白石谷

日時 2008-8-11 場所 兵庫県神戸市(六甲山) 天候 快晴 33℃(神戸市)
工程 神戸電鉄 有馬温泉駅 → 紅葉谷 → 白石谷 → 住吉道 → 七曲り → 雨ヶ峠 →
風吹岩 → 魚屋道 → 芦屋地獄谷 → 阪急芦屋川駅
時間 白石谷 約1.5時間、全工程8.5時間 平面距離 km
私的
分類
道程:ウキウキ系

本サイトでは、方向を指す場合の右・左の記述は、自分の進行方向に対する方向を意味します。

概要

西山谷なんかに比べれば、堰堤も少なく距離も短いので、体力的には楽だけど、渓谷らしい楽しさは白石滝の上流部まで。

白石滝上流の堰堤を越えてからは、崩落・倒木などで非常に荒れていて残念ながら沢としての美しさはない。

ただ、深い谷底を歩いたり、ロープを頼りに滝を直登したりと、アドベンチャー感があってなかなか楽しい谷ではあった。

・ 今回自分達が遡行したルート:白石谷遡行図 (PDF 133KB)

ルート

何年ぶりかというくらい、久々の神戸電鉄に乗って有馬温泉駅を目指す。神戸電鉄は湊川駅を越えれば、景色はごみごみした住宅街から一変して、山深いものとなる。乗客も殆どいなくてゆったりした小旅行気分である。
いくつものトンネルを越え、9:09AM有馬温泉駅到着。

ここから、六甲有馬ロープウェイ有馬温泉駅を徒歩で目指す。

今日も朝から一気に気温は上昇。炎天下のなか死にそうになりながら温泉街を抜けて登り道をロープウェイの駅までトボトボ歩く。今年は記録的な猛暑で晴天が続き毎日本当に暑い。
考えてみたら、こんなところ登山でも何でもないわけで、バスに乗って行くべきだった。

ロープウェイの駅には9:50AM過ぎに到着。
駅の横を通り過ぎて林道に踏み入れる。山道に入ると一気に気温が下がった事を実感。
しばらく進むと分岐標識があり「紅葉谷を経て極楽茶屋跡」の方に進む。時間は10:00AM。

下の写真の看板がかかる古い堰堤の上を通って、沢筋の右側に移り、道なりに進むと巨大な堰堤を越えていく。

堰堤を右側から越えた後は、山道は下っていく。堰堤でせき止められて出来た、水草で覆われた広く浅い沼地が左手に続いて面白くない。

広い沼地が終わったところで、沢の分岐に到達する。分岐を左に行けばいいのだと思うが、この時点ではいまいちよく分からなかった。
とは言え、ここから沢を遡行できそうなので、渓流シューズに履き替えることに。よく見ると、この合流地点のYの字の真ん中を林に消えていく細い山道がある。多分これが紅葉谷の続きだろう。
沢シュー(渓流シューズ)に履き替えている間に、単独のおじさんが2人程、その紅葉谷の山道に消えていった。

分岐から左の沢筋を遡行し始めてすぐに眼前に堰堤が現れ、行く手を阻む。
堰堤が見えたあたりで左手に「白石谷」の青い道標があり、ここでやっと白石谷に向かっている事を確信できる。

「白石谷」の道標地点からの巻き道を通って、沢から見えていた堰堤を左から越える。

この堰堤は土砂が上端まで堆積し、堰堤の上を越えて水が流れ出している。つまり堰の役目を果たしていないという事。
ところがけしからん事に、ほんのすぐ上流に並ぶようにして巨大な堰堤が設置されている。
堰を造り、土砂が堆積したらまたすぐ上流に堰をつくる。こんな事をしていたら、堰は永遠に作り続けなくてはいけないし、そのうち河川は堰で埋め尽くされてしまう。

先日行った西山谷にも巨大な堰堤が多く建設されていたが、堰と堰の間にあった美しい沢や滝がいずれ新たな堰によって破壊されるのも時間の問題と思うと心が痛む。

2つ目の堰堤を越えたら、すぐに上流側の川原に降り立つ。堰の上流側はどこもそうだけど、ここも土砂の堆積が進み沢の様相は全く無く、味も素っ気もない。

この川原でもまた分岐していて、分岐の左奥には白石滝が流れ落ちている。先達の情報を色々読んでいると巻き道を進む場合が多いようだけど、よく観察すると、滝の右壁から登れそう。

分岐の右奥に目をやると、先行していた2人組みが、岩壁にへばりついている。あれを登るのはきつそうだな・・・。

ということで、傾斜もきつくないし、この高さであれば落ちても死ぬことはなさそうだし、とりあえず、壁に取り付いてみる。
やや手がかりがなく、懸垂しずらいのだが、なるべく遠く目から取り付いて、滝に向かってトラバース気味に登れば、思ったより簡単に登る事ができた。
この滝は3段になっていて、最初の段に登れば後は、簡単に越えることが可能。

両岸を崖で挟まれた滝の落ち口に出る。回廊を抜けると、一気に渓谷の景色が開け、気持ちも盛り上がる。

そのまま沢を遡行すること5分ほどで巨大な堰堤に阻まれる。右側の崖を良く見ると、巻き道が登っていっているので、そこを登る。
若干不明瞭だがなるべく上へ上へとジグザグに登ると、明瞭な山道に達するので、この道を堰の方向に進むと堰の右側上端に達する。

この堰の右側上端からは、壁際を下に降りるルートしかないので、それに従って下ると、再び沢の遡上開始である。
小滝を越えつつ進むこと10分くらいで、深い谷筋となる。

沢は、切り立った崖の谷底を流れていて、はるか異郷の地に降り立ったような感覚になる。

しかし大部分は崩落、倒木、落石が連続し、かなり荒れた感がある。
深い谷底で大雨の度に人知れず崩落を繰り返しているのだと思う。
秘境感をぷんぷんと醸し出していて楽しいのだけど、沢音も乏しく、沢としての美しさやワクワク感は殆どないのが残念である。

曲がりくねった谷底を遡上すること20分ほどで、白龍滝に達する。
小ぶりな滝ではあるのだけど、近寄ってみると見た目以上に水しぶきが激しくて、ここは敢え無く退散。ちょっと下ったと所からの巻き道を通る。

先達のウェブを調べたところ、枯れ沢とか色々書かれているが、どう見ても崩落跡にしか見えない斜面を登って、ペンキに従って左に折れ、すぐに山に入っていく巻き道に入る。この巻き道に入ってすぐ、左の崖際を下っていく道と右に登っていく道があるが、左方向に進むと白龍滝の落ち口に降り立つ事ができる。

白龍滝の落ち口から再び遡行開始。小滝が続き再び落水音が心地いい、また楽しい沢の様相となる。
・・・が、あっという間に大安相滝に到達。

この滝を越えると、2つの沢の合流する分岐に達する。にわかに蒸し暑くなり、見てみると案の定、両方の沢筋とも堰留めされていた。やはり堰の下流は冷涼感がなくなっている。

このあたりは暑いので、一旦大安相滝の下流に戻り、そこでお昼にする。時間は11:40AM。

冷えたコーヒーを飲みながら1時間ほど、ゆっくり休んで出発。先程の分岐でトラックシューズに履き替え、遡行終了。

分岐の右側に進み、右手角部にある巻き道を登る。結構な急登であるが、とにかく登っていくと、沢からみえていた巨大な堰堤を越えた。

堰堤を越えて降り立つ、堰の上流側は、やはりすっかり乾いた川原となっており、木々がまばらに生えている。
もはや水の流れる沢音はなく、静寂な空気が流れている。

ここからは道標に従って「六甲山」方向を目指す。しかし自分は今すでに六甲山に居るつもりなのに、「六甲山」を目指すというのはどういう事だろう。
ともかく、そこかしこにある目印を「六甲山」方向に進む。急な尾根や崖を直登する箇所を経て、平坦な踏み跡を進み、唐突に住吉道(魚屋道と書いてある文献も多数あるが、実際の現地の道標では住吉道)に藪をかき分け、ガサゴソッと出る。

そこから山頂方向に登ると一軒茶屋の近くに出る。一軒茶屋でカキ氷が食べたかったのに、第二、第四月曜日は定休日。

13:40PM 一軒茶屋裏手から七曲りに入る。炎天下の中、涼しい林道を延々と下ること40分くらいで雨ヶ峠に差し掛かる。
雨ヶ峠は急な登り。ここを死にそうになりながら、汗だくで登り切り再び下り。風吹岩に到着したのが15:10くらい。

16:00PM 魚屋道からガサゴソと藪をかき分け芦屋地獄谷に入り、再び沢シューに履き替え、地獄谷を下って高座の滝に出る。

地獄谷は30分くらいで、通り抜けてしまった。先日、朝行った地獄谷はあんなに涼しかったのに、何故か、耐え難い蒸し暑さ。最後に涼を求めて谷に入ったのに、全身汗だく。

すでに閉店して閑散とした大谷茶屋と滝の茶屋を抜けて、高級住宅街を抜けて阪急芦屋川駅に到着。

気がついたら、有馬温泉駅から芦屋川駅まで2つの谷を経て8時間かけて踏破したことになる。「夏の水遊び」の趣旨は、こういう事ではなかったはずなのだが...。
と言いつつ近所の焼き鳥屋にフラフラと吸い込まれ、ビールと焼き鳥で一日の疲れを癒す。電車登山だとこれが出来るからちょっと(かなり!?)嬉しい。