序論・随想  らくな泳ぎの基本  らくな4泳法  楽しい泳法  泳ぎの理論  身体に故障がある時

1 還暦すぎての楽々スイミング


1.1 身体的特徴と水泳


1.1.1 身体的特徴と個性

この世には、泳ぐために生まれてきたような人もいる。例えば、かつて、身長2m近く、足の大きさは35cmもあるオリンピック選手がいた。さしずめ、彼は、速く泳ぐために生まれてきたような人といえる。背が高く、身体も柔軟であり、手足もヒレのようだ。

体格に恵まれれば欲もでてくるのであろうが、速くなくてもいい、泳ぐのが好きという方もいるだろう。反対に、泳ぐのはつらいという方もいる。鼻や耳に水が入って嫌だという方も多い。

単に水泳に慣れていないというだけなら良いが、私の妻などは、手の平がボロボロになって痛痒い難病を抱えており、かわいそうなことに、水仕事や、プールに漬かったりすると、これがひどくなって、どうしようもなくなる。そうなると、とても泳ぐどころの話ではない。


  • 挙手可能角度
  • 私個人のことでいえば、肩関節の柔軟性に欠けており、直立して腕を、真っ直ぐ上に挙げようとしても、天頂の方向、つまり、左図のように、Bの位置までは上がらず、Aあたりで留まってしまう。それに、ひどく肩周りが疲れる。だから、ヨガなども苦手だ。また、足首の関節も固いので、バタ足をしてもあまり前に進まない。それゆえ、私は、既存の水泳スタイルには馴染めないし、さほど速くも楽にもならない。要するに、私の身体は競泳スタイルには向いていないのだと思う。

    私は、もう還暦を過ぎたし、水泳の研究を始めたのも最近である。私は競泳をしたいわけではないのだ。もしかしたら、それは「すっぱい葡萄」なのかもしれない。つまり、もし、速く泳げたら、マスターズ大会に出たくなるのかもしれない。

    しかし、今のところ、そのような大会に出たいとは思っていない。

    競争というのは、自らの限界に挑むことであり、オリンピックでも何でも、限界に挑む姿は、見ている分には面白い。しかし、いざ、自分がやるとなれば、何か犠牲にしなければならないことも出てくるだろうし、何より、健康のために良いとは限らない。

    話を戻そう。競争はともかくとして、運動をするに際して、多かれ少なかれ、人は、さまざまな身体的特徴を持っている。

    誰しも、怪我や障害といったような名をつけようがつけまいが、また、表面的にそれが見えようが見えまいが、さまざまな身体的特徴はもっているものだ。しかし、それは、単なる個性にすぎないのだと私は思う。

    事故で片腕を失った方。病気のために、半身が動かなくなった方。片腕や足が動かしにくいとか、首が回りにくいとか、そもそも、どこかが痛いだとか、いろいろな方がおられる。原因も先天的なものもあるし、後天的なものもあるだろう。

    物理的な形や可動域に限らず、精神的なものもある。

    大体、「正常な」という概念は怪しい。正常な身体とか、正常な精神というものは定義できるものでもないし、また、定義する必要もないと思う。

    「平均的な」という概念だってそうだ。平均的な身体というものもない。もちろん、一定集団における平均身長や平均体重といったものはある。しかし、例えば、平均的な視力ということになると怪しい。見え方というのは、視力検査ですむ問題ではなく、見るものにもよるし、見るためには脳での判断を伴うものだからである。

    ましてや、平均的な精神力とか、平均的な集中力など。あるはずもない。

    だれでも、みんな、心に、身体に個性を持っているのだ。


    1.1.2 個性と水泳

    「水泳をしたい」のであれば、その目的は、何であってもよい。

    泳げばよい。ただし、公共プールやジムのプールでは、ある程度、他人の運動の妨げにならないようにしたいものだ。

    ゆっくり泳いで、壁際でゆっくり休むのもよい。

    その場所でのルールを守って、一方通行を守り、お互いに隣の人の動きに邪魔にならないように泳げばよい。

    だから、泳ぐスピードだってそんなに気にすることはない。

    でも、おそらく、多くの方は、楽に泳ぎたい、そして、できれば、そこそこ速く泳ぎたいと思っているのではないだろうか。

    あるいは、自分の決めた時間、ジョギングのように継続して長く泳ぐこともしてみたいと。

    人によっては、リハビリの目的があるかもしれない。人によっては、陸での運動に支障があり、膝や肘や、どこかに痛みがあるのかもしれない。

    しかし、どのような個性を持っているかにかかわらず、ほとんどの方は、いわゆる、一般的な4泳法といわれる、クロール、平泳、背泳、バタフライのどれかを無理して泳いでいるように見える。いわゆる、水泳スクールで教えている泳ぎ方だ。

    別に、それを、とやかくいう気は全くない。しかし、もっと自分の個性にあった泳ぎがあってよいのではないかとも思う。

    そもそも、人のもつ個性は、時につれ、状況により、変わっていくはずだ。

    例えば、私自身、かつて、肩を故障したり、怪我をすることもあった。

    思えば、私が水泳を健康のための運動として取り入れたのは、故障した左肩を治したいがためであった。水泳は無理のない運動として治療に適当だと考えたからである。そして、泳ぎながら、痛くない範囲で動かし、1年かけて肩を治した。

    しかし、必ずしも、痛いときに、思うようには動かせるわけではないし、動かさないほうが良いときもある。

    だから、例えば、片腕の動きに支障があったり、痛みがある場合や、足に麻痺がある等々、一般の4泳法で泳ぐのには支障があるときもある。

    でも、大丈夫なのだ。基本原則に則って考えれば、自分に合った泳ぎを自分で開発できるのだ。

    例え、片腕が動かなくても、充分、泳げる。足が動かなくても、殆ど問題なく、泳ぐことができる。

    問題があるとすれば、おそらく、例えば、腕等が単に動かないというだけでなく、その原因を含めて、もっと内奥に潜むものが、泳ぐ際にどう作用するかということだ。しかし、それは、個別の問題になってくる。

    個別の問題は想像するしかないが、このサイトでは、四肢を一応動かせる人でも、もう少し楽に泳ぎたい、あるいは、長く泳ぐことができたらなどと思っている人や、肩があまり上まで挙がらない人、片腕だけや、半身を使って泳ごうという人を想定し、従来の泳ぎ方に囚われない、新しい泳ぎ方を紹介していこうと思う。


    1.2 還暦すぎての健康スイミング


    1.2.1 健康のために始めた水泳。できれば、楽に、長く泳ぎたい

    あくまで、健康目的で、有酸素運動として、長く、ゆったりと泳ぎたいと思うのであれば、誰しも、自分の身体に合った泳ぎかたを工夫しなければならないのではないかと私は思っている。

    なぜならば、個々の身体には個性があることはすでに述べたとおりであるし、そもそも、泳ぐ速さに応じて、効率的な泳ぎの形も変わってくると私は思うからである。

    たとえば、プル(腕のストロークで引くこと:腕で水を後方に掻く動作)をするとき、最初に、前方に伸ばした腕の力を抜いて、水流に少し逆らって水の塊をとらえる動作がある。これをキャッチというが、これは、泳速によってその効果も異なるので、必然的に、そのやりかたも変わってくるはずだ。また、プルの形も、オリンピック選手の動作を真似ても、身体も体力も違い、泳速がまるで違うのであれば、多分、うまくは行かない。個々人の持つ水泳の目的や、個性や、体力によって、やはり、泳ぎ方を工夫することが必要なのだと思う。

    人は、十人十色。関節の可動域だって同じではないし、筋力もさまざま。ましてや、怪我をしていたり、先天的な特徴や、病気があれば、なおさら工夫が必要である。

    誤解があると困るが、私は、競泳スタイルを否定しているのでは全くない。より高速な泳ぎを目指す人は、限りなく競泳スタイルに近づいていくであろうし、なおかつ、そのスタイルがラクなのであれば、それで全く問題がないのだ。しかし、健康のためや楽しみの水泳を目的とする方には、泳ぐスタイルの選択肢が、実は、豊富にあるのにもったいないなと思っているだけである。

    それゆえ、最初に断っておくが、このウェブサイトは、疲れても良いが速く泳ぎたいという人を対象としていない。同じエネルギーを使っても効率の良い、楽な泳ぎや、楽しい泳ぎをしたい人のためのものである。



    1.2.2 楽に、優雅に泳ぎたい。でも、できれば速く。

    もちろん、遅くて良いのであれば、様々な泳ぎ方があるだろう。しかし、できることなら、そこそこ速く泳げるようになりたい。だから、誰しもそう思うかも知れないが、らくで、かつ、速く泳げるようになりたいと私は思う。

    しかし、今、仮に、25mを50秒で泳いでいるとして、これを、同じ泳ぎで、35秒に縮めるためには、理論的に、2倍以上のエネルギーが必要だ。

    還暦過ぎて力をつけるのは、若い時のようにはいかない。筋力を維持することさえ大変なのだ。それゆえ、これまでの体力で、より速く泳ぐためには、効率の良い泳ぎを目指すしかない。泳ぎ方を改造すれば、50秒を35秒に縮めるのは、筋力増強に比べて、はるかに簡単だし、満足度も高いに違いない。

    それゆえ、これまで、私は、自分の身体に合った効率の良い泳ぎを研究してきた。そして、これまでに一定の成果を得てきたと思っている。冒頭に述べたように、私は、競泳を目指してはいない。だから、速くといっても、あくまで、「そこそこに」である。

    「そこそこ」というのは、私の身長は163cm程度であるが、これから紹介する、どの泳法においても、継続的に泳ぐ場合、およそ、25mを35秒前後で、あるいは、30〜40秒の緩急をつけて、楽に、ゆったりと、静かに、毎日1〜2kmを泳ぐといった程度である。

    私は、泳ぎを研究すること自体にも興味を持っており、それも私が水泳を継続する、ひとつの力となっていることを付け加えておこう。

    これから、さらに歳を重ねても、健康のため、無理のない趣味の水泳を、続けていくことができれば本望だ。

    このサイトでは、これまでの成果として、私の工夫した泳法やオリジナル泳法の主要な部分を紹介する。しかし、それらは、私が創意工夫したものとはいえ、既存の泳法や他人の泳法をくまなく調査したわけではない。当然、同じような泳ぎが既にあり、名称も定まっているものもあるかもしれない。もし、そうであれば、それについては、ご容赦願いたい。もっとも、厳密に言えば、誰しも、その人独自の泳ぎ方をしており、全く同じ泳ぎしている人はいないはずであるが、私としても、自分の泳ぎの独自性を、ここで主張したいわけでは毛頭ない。ご興味を持たれる方がおられれば、その参考になることを願っているだけなのであるから。


    1.3 らくらくスイミングの「そこそこ」の程度とは


    私は、これまで、既存の4泳法(クロール、背泳、平泳、バタフライ)について研究し、これらを改造することで、静かに楽に泳げる方法を開発してきた。そして、これらの泳法に囚われないオリジナルな泳法も開発してきた。その結果、らくで楽しい泳法、八の字泳法、円月泳法、鉤腕泳法、やぎロール、イルカ泳ぎ、らくらく2ビート背泳ぎ等々の泳法を編み出すこととなった。

    これらを紹介するにあたって、私の工夫した泳法やオリジナル泳法の「そこそこ」の速さとは、どういった程度か、一応、参考までに示しておかなければならないだろう。

    私の身長は163cmであるが、どの泳法でも、力を抜いてゆっくり継続的に泳ぐ場合は35秒前後を目安として泳いでいる。速さというよりも、むしろ、ゆっくりとしたピッチで泳ぐことを習慣としている。大体、1ストロークを2秒くらいである。

    同じピッチで力をこめて泳ぐと、30秒前後に縮まるが、25秒前後にする場合には1ストロークに要する時間を短縮していかなければならない。これは、4泳法に限らず、オリジナル泳法も同様である。

    速いとはとても言えないが、フィットネスジムのプールで、普段、みなさんの邪魔にならない程度のスピードで泳ぎを楽しむことができていると思う。

    私が、ゆっくりした動きで泳ぐようにしているのは、そのほうが大きい負荷をかけないし、波しぶきも立てず、優雅に、らくに、楽しく泳げるからだ。

    もちろん、ピッチの緩急次第で、速くも遅くもなるし、呼吸のタイミングも自由に調節できる。

    各泳法について、現在、私が通常泳ぐ具体的な数値としての速さとストローク数は、このページをご参照いただきたい。


    勿論、それぞれの個性により違いはあろうが、ともあれ、この程度で、ゆったりと楽に泳ぐことに満足できる方には、このサイトが、きっと何らかの参考になると思う。

    また、オリジナル泳法では、心も身体もリラックスしてイルカになったような気分で、楽しく気持よく泳げるので、ぜひ、お奨めしたい。スピードはクロールと同程度である。



    2 随想



    2.1 オリジナル・メドレー


    いろいろな泳法の紹介を読まれた方の中には、まあ、次々と、ろくでもない泳ぎ方を紹介するもんだとあきれておられる方もおられるかもしれない。

    私自身も、よくもまあ、と思わないでもない。

    しかし、それぞれの泳法には、それぞれの特徴があって、どれも捨てがたく、さりとて、どれが、一番良いかを決めればよいということでもない。

    私は、健康のための運動として水泳を、ほぼ毎日1時間ほど、行っている。

    そして、これまで紹介したらくらくクロール泳法とそのやぎロール版、キックなし版、その他、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライ、古式泳法などを含めて、数十種類の泳法を泳ぎ分けている。それゆえ、各泳法50mとしても、これら泳法をメドレーで泳ぐと、すぐ1kmを超えてしまう。

    私は、長距離を泳ぐ場合、何回往復したかを、すぐ忘れてしまう。いろんなことを考えたり、ストローク数を数えたりするからだ。だから、距離を数えて泳ぐ時は、メドレーにすることが多い。それによって、数えなくても、パターンの数をこなすだけで距離を割り出せるのである。例えば、このサイトで紹介する泳法で10種類を50mずつ泳げば500mになる。私は、よく、このパターンを2回で1km泳ぎ、その後25m25秒で泳ぐなど、泳ぎかたを変えることによって、その日の運動量を推測している。

    また、いろいろ、考えながら泳いでいると、新しい泳ぎ方のパターンが頭に浮かんでくることも珍しくない。これが、泳ぎを毎日継続できる動機付けにもなっているのである。

    競技にでる訳ではない。他人に迷惑をかけない限り、何の制約もない。

    毎日、適度の運動ができて、楽しく健康を維持できれば、これに越したことはない。


    2.2 十人十色


    人の体は、皆同じではない。それぞれ特徴があるし個性がある。どこか痛めていたり怪我をしていることもあるだろう。

    また、人それぞれで、水泳に求める目的も異なることだろう。それゆえ、泳ぎ方は十人十色あって当然である。

    私が、ここで書きたいことは、ラクにゆったりと老人の身体にもあった泳ぎを楽しもうということである。そして、そのために参考になるだろうと思われる原則を、このサイトで、できるだけわかりやすく説明してきたつもりである。

    しかし、一般のジムのプールで泳いでいる私は、自分の泳ぎを撮影することもできないので、拙い図やアニメ動画、文字だけの説明になってしまい、説明の行き届かないところも多くあるだろうと懸念している。

    それゆえ、私の記事では、特に、足を浮かせるメカニズムを理解していただき、また、腕の動きについては、掻くのではなく、肩甲骨を動かすことのみに注力すればよいということに重きをおいて説明してきたつもりである。ご自分の泳ぎの参考になれば幸いである。


    (健康法としても役立つ泳ぐ基本姿勢)

    ところで、足を浮かせるために、肋骨を上に引き上げ、胃をその中にしまう姿勢は、自然と腹筋を締める結果になっている。こうした姿勢はバレエ等の基本姿勢でもあるが、肋骨の中に胃をしまい、腰を細く保つことは、何をするにしても体幹がしっかりするので、他のことにも応用がきくはずだ。

    また、この姿勢は、おせっかいかもしれないが、日ごろのお通じにも役立つ。老人がトイレで息むと脳卒中の危険があるが、この肋骨を上げる姿勢で腹全体を締めると、腸全体を絞る効果がある。ただ、この時にも、注意されたい。それは、息をつめないことである。泳ぐときに息を止める場合でも、胸郭を広げる方向で、つまり、息を吸おうとしつつ止めることが大切だ。健康を保つ秘訣のひとつに加えて欲しい。


    2.3 肩甲骨の動きの重要性


    肩甲骨について、少し述べてみたい。

    腕の動きで再三説明したが、腕を小手先で動かしても、力は出ない。腕は、肩甲骨に固定するかのようにし、動かすのは腕ではなく、肩甲骨の方を動かすのだ。どのようなスポーツでも、このことは大事だ。

    テニスの例を引き合いにして考えると、このごろ有名なテニスのプレーで、一見不安定にも見えるジャンピングショットがある。これは、ボールの高さに自分の打ちたい体勢を合わせるためにする プレーなのであろうが、実は、本人がそうと知って行っているのかどうかは知らないが、これは、素人にとっても、効率的な打ち方だと私は思っている。

    なぜかというと、ジャンプして打つ場合、手だけでは打てなくなるからだ。

    腕だけで打つと弾き返されてしまうだろう。腕だけであれば、打つ力は腕の重さ以上にならないからだ。

    では、どのように彼は打っているかというと、おそらく肩甲骨を固めて全身で打っているのだ。

    つまり、身体が空中にあることで、足がささえる土台になっていない。つまり、足で踏ん張ることができないので、必然的に体全体の重みをボールにのせた打ち方になっているのである。

    素人は、足を大地においていても、手だけで打ってしまうことが多い。だから、私は、テニスのグランドストロークは、足で踏ん張るのではなく、むしろ、打撃の瞬間は、両足の力をふっと抜いて打ったほうが、力のある球が打てるに違いないと思っている。おそらく、野球の打撃もそうだ。

    テニスや野球でも、私は思うのだが、腕の使い方にも理論があるはずだ。

    泳ぐときでも、プルの腕は、目に見える範囲で動かす必要があると、このシリーズで書いた。

    バットを構えるときやラケットを構えるときにも、大きく腕を後ろに引いてはいけないはずだ。

    腕を胸の平面の延長線上より後ろ(つまり背中の方)に持って行ってはならないと私は考える。

    その理由は、力が入らなくなるからであり、かつ、ボールに対応する時間が遅くなるからだ。その上、姿勢を崩し、場合によっては肩などを痛める虞さえあるからだ。

    玄人であれば、結果が良ければ良いのであろう。しかし、素人であるならば、バットやラケットを構える位置は身体の正面の、胴の幅の範囲に納めたほうがよいだろう。

    そして、打つ瞬間は、肩甲骨で腕や肩を固定して身体全体を回すのである。どのように回すかというと、曲げた両膝を、打つ方向に鋭く倒すことに意識を集中するのである。そうすれば、体幹でがっちり支えられた身体全体の重みで球を弾き返すことができる。スウィングの速さだけでは、球は飛ばない。

    水泳も、その点では変わらない。

    腕を胸の平面の延長線上より後ろ(つまり背中の方)に持って行くと、力が入らなくなるばかりでなく、リカバリーの時間が遅くなり、姿勢も崩し、肩などを痛める虞さえある。

    だから、肩甲骨が特に鍵になる。これをしっかり引き上げれば、自然と体幹もしっかりし、腕にも力が入り、体重が前に移動して下肢は浮き、結果的に余裕が生まれ、ラクになる。

    肩甲骨を常に上げることだけでもよい。肩甲骨を下ろすのは自然の動きだからだ。上げることだけ意識すれば良い。

    ところで、肩甲骨をよく動かせば、肩こり解消にとても役立つことはいうまでもない。

    自分で肩甲骨を大きく動かし、その周りの筋肉を動かせば、血流が一番よい形で促される。マッサージなどの外部刺激で凝りをほぐすのも気持ちが良いかも知れないが、これを過度にやれば打撲と同じ結果を残し、その時は気持ちが良くても、後で血流が滞る原因となり、悪循環となりかねない。


    2.4 健康の秘訣としての水泳


    私は、毎日泳ぐようになってからというもの、風邪一つひかなくなった。自分ではどうしようもない場合には医者に行くのもしかたがないが、健康は基本的に自分で保つものだ。自分の身体は医者より自分のほうが良くわかっているはずだ。

    水泳をする利点で、次の3つは異論がないところではないだろうか。


    1. 程よい運動になり、かつ、無理な筋肉の使い方をしないこと

    2. 皮膚の鍛錬になり、呼吸器系統を強くすること

    3. 肩こり防止に役立つこと


    この外にも、プールには適度な雑菌もあって、免疫強化に役立ち、泳法を研究すれば頭の体操にもなるし...というのは半分冗談だとしても、ともあれ、健康に役立つことは間違いない。特に還暦過ぎた私には多くの面で役立っていると思う。

    常々思うのだが、自分の身体には、自分で責任を持って、ゆったりとした人生の終末を迎えたいものである。早い遅いはあれど、いずれ、お迎えは来る。

    その時、もっと、健康管理していればよかったといった反省はしたくないものだ。お医者さんは、患者に頼られれば、何かしなければならないと思うだろうが、何の責任もとってはくれない。




    2.5 プールで気を付けること


    環境も大事だ。混雑しているプールではいいことばかりはない。

    さて、このサイトでは、ゆっくり、らくに、優雅に、楽しく、美しく泳ぐことを目標として書きいている。
    それゆえ、読者としては、特に、年配の方々を念頭に置いて書き進めてきた。若い人には、物足りないであろうとも思うし、おそらく、読んではいただけないだろうとも思っている。

    水泳は、良いことばっかりだと最初に書いた気がする。
    全身運動、肩こり解消、呼吸器の鍛錬、皮膚の鍛錬、等々である。でも、もう、それを繰り返すことはしない。

    何事も、良いことばかりあるはずもない。何事も、両面はあるのだ。
    それゆえ、老爺心ながら、記してこなかった反面にも触れておこう。

    水泳をする人は、いろいろな環境でするだろう。
    ジャグジーやお風呂・サウナの揃ったスポーツジムであったり、公共プールで、シャワーしかないところもある。さすがに年間を通して泳ぐ人は、温水プールで温水シャワーのでる施設を利用しているに違いない。
    かくいう私は、前者のジムで5年ほど泳ぎ、いくつかの理由があって、一度、公営プールに鞍替えした。

    まず、公営プールのほうが、はるかに水の透明度が高かった。向こう岸の壁がはっきり見える。
    監視員も溌溂としていた。何より、使用料も安く、6分の1となった。手続きも出入りも簡素でよい。

    いいことづくめであるが、制約もある。まず、風呂などない。シャワーは、濾過再生のため石鹸類も使えない。利用できない時間帯が不規則に結構ある。土日は特に混む、などである。

    そんなところで、数か月泳いだが、結構危険なことも多いことに気が付いた。

    それは、衝突である。

    固定メンバーではないので、予測不能なことも多い。その中には、平気で真ん中を泳ぐ人がいる。
    肩や足を殴られるのは日常茶飯事としても、一度は、妻が正面衝突して、脳震盪を起こしかけたことがある。
    つまり、対面交通のこっち側に入ってきたおっさんがいたのである。
    わたしなどは、なんとか避けるが、背泳では、みごと隣のコースから伸びてきた手に、見事、金玉を掴まれてしまった。びっくりしたのなんのって、初めての経験だ。止まって、となりのコースをみたら、上品そうなおばあさんが、悠然とむこうに泳ぎ去っていくところであった。

    このような事故は、単に下手だったり、ゴーグルをかけていないといったことだけで起こるのではなく、これを助長する要素も、実はあった。

    そこでは、ウォーキング人口も多く、そのためのエリアを3コースぶち抜いて確保しているのである。
    これは助かる面もあって、このエリアでは、泳ぐ練習や浮く練習も、なんでもでき、甚だ便利ではある。

    しかし、その一方で、プール全体に大きな水流を作っていたのである。

    つまり、一方方向に歩く必要性から、プールの端に沿った大きな水流を起こしてしまうのだ。
    ウォーキングコースがあれば、少なからず水流がおこるのはしかたがない。しかし、横方向に歩く距離が長いと、かなり困ることになる。

    例えば、隣接した、となりの初心者コースで泳ぐと、向こう岸に着く直前で、対面泳者側に、急に押し出されてしまうのだ。これは、こわい。
    それに、コースでの行きかえりで、逆の水流となることも多く、向かい風と追い風の差で、要するストローク数もかなり違う。

    だから、「らくらく健康スイミング」を目指すのは良いですよと、これを勧めはするのではあるが、こうした危険性にも十分配慮しなければならないということである。


    さて、次に、健康面について、少し書き加えたいと思う。

    泳ぐプールを乗り換えてから、3か月たったころ、10年抑えられていた痛風の発作が突然再発した。これにはびっくりした。もちろん、プールが直接的な原因ではない。しかし、これに関わる生活習慣的なことである。

    一概にはいえないが、公営プールに行くようになって、生活習慣で大きく変わったことがある。

    水泳のあとの風呂・サウナがなくなったことである。それまでは、ゆっくり風呂に入り、ミストサウナで汗を流し、とくに腹を温めるのに留意したものだった。それは、免疫機能を高めることが目的だった。事実、この5年間ほどは、白血球の数が多く、リンパ球の割合も満足のいくものであったのだ。

    公営プールに行くようになってからは、内湯に入りはするのだが、面倒ゆえ、隔日になり、それも、ゆっくりは入っていないのだ。

    しかし、それと、今回の予期せぬ痛風発作が、どのように関係するのか。

    痛風患者は、激しい運動をしないほうが良い。急激に体内で尿酸が産生され、血中濃度が高まるからである。
    それゆえ、水分を多く採り、尿量を多くしなければならない。汗をかいただけでは、全く、尿酸は体外に排出されないからである。

    だから、今回発作の原因として、一番に考えられるものは、前日に行った機器トレーニングだ。
    これまで何年もやってきていなかったのに、近くにある施設を活用しないわけはないと、プールが休みだったので、頑張ってしまったのだ。

    おりしも、前々日が、定期通院で血液検査をしてきたところであった。
    若干高めになってきてはいたが、血中尿酸値はまだ許容範囲で、順調であると確認したばかりだったのだ。

    でも、汗をいっぱいかいた。
    そうしたら、てきめん、次の日から足の母指球が腫れた。
    水をとらなかったわけではなかった。注意して水をたくさん飲んだつもりではあった。

    しかし、直前に調べた血液検査では、もうひとつ、気になる点がなかったわけではなかった。
    白血球の数である。自己免疫能力の指標として、わたしが注目してきた項目である。これが、いつもより少なくなっていたのである。もっとも、これは変動の激しい項目であるので、たいして気には留めていなかった。

    ともあれ、急な発作にいぶかしく思いながら、この痛風発作が治ってから、ひと月半ほど経った最近のことである。

    プールから帰った後から、どうも体調がわるい。

    そして、次の日から、鼻の奥と喉に痛みを感じ、発熱。その後、痛みは引いたが、上気道の痒みや咳に襲われるようになった。4日ほど経ってから、38.5℃以上の高熱に見舞われるようになった。これはインフルエンザとは全く違うものだった。インフルエンザは初期のころからポーンと熱が上がり、身体の節々の痛みと頭痛に襲われる。そして高熱が出っぱなしで、3日間我慢するのだ。

    それに比べて、今回の病気は、午後から熱が上がり、朝には下がるというもので、節々も痛くなければ頭も痛くない。しかし、咳には苦しんだ。耳鼻咽喉科で投薬された抗生物質と去痰剤等の薬を飲んだら、おしっこが極端に出なくなった。と思ったら、またしても、左足の母指球が腫れあがってきたのだ。

    またまた、痛風の発作の連続である。

    病気の経過などは、お伝えしても意味がないので省略するが、お伝えしたいことは、「頑張りすぎも、頑張らなさすぎもだめよ」ということである。そして、免疫力増加には留意したほうが良いということである。

    還暦すぎたわれわれにとって、もう、頑張りすぎはだめである。そもそも、頑張れないだろうから、あえていうほどのこともないのだろう。
    しかし、年寄の冷や水というか、頑張ってしまうと、関節を痛める、筋肉を傷める、筋を攣る、疲労困憊してしまう。頑張りすぎてよいことはない。

    逆に、「あんまり頑張らないのもどうか」ということもいえる。何事も中庸がよい。
    なぜか?

    少しは頑張らないと、有酸素運動にならず、運動量としては少なすぎるということがいえる。
    そして、それよりも心配するのが、「冷えにご用心」である。プールは冷えるのである。ウォーキングレーンでも端っこで井戸端会議をしていう人たちを良くみかける。

    冷えると、血行が悪くなり、筋も攣る。それから、お腹が冷えてしまって、自己免疫能力が下がってしまうと私は心配し、経験的にもそう信じている。

    そうすると、何にも悪い。病気にかかりやすくもなる。プールでの感染も、元気なら、ワクチン代わりになるなどと豪語できるけれど、やわっちい身体になってしまうと、結構、病原菌にも気を付けなければならない。

    だから、勧めるのである。

    「やぎさんのらくらく健康スイミング」をどうぞ!




    2.6 水泳と新型コロナ


    「オリジナル泳法のすすめ」の真に意図するところは、「健康と水泳」です。
    つまり、水泳をすることによって、健康を維持することができれば幸い、ということがひとつの目的でした。
    しかし、ある程度の健康がなければ、泳ぐことなどできないというのも事実でしょう。
    今日は、それに関して、思うところを少し記してみたいと思います。

     

    1.泳ぐときの意識の単位はどこにあるか?

    みなさんは、泳ぐときに、目的といったものを設定していますか?

    大方の人は、泳ぐにあたって、目的や目標、あるいは目安といったものを持っていることと思います。
    1時間泳ぐ、スピードを更新したい、2km泳ぐ等々、きっとあると思います。

    では、具体的に泳ぐにあたって、ひとつのまとまった単位として意識するものはありますか?

    「あるよ、今日、意識するポイントとしては、キャッチに注意する」などというものはあるかもしれません。でも、私の言うのは、意識するポイントではなく、単位です

    単位?そりゃなんじゃ?と聞かれるでしょうね、きっと。

    私には、泳ぐときに、単位として意識するものがあります。

    それは、一回一回のプル、ストロークです。

     

    単位としての1ストローク

    では、私が単位として意識するストロークはどのようなものか?

    どんな泳法でも基本は同じですが、動きにはそれぞれ特有なものもあるので、ここでは、クロールでの私のストロークを取り上げてみます。

    手を前方に差し込み、キャッチして、プルして、最後に水から抜いて前方に運ぶ、そこまでの動作のことです。
    当たり前のことで、いまさらと思われるかもしれませんね。

    しかし、私は、手を前方遠くまで差込み、思い切り身体を長くまっすぐに伸ばし、それから、やおら水を搔き集めて、ゆっくり、手前に引き寄せ、そして常に同じ水圧や水流を手のひらや前腕に感じつつ後方に押しやり、最後にすっと水面から肘を抜き取って、肘を高く手指を水面すれすれに掠めて、頭の横まで運ぶといった、この動作を、滑らかに気持ちよく自らの理想の形に完璧に行なうということを一回々々感じたいのです。
    ここに、私の水泳が凝縮されているといっても過言でないと思うからです。

    (私のストロークの概要)

    この私のクロールの一部始終には、どんな意味があるか?

    (1)最初の段階の、手の突き込みには、胸を深く沈める効果を持たせ、同時に、ローリングの初動効果も持たせる
    そのためには、頭の横から手先を突き込んで、肩の前方斜め下遠くに手の甲に水圧を感じるように伸ばし切るということをします。(私の円月泳法の場合は、腕を円く回しますので、前方で水面に手のひらを横から沈めようとするときに、親指側を下に傾斜させ、水を抉ります。)
    このようにすると、その側の肩・胸が沈み込みます。
    それによって何を期待するかということですが、胸が水に沈み込むことによって、上半身の重心が水面からグッと低くなることになり、その結果として、下半身は浮き、前方の深みに向かって滑り込んで行くことができます。うまくやれば、背中の方に水を引き込むことができるので、加速する感じも得られます。
    どのように腕を使ってもよいのですが、このストロークの最初の段階の結果として引き出したい効果はこれです。

    ところで、胸を沈めるこの動作は、クロールや背泳ぎなどの左右非対称の泳ぎでは上体のローリングによっても達成されるのですが、バタフライや平泳ぎなどの対称的な泳ぎでは胸を、意識的に張って、深く沈めなければなりません。
    こうして、腕を手先まで伸ばしきったときが、最も泳速が速いときです。なぜなら、もう一方の腕が水を掻き切った瞬間であるからです。それゆえ、好きなだけ、その余韻を楽しみながら、水の中を滑っていくことができます。

    (2)次には、水を掻き込みます。
    なるべく前方で肘を緩めて、手のひらと前腕で、できるだけ多くの水を塊として掻き込みます。そして、その水塊を壊さないように気を付けつつ、次の段階に進みます。

    (3)後方に、水の塊を運ぶ
    手のひらと前腕で、掻き込んだ水の塊を自分の反対側の脇を目指して引き寄せてから後方に押し下げます。このときに留意するのは、常に水の抵抗が同じくらいの強さに感じられるように押し下げることです。多分、押し下げる速さは加速されることでしょう。
    この時、手のひらと前腕は、基本的に後方に向けるようにします。それが最も後方への力を生むことになりますからね。ただし、これは、後方に真っすぐ押し下げる抗力泳ぎのときであって、円を描くように水を薙ぎる様にする場合は、若干角度を付けます。そのときによって方向と角度は変わりますが、それは水流を感じつつ、その効果を楽しみながら覚えればよいことでしょう。
    このときの押す効率が推進力を左右することになります。身体のその他の部分は、ここでの水の抵抗と全く反対に、いかに、水の抵抗にならないかということだけに腐心すればよいのです。脚をぴちっと閉じ、腹筋に力を入れて身体を真っすぐにするといったことです。

    (4)最後まで押し下げ切った腕は、前腕の力を完全に抜いて肘だけを上げて脇を大きく開けながら、前方に向かってスポッと抜きます。
    つまり、水しぶきを上げず、泡も立てないということです。
    そうして、手指を水面スレスレに保って、脇を大きく開けながら、頭の横まで持っていき、もう一方の腕が2.の段階(つまり、水を掻き込む段階)に達するまで待機します。

    まあ、泳ぎ方によって、多少の変化はありますが、ストロークの基本はこうしたことだと思います。(ちなみに、私の円月泳法では、腕を円形に回しますので、バタフライに近く水面すれすれに這って前方に回します。)

    これが私のストロークで、最も大事な部分として留意する単位です。もちろんストロークと協調した体幹の動きや、脚の動作も大事なことには変わりはないですが、これらの原理は、4泳法を含めて、どれも全く同じだと考えています。
    ちなみに、息継ぎは単位ではありません。できるとき、したいときに、こっそりするだけのものです。

    だからこそ、私は、このストロークの一本々々に細心の感性と注意を籠めて水の圧力や流れを感じようとしているのです。

    あとのことは些末なことであって、距離や時間などは、目的や目安として達成されるものであって、単なる、このストロークという単位の繰り返しに伴う結果でしかありません。

    というわけですが、今日、私が、この記事を書こうと思い立ったのは、この単位という概念がきっかけなのです。

    冒頭で、ある程度の健康がなければ、水泳などできないと書きました。

    もう、お分かりのことと思いますが、ここ1年半ばかりの新型コロナ騒動についてです。

     

    2.健康と水泳

    誰しも、新型コロナに罹りたくない、と思うのは、当たり前のことです。
    それだけでなく、勿論のこと、どんな病気にしても、罹りたくありません。

    私の通うジム・プールでも、何人ものPCR検査の陽性者が出て、閉鎖になったり、ジュニアスイミングが休みになったりしました。
    しかし、私自身は、ジムが閉鎖された時以外は、プールになるべく通いました。
    週に4日程度ですが、新型コロナに罹る確率よりも、プールで泳ぐことで健康を保つ利益の方が、余程、高いと思ったからです。

    また、新型コロナのワクチンも受けませんでしたし、今後も受けるつもりは全くありません。
    なぜなら、後でも触れますが、コロナに罹って重症化する確率よりは、余程、ワクチンによる健康被害の方が迷惑だと考えざるを得なかったからです。
    もし、ワクチンを打って、身体の調子が悪くなったり、水泳ができなくなったら、元も子もないではありませんか。

    さて、それがストロークと何の関係があるのかって?

    私にとって、水泳の動きの核としてストロークという単位があるのと同様、私の生活にも、単位というかリズムがあります

    私にとっての生活のリズムの単位は、1時間でも、一年でもありません。
    ずばり、それは、一日です

    もう古稀を目の前にして思うことは、暗いうちに起きだして、眩しい朝日を浴びて、さあ、今日はどうするかなって考え、オレンジ色の夕日が西にボヨンと沈むのを感傷的に眺め、ああ、今日も一日が終わった、有難いことだ、あとは寝るだけだ、ということだけだからです。

    わたしにとって、この一日が生活・人生の1ストロークであり、一歩一歩なのです。
    生活・人生が良くも悪くもなるのは、この一日をどうするか、これをいかに生き抜くか、それだけなのです。

    このブログの最後の記事を書いてから2年間経ったのは、そうした一日々々を重ねてきた結果に過ぎません。

    うーん、まどろっこしいやっちゃな~ それがコロナと何の関係があるねん?

    ということですが、私は、私の一日にとって、コロナ騒動がどう見えているか、ということをお話ししたかったのです。

    (1)新型コロナ騒動と私の一日

    さて、それでは、私の一日にとって、新型コロナとはどのようなものか?

    簡単な話です。
    新型コロナ感染が始まってから、およそ18カ月ほど経ちますが、その間、わが国における新型コロナの陽性者(PCR検査で陽性になった人)は、約171万人、うち死亡者数は、約1.8万人であったと発表されています。
    これを基に計算すると、国民一人が、一日当たり、これに感染する確率は、約0.0025%にすぎません。また、それで死亡したと言われる確率は、約0.000025%です。

    この数字は、あなたにとっては、どれくらいの重さがあるでしょうか。

    そもそも、感染確率というのは、地域により、生活形態により、そして何よりも行動様式によって大きく異なります
    だから、感染防止や衛生に留意していれば、これらの感染の確率は、さらに、自らの努力次第で、限りなく減らせるであろうということです。

    さて、あなたは、今日、朝起きてから寝るまでの危険性として、こうした、0.0025%、重症化して死亡する確率の0.000025%が怖いですか?

    さらに言えば、重症化して死亡に至る方には、そもそも、基礎疾患や健康上問題があったり虚弱な方が多く、新型コロナがなくてもインフルエンザや他の疾患で亡くなる可能性も大きいのです。

    新型コロナの死亡者数というのは、肺炎を始めとして、その直接死因は種々ありますが、亡くなった時にその患者が新型コロナに陽性であったということだけです。ですから、死亡した方々がコロナウィルスを持っていても何の不思議はないと思われます。

    ちなみに、政府広報によると、同じようなコロナウィルスであるインフルエンザでは、何と、ひと冬で国民の約1割(1000 万人程)が罹患し、それがもとで1万人程が亡くなっていると推計されています。
    インフルエンザでも、亡くなった方々は、おそらく、みんな、安楽にではなく、苦しんで亡くなったことでしょう。

    だから、単に、数だけでいえば新型コロナの、年間死亡数はインフルエンザとさほど変わりません
    ただし、インフルエンザの蔓延期間は冬だけなので、これについても、新型コロナと同じように一日の確率を求めれば、ざっと、死亡率は0.00008%ということになります。
    つまり、一日の死亡率は、新型コロナよりインフルエンザの方がはるかに高く、30倍になっているということです。
    インフルエンザの一日の罹感率は、0.1%程度になりますが、それにもかかわらず、今のインフルエンザはパンデミックとは呼ばれません。なぜでしょう。

    罹患率についても比較したいのですが、例えばインフルエンザであれば、罹患すれば高熱が出て数日は苦しみますので、毎年国民の10%が罹患して医者にかかっていることが分るのですが、新型コロナの場合は、症状が出ない場合が多いとされ、症状が出てからPCR検査を受けて罹患が判明するので、正確な感染率は分かりません

    また、新型コロナは重症化する率が高い?という人もいます。
    しかし、罹患しても、その母数が不明である限り、重症化する率というものは数値としては出てきません。また、重症化した人の累積数も政府統計の中に見当たりませんので、単純にPCR検査陽性数で割ってみることもできません。

    悪くなって病院に運ばれた患者から出る重症者が多いという印象だけで、新型コロナは重症化しやすいのだ、とは言えないでしょう。むしろ、罹れば苦しむインフルエンザの方が、見方によっては質が悪い、というか、怖い病気であるとも言えるかもしれません。

    そもそも、新型コロナの蔓延で、人がゴロゴロ死んでいるような印象を与えているきらいがありますが、わが国の死亡率が高まったわけでもありません

    ともあれ、こうした統計を見る限りは、新型コロナのほうがインフルエンザよりひどいと言い切ることは難しく、これだけ危険性が煽られているのは、むしろ意図的ではないかとさえ思われます。

    以上のことから、私は、新型コロナを、むやみに怖がる必要はないと思っているのです。

    もちろん、私も感染予防のために、消毒・衛生には気を付け、外出時のマスク着用はします
    今回の騒動で、一番良かったのは、この習慣が広がったことです。
    これによって、新型コロナは勿論のこと、様々な感染症が激減しています。おそらく、その点で困っているのは庶民ではなく、患者が激減した民間の病院でしょう。

     

    (2)新型コロナのワクチンやブースター接種について

    それでも、新型コロナのワクチンを接種される方々が多くいます。争って受けている光景もニュースで度々流されました。すでに、国民の7割に達しているそうです。

    しかしながら、当初から、例えば、ファイザー社とモデルナ社のmRNAを使用したワクチンには、有害な副作用が予見されていました

    アナフィラキシーは最初から予見されていましたが、それ以外の、心筋炎、血小板減少、腎障害、皮膚病、免疫障害等々の疾患が、mRNAワクチンによるトゲトゲたんぱくの産生が原因で発症する可能性が知られていたのです。悪さをするそのトゲトゲたんぱくは、4か月経ち、ワクチンの効果がなくなっても、まだ体内に残っていることが、今は確認されているようです。
    それにもかかわらず、政府は、拙速に接種を始めてしまい、その副作用と思われる症状については接種との因果関係が認められないとしてきたのです。仮に、ここに至って、一部の心筋症だけ認めると言ったとしても、亡くなった人は浮かばれません。

    何も、こんなことを知らなくても、半年で作ったような、いかがわしいワクチンなんか受けられるもんかと拒否した人も結構います。

    接種しないのには、こうしたことなど、それなりの理由があるからです。

    実際、私の周りには、新型コロナに罹った人は1人居ました。しかし、ワクチンを受けた人については、何ともなかったという方も多くおられますが、今まで大きな病気をしておらず、元気いっぱいだったというのに、ひどく体調を崩した人が何人もおられます。経験もしたことがないような倦怠感や腎盂炎や肺気腫などにかかり、ずっと苦しみ続けているのです。

    そうでなくても、若い人を中心に、ワクチン接種後に高熱で数日苦しんだという例は枚挙にいとまがないでしょう。
    新型コロナに罹って症状も出ない可能性が高い若い人たちが、このワクチンの機序で沢山のトゲトゲたんぱくが体内で生産されることによる新型コロナの症状を、なぜ、わざわざ追体験しなければならないのでしょうか。そして、悪くすれば、心筋症などになって死ぬこともあるのです。

    それでも、ワクチンを受けるのは、個々人の勝手だと私は思いますが、受けない方にそれを押し付けたり、そういう方を疎外する方向にある今の社会の在り方に対しては、勝手でよいと言うわけにはいきません。また、「打ったから、もう罹らない」と豪語し、マスクを外して警戒を怠る方もいて、そんな方が、ウィルスを媒介したり、本当に罹ったりすることもあるわけです。

    とはいえ、中には、職域接種をはじめとし、社会生活の中で、受けたくないと思いながらも、仕方なく受けたという方も多くいます。他人の勝手によって、させられたと言うべきかもしれません。

    まあ、百歩譲って、我々老人は、どうなってもいいのいかもしれません。

    しかし、次世代を担う若者たちには、絶対負わせたくないものだと思います。ましてや、ブースター接種は論外です。

     

    (3)ワクチンの有効性

    ところで、ワクチンの有効性が95%と喧伝されていますが、みなさんはこの数字をどのようなものとして受け取っていますか?

    よしんば、これが、100%だとしても、毎日の感染率の0.0025%が、0%になるというだけのことです。

    しかし、困ったことに、この95%という数字についても、これは「まやかし」といわねばならないものです。詳細はここでは割愛しますが、ファイザー社のワクチンの治験結果を分析した論文を見ればわかります。それを読めば、その有効性は、実際は44%程度であることが分かります。なぜなら、その論文では、軽症者の発症数を除外して、同社の都合の良いように計算し、95%という数字にしていたからです。

    そして、ファイザー社が「不明としていた、その有効期間」については、その後の他の調査によれば、2カ月で抗体が半減すること、さらに抗体産生は高齢者になるほど少ない等という結果が出ています。

    これらを基にすれば、ワクチンの有効性は、言われているような値の6分の1以下に下がってしまいます。ブレイクスルーと言われているものが起こるのも当然でしょう。

    とすれば、毎日、予想される感染の危険性は、何もしなければ、前記のとおり、約0.0025%ですが、ファイザー社のワクチンを打てば、その毎日の確率が、わずか0.0021%に下がるというだけのことで、それも、せいぜい、長くて4カ月程度迄のものです。

    もうひとつ付け加えたいことがあります。

    それは、ワクチンの回数と分量に関してです。

    ファイザー社の治験によれば、まっとうにその結果を分析してみれば、第一回目の接種で、(同社のその都合の良い理屈によればですが、)有効率は92.6%になっていたことが分かります。それなのに同社が「2回接種しないと効果が無いと言うのは、利益を倍増したかったためとしか考えられません。

    そもそも、接種の分量は体重によって大きく異なります。子ども、大人でも大きい人も小さい人もいます。押しなべて等量を接種するのはおかしいと思いませんか?薬はふつう、年齢や体重を考慮して飲むものです。

    このように副作用が大きかったワクチンはこれまでに見られなかったことだと思いますが、同時に、作用機序としてmRNA(アストラゼネカはDNA)を使用したワクチンは、全く初めてです。それゆえ、特に、十二分に安全性を確かめる必要があったと思います。

    体内での抗体産生を促すことはワクチンの目的ですが、これは、ウィルスを適度に疑似体験させて実現するものです。

    そうであるならば、これほど酷いワクチン禍を起こす前に、よしんば、無謀なワクチン接種に踏み切らねばならなかったとしても、それは、一回の接種に留め、かつ、その量もずっと少なくて良かったのではないかと私は思います。

    行政の責任も重いですが、そのような危険性を認識しながら、その危険性を政府に免責してもらい、それだけでなく、多くの分量を接種して利益を上げようとしているように見える製薬会社の在り方には、非常に疑問を感じます。

     

    3.おわりに

    世の中には、色々なリスクがありますが、

    私は、避けられるリスクは避けようと思います。
    そして、負わなくてよいリスクは負いたくありません

    ですから、私は、新型コロナ罹患可能性の、こうした小さな確率は、自らの努力によって小さくすることとして、負わなくてもよいワクチンのリスクについては、そんなものを生涯負っていくことはしないと決めたのです。

    既に接種した方でも、ブースター接種を考えておられる方がおられたら、この記事が、何かの参考になればと思います。

    しかし、自分のことはともかくとして、憂慮するのは、これから国を支えていことになる子どもたちのことです。彼らにもワクチン接種が行われることになれは、その中から、心筋症で苦しんだり亡くなったり、健康を損なったりする子どもも出てくるかもしれません。その子が理解して望んだことであるならば仕方ありませんが、受けさせるのは、おそらく、親の意思ということになるでしょう。

    ともあれ、ワクチンによって健康が阻害されて、水泳などできなくなれば元も子もないですからね。

    みなさん、免疫は日ごろの注意から養うことが大事です。水泳では、とかく冷えやすいお腹を温めてください。自分の身体は医者には任せてしまうのではなく、自分で管理するようにしましょう




    2.7 泳ぐ生物に学ぶ


    海に生きる動物たちに学ぶ、として、つぎの章立てで書いてみましょう。

    1.海にいる先生たち
    2.人類の試み
    3.泳ぐ生物から学んだこと
    4.還暦スイマーにできること

    1.海にいる先生たち

    泳ぐことに関しては、大海に凄い先生がたくさんいます。その中から、二人の先生に登場してもらいましょう。

    ・マグロ先生(流線型の工夫)

    大海を回遊するマグロは、時速160kmで泳ぐこともできると言われています。
    これを可能とするのは、一つはその体形です。典型的な流線形で、高速で泳いでも大きな抵抗を生じさせません。
    しかし、それだけでなく、かなり細かいところまで気遣っているのには驚きます。
    ひとつは、方向転換する時に使う胸びれ、腹びれ、背びれは抵抗の原因にもなるのですが、マグロの場合は、身体にある溝や凹みに収納できるようになっており、抵抗を抑えられるようになっているのです。
    さらに、高速で泳ぐと身体の周囲に生じる渦流によって抵抗が発生するのですが、マグロの第2背びれ、臀びれの後ろには、小離鰭と言う後方の一辺が弧になった三角形の小さな突起が幾つもあり、これらが渦流を抑えて抵抗の発生を防いでいるというのです。さらに、さらに、尾びれの付け根には尾柄隆起縁と呼ばれる水平尾翼のようなふくらみがあり、高速で泳いだ際に身体を安定させられるようなしくみにもなっているということです。

    ・ペンギン先生(泡の効用)

    皇帝ペンギンの泳ぐ速度は、通常、速くても秒速1.2~2.7メートル。
    しかし、羽毛に蓄えた空気を微小な泡にして水中に放出すれば、泳ぐ速度は瞬間的に2~3倍に上がるといいます。通常は、体と水との間には摩擦による抵抗が生じているわけですが、これを放出するときには、その微小な泡の作用で、体を取り巻く水の密度と粘性が下がり、驚くようなスピードが出るというのです。

    どうですか?

    そうか、じゃあ、我々還暦スイマーもやってみるか、と考えたくもなりますよね。

    私も、考えてみました。

    でも、既に、泳ぐ生物については、これらを参考に、人類も色々考えて来ているのです。
    少し次の章で紹介しましょう。

    そんなの面倒臭いという方は、3章「泳ぐ生物から学んだこと」か4章「還暦スイマーにできること」に跳んでください。

    2.人類の試み

    ご存じかもしれませんが、最初の先生はサメでした。
    サメ膚といわれますが、サメの皮膚は小さな突起で覆われており、それぞれに小さなV状の溝があって、全体として細かい溝が形成されています。これらが、皮膚の表面に発生する乱流を打ち消す働きをして、速く泳ぐことができるのです。

    当然、人間もこれに目を付けました。
    NASA、生体力学やサメの研究者たちによる協同研究開発を通じて「ファーストスキン」という水着が開発されました。そして、2000年シドニー五輪の時に、全参加選手の約60%がこれを着用し、12の世界新記録を生むという水着の革命を起こしたのです。

    これは、サメの皮膚表面の形状を参考にした、全身を覆う斬新なスーツでした。具体的には、うろこ状の撥水プリントを生地表面に加工したもので、その溝に沿った小さな縦渦が生じることによって、表面に発生する乱流が打ち消されるように働くというものでした。

    それからというもの、競技用の水着は開発競争のうちにありましたが、次の画期は2008年から2009年にかけての「ラバー時代」と呼ばれる期間に移ります。ここで開発された水着は、英国のスピード社が開発した「レーザー・レーサー」というもので、従来の布地の水着にあった縫い目がなく、体を強く締め付ける構造によって体の凹凸が少なくしたものです。そして、これを着た選手が数多くの世界記録を樹立しました。

    だから、まだ目からウロコは落ちてはいないけれど、一番効いてくるのはサメ肌よりカツオ先生だったと気が付いたということです。つまり、「レーザー・レーサー」は、人間の体の凹凸をできるだけ抑えて流線型に近い形に補正するとともに、水流により生じる筋肉の振動や変形を抑えて抵抗の低減を図るために、できるだけ体を覆うものだったといえます。

    しかし、これの脱着には30分ほどかかったそうで、人間への負荷も大きかったと言えます。

    結局、苦労して作った水着も人間の健康の方が大事ということでしょうか、2007年、国際水泳連盟(FINA)は「水着表面に(高速化のための)特殊な加工を施すことを禁じる」と決定し、2010年から、水着に関する新規定を以下のように定めました。

    1.水着の大きさは、男子はへそを超えず、ひざまでとする。女子は肩からひざまでとする。
    2.重ね着は禁止。着用できる水着は1枚のみ。
    3.水着への張り付けは禁止。
    4.素材は繊維か編物のみ。素材の厚さを最大0.8mmで、浮力の効果は0.5N(ニュートン)以下。通気性(空気の通過率)は毎秒80L以上。
    5.ジッパー禁止

    このような水着の規制は、まともな結論だと、私も思います。
    そもそも、健康を損なうような運動の仕方というものが良いものであるわけがありません。本末転倒です。
    その点、オリンピックは、限界に挑むことが目的であり、健康のためとは言い難いでしょう。

    3.泳ぐ生物から学んだこと

    でも、結局のところ、人間は陸の動物だからあきらめよう、というのは早計で、やはり、学ぶところは大きいのだと思います。

    そこで、ここで初心に戻って、泳ぐ人間の形状と水の抵抗について、改めておさらいしてみることにしましょう。

    人の身体には頭や肩、凹んだ?お腹や腿周りやバラついた下肢等々があります。それに対して、どのような水の抵抗が生じるかを整理してみましょう

    (A)まず、水の流れを正面から受ける頭や肩などに受ける正圧抵抗
    (B)次に、下半身を主として、下流側にできる渦による負圧抵抗
    (C)更に、表面全体にかかる水の粘性によって生じる粘性抵抗または摩擦抵抗

    分かりやすいですよね。用語は別として...

    最初のAは、我々が直接、頭や肩で感じやすいところですし、下半身が下がって体が斜めになっている場合は特に胸や腹にも大きな抵抗を受けるわけです。何といっても、これが一番大きい。だから、前後に長く伸び、肩をなだらかにしたり、お尻を浮かせて、足も浮かせる、つまり、下半身を浮かせることが大事だという訳です。

    次のBは、下流、つまり、お尻の後ろや、足の後ろなどでは、流れが身体から剥がれることによって渦が生じやすくなります。その渦が発生した部分は圧力が低くなって、身体を後ろ方向に引っ張る力になってしまうものです。だから、なるべく、下肢は真っすぐ伸ばしてピタっと付けている方が良いということになります。

    一般的には、このAとBを合わせたものを抗力または形状抵抗と言いますが、泳ぐ生物は流線形であるためにこうした抵抗を受けにくいというわけです。逆に、人間が泳ぐときに受ける全抵抗の70~90%は、この形状抵抗といわれています。我々還暦スイマーの泳ぎ方では90%でしょうか。

    3章で紹介した水着の問題は、Cの粘性抵抗を減らそうという努力でした。水泳技術の限度を尽くした上での、コンマ何秒という世界ですから、これが問題になるわけです。我々還暦スイマーには全く関係のない話です。ちなみに私の水着は、何年も使える丈夫なスクール用のボックス型水着です。

    競技の世界では、最初のうちは、水着の材質が肌より粘性抵抗が大きいとして、恥ずかしいほど水着の面積を小さくすることで抵抗を削減しようとしていました。しかし、まあ、これには限度と言うものがあります。
    それで、シドニー五輪からは、「ファーストスキン」という鮫肌に魅了された時代に突入し、今度は水着を大きくしました。
    でも、結局、ウロコなんて姑息なことをするよりも、やはりイルカの形になった方がいいに決まっていると、ABの形状抵抗に焦点を絞った「レーザー・レーサー」という、体全体を覆う窮屈そうなウエアを開発することになったわけです。

    でも、結局のところ、そんな非人間的なことはやめて?水着の制限をすることになったというのが結末です。

    その結果、今では、水着メーカーも、従来の表面摩擦抵抗の低減に向けた生地開発競争から方向転換し、形状抵抗の低減を目指すのが主流となったそうです。とはいっても、許されている範囲でですから、水着で覆うことのできる骨盤周りと股関節に対して、どのようにサポートするかが争点になっているということでしょう。

    まあ、これだけ細かいことをやって、その時は速くなったとはいえるようですが、そんなことよりは、現在の進歩は、根本的に、泳ぐときのフォームの研究が進んだことによることの方が大きいようです。

    4.還暦スイマーにできること

    さて、冒頭で、「私も、考えてみました。」と書いたので、何か書いておくことにしましょう。
    【閑話休題】として読んでください。

    ひとつは、「マグロ先生に学んで」

    ・表面積を少なくするためにヒレをたたむ

    ということです。

    私の「らくらく2ビート背泳ぎ」(Backstrokes for elder people)が、その応用に適しているようなので、これを泳ぐとき、特に、1ストロークを長く、そして、ゆっくりと泳ぐときに心掛けてみてください。
    では、マグロのように手足のヒレを畳んでみましょう。

    ポイントは3つです。
    (1)プルし終わった手のひらを、お尻の直下の腿裏にペタッと付ける。
    (2)2ビートの蹴った(煽った)後の足首同士を重ねる。
    (3)前方に伸ばした手と反対の肩の間を、できるだけ離す。
    効果:
    (1)プルし終わったときは心行くまで滑って行く時間です。したがって、腿の傍に手がひらひらしていたら抵抗を生む大きな要素になります。それゆえ、腿の裏にペタッと付けるのです。お尻の直下の腿裏に付ける理由は、お尻の直下の凹みを隠すと同時に、ローリングを開始するきっかけにするためです。
    (2)足首同士を重ねるのは、両脚全体の表面積を減らすと同時に、水流をローリングに同調させ、円滑な水流を導くためです。重ねた先の足先がイルカのヒレみたいで、これも感じが良くありませんか。ローリングに合わせて、ちょっと水面上に片方の足先が出るように滑ってみてください。
    (3)これは言わずと知れたことですが、お互いの肩を前後にできるだけずらすことによって、肩の出っ張りをなくして身体を流線型にすること、プルの距離が大きくとれるということで、良いことづくめです。

    二つ目の試みは、ペンギン先生の「泡の効用」です。

    ・粘性抵抗を減らすために、細かい泡をたくさん出す

    ということです。

    このポイントは、できるだけ細かい泡を、身体の下側の表面にシュワ―――と長く吐くことです。

    でも、そんなことできますかね?

    我々は、秒速1mくらいしか出ないのに、姑息ですかね~
    でも、25mで、0.1秒くらい変わるかも(笑い)
    もしかして、オリンピック選手だったら有意な数字かな?

    やはり、些細なことですね~、私らにとっては。ともあれ健康とは関係がない。
    オミクロン株みたいに、取るに足らないことこもしれません。

    こんな些細なことは考えないことにして、もっと大きな、大事なことに気を付けて生きて行きたいものですね。
    でも、世間では、ただの風邪に過ぎないオミクロン株にまで戦々恐々として、ワクチンやブースターを打てとは、さすがに笑いも引き攣ります。
    私は、血小板を破壊したり自然免疫を下げていく可能性が高い新型コロナのワクチン接種は、これまでしていませんし、今後するつもりもありません。

    とは言っても、私ももうすぐ古稀。我々老人は、例え、ファイザー等の新型コロナワクチンを打っても、その中和抗体は、若い人に比べて、その半分も産生されないようです。
    その分、ワクチンの副作用も半分以下だと良いのですけどね。でも心筋症などで亡くなった若い人と比べて、その半分と言っても、やはり亡くなってしまうことは変わらない。

    みなさん、健康は、他人の考えに惑わされずに、自分で守りましょうね~




    2.8 片腕泳ぎのすすめ


    この3カ月というもの、ずっと妻が肩を痛めていて、右腕が痛くて使えない。
    ようやく、4泳法ができるようになって、面白くなってきたところだったのに。
    レントゲンによる医師の見立てでは、石灰化腱板炎で、腱板断裂も限りなく怪しいということだった。
    腱板断裂の原因は、どうやらヨガの無理なポーズを続けたことにあるらしい。

    ともあれ、右腕が使えないので、泳ぎも左腕だけとならざるを得ない。それゆえ、行きは左腕のみの背泳で、帰りは片腕バタフライ若しくは左側のイルカ泳ぎの右腕無しで泳いでいる。結構、楽そうに泳いでいるが、1kmを40分くらいのゆっくりとしたペースである。

    私も一緒に泳いでいるのだが、実は、私も微かに左肩付近に痛みのようなものを感じることがある。なので、気を付けて泳いでいるのであるが、妻と1コースを共有して対抗して泳ぐ関係上、ペースを合わせることにしている。

    そこで、このごろは、拳骨で泳ぐことを多用している。あまり、この練習はしていなかったのだが、やはり、これには良い効果がある。

    1.前腕や肩甲骨を使った泳ぎ方に修正される。
    2.水の抵抗が小さくなり、間接等に対する負荷が軽減される。

    これによって、泳速を落とすのだが、次に、多用するのは、全ての泳法について、片腕で泳ぐことだ。
    妻のペースに合わせるという目的もあるが、どのように身体を使えば良いのかという研究にも、バランスを取る練習にもなる。
    私は、これまで紹介した15種類ほどの泳法の全部についてやっているが、4泳法だけでも良い。

    最後には、そう、これらを合わせて、片腕、かつ、拳骨で泳ぐ。
    これで、相当、ペースは落ちることになるが、結構泳げるものである。落ち着いて、ゆっくり泳げば、楽にもなってくる。

    こんなことは、片腕が痛くなったときにでもやれば良いのだが、環境が許せば、是非やってみることをお奨めする。

    その時の、使わない側の腕の位置であるが、これは、体側にぴったりつける方法と前に伸ばす方法、それと、いい加減にふらふらさせるといった方法がある。
    これについては、是非、どれもやってみることを奨める。
    特に、身体を水平に保つためには、どのような状態が良いかということを知るのに役立つだろうからである。
    当然、体側に付けていれば、下肢が沈みやすいはずだ。でも、腕を上げられないときには、それで泳がなければならない。妻はそうして泳いでいる。

    それから、息をするタイミングというものも重要だ。これは、背泳ぎにしか通用しないが、片腕を体側に付けたままにしている場合、腕を掻くときに息を吸うのが良いのだ。掻き終わった時が両腕が体側についたときだ。そのときに、息を一杯吸って内蔵を押し上げておけば、重心が前方に移動して下肢が上がりやすく、身体を水平に保てるからだ。2ビートのらくらく背泳ぎで試して欲しい。らくに、ゆっくり、泳げるはずだ。

     

    もし、これらができるようになったらで良いのだけれど、次の課題として、二の腕を、ぴったり体側に付けて前腕から先だけを使って、ペンギンのように短い腕で、同じように泳いでみるのも面白い。

    泳ぐからには、楽しみたいし、どんな状態でも泳げるようにしたいものだ。

     

    この頃、肩が痛いと言う人がとみに増えたような気がする。

    リューマチなど、新型コロナワクチンやブースター接種で、なりやすくなっているのではないことを祈る。

    私の知人(つまり70歳くらい)はとても少ないが、その中でもワクチン接種後に体調が悪くなった人が何人もいる。ワクチン接種その日に心筋症になった人もいるが、因果関係が証明できないと言われ、ずっと苦しんでいる。気になるのは、特に、3回目の接種を受けた人たちだ。それまで元気だったのにひどく体調を崩しているという人が多い。その症状は免疫不全によるものが殆どだ。今になって、打たなきゃよかったと言われるが、想定されていたことだけに残念だ。




    2.9 らくらく健康スイミングは「らくらく」で良いのだろうか?


    いや、それは、それでよいと思っている。
    しかし、この一年で、「らくらくスイミング」だけの運動で健康になるか、ということには疑いを持つようになってきた。

    これまで、肩が痛いとか、身体のどこかに支障のあるときに、らくらくスイミングを、このブログでは奨めてきた。

    しかし、逆の観点で、「らくらくスイミング」だけで健康になるのかという点については、自分自身の体調に鑑みて、反省すべきところがあると思うようになってきた。つまり、「らくらく」でさえあれば、それで良いのか、ということである。

    ひとつには、私自身、これまで、数年にわたって、左の膝が悪くなってきたということがある。これは、膝が痛いから、水泳をしたほうがよいということではなくて、10年間もずっと、毎日のように泳いできたのに膝が痛くなってきたという事実である。

    何かの拍子に、膝の半月板を痛めてしまったとか、いろいろ考えては見たのだが、それにしても原因が見当たらないのである。しゃがむときに膝がコキンとしたり、伸ばそうとした時にロックされてしまって、膝を伸ばすことができなくなったりで、歩くのに支障をきたすほどになったのである。

    いろいろネットで調べるうちに、骨には、ほどほどの重力を与えてやらないといけないという記事を見つけた。長時間座っていないで、1時間に一度は立ち上がって、トントンと体重を認識させるような運動を少ししなければならないというのだ。
    私は、ほとんど旅行はしないが、旅先で長い階段があったことがあり、少し上っただけで膝が笑ってしまったことがあった。それを後目に、若くてひょろひょろした人達が、平気でとんとん上がっていく。これにはショックを受けた。

    要するに、「らくらく」なことしか、やっていなかったばかりに、私の筋力は弱くなっていた、というのが大きな原因ではなかったかと思い至った。

    それらのことがあって、私は、少し自分の膝に対して自らの体重を知らしめるような運動を取り入れるようになった。そうすると、もう歳だからとあきらめかけていたその痛みが軽減され、動きがよくなって行くではないか。

    3か月前からは、ジムでの運動に、水泳だけではなく、マシントレーニングを週に4回ほど取り入れるようにした。
    実は、プールの水質が悪くなって、これを嫌ったということもあったのだが、ともあれ、水泳の回数を減らすことになるが、これらを始めたのだった。
    私にとって、筋トレは初めてではない。前にやっていたこともあった。しかし、隣で運動している人の使う香料や体臭が気にはなるし、はたまた、風邪を貰ったりすることもあって、いつしか、水泳だけの運動になってしまったのだった。それに水泳では、洗濯物は無いし簡便だ。

    余談になったが、再開した運動は、筋トレと有酸素運動である。筋トレマシーンひと回り、それぞれ10回程度を8割くらいの負荷で30分程度行い、そのあとは、クロストレーナーというのか、空中で散歩しているような機械を、10分ずつ前回し後ろ回し前回しと、計30分間行っている。ランニンは膝の負荷が大きいので避けている。

    その成果は大きかった。もう、すでに、膝については、殆ど支障を感じなくなっている。

    私の身体の支障については、もう一つある、右肩から右腕手指までが痺れるのだ。これは、3年前くらいから始まったことだが、ここ半年くらい前からだんだん酷くなってきた。

    これは、困る。
    病院に行けと人は言うのだけれど、行きたくない。治してくれるとは思えないのだ。
    今から半年前であったか、熱が出たことがある。その具合からは、新型コロナではなく、インフルエンザだと思ったけれど、4日ほど寝倒して医者にはかからなかった。そもそも、その前に自治体がやる健康保険の定期健康診断を受け、その時にインフルエンザワクチンも無料と言うのでつい受けたのだが、その診断結果を貰いに病院に行ったところ、寒いところで長く待たされたのだった。発熱は、その2~3日後のことで、これでは何のための健康診断やワクチンだったのか分らないではないか。

    そんなことはままあることだが、痛くてたまらないときや、どんどん悪くなると思われるときは別としても、病院というところには、なるだけ行きたくないのだ。

    そこで、この右腕の痺れについても、よくよく、その原因を自分なりに調べてみた。

    その結果、どうやら、頸椎から神経が分岐するあたりに問題があるのではないかと思うようになった。
    頸椎に目立った歪みがあるとか、特に物理的に気になる点はないのではあるが、その付近のマッサージと、首周りの筋肉をも鍛えるようにしてみたのである。
    その結果、痺れはかなり軽減されるようになって、普段はあまり気にならないようにまでなってきたのである。

    それゆえ、「らくらく」に泳げるのは「無理をしない」という観点でお奨めなのではあるが、骨には「そこそこ」重力を忘れないような運動を加えた方がよいだろう。
    また、「そこそこ」の筋トレをやれば、当然、「らくらくスイミング」がより「らく」になるだろうことは保証する。

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