栂谷

日時 2015-8-21 場所 和歌山県新宮市高田 天候 晴れ 34℃
工程 栂の平橋→栂谷遡行→烏帽子山山頂→登山道下山
時間 渓谷遡行 約5時間、詰め1時間 下山1.5時間 平面距離 渓谷3.2km、詰め0.7km 下山路3.3km
私的
分類
沢:明るい 爽やか  下山:体力系 体力系

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概要

見たことも無いような巨石と澄み切った清流、尽きることなく続くスケールの大きい滑。
険しい所もないわけではないけど、全体的に明るく爽やかで本当に気持ちがいい渓谷。

ルート

8:30AM 栂の平橋から入渓。最初から綺麗に角が取れた巨石がゴロゴロ転がり、その間を割って透き通った冷たい水が噴出す、雰囲気のいい沢が始まる。

20分ほどで二段の大滑。ここから沢はぐっと解放感が出てくる。
今日は天気がよくて木陰と日差しのコントラストが本当にキレイ。

巨石あり、美しい釜あり、滑あり。
なんでこんな不思議な造形になるんだろう。と、驚きと感動の連続。スケール感がすごい!!

多くの記録ではこの大岩をへつるようだが、ポチャンを避けて岩をよじ登って降りる。

10:15AM ヤケベ嵓到達
ものすごい絶壁。本当にこの沢は変化に富んでいて面白い。

ここまでで2時間くらい。例によって我々はかなりのローペース。

ヤケベ嵓上流部もまだまだ滑は続く。

わりと傾斜があったり、スノーボードのハーフパイプのように丸く削られた沢床だったりして、どこでも好きなところを歩ける、というわけではない。
スリップしたらどこまででも滑り落ちていきそうなのもちょっと怖い。

無造作に転がっている巨石。
いや、この大きさで転がっているという表現はおかしい。
でも“転がってきた”としか思えないんだけど。

11:30AM ガンガラ滝手前の松の老木。左奥に見えるのがガンガラ滝

ガンガラ滝は右手の山肌を巻き、この上部の斜瀑は左手を巻く。巻くのは簡単だが今度は沢への下降がなかなかきっかけが無い状態で、ロープを使って下降したりしながら上流を目指す。

左手前が滑滝、正面がルンゼ、右手が斜瀑の3股は右手の斜瀑方向に進む。

巻きは左手から。

3股の上流部の滑。傾斜が緩く規模が大きいものはここで終わり。

ここでお昼にする。時間は12:50。ここまでで遡行時間約4.5hr。結構時間がかかったが、それでももっともっと、のんびりゆっくりこの沢を楽しみたい気がする。

車を停めたその時からだけど、アブの来襲がすごくて、この時もぶんぶん飛び回って、ところ構わず刺してくる状態。なのでろくにゆっくり座ってられなかった。

ちなみにアブには普通の「虫よけスプレー」は効果が無い。(アブには、ハッカ油がいいらしいが、使い方には注意)

滑が終わって2股を左に。そこから急激に傾斜が増す。

下流から見た時、壁と見間違えたびっくりするぐらい巨大な岩。この写真は上流側から撮ったもの。
2股からはすぐ到着する。この岩の手前でトラックシューズに履き替える。実際にはこの岩の後でも良かった。

ここからはひたすら急傾斜。適度な木立や岩があるので無理をしなければ危ないという事はないが、とにかく傾斜がきつい。
その上、気温が高く、めちゃくちゃ蒸し暑くて逃げ出したいけど・・・登るしかないか。

烏帽子山山頂に向かって西から伸びる登山道を目指して登るが、実際にはこの辺りは登山道と言えるほどの明瞭な道はないようである。
帽子岩に近い場所ではほとんど崖のような山肌にロープが垂れ下がっている程度。六甲山のような山道を想定していたら見落としてしまいそうだった。(実際、見落としていたんだけど)

14:30 烏帽子山ピーク

せっかく辿り着いた山頂なんだから、ゆっくり休んでお茶でもしたいところだったけど、今日はこの後、くろしお特急に乗って神戸まで帰る予定である。
という訳で、転がるように大急ぎで急傾斜の山道を下る。前半は、例によって「山道」と言えるほどの明瞭なものではなく、急斜面の木立の間を赤テープ頼りにどんどん下る。
滝のように汗が流れ、アブが何匹もまとわりついて離れないし、つま先は痛いしでもう大変。

さっきまでの別世界のような沢はなんだったんだろう。

俵石の廃棄集落あたりにきてやっと傾斜もゆるくなり、足元もよくなり、やっと少し落ち着くが、暑すぎて熱中症寸前。
やっぱり我々は降渓するのがいいと思う。

洗濯機とか

旧集落跡とか

もう暑いし、急いでいるし、とっとと素通り。

そんなこんなで桃源郷のような栂谷から一変して険しく暑い山道をフラフラになりながら下って、何とかくろしお特急最終便に間に合った。

が、話はこれで終わらず。
なんと台風16号の強風のため大波が防波堤を越えて線路の盛土を流してしまい、大阪方面の列車は全面運休。ウソやろ?

暑いから沢を詰めるのはやめようと避けてきたのに、それを実行してみた結果、やっぱり案の定、暑くて死にそうだった。とはいえ、栂谷自体は本当に楽しい渓谷でぜひ再訪したい。その時はもうちょっと緩い計画で行こう。