芦屋地獄谷

日時 2008-8-14 場所 兵庫県神戸市(六甲山) 天候 晴れ時々曇り 32℃(神戸市)
工程 神戸電鉄 大池駅 → 大池地獄谷 → ノースロード → 西六甲ドライブウェイ → アイスロード → 六甲ケーブル下駅
時間 大池地獄谷 約3.5時間、全工程7.5時間 平面距離 km
私的
分類
道程:ウキウキ系 明るい

本サイトでは、方向を指す場合の右・左の記述は、自分の進行方向に対する方向を意味します。

白石谷に行くため、十数年振りに神戸電鉄に乗ったというのに、もうその三日後には、再び神戸電鉄に乗り込んでいた。今年の夏は六甲山三昧で終わりそう・・・。

概要

滝、滑床、苔蒸した岩、淵と様々な渓谷美が現れ、いつまでも飽きる事がない。遡行距離も充分に長く、堰堤も少なく、お腹一杯に沢歩きを堪能できる。

西山谷よりは若干清流感は落ちるが、殆どすべての壷で魚影が行きかい、目に楽しい沢だと思う。

・ 今回自分達が遡行したルート:大池地獄谷遡行図 (PDF 169KB)

ルート

神戸電鉄大池駅から山道入り口まで、住宅地を抜けていかなくてはいけない。距離も結構ある。前回、白石谷に行くため、有馬温泉駅から山道入り口まで、炎天下の温泉街を30分歩いて死にそうになった教訓から、今回はバスでこの住宅街を抜けてしまおうと考えた。

が、大池駅からはバスが出てない。というか大池界隈には路線バスが走っていない。地図で見る限り大池周辺の住宅はかなりの広がりがあるようだが・・・。

というわけで、google mapで事前に良く調べて、路地から路地を抜け、最短距離と思われるルートで「地獄谷」の道標を目指す。
今日は曇りがちの天気に助けられながら、それでも気温は高く、時々日が差し、死にそうになりながら山道入り口にたどり着く。

車道から上の道標のある脇道に入り、階段を下りて、高速道路の下をくぐると・・・

山道が始まってすぐに「ノースロード出会い/大池駅」の道標があるので、この手前を左に入る。

しばらくすると、石垣の上を歩くようになり、右手に小さな沢を見ながら進む。この辺りはゴミが異様に多くて気が滅入る。
後で分かった事だが、本当は石垣の上に行かず、もっと手前で左手にそれていく道が正規のルートらしい。

石垣が終わって沢を渡り、そのまま道なりの登り道を進むと2段になった堰堤にたどり着く。この堰堤は右手から巻く。

巻き道を登ると、明確な山道がある一方で、あっちへ行ったと思ったら、また合流したり、踏み跡なのか、ただの木立の切れ目なのかよくわからない道が縦横に走っていたりしてどう進むべきか少し悩む。
ともかく、左手の川の流れから離れないようにして木立の間を進む。

と、突然林が切れて、目の前の視界が開け、白く光り輝く真新しい堰堤が現れた。
銘板には、「水晶山第三堰堤 補強平成20年1月」と書いてある。え?これが「補強」?と思ってしまわなくもない。


それはともかく、この堰堤は真新しく、周囲には土砂だけで何も無い。ある意味すんなりと堰堤の右手を通って、上流側の沢に降り立つ。
こんなところにも、早速、BBQの跡が。それって楽しいの?

工事は上流側に軽く100mは伸びていて、土砂が積まれている。この工事の端、自然の渓谷の始まり地点で沢シューに履き替える。

10:00AM 遡行開始である。

歩き出してすぐに、沢らしい景色が始まる。砂や泥が多く清流感は若干低いが、苔むした岩や、淵、滑、小滝が連続し、今まで行った六甲山の3つの谷の中ではもっとも沢らしい沢だと思う。

難しいところは何もなく、蜘蛛の巣もそれほど多くなく、軽快に遡上できる。

歩いて30分くらいで、思わず足を止める深く綺麗な壷にたどり着く。

滑床を辿り、小滝を越え・・・

沢はどんどん続く。

この谷は、基本的に「大池地獄谷」というハイキングコースであり、登山道が沢と着かず離れず、時にはクロスしながらずっと走っている。この登山道との交差を、いくつか越え、いくつもの滑を歩き、いくつもの魚影の走る淵を通り、小滝を登ること約50分。

入渓して最初の巨大な堰堤にぶつかる。

巨大な一枚岩の美しい滑を容赦なく分断している。なんともセンスの無い工事だな、と思う。

この堰は左手から整備された巻き道を通って超える。堰を越えたらしばらく木立を挟んで沢から離れた位置で登山道が続くが、適当なところでおもむろに木立の間を横切って、沢に入る。
堰を越えたあとは、割と広い沢筋となり、岩も大きく、開放的な雰囲気になる。淵、滑、小滝、谷が続き飽きる事がない。

時々、広々とした滑床が現れるなど、変化に富んだ沢が続く。あの曲がった先は?この滝の上は?と面白さは尽きる事がない。

どこの地点かは分からないが、登山道が沢とクロスし、「大池地獄谷→」の道標がある地点で涼しい風が吹いていたので、この地点でお昼にする。

時間は11:30AM。

沢の真ん中に横たわる大きな平らな岩にハイキングシートを広げて腰を掛ける。
ハイキングシートにサンドイッチやおにぎり、コーヒーお茶を広げる。誰かが深山幽谷な秘境感たっぷりのこの地獄谷の登山道をトレッキングしてきて、この陽気なピクニック御一行を見たら、がっかりするかもしれない。

12:00過ぎに遡行開始。
遡行を再開してすぐに、ひときわ大きい落水音が響きはじめ、滝が流れ落ちる岩壁が立ちはだかる。
地獄谷大滝に到着したらしい。

この滝には大きな滝壷があり、そのままジャブジャブと滝に取り付くことは無理。右手の岸から回りこんで、滝の右壁に取り付く。
かなりヌルヌルしていて、沢シューをもってしても、かなり危険。
とは言え、明確な手がかり足がかりがあるので、ヌルヌルさえ気を着ければ、登るのは簡単。

大滝を越えると、急に高度を増し、久々に見晴らしがいい場所にでる。その後、すぐにまた渓谷美が始まる。

12:30。沢が分岐している。「大池・前ヶ辻」の道標、左方向、前ヶ辻方面に進む。

まだまだ沢は続く。

谷筋が段々細くなり、上流に達してきた事をうかがわせる。それでも次々と変化に富んだ沢が現れる。

12:40。岩に囲まれた空間に落ちてくる滝に出会う。
滝の岩肌はごつごつしていて、滝そのものは登れそうだが、岩に囲まれているため、滝にアクセスするには、滝壷に浸かっていくしかない。
下手をすると腰くらいまで浸かりそうだが、あまり透明度が高くないし、泥も多そうだし、これは遠慮することに。

ちょっと手前の右崖を無理矢理直登して巻く。結局巻いたのは、この滝だけ。

これを越えても、沢はまだまだ続く。
巨石の間を通り抜け、アカハライモリに出会い、滑を歩き、岩を登り、斜暴を越え・・・


その後も沢は続く。

一層、うっそうとなってきたところで、沢筋を塞ぐ巨石があり、その巨石を越えて沢は右に曲がっている。

その右に曲がった先に古い堰堤が突然立ちはだかる。

ここで、遡行終了。時間は13:40。
トラックシューズに履き替えるスペースが無くて困ったが、何とか履き替えて、渓谷を離れる。非常に歩き応えのある、渓谷美の美しいよい沢だった。
急勾配を上り詰めて先の堰堤を右手から越えて、一路、ノースロードと大池地獄谷との出会いを目指す。

一気に温度が上昇して、また死にそうになる。ノースロードに出て、ダイヤモンドポイント方向に進み、ダイヤモンドポイントには行かずに、丁字ヶ辻に向かい、西六甲ドライブウェイに出る。

ドライブウェイは歩道も無く、視界の悪い曲がりくねったカーブが連続し、そのカーブの向うから車がすごい勢いで出てきて走り抜ける。

ドライブウェイを東に歩くこと5分くらい。アイスロード手前の藤原商店でアイスキャンディーを買って、アイスロードに入る。
こんな事ができるのも六甲山遡行のいいところかも。沢を離れるとめちゃ暑いのだから・・・

15:00アイスロード下り開始。

アイスロードは、名前とは裏腹に、直射日光にさらされた尾根を下り、途中からは、午後の西日のあたる尾根の西側を進み、今まで言ってきた「林道は涼しいね~」などと悠長な事は一切まかり通らない、試練の猛暑道だった。

日当たりがいいせいか、草木が道を覆い隠し足元が見えなくらいうっそうとしていて、それでいて道は悪く、何度も転びそうになる。
ハチが耳元でうなり、蚊が襲ってくる。蛇を踏んだりしないだろうかと、びくびくしつつ、やっとまともな道らしくなってきた後半、表六甲ドライブウェイが近づき、せっかく山道を歩いているのに、エキゾーストノートの轟音に包まれながらのトレッキングである。

挙句の果てに、唐突にドライブウェイに放り出される。迂回路はどこにも無い。
お盆休みで行楽客の車がひっきりなしに行きかう、歩道もない旧ドライブウェイの車道を、大荷物を背負って汗みどろになりながら、とぼとぼ歩いている2人の登山客を、クーラーの聞いた車中からどんな風に見えていたのだろうか?

・・・アイスロードはもう絶対に通らないと心に決めた。

16:20六甲ケーブル下駅に到着。

六甲山は、沢を離れても様々なルートで下山できる点が楽しいけど、その選択にはよ~く注意しなくてはいけないらしい・・・