Julie Hardy: A Moments Glance - New York で注目の新人Jazzシンガー

New York のライブハウスで注目を集めている新人 Jazz VocalJulie Hardy のデビューCD "A Moments Glance" を紹介します。彼女は、New Hampshire で生まれ9歳からクラッシックピアノを習い始めました。高校生の時にピアノを一緒に習っていた同級生がスタンダードナンバーを弾いたのを聴いてジャズに傾倒し、やがて作曲もするようになったとのことです。University of New Hampshire でクラッシック作曲理論と声楽を学んで1999年に同大卒業、その後、ボストンにある The New England Conservatory of Music の大学院に進み、2001年にJazz Performanceの修士課程を卒業しています。最近は、もっぱら New York をベースに、CDでも共演しているピアニストの Randy Ingram と二人三脚でライブ活動を続け、その新鮮な演奏スタイルが注目をあつめています。

デビューアルバムは、Randy Ingram を中心としたピアノトリオにテナーサックスとトランペットの二管を加えたバンドをバックにJulieが歌うという編成です。全六曲のうち四曲はスタンダード、二曲は Julie のオリジナルナンバーです。またオリジナルも含めて五曲は Julie が編曲をしています。ボーカルは、ややハイトーンで繊細な声質が特徴です。歌い方も、黒人系のようなソウルフルにコブシをまわすわけではなく、とても淡白かつ知的な響きがします。

編曲の方は、モード奏法が随所に出てくるようなクールジャズ系です。アルバムジャケットを見て「甘口」な音を予想すると見事に裏切られます。アルバムの一曲目は、ビートルズの名曲
"And I Love Her" をカバーした "And I love Him" ですが、原曲の面影があるのはメロディラインだけで、ハービー・ハンコックの「処女航海」にボーカルが加わったようなアレンジに仕上がっています。他の曲も一貫して都会的で端正なサウンドで統一されていて、ソウルフルなJazzとはまた違った新鮮さがあります。New York Jazz Club で演奏されるちょっと緊張感のあるクールジャズの雰囲気を感じてみたい方におすすめの一枚です。

Julie Hardy: A Moments Glanceの収録曲
1. And I Love Him Lennon/McCartney (arranged by Hardy)
2. No Turning Back Julie Hardy
3. My Romance Rodgers/Hart (arranged by Hardy)
4. It's Alright With Me Porter (arranged by Hardy)
5. Haunted Heart Dietz/Schwarz
6. Growing Julie Hardy
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