序論・随想  らくな泳ぎの基本  らくな4泳法  楽しい泳法  泳ぎの理論  身体に故障がある時

1 還暦すぎての楽々スイミング


1.1 身体的特徴と水泳


1.1.1 身体的特徴と個性

この世には、泳ぐために生まれてきたような人もいる。例えば、かつて、身長2m近く、足の大きさは35cmもあるオリンピック選手がいた。さしずめ、彼は、速く泳ぐために生まれてきたような人といえる。背が高く、身体も柔軟であり、手足もヒレのようだ。

体格に恵まれれば欲もでてくるのであろうが、速くなくてもいい、泳ぐのが好きという方もいるだろう。反対に、泳ぐのはつらいという方もいる。鼻や耳に水が入って嫌だという方も多い。

単に水泳に慣れていないというだけなら良いが、私の妻などは、手の平がボロボロになって痛痒い難病を抱えており、かわいそうなことに、水仕事や、プールに漬かったりすると、これがひどくなって、どうしようもなくなる。そうなると、とても泳ぐどころの話ではない。


  • 挙手可能角度
  • 私個人のことでいえば、肩関節の柔軟性に欠けており、直立して腕を、真っ直ぐ上に挙げようとしても、天頂の方向、つまり、左図のように、Bの位置までは上がらず、Aあたりで留まってしまう。それに、ひどく肩周りが疲れる。だから、ヨガなども苦手だ。また、足首の関節も固いので、バタ足をしてもあまり前に進まない。それゆえ、私は、既存の水泳スタイルには馴染めないし、さほど速くも楽にもならない。要するに、私の身体は競泳スタイルには向いていないのだと思う。

    私は、もう還暦を過ぎたし、水泳の研究を始めたのも最近である。私は競泳をしたいわけではないのだ。もしかしたら、それは「すっぱい葡萄」なのかもしれない。つまり、もし、速く泳げたら、マスターズ大会に出たくなるのかもしれない。

    しかし、今のところ、そのような大会に出たいとは思っていない。

    競争というのは、自らの限界に挑むことであり、オリンピックでも何でも、限界に挑む姿は、見ている分には面白い。しかし、いざ、自分がやるとなれば、何か犠牲にしなければならないことも出てくるだろうし、何より、健康のために良いとは限らない。

    話を戻そう。競争はともかくとして、運動をするに際して、多かれ少なかれ、人は、さまざまな身体的特徴を持っている。

    誰しも、怪我や障害といったような名をつけようがつけまいが、また、表面的にそれが見えようが見えまいが、さまざまな身体的特徴はもっているものだ。しかし、それは、単なる個性にすぎないのだと私は思う。

    事故で片腕を失った方。病気のために、半身が動かなくなった方。片腕や足が動かしにくいとか、首が回りにくいとか、そもそも、どこかが痛いだとか、いろいろな方がおられる。原因も先天的なものもあるし、後天的なものもあるだろう。

    物理的な形や可動域に限らず、精神的なものもある。

    大体、「正常な」という概念は怪しい。正常な身体とか、正常な精神というものは定義できるものでもないし、また、定義する必要もないと思う。

    「平均的な」という概念だってそうだ。平均的な身体というものもない。もちろん、一定集団における平均身長や平均体重といったものはある。しかし、例えば、平均的な視力ということになると怪しい。見え方というのは、視力検査ですむ問題ではなく、見るものにもよるし、見るためには脳での判断を伴うものだからである。

    ましてや、平均的な精神力とか、平均的な集中力など。あるはずもない。

    だれでも、みんな、心に、身体に個性を持っているのだ。


    1.1.2 個性と水泳

    「水泳をしたい」のであれば、その目的は、何であってもよい。

    泳げばよい。ただし、公共プールやジムのプールでは、ある程度、他人の運動の妨げにならないようにしたいものだ。

    ゆっくり泳いで、壁際でゆっくり休むのもよい。

    その場所でのルールを守って、一方通行を守り、お互いに隣の人の動きに邪魔にならないように泳げばよい。

    だから、泳ぐスピードだってそんなに気にすることはない。

    でも、おそらく、多くの方は、楽に泳ぎたい、そして、できれば、そこそこ速く泳ぎたいと思っているのではないだろうか。

    あるいは、自分の決めた時間、ジョギングのように継続して長く泳ぐこともしてみたいと。

    人によっては、リハビリの目的があるかもしれない。人によっては、陸での運動に支障があり、膝や肘や、どこかに痛みがあるのかもしれない。

    しかし、どのような個性を持っているかにかかわらず、ほとんどの方は、いわゆる、一般的な4泳法といわれる、クロール、平泳、背泳、バタフライのどれかを無理して泳いでいるように見える。いわゆる、水泳スクールで教えている泳ぎ方だ。

    別に、それを、とやかくいう気は全くない。しかし、もっと自分の個性にあった泳ぎがあってよいのではないかとも思う。

    そもそも、人のもつ個性は、時につれ、状況により、変わっていくはずだ。

    例えば、私自身、かつて、肩を故障したり、怪我をすることもあった。

    思えば、私が水泳を健康のための運動として取り入れたのは、故障した左肩を治したいがためであった。水泳は無理のない運動として治療に適当だと考えたからである。そして、泳ぎながら、痛くない範囲で動かし、1年かけて肩を治した。

    しかし、必ずしも、痛いときに、思うようには動かせるわけではないし、動かさないほうが良いときもある。

    だから、例えば、片腕の動きに支障があったり、痛みがある場合や、足に麻痺がある等々、一般の4泳法で泳ぐのには支障があるときもある。

    でも、大丈夫なのだ。基本原則に則って考えれば、自分に合った泳ぎを自分で開発できるのだ。

    例え、片腕が動かなくても、充分、泳げる。足が動かなくても、殆ど問題なく、泳ぐことができる。

    問題があるとすれば、おそらく、例えば、腕等が単に動かないというだけでなく、その原因を含めて、もっと内奥に潜むものが、泳ぐ際にどう作用するかということだ。しかし、それは、個別の問題になってくる。

    個別の問題は想像するしかないが、このサイトでは、四肢を一応動かせる人でも、もう少し楽に泳ぎたい、あるいは、長く泳ぐことができたらなどと思っている人や、肩があまり上まで挙がらない人、片腕だけや、半身を使って泳ごうという人を想定し、従来の泳ぎ方に囚われない、新しい泳ぎ方を紹介していこうと思う。


    1.2 還暦すぎての健康スイミング


    1.2.1 健康のために始めた水泳。できれば、楽に、長く泳ぎたい

    あくまで、健康目的で、有酸素運動として、長く、ゆったりと泳ぎたいと思うのであれば、誰しも、自分の身体に合った泳ぎかたを工夫しなければならないのではないかと私は思っている。

    なぜならば、個々の身体には個性があることはすでに述べたとおりであるし、そもそも、泳ぐ速さに応じて、効率的な泳ぎの形も変わってくると私は思うからである。

    たとえば、プル(腕のストロークで引くこと:腕で水を後方に掻く動作)をするとき、最初に、前方に伸ばした腕の力を抜いて、水流に少し逆らって水の塊をとらえる動作がある。これをキャッチというが、これは、泳速によってその効果も異なるので、必然的に、そのやりかたも変わってくるはずだ。また、プルの形も、オリンピック選手の動作を真似ても、身体も体力も違い、泳速がまるで違うのであれば、多分、うまくは行かない。個々人の持つ水泳の目的や、個性や、体力によって、やはり、泳ぎ方を工夫することが必要なのだと思う。

    人は、十人十色。関節の可動域だって同じではないし、筋力もさまざま。ましてや、怪我をしていたり、先天的な特徴や、病気があれば、なおさら工夫が必要である。

    誤解があると困るが、私は、競泳スタイルを否定しているのでは全くない。より高速な泳ぎを目指す人は、限りなく競泳スタイルに近づいていくであろうし、なおかつ、そのスタイルがラクなのであれば、それで全く問題がないのだ。しかし、健康のためや楽しみの水泳を目的とする方には、泳ぐスタイルの選択肢が、実は、豊富にあるのにもったいないなと思っているだけである。

    それゆえ、最初に断っておくが、このウェブサイトは、疲れても良いが速く泳ぎたいという人を対象としていない。同じエネルギーを使っても効率の良い、楽な泳ぎや、楽しい泳ぎをしたい人のためのものである。



    1.2.2 楽に、優雅に泳ぎたい。でも、できれば速く。

    もちろん、遅くて良いのであれば、様々な泳ぎ方があるだろう。しかし、できることなら、そこそこ速く泳げるようになりたい。だから、誰しもそう思うかも知れないが、らくで、かつ、速く泳げるようになりたいと私は思う。

    しかし、今、仮に、25mを50秒で泳いでいるとして、これを、同じ泳ぎで、35秒に縮めるためには、理論的に、2倍以上のエネルギーが必要だ。

    還暦過ぎて力をつけるのは、若い時のようにはいかない。筋力を維持することさえ大変なのだ。それゆえ、これまでの体力で、より速く泳ぐためには、効率の良い泳ぎを目指すしかない。泳ぎ方を改造すれば、50秒を35秒に縮めるのは、筋力増強に比べて、はるかに簡単だし、満足度も高いに違いない。

    それゆえ、これまで、私は、自分の身体に合った効率の良い泳ぎを研究してきた。そして、これまでに一定の成果を得てきたと思っている。冒頭に述べたように、私は、競泳を目指してはいない。だから、速くといっても、あくまで、「そこそこに」である。

    「そこそこ」というのは、私の身長は163cm程度であるが、これから紹介する、どの泳法においても、継続的に泳ぐ場合、およそ、25mを35秒前後で、あるいは、30〜40秒の緩急をつけて、楽に、ゆったりと、静かに、毎日1〜2kmを泳ぐといった程度である。

    私は、泳ぎを研究すること自体にも興味を持っており、それも私が水泳を継続する、ひとつの力となっていることを付け加えておこう。

    これから、さらに歳を重ねても、健康のため、無理のない趣味の水泳を、続けていくことができれば本望だ。

    このサイトでは、これまでの成果として、私の工夫した泳法やオリジナル泳法の主要な部分を紹介する。しかし、それらは、私が創意工夫したものとはいえ、既存の泳法や他人の泳法をくまなく調査したわけではない。当然、同じような泳ぎが既にあり、名称も定まっているものもあるかもしれない。もし、そうであれば、それについては、ご容赦願いたい。もっとも、厳密に言えば、誰しも、その人独自の泳ぎ方をしており、全く同じ泳ぎしている人はいないはずであるが、私としても、自分の泳ぎの独自性を、ここで主張したいわけでは毛頭ない。ご興味を持たれる方がおられれば、その参考になることを願っているだけなのであるから。


    1.3 らくらくスイミングの「そこそこ」の程度とは


    私は、これまで、既存の4泳法(クロール、背泳、平泳、バタフライ)について研究し、これらを改造することで、静かに楽に泳げる方法を開発してきた。そして、これらの泳法に囚われないオリジナルな泳法も開発してきた。その結果、らくで楽しい泳法、八の字泳法、円月泳法、鉤腕泳法、やぎロール、イルカ泳ぎ、らくらく2ビート背泳ぎ等々の泳法を編み出すこととなった。

    これらを紹介するにあたって、私の工夫した泳法やオリジナル泳法の「そこそこ」の速さとは、どういった程度か、一応、参考までに示しておかなければならないだろう。

    私の身長は163cmであるが、どの泳法でも、力を抜いてゆっくり継続的に泳ぐ場合は35秒前後を目安として泳いでいる。速さというよりも、むしろ、ゆっくりとしたピッチで泳ぐことを習慣としている。大体、1ストロークを2秒くらいである。

    同じピッチで力をこめて泳ぐと、30秒前後に縮まるが、25秒前後にする場合には1ストロークに要する時間を短縮していかなければならない。これは、4泳法に限らず、オリジナル泳法も同様である。

    速いとはとても言えないが、フィットネスジムのプールで、普段、みなさんの邪魔にならない程度のスピードで泳ぎを楽しむことができていると思う。

    私が、ゆっくりした動きで泳ぐようにしているのは、そのほうが大きい負荷をかけないし、波しぶきも立てず、優雅に、らくに、楽しく泳げるからだ。

    もちろん、ピッチの緩急次第で、速くも遅くもなるし、呼吸のタイミングも自由に調節できる。

    各泳法について、現在、私が通常泳ぐ具体的な数値としての速さとストローク数は、このページをご参照いただきたい。


    勿論、それぞれの個性により違いはあろうが、ともあれ、この程度で、ゆったりと楽に泳ぐことに満足できる方には、このサイトが、きっと何らかの参考になると思う。

    また、オリジナル泳法では、心も身体もリラックスしてイルカになったような気分で、楽しく気持よく泳げるので、ぜひ、お奨めしたい。スピードはクロールと同程度である。



    2 随想



    2.1 オリジナル・メドレー


    いろいろな泳法の紹介を読まれた方の中には、まあ、次々と、ろくでもない泳ぎ方を紹介するもんだとあきれておられる方もおられるかもしれない。

    私自身も、よくもまあ、と思わないでもない。

    しかし、それぞれの泳法には、それぞれの特徴があって、どれも捨てがたく、さりとて、どれが、一番良いかを決めればよいということでもない。

    私は、健康のための運動として水泳を、ほぼ毎日1時間ほど、行っている。

    そして、これまで紹介したらくらくクロール泳法とそのやぎロール版、キックなし版、その他、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライ、古式泳法などを含めて、数十種類の泳法を泳ぎ分けている。それゆえ、各泳法50mとしても、これら泳法をメドレーで泳ぐと、すぐ1kmを超えてしまう。

    私は、長距離を泳ぐ場合、何回往復したかを、すぐ忘れてしまう。いろんなことを考えたり、ストローク数を数えたりするからだ。だから、距離を数えて泳ぐ時は、メドレーにすることが多い。それによって、数えなくても、パターンの数をこなすだけで距離を割り出せるのである。例えば、このサイトで紹介する泳法で10種類を50mずつ泳げば500mになる。私は、よく、このパターンを2回で1km泳ぎ、その後25m25秒で泳ぐなど、泳ぎかたを変えることによって、その日の運動量を推測している。

    また、いろいろ、考えながら泳いでいると、新しい泳ぎ方のパターンが頭に浮かんでくることも珍しくない。これが、泳ぎを毎日継続できる動機付けにもなっているのである。

    競技にでる訳ではない。他人に迷惑をかけない限り、何の制約もない。

    毎日、適度の運動ができて、楽しく健康を維持できれば、これに越したことはない。


    2.2 十人十色


    人の体は、皆同じではない。それぞれ特徴があるし個性がある。どこか痛めていたり怪我をしていることもあるだろう。

    また、人それぞれで、水泳に求める目的も異なることだろう。それゆえ、泳ぎ方は十人十色あって当然である。

    私が、ここで書きたいことは、ラクにゆったりと老人の身体にもあった泳ぎを楽しもうということである。そして、そのために参考になるだろうと思われる原則を、このサイトで、できるだけわかりやすく説明してきたつもりである。

    しかし、一般のジムのプールで泳いでいる私は、自分の泳ぎを撮影することもできないので、拙い図やアニメ動画、文字だけの説明になってしまい、説明の行き届かないところも多くあるだろうと懸念している。

    それゆえ、私の記事では、特に、足を浮かせるメカニズムを理解していただき、また、腕の動きについては、掻くのではなく、肩甲骨を動かすことのみに注力すればよいということに重きをおいて説明してきたつもりである。ご自分の泳ぎの参考になれば幸いである。


    (健康法としても役立つ泳ぐ基本姿勢)

    ところで、足を浮かせるために、肋骨を上に引き上げ、胃をその中にしまう姿勢は、自然と腹筋を締める結果になっている。こうした姿勢はバレエ等の基本姿勢でもあるが、肋骨の中に胃をしまい、腰を細く保つことは、何をするにしても体幹がしっかりするので、他のことにも応用がきくはずだ。

    また、この姿勢は、おせっかいかもしれないが、日ごろのお通じにも役立つ。老人がトイレで息むと脳卒中の危険があるが、この肋骨を上げる姿勢で腹全体を締めると、腸全体を絞る効果がある。ただ、この時にも、注意されたい。それは、息をつめないことである。泳ぐときに息を止める場合でも、胸郭を広げる方向で、つまり、息を吸おうとしつつ止めることが大切だ。健康を保つ秘訣のひとつに加えて欲しい。


    2.3 肩甲骨の動きの重要性


    肩甲骨について、少し述べてみたい。

    腕の動きで再三説明したが、腕を小手先で動かしても、力は出ない。腕は、肩甲骨に固定するかのようにし、動かすのは腕ではなく、肩甲骨の方を動かすのだ。どのようなスポーツでも、このことは大事だ。

    テニスの例を引き合いにして考えると、このごろ有名なテニスのプレーで、一見不安定にも見えるジャンピングショットがある。これは、ボールの高さに自分の打ちたい体勢を合わせるためにする プレーなのであろうが、実は、本人がそうと知って行っているのかどうかは知らないが、これは、素人にとっても、効率的な打ち方だと私は思っている。

    なぜかというと、ジャンプして打つ場合、手だけでは打てなくなるからだ。

    腕だけで打つと弾き返されてしまうだろう。腕だけであれば、打つ力は腕の重さ以上にならないからだ。

    では、どのように彼は打っているかというと、おそらく肩甲骨を固めて全身で打っているのだ。

    つまり、身体が空中にあることで、足がささえる土台になっていない。つまり、足で踏ん張ることができないので、必然的に体全体の重みをボールにのせた打ち方になっているのである。

    素人は、足を大地においていても、手だけで打ってしまうことが多い。だから、私は、テニスのグランドストロークは、足で踏ん張るのではなく、むしろ、打撃の瞬間は、両足の力をふっと抜いて打ったほうが、力のある球が打てるに違いないと思っている。おそらく、野球の打撃もそうだ。

    テニスや野球でも、私は思うのだが、腕の使い方にも理論があるはずだ。

    泳ぐときでも、プルの腕は、目に見える範囲で動かす必要があると、このシリーズで書いた。

    バットを構えるときやラケットを構えるときにも、大きく腕を後ろに引いてはいけないはずだ。

    腕を胸の平面の延長線上より後ろ(つまり背中の方)に持って行ってはならないと私は考える。

    その理由は、力が入らなくなるからであり、かつ、ボールに対応する時間が遅くなるからだ。その上、姿勢を崩し、場合によっては肩などを痛める虞さえあるからだ。

    玄人であれば、結果が良ければ良いのであろう。しかし、素人であるならば、バットやラケットを構える位置は身体の正面の、胴の幅の範囲に納めたほうがよいだろう。

    そして、打つ瞬間は、肩甲骨で腕や肩を固定して身体全体を回すのである。どのように回すかというと、曲げた両膝を、打つ方向に鋭く倒すことに意識を集中するのである。そうすれば、体幹でがっちり支えられた身体全体の重みで球を弾き返すことができる。スウィングの速さだけでは、球は飛ばない。

    水泳も、その点では変わらない。

    腕を胸の平面の延長線上より後ろ(つまり背中の方)に持って行くと、力が入らなくなるばかりでなく、リカバリーの時間が遅くなり、姿勢も崩し、肩などを痛める虞さえある。

    だから、肩甲骨が特に鍵になる。これをしっかり引き上げれば、自然と体幹もしっかりし、腕にも力が入り、体重が前に移動して下肢は浮き、結果的に余裕が生まれ、ラクになる。

    肩甲骨を常に上げることだけでもよい。肩甲骨を下ろすのは自然の動きだからだ。上げることだけ意識すれば良い。

    ところで、肩甲骨をよく動かせば、肩こり解消にとても役立つことはいうまでもない。

    自分で肩甲骨を大きく動かし、その周りの筋肉を動かせば、血流が一番よい形で促される。マッサージなどの外部刺激で凝りをほぐすのも気持ちが良いかも知れないが、これを過度にやれば打撲と同じ結果を残し、その時は気持ちが良くても、後で血流が滞る原因となり、悪循環となりかねない。


    2.4 健康の秘訣としての水泳


    私は、毎日泳ぐようになってからというもの、風邪一つひかなくなった。自分ではどうしようもない場合には医者に行くのもしかたがないが、健康は基本的に自分で保つものだ。自分の身体は医者より自分のほうが良くわかっているはずだ。

    水泳をする利点で、次の3つは異論がないところではないだろうか。


    1. 程よい運動になり、かつ、無理な筋肉の使い方をしないこと

    2. 皮膚の鍛錬になり、呼吸器系統を強くすること

    3. 肩こり防止に役立つこと


    この外にも、プールには適度な雑菌もあって、免疫強化に役立ち、泳法を研究すれば頭の体操にもなるし...というのは半分冗談だとしても、ともあれ、健康に役立つことは間違いない。特に還暦過ぎた私には多くの面で役立っていると思う。

    常々思うのだが、自分の身体には、自分で責任を持って、ゆったりとした人生の終末を迎えたいものである。早い遅いはあれど、いずれ、お迎えは来る。

    その時、もっと、健康管理していればよかったといった反省はしたくないものだ。お医者さんは、患者に頼られれば、何かしなければならないと思うだろうが、何の責任もとってはくれない。




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