がわからないとなると、マイヤーズ米統合参謀本部議長は、
「我々は、オサマ・ビン・ラディンがこの努力の目標だと言ったことはない。」
と変わり、報道関係者をびっくりさせました。もちろん、私もびっくりしました。

私は、とりわけ、ラムズフェルド国防長官が空軍兵士を「激励」して言った以下の言葉を許すことはできません。
「君たちは自由に狩猟をする権利を与えられている。」

アフガニスタンの人々を、全く人間扱いしていないのです。

パレスチナで虐殺や虐待の非難が高まり、世論を気にした軍がパレスチナ人をもう少し優しく扱うようにというコメントを出したときに、メディアにインタビューされたイスラエルの女性将校が、「パレスチナ人を人間として認めろっていうことね」といった言葉も思い出します。

「一般人民が死ぬのはタリバンが悪いからだ」といういいかたも、今回フセインのせいと言っているのと同じです。

そして、アフガニスタンではいくつも村が殲滅され、バンカーバスターやデイジーカッターなどが使用されたのは皆さんもご存知のことですが、劣化ウラン弾が実に湾岸戦争の2倍以上(650トン)も使用されたという数字があります。

昨年9月の放射能や重金属汚染の調査では、最初に予測されたよりもずっと広い地域と多くの人口が汚染されている可能性が明らかになったそうです。聞き取り調査された家族の多く(30%)は湾岸戦争疾患に類似した症状を示し、乳幼児の25%以上が不可解な病気にかかっていると報告されています。
劣化ウランによる影響が今後この土地を半永久的に汚染しつづけ、人々を殺し、苦しめるのです。この影響はイラクと同じようにどんどん大きくなります。

長い戦争に次ぐ戦争で、とにもかくにもタリバンによる安定が得られた矢先に、めちゃめちゃにされ、たアフガニスタンは、今はまた、治安も悪く、救援物資も届かなくなり、ひどい状況だと伝えられています。しかし、目的は果たされたので、もう忘れ去られかけているようです。

アメリカの民主主義は、どこまで、悲惨な状況の上塗りをしていくのでしょう。

2003.04.06 ヤスミン植月千春

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(19) 計画的な戦争

昨日のアフガニスタンのはなしから続けたいと思います。

多くの資料が出ていながら、わたしが知ったのはそれほど前のことではないことのひとつですが、アフガニスタンへの攻撃は、前々から計画されていたという事実です。

アメリカは、中央アジアから北部アフガニスタン、そしてパキスタンを経由してアラビア海に搬出するパイプライン計画を進めていました。しかし、話し合いにおいてはタリバンの協力を得られなかったために、アメリカは、タリバンを攻撃することを決めました。これは、あの不可解な9.11の「同時多発テロ」の1ヶ月前のことです。

なんとも都合よく、そこへ9.11のあの同時多発テロと呼ばれた事件が起こりました。この日は、戦闘機が緊急発進するのに30分もかかったり、直近の空港からではなく遠くの基地から発進したりして時間がかかるなど、なぜかこの日に限って防空体制が極端に弱体化したということです。国防総省には大きなボーイングが突っ込んだはずなのにその機体のかけらも示されず、大きな翼が当たったはずの柱も無傷で残っています。他にも不思議なことが盛りだくさんですが、政府はさっさとこの事件に関する調査を打ちきって、戦争に向かいました。

そして、1ヶ月も経たないうちに、準備万端ととのえて、オサマ・ビンラディンを賞金首とし、テロへの闘いを口実にした一方的なアフガニスタンへの攻撃を始めました。そして、タリバンを壊滅させたあとに、大統領に据えたのはカルザイ氏です。この人は、なんと、1995年からこのパイプライン計画を推進していたアメリカ石油メジャーのユノカル石油の最高顧問であった人です。まったく開いた口がふさがりません。

首尾良く、アメリカは、予定通りパイプラインの構想を動かし始め、莫大な利益を得ることになります。 民衆などは何人死のうが、湾岸戦争と同じく、アメリカの関心事ではありません 。人道支援は国連などに任せるとのことです。アメリカの行った人道支援は、戦争中に爆弾と同じように食料を人民の上に降らせたことでしたが、これで押しつぶされて死んだ人さえいると報道されていました。

今後アメリカは、アフガニスタンでも、傀儡政権が倒されないように、適度に爆撃や軍事支援を継続して行くでしょう。
アメリカは世界130カ国に軍隊を置いていますが、同じようなことを行ってきています。

結局終わってみれば、アフガニスタンに、言うことを良く聞く政権にすげ替えることがアメリカの目的だったことが良くわかります。

無理な言いがかりをつけ、「正義」を口にしながら、一方的に攻撃を開始する。
普段は農民であるような兵隊を皆殺しにし、多数の市民を犠牲にする。
放射性物質や重金属汚染で人や土地を破壊しほうだいです。

戦後の人道支援は国連などに任せ、莫大な経費は米国民や支援国民に負わせます。

そして、これによってもうけているのは、ブッシュ政権を担ぎ上げているエネルギー産業や軍需産業です。

今アメリカがイラクで行っていることも、まさしく同じではないですか。
何と理由付けようと、目的は最初から明らかです。

バクダッドを包囲した今、ニュースでアメリカの政府高官たちは、攻撃に踏みきる最後の根拠であった大量破壊兵器がみつからないことや、フセイン大統領の生死などの、「大義」はあとまわしでよい、勝利すればどっちでも良いというような本音を「堂々と」述べています。

今は、戦後の分け前にあずかろうと攻撃支持にまわる国が出て来たり、分け方などでもめはじめています。醜いことです。もちろん、仲良くわければよいといっているのではありません。


次はどこが攻撃の順番になっているでしょうか。「長い戦争」のシナリオは、すでに決まっているのでしょうか。

こんな計画的な戦争をゆるせますか?
こんな非道な、人殺し、破壊をゆるせますか?

こんな戦争を見過ごすだけでなく支援するような日本政府に、日本人の一人として抗議せずにはいられません。

人間のひとりとして、アメリカ政府・イギリス政府に抗議せずにはいられません。


2003.04.07 ヤスミン植月千春

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(20) 過去が嘘なら、未来だって嘘

土嚢を積んだ中に、そのあたりの市場からそのまま来たようなおじさんたちが機関銃をもって進入軍に抵抗しようとしている映像をテレビで見るたびに、あらたな怒りが込み上げてきます。
Tシャツを着て何の装備も無いイラク兵が、投降したと報道されるたびに怒りがこみあげてきます。
彼らはイラクで生まれ、ずっとイラクで生活してきたのです。

フセイン政権がどうであれ、何とかそこで暮らし、日々の生活を営むしかなかった人たちです。
自分の贅沢のために、他の国のものを略奪することなど夢にも考えつかないような人たちです。


そういう人たちが、連日、超軍事大国の最新鋭の兵器によって無慈悲に殺されているのです。
査察によって兵器を破棄させられ、軍備で自国を守ることの出来なくなった人たちを、新兵器を自慢しながら、フセインが悪いというひとことで虐殺しているのです。

市街地が瓦礫の山になり、妻と娘を探しておろおろと泣いている男性の映像が流されていました。
ひどい、かわいそうに、とは誰もが思うことでしょう。
でもこれが、東京やニューヨークで起こったことだとしたら、ひどい、かわいそうで済むのでしょうか。
あまりの不公平さに言葉もありません。
イラクで大量破壊兵器が見つからなくても、もうどこの国もアメリカを非難したりはしないのでしょう。

こうなってしまったのだから仕方がない、と・・・。

アメリカ政府はイラクに戦争をしかける数箇月前から、戦後統治の人選などを決めていました。
数箇月前といえば、イラクが戦争をさけようと、必死で査察を受け入れていたころです。
アメリカにとって、イラクが査察を受け入れようが、受け入れまいが、そんなことはどうでもよく、彼らの描いた青写真がそのまま実行されるスケジュールをただただ実行したのです。

アメリカが暫定政府統治者に据えようとしているジェイ・ガーナー退役少将とは、親イスラエル色の強い人として有名で、アメリカの「国家安全保障問題ユダヤ研究所」と関連が深い人物だそうです。そんな人をイラクの人々がうけいれるとは思えません。アメリカはイラクをどのように利用しようとしているのでしょうか。

小泉首相は「はやく終わってほしいですね。」と、インタヴューに答えていました。
工事ではないのです。これは虐殺以外のなにものでもないのです。
早く終わって欲しい・・というのはどういう意味なのでしょう。

いやなことは早く終わってもらって、戦後に力を発揮しよう、ということなのでしょうが、なぜ今行われていることに、目をとじることができるのでしょう?

南京大虐殺のように、すんでしまえばなかったことにして、未来をめざそうというのでしょうか?
過去のつみかさねがなければ、未来なんてないのです。
過去を嘘でぬりかためれば、未来だって嘘でつくりあげられていくのです。
暫定政府をつくりあげてから、ゆっくり大量兵器を探す、と報道されていますが、そうなるとどういうでっちあげでも可能でしょう。

小泉首相は「大量破壊兵器はいずれみつかるでしょう」と言っていました。
大量破壊兵器の存在の根拠を何ももたない首相が、なぜ、そんなことを無責任に言えるのでしょうか?
全てを虚偽で塗り固め、世界を納得させることは可能なのかもしれません。

でも私は信仰する者として、彼らは神の名を語って神を冒涜した恐ろしい罪から決して逃れることはできないと信じています。
世界にはまだ人間の心をちゃんと持っている人たちがたくさんいるのです。

2003.04.08 ヤスミン植月千春

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(21) ことばの羅列

一日遅れになりますが、昨日の夜のニュースから。

アメリカは、1トン爆弾4個を、市街地の人口密集地帯に投下しました。

がれきの山と化した建物の下には何人の人々が埋まっているかわかりません。
会合が行われていたという情報があったというのです。
これがアメリカの正義です。

一転してブッシュ大統領とブレア首相の会談後の発表

「我々は素晴らしい成果をあげています。
バスラの人々の喜びの表情を見ましたか?
我々は大量破壊兵器を武装解除するという約束を成し遂げます。
そして、イラクの人々をフセイン政権から解放します。
我々はイラクの人々の命を助ける、という大業をやっているのです。」

これはブレア首相の演説です。
このあと彼はブッシュ大統領と感極まったというように顔を見合わせ、我々はなんという良い人間なのだろう、という表情には幸せが満ち溢れているように見えました。

それを受けてのブッシュ大統領。

「ブレア首相は信念のひとです。
これほどの協力者を私は他に考えることができません。
我々は手を取り合って人権を推進し、人間の尊厳を世界中に示し、国際社会の要望を広めていきます。
アフガニスタンでやったように、正義の政府を作り出すのです。
大きな勇気と人間の力をもって戦います。
そのために我々は犠牲も強いられました。
命を落とした同胞のために、祈りを捧げます。
イラクの残忍な性質があきらかになりました。
イラクの罪のない人々を守り、今からイラクは自由になるのです。
本当の自由とはなにかがバスラの解放によって、人々はわかり始めています。
これからのイラクはイラクの人々がつくるのです。
イラクにはそのような人材がたくさんいます。
イラクはこれから民主主義にむかってあるきだすのです!」

言葉が意味を喪失し、コミュニケーション自体が成り立っていかなくなる。そういう時代に向かっているのでしょうか。
とても自分の口から本当のことを言えない、でも現実はこれで良いと認めてしまっている確信犯ばかりなのでしょうか。

民主主義や平和主義や良心というのは掲げるものであって、守るものではないのですか。

子供に説明することはもう不可能に思えます。

私自身も言葉を羅列するのがとても無意味に思えてきています。

2003.04.09 ヤスミン植月千春

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(22) バグダード陥落?

テレビのニュースで、フセイン大統領の像がアメリカ兵とバグダット市民によって引き倒され、民衆が歓喜している映像が流されていました。それを見ながら私は涙がとまらず、心の中に虚無感がおしよせてくるのを感じていました。
この戦争はなんだったのか・・どうやって始まったのか・・どれほどのイラクの人たちが犠牲になり、またこれからも犠牲になり続けていくのか・・そういった思いが一晩中悪夢のモザイクとなって、襲ってきました。

見せかけの一方的な映像を「バグダード陥落」の象徴とし、人々の目に歴史的な出来事としてやきつけることをひとつの区切りとして、スケジュールどおりの「戦後」を作っていく。
まるでこれまでずっと続いてきたイラクの人々の「死」は、この映像の裏にぬりこめられていくようです。
今までのことはなかったこととして、新しい未来にむかってすすもうではありませんか!・・・と。

劣化ウランによる放射能被害で苦しみつづけてきたひとたち、経済制裁による水や薬の不足ですでに未来をうばわれているひとたちがたくさんいます。
一体だれのための未来なのでしょう。
生き残った、これからアメリカのいう民主主義に従順に従えるひとたち・・にたいしてでしょうか。
私はアメリカの政策のなかに、イラクのひとたちの人権を守ることなど盛り込まれてはいない、と考えます。

ブッシュ大統領は先日の会見で、パレスチナ和平についてふれていました。
今まで一度もパレスチナの側に立ってものを考えたことのない彼のいう「和平」は、イスラエルにのみ都合の良いものであることはまちがいないところです。

先日も書きましたが、イスラエルのロビー団体と非常に深い関係にあるガーナーという人がイラク統治責任者に就任ということになれば、アメリカは本当にイラクを不安定な状態なままおいておき、中東をますます不穏な地域にさせ、あちこちにテロを広めていきたいのだとしか考えられません。

中東を力でおさえつけ、どんどんテロを助長させる政策をとることで、「テロ撲滅」という大義名分を十二分に活用し、アメリカに批判的な国々をどんどん潰していく。
アメリカの戦争対象リストは世界22カ国にものぼっているといわれています。
いままでもそうしてきたのですが、毎年毎年、でも、このイラク戦争を機にもっと堂々と、公共事業のように、今年はこの国、来年はあの国・・・というふうにアメリカにとって不都合な国をつぶしていくスケジュールなのでしょう。

それはいつまで続くのでしょう。

私がこの世界での生を終えるまでずっと続くことを考えるとぞっとします。
どうすればこのような横暴をとめることができるのでしょう。
今、わたしたちにできることはなんなのでしょう。
今、今、今の積み重ねなのですから・・・。

またひとつ、あってはならないことが起こってしまったのです。
この戦争は終わった、と考える人もいるでしょうが、私にはこれから延々と続く、アメリカが必要としている対イスラームの戦争の始まりにすぎないとしか思えません。

私は平穏に音楽をやっていたいのです。
自分の感性を音で表現することで、自分も幸せで、まわりの人々にもすこしでも幸せな気分になってもらえれば、それがわたしにとって最高の日常であるのです。
前にも書いたように、政治について考えたり、関わっていくことは私にとってはストレス以外のなにものでもありません。

でも私が政治と関わりのない世界をこの世界で見つけることが不可能な以上、関わっていくしかないのです。
私は修道院で暮らしているわけではないし、イスラームはそのような生き方を否定しています。
なにも考えないで、天職であると信じている音楽だけをやり、クルアーンを読み、お祈りする生活ができればどんなにいいでしょう。

こんなことは、爆撃のしたにいないから言えることなのだとわかっています。
私はアメリカ型の民主主義のなかで、守られてものをいっているにすぎないこともわかっています。

それでも言いつづけるしかわたしには抵抗する手段がありません。

私は今までに、これほど自分自身の心と戦わなければならないと思ったことはありません。
これから今までの秩序が崩壊していくなかで、しっかり今おこっている出来事から目をそらさない勇気と、判断することを放棄しないでいられるだけの知識を神様が与えてくださいますように、と祈らずにはいられません。

神を信じ、お祈りをし、クルアーンを読むすべてのイスラームのうえに平安がありますように。

2003.04.10 ヤスミン植月千春

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